DIGITAL DISRUPTION

制作 : プレシ 南日子 
  • 実業之日本社
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  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408110196

作品紹介・あらすじ

「第3の産業革命」に乗り遅れるな!MAKERS時代に勝ち残るマインドセットとビジネスモデル。

感想・レビュー・書評

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  • デジタル化によって、ビジネスが大きく変わること、および変わらなくてはならないことをコンサルティングファームらしくまとめたもの。会社からも軽くお勧めされたこともあり、読んだ。

    「はじめに」において、「現在と20年前との違いは、テクノロジーが単なる技術の問題ではなく、顧客の動向と密接にかかわり、影響力を持ったことである。現代の消費者はテクノロジーをてこに、企業に対して強い力を持つようになってきている」とする。
    そのため、これからは製品ではなく、顧客から始めないといけない。既存の企業にとって、消費者と密接な関係を取りもつことができるデジタル・ディスラプターはそういった時代に出てくる新しい競争相手となる。今後デジタル技術の更なる発展によりディスラプションが多くの領域で起きることは避けがたい。むしろ「デジタル・ディスラプションは将来の可能性のひとつではなく、唯一の可能性」なのであるから。

    著者はまず、創造的破壊を成功させる三要素を挙げる(P.32~)
    1.デジタル・ディスラプターの思考法を持つこと
    2.デジタル・ディスラプターとして行動すること
    3.今すぐ自分自身を創造的に破壊すること

    そして、そのために必要な思考法の変換について説明される。能力や環境に応じてどういう製品を作るかという制約に基づく発想ではなく、顧客の利益を最優先した発想法への変換である。(P.55~)
    ・「つくる」から「提供する」へ
    ・「製品」から「人々」へ
    ・「売る」から「求める」へ

    その中でデジタル・ディスラプションの思考法が過去のモデルと大きく異なるのが「フリー」に関する考え方である。「フリー」のビジネスモデルにはいくつかのタイプがあるが、デジタル・ディスラプターの思考法を持つものにはすぐに理解可能なものであるという。(P.68~)
    ・まったく無料
    ・ほぼ無料
    ・実質的に無料

    また、スピードの重要性についても強調される。特にデジタル・ディスラプターにとって「失敗は安い授業料で教訓を得る機会でもある」(P.93) からである。早く実行に移して早く失敗することにより、より早く実際のニーズを図ることができることになる。失敗のコストは過去とは比べものにならないくらい安くなっていることを理解するべきなのである。うまい失敗の仕方を身に付ける必要があるのだ。

    また、著者はディスラプターとイネーブラーを別のものと考えるべきだと指摘する。アップルやグーグルは著者の定義ではディスラプターではなくイネーブラーと解釈するべきであるという。ディスラプターは、プラットフォームを創り出す必要はなく、彼らが創り出したプラットフォームをフル活用することで顧客のニーズをより早く満たすことができるようになる。つまり、いきなりアップルやグーグルのようになることを考える必要はなく、彼らのオープンなプラットフォームの中でディスラプターとしてまず行動することが重要で、かつ十分に可能であるということを伝えている。

    そして、顧客から発想するにあたって、顧客のニーズについて考察するのだが、現在の欲求は有名なマズローの欲求の段階説では説明できないという。デジタル・ディスラプションの時代における消費者の欲求は、意識的か潜在意識的か、脅威か機会かの二軸で、「快適さ」 「つながり」「多様性」「独自性」 といった欲求モデルに分類できるという。(P.118)

    また、スピードと多産性を重要視するディスラプターの思考法の実践として、より早く、より多くのアイデアを出すために「隣接領域のイノベーション」を追うことが推奨される。いきなり、大きなフロンティアでもなく、また既存の枠内での改善でもなく、隣接領域にまず行くことが効率的で効果的であると推奨される。
    1.隣接領域を探究する
    2.融合的な隣接領域を活用する
    3.イノベーションの道を貫く

    今後は顧客に対して、デジタルにつつまれたトータルな商品体験を提供することが重要になってくる。商品体験を身に付けるためのステップとしてCBSP法と呼ぶ考え方を提案する。
    1.顧客 (Customer) ... まずは顧客から始める。新しい欲求に基づく探究を行う。
    2.利益 (Benefits) ... 「誰のためのイノベーションを起こしたいか、またその結果、彼らが何を得られるようにしたいか」
    3.戦略 (Strategy) ... 「「利益」を「顧客」に提供する場合、どんな戦略的成果をえたいか」具体的な数字を目標とする。
    4.商品 (Product)
    (※Benefitsの訳語は「利益」となっているが、お金と結びついてしまうので、「便益」や「利点」の方がよかったような気がする)

    ディスラプターはこの順番で考えて、つなげていくことがポイントだという。これによりイノベーションが自己目的化していないか、顧客の利益になると同時に顧客の利益を会社の利益につなげられるか確認できるようになる、としている。

    最後に、ディスラプターとなるためのHow/Who/Whatを次のようにまとめている。実際に意識をして取り組むことが大切であろう。

    How? 自分自身にデジタル・ディスラプションを起こす
    自社の方針と慣習を改善することで、デジタル・ディスラプターの思考法を持っていることを証明しよう
    1.創造的破壊を経営幹部レベルの優先事項にする
    2.部門間の壁をすべて特定し、これらの障壁を避けながらデジタル・ディスラプションへ到達する計画を立てる
    3.小規模な改革チームを作り、ディスラプションのチャンスを見つけさせる
    4.潜在的競争相手をすべて洗い出し、彼らから学ぶ

    Who? 顧客から始める
    顧客重視のスキルを身につけ、新しい商品体験を開発できるようになる
    1.自分が満たせる、または満たすべき顧客の根本的欲求を特定する
    2.顧客の立場になって、彼らが次に求める利益は何か考える
    3.顧客にとっての隣接領域のリストを作り、自社で実現できる可能性のあるものを特定する

    What? トータルな商品体験をつくり上げる
    次に提供すべき大きな体験を以前よりも早く低価格でつくり上げる
    1.自社の商品体験へとつながるデジタルな橋をかける
    2.まったく無料、ほぼ無料、実質的に無料なデジタル・ツールを使う
    3.選り好みせず積極的に提携する
    4.従来とは異なる指標で測定する
    5.失敗を予測し、受け入れる

    「顧客起点の発想」や「トータルな顧客体験」というのは、プロダクトアウトの発想はやめようという話と合わせてよく言われることである。ただし、デジタル・ディスラプションが比較的容易に誰でも可能になったことから、その意味は違った意味を持ってきて、より重要性を増していると考えるべきである。ケヴィン・ケリーの『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』でも、未来はデジタル技術の指数的な発達によって、根本的に変わってしまうだろうと言われる。レイ・カーツワイルの『シンギュラリティは近い』でも同様だ。

    著者は、次世代の5つのルールとして次の5つを挙げる。
    1.個人の力
    2.データマイニングされた生活
    3.平等に分かち合う
    4.シングル・タスク企業
    5.規制は時代遅れになる

    企業の在り方や、働き方も変わっていくのかもしれない。特に日本の社会は、人口構成が大きく変わり、かつてない高齢化社会に突入する中で、このディスラプションにも対処していく必要がある。自分はその中で何ができるのかを考えないといけないのかもしれない。


    『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリーのレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4140817046

    『シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するときレイ・カーツワイルのレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/B009QW63BI

  • よかった!また時間あけて、忘れてないか、ずれてないか、読み返したい良本(´・ω・`)

  • ディジタル時代における「破壊的イノベーション」を起こす方法論について書かれています。しかし、本質的にはクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」に書かれている内容と大きな差はありません。
    という観点で本書を批評すること自体がデジタル・ディスラプションを起こせない側の人間ということでしょうか。

    無料のデジタルツールを活用し、隣接領域を、より早く探究してみたいと思います。

  • レビューはブログにて
    http://ameblo.jp/w92-3/entry-11767462597.html

  • デジタル時代に即したものの考え方を整理している本書。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784408110196

  • 人間の4つの基本的欲求モデル
    1.快適さ
    2.つながり
    3.多様性
    4.独自性

    4つの要素で考える
    1.顧客
    2.利益
    3.戦略
    4.商品

  • デジタルを自身で活用する、あるいは顧客に新たなデジタル体験を提供することで起す破壊的イノベーションをデジタル・ディスラプションと定義し、その様々な事例を紹介し、個人そしてビジネスの現場での進め方を指南する。

    「MAKERS-21世紀の産業革命が始まるに」での「ものづくり」を様々なイノベーションに展開して、分かり易くかつとても多くの気付きが鏤められている。また、欧米人の著書に良く見られる歴史や哲学を引用した大仰なレトリックも無く実務的に纏められているところも良い。

    本書は12才の少年がiPhoneアプリを開発した話で始まった。オープンソースや様々なフリーのツールそしてクラウドは零細企業や個人の為の「スケールメリット」なのだな。

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