中国大分裂 改革開放路線の終焉と反動

  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408109435

感想・レビュー・書評

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  • 2013/08/22:読了

    中国分裂を言う人は多いし、確かに、最近の中国はバブル破裂気味。
    でも、中国って、昔からこんな状態のほうが多かった気がする。

    地道な努力をする国に、緩やかに変わっていくしかないと思う。

    分裂したって損するだけなので、ぜひ、頑張ってほしい

  • あいかわらずの長谷川節でおもしろい。バッサリ切って捨てるのは痛快である。ただ、どの筋の情報なのか、それは信用するに値するのかという点について、この人は割とぶった切る物言いが多いだけにそこがいつも気になるところだ。

  • 中国の経済成長が停滞していまいましたが、それは平均値としてのデータなのではないでしょうか。また、日本の感覚から考えると、中国も1つの国で纏まっているかのように思ってしまいますが、実際にはそうではなくて、現在7つある人民軍の軍区に分かれる可能性があるようですね。

    この考え方は以前(2006年)頃に同じく長谷川氏の本で知ったことですが、この本で更に得たものは、その7つの軍区の中で、北朝鮮に近い「瀋陽軍区」が最も重要で、北朝鮮をもコントロールしていることです。

    昨年末に北朝鮮が人工衛星打ち上げをいきなり成功させて私も驚きましたが、これも瀋陽地区の協力があったからでしょうか。この本を読んで以上のようなことを考えました。

    以下は気になったポイントです。

    ・薄氏の処分(完全失脚)により、毛沢東派が、中国共産党の最高権力者グループから一人もいなくなった(p20)

    ・人民解放軍でも圧倒的な戦力を保持し、強力な権力を持ているのが瀋陽軍区、人民解放陸軍の中心となる最新機械化軍団、5個軍のうち4個軍が瀋陽軍区で展開している(p22、26)

    ・北朝鮮の軍事パレードは、北京を脅かすために、最新兵器を瀋陽軍区は北朝鮮軍に貸した(p29)

    ・中国人民解放軍が爆発するかもしれないので、アメリカは東アジアで展開しているアメリカ海軍第7艦隊の空母を2011年から2隻体制にした(p30)

    ・武力制裁に動いた時に、中国の人民解放軍の反乱が現実のものとなり、中国は7つの軍区に分かれてゆくゆくは連邦制をとる可能性が強い(p34)

    ・家電製品は部品を集めて組み立てればできるので、競争力は労働力の対価・賃金、その差で決まる(p36)

    ・パナソニックが予想以上に負担になっているのは買収した山洋電気の海外事業(p40)

    ・中国では電力が不足していて、停電の順番・期間・時間というものがあり、その決定に影響を及ぼすのは賄賂(p44)

    ・ユーロ圏の先行きが不安であれば、金価格が上昇し、安心なら安くなる。趨勢的には金価格は安定して、当面は上がらないだろう(p54)

    ・ユーロ圏から一番早く撤収したのは三菱自動車、トヨタは6工場が展開している、アメリカではハイブリッドが売れているが、欧州ではガタガタ(p56)

    ・2012年3月にEU27か国で締結・調印された新財政協定では、単年度財政赤字をGDP 0.5%以下、累積で5%以下、2014年から実行予定、この条約には罰則規定あり、これが守れないと農業分野の補助金が受け取れない(p57)

    ・中国は2012.1.23の旧正月時点で、1億人を超えた、家族を入れたら3-4億人、そのため個人消費市場が冷え込んだ(p59)

    ・中国で今統制できている価格は、エネルギー価格(電力、ガス、ガソリン)、そのためエネルギー関係の企業はみんな大赤字(p63)

    ・中国の銀行には預金保険制度がないので、銀行が仮に倒産したら預金者がみんな預金がゼロになる(p65)

    ・2011年7月に中国の高速鉄道が事故を起こしたが死者が40人しか出なかったのは、乗客が少なかったため、料金が普通の運賃の3倍と高すぎる、乗客少なく赤字続き(p68)

    ・カナダでは、固定資産と流動資産あわせて,160万ドルカナダドル持ち込んで証明されると国籍が買える(p69)

    ・人民解放軍の毎年とっている兵隊の数は、徴兵年齢に達する青年の20分の1、入隊は抽選だが嫌な場合には、賄賂を贈ったり、海外に留学させる(p75)

    ・インドの電話会社が北朝鮮に進出して、2010年末から携帯電話を売り出した、2011年の1年で30万台売れた(p85)

    ・金正恩は北朝鮮を掌握できていない、支配しているのは中国人民解放軍の瀋陽軍区(旧満州)(p89)

    ・2012年12月に開催される18回共産党大会で中央委員会総書記になった者が、2013年3月に開催される全人代(全国人民代表大会)で国家主席になる(p102)

    ・中国が北朝鮮への経済制裁を決めても逆に増えてしまった、その理由は瀋陽軍区が中朝貿易を押させていて中央政府の言うことを聞かないから(p113)

    ・北朝鮮では1時間に15ミリの雨が降ると土石流が起きる、山の木を切ってしまい、山に保水能力がないため、韓国では朴大統領が植林して50年経過した今では保水能力が向上した(p117,119)

    ・中国では機械化軍団を1つ作るのに軍事予算が、全国防予算の4%が必要、いま5個軍ある、本当の戦力を知るには、どれほど油を保有しているから(p124)

    ・強力な舞台を配置する必要のない軍区(済南・成都・南京・広州軍区)は今でも馬が活躍する(p126)

    ・アメリカは3軍の海外展開については上院下院の本会議での決議が必要だが、海兵隊は大統領の命令のみで可能、朝鮮半島で問題がおきれば、沖縄の海兵隊がヘリコプターで現地へ直行する(p137)

    ・2011年1月にアメリカ国防長官が訪中した時、中国空軍はステルス戦闘機の試験飛行をして実況中継をした、その事実を胡錦濤主席は掴んでいなかった(p146)

    ・アメリカが大型原子力空母を2隻展開できる理由は、横須賀6と佐世保4という大型ドックが2基あるから、これは西太平洋での唯一の大型ドック(p149)

    ・ソ連と中国の崩壊の異なる点は、1)ソ連の場合は内戦がない、2)崩壊の引き金を引くのは、ソ連は共産党自身、中国は人民解放軍、3)人民の意識の違い(p159)

    ・天安門事件で弾圧をしたのは、第6軍の山西省の部隊で北京の人と話が通じない人達(p158)

    ・イランは1日230万バレルの原油を輸出するが、30万バレルのガソリンを購入している(p172)

    ・中国の空母の甲板はカーブデッキで米国のはフラット、艦載機を飛ばすとき原子力発電から得られた水蒸気を利用したカタパルトで飛ばせるが、中国のは火薬利用(p176)

    ・現在の自衛隊法では在留邦人の救出ができない、かつてイラクから邦人を救出するときには、自衛隊派遣ができないので民間航空会社に依頼したが断られた、トルコ航空が救出してくれて小泉首相は勲章を差し上げた(p180)

    ・北京と天津を結ぶ高圧電線はない、各地で別々、例外はハルビンと大連間(東北3省)、これは日本が作ったから、日本は北海道稚内から鹿児島指宿までつながっている、上海は200ボルト3足、北京は100ボルト2足(p182)

    ・世界で最初に工場照明に電灯を導入したのは日本の東洋紡(大阪紡績)、そのおかげで昼夜2交代制が可能となり、インドの紡績を圧倒できた(p189)

    ・アメリカ特許庁は特許認可した件数を企業別に発表する、日本は検討しているがメンバーは変わってきている、日立、東芝、三菱電機、三菱重工、IHI、川重等で、重厚長大メーカに変更されている(p193)

    ・日本の未来は明るいと断言できる、それは日本経済を牽引する重厚長大産業があるから(p206)

    ・水処理技術は期待できる、日東電工・東レ・旭化成など(p207)

    ・1メートル80キロもあるレールは新日鉄とJFEしか作れない、これは列車の高速化には必須、アメリカではこのレールに交換している、また住友金属は世界で1社のみ、車輪と車軸の一体鍛造ができる(p209,210)

    ・三菱自動車は、部品点数の少ない自動車の開発をかならずやり遂げるだろう、部品点数が半分になると、生産コストは4分の1、メンテナンスコストは8分の1になる(p213)

    ・メタンハイドレードの試掘は渥美半島沖でやっている、技術はカナダから購入(p214)

    2013年1月3日作成

  • 著者は中国が嫌いなようだ。石原都知事と同じかなあと
    思いました。ちょっとバイアスがかかった見方のような気も
    しますが。北朝鮮と中国共産党と改革開放路線・
    人民解放軍と先軍政治と瀋陽軍区の関係
    ヨーロッパ危機との関係性は割と面白かったです。
    著者のいうように中国が分裂するとなると、大変だなあと。。。
    著者は中国が嫌いで、米国は強くて、日本は凄い
    という感じのひとなのでしょうか・・

  • 混迷する中国情勢、日中関係を、人民解放軍を中心に解説。

    北朝鮮ほ事実上瀋陽軍区の支配下にある。

    解放軍の7軍区(瀋陽、北京、済南、南京、広州、成都、蘭州)は独自性が強い、

    軍と中央政府の対立、

    権力闘争、路線闘争は「生きるか死ぬか」の激烈さ、

    継ぎはぎだらけの原子力発電所

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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