「読ませる」ための文章センスが身につく本

著者 :
  • 実業之日本社
3.58
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本棚登録 : 358
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408110943

作品紹介・あらすじ

"あの"プロたちの仕掛けを盗む!あなたの文章が劇的に変わる!わかりやすく、伝わりやすい文章を書くことは大事。でも、それよりも重要なのは…「読んでもらう」こと。ビジネスの現場で文章を作る人のための、読んでもらえて、伝わって、書くのが楽しくなる文章術!

感想・レビュー・書評

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  • こういう本に対して物申したいことがあります。

    「こんな核心を突いた本を読まされてしまうと、他の同分野の本が全て稚拙に見えるではありませんか!」

    核心を突くものというのは言い換えれば真理です。
    相手がいる分野の話なら、真理は自分ではなく相手の中にあると考えて良いでしょう。

    ところが人間というけったいな生き物は真理はさて置いて自分の研究結果や知識をまとめてご立派なハードカバーにしたがる。それで、自分自身の価値もまるで高級感が出たような気になるものです。

    この本がそうした凡百の文書技術を語る本よりも本質的に優れているのはまさにその点、「相手がどう感じるか」に特化して練られている点です。細すぎるルールやマナーや論理をまるでブランド物の財布を見せつけるように語るのでなく、普通の財布でも「今日は奢るよ」と言ってあげるかのように、相手の感情をベースに考えてくれる本なのです。

    いつから人間はそうした基本的なことを忘れてしまうのでしょう。この本は「読ませる」ための文書センスが身につく本でありながら、「生きる」ための思考センスまで身につく本でもあったのです。

    キミもそう思うやろ?

  • 今後、文章を書くうえで思い出したいことだらけだった。

    なんとなくやってしまっていた、知っていたけどついやってしまう、のっぺりした文章になってしまう癖。

    そして、本書で一貫していた

    「自分が批判されないため」ではなく、読者への親切心、サービス精神で判断する

    という姿勢。

    文章を公開する不安で、つい前者に陥ってしまいがちになるが、いつも公開する前にこの時点で読み返そうと思った。

    ——

    「ようです」「と思います」「ではないか」あたりの「ボカシ言葉」を断定調に

    しかし、言い切らないくらいなら書くべきではありません。「自分の中で確信していること」を書くことこそ読む側に対するマナーなのです。

    「読者の疑問に答えよう」というサービス心ではなく、「自分が批判されたくない」という保身のために書いている。そんな心根は読み手にすぐに見透かされます。

    「好きな人には申し訳ないが」などと予防線を張ってしまうと、逆に、祭好きのカンに障る不愉快なだけの文章になるのではないでしょうか。

    話をデフォルメするのも、読み手に対する配慮

    「○○が好きだ」は、使い勝手のいい「型」

    直感的な言葉をそのまま書いてしまったほうが、ピタリとはまるということがあるのです。しっくり来る表現がない。うまく表現できない。そんなときは、小学生に戻った気分で、ごく単純に考えてみましょう。

    疑問文ではじめる。
    凝った書き出しはいらない。

    一文で短く予告→改行→まとめの文章

    「実感」と「共感」──これこそ、「のれる文章」のカギ

    「実感」を得る要素=自分の体験したこと、深く関わっていること、身のまわりのこと
    「共感」を得る要素=誰でも体験していること、よく見聞きする話、ありがちな現象

    お願いやお詫びなどで、情感に訴える文章を書きたいときには、漢字をひらいて、ひらがなが多めになるように心掛けてみてください。

    編集者は、「いきなりこんなややこしい依頼が来たら、戸惑うだろうなあ」と想像してくれたのでしょう。だから、ひとこと書き添えた。


    伝えたいことを書いた後、リラックスさせるようなことを書いておく


    「平日のイオンモールにいる主婦がついレジに持っていってしまうような本」「20代のサラリーマンが彼女の誕生祝いに使うようなお店」のほうがはるかにいい。

    「見たまま」「聞いたまま」「感じたまま」を正確に書く

    固有名、正確な日時、見たまま感じたままの描写、発言の正確な引用

    「抽象化せずにどう描写するか」

    振り返ったときの整理された感動ではなく、食べている最中の混乱した感動を書く

    好きなコラムやエッセイを読み込んで、「終わりっぽい文章」を皮膚感覚として身につける

    「わずかに違和感をかき立てる言葉」があったほうが、文章は引き締まる

    淡々とした事実描写
    この抑制が、最後の<心の底から嬉しいのです>を強調し、日常生活で乱用される「嬉しい」とは異質なものにしている。

    研修「そのものの印象」を書くのではなく、研修の「自分への影響」を書く

    対象そのものを書くのではなく、その影を書く

    「(普通に書いてるけど)これってスゴイ体験じゃないか」というふうに、読み手の意識にのぼれば、強いインパクトが残せる

    「きれいなオチ」はたいてい短文


    • あっちゃんさん
      読んで見たくなりました。ありがとうございます。
      読んで見たくなりました。ありがとうございます。
      2021/04/13
  • 著作家でライターである著者が読ませる工夫をする文章の表現方法について書いた一冊。

    多くの書籍から引用されている粋な表現をもとに日本語の素晴らしさや表現1つで印象が大きく変わることを本書を読んでいるうちに何度も感じました。
    つかむ・のせる・転がす・落とすという4つの視点から紹介されているテクニックはどれも秀逸で、引用されている名文と日常生活で使える応用を見ると日本語の面白さを強く感じました。
    また、新聞などの語調がとっつきにくいことやネットでの言葉が炎上しやすい理由が本書を読むことで言葉の側面から理解することができました。

    漢字やかなを結んだりひらいたりするテクニックや実感を持てる表現や書かなくてもいいことは書かないことなど文章を作るうえで読み手の印象を変える方法をイキイキ文章で実感しながら学ぶこともできました。

    本書で読んで特に時代によって求められる言葉が変わっていくことや使いすぎてベタな言葉になるというところは印象に残りました。

    本書を読んで読ませるために読み手のことを考えて文章を作るためのテクニックであると感じ、本書で学んだことを日常生活でも活かしていきたいと感じた一冊でした。

  • 雑文好きの著者が名文を集めて、つい読みたくなる文章を教えてくれる1冊。
    ビジネス文章への応用も含めた文章術の解説書ではあるが、ともかく引用文の幅が広く、声を出して笑ってしまうぐらい読みやすくて面白い!文章を読むのが好き、書くのが苦手でどうしたらと悩んでいる人、雑文好きにはおすすめ!

  • 目標は「小学生でもわかる」文章、文章だって「イケメン」のほうがいい、大事なことは書かない。 以上、いつも心がけなければと思いつつ……

  • 徒然なるままに書いてある。もっと要点を整理し、インデックスをきちんと付けた構成にすれば良いと思った。結局、何が言いたいのかぼやけている。

  • ・断定的に書く
    ・予防線は読み手にバレる。
    ・書かなくても分かることは書かない。一人称
    ・小学生でも分かる内容に。

    ・である体を差し込むことはOK
    ・やさしい文体の中に、漢字用語を入れ込んで抑揚をつける。
    ・緊張と緩和…伝えたいことを書いた後リラックスの一言をいれる。→さりげなく貸し作る
    ・表現のインフレは避ける…山場は一つだけ。
    ・書き手が興奮すればするほど読み手は醒める
    素っ気ない方が魅力的。
    ・抽象的なキャッチフレーズ、概念で共感を得ることは出来ない

  •  通常の文章スキル本は純粋に文章力の向上を目的とした種が多いですが、この本は異色です。異色なだけでなく非常に実用的でもある。

     本書の目的は文字通り、自分の書いた文章を何とか相手に「読んでもらう」こと。
     どんなにうまい文章であっても読んでもらわなければ意味がありません。なので一見して読みやすい文章や、冒頭を読んだだけで相手を引き込むこと、そういった「読ませる」ノウハウがふんだんに詰め込まれています。

     本書が触れている範囲としては、文章をパッと俯瞰した際の印象から、文章の形式や表現内容の工夫に至るまで、全般的にその手法が及んでいます。
     「パッと俯瞰した際の印象」というとわかりづらいかもしれませんが、例えば以下のような指摘があります。

    「気軽に読んでもらえそうな「字面」とはどんなものでしょうか。
    一つは「白っぽい」ことです。
    当たり前ですが、漢字を多用するとパッと見たときに黒っぽくなります。」


     確かに「漢字が多そう・・・」、「お経みたい・・・」、という印象を持っただけで読むのが億劫になるのではないでしょうか。

     また文章の形式については例えば、

    「文章の冒頭に「これは読む価値がありそうだ」と思わせるような「ツヤ」を出したい。そのために、誰にでも簡単にできるコツがあります。それは「とにかく断言して書いてみる」という方法です。

     もし、あなたが企画書に「近ごろ、焼鳥屋に女性客が増えているような気がする」と書こうと思ったとしましょう。そんな時はグッとこらえて、

    「近ごろ、焼鳥屋に女性客が増えている」

    と書いてみる、こんなやり方です。」

     といった具合。書いてみると実用的です。

     本書では全体を通じて、ちょっとした工夫で文章が読みやすくなったり、ぐぐっと引き込まれたり、クスっと笑えたりする、そんなテクニックが満載です。
     また、実際にこれらテクニックを盛り込んだ文章例が豊富に紹介されているので読んでいて非常に納得感があり、参考になります。

     いつもつけている日記を面白くしたり、ブログやSNSでの投稿をツヤのあるものにするのにとても役立つ1冊だと思います。

  • 【中央図書館リクエスト購入図書】
     ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
      http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17283476

  • 読み手にストレスなく読んでもらう。そのためは正しい文法や分かりやすい文章ではないコツがある。
    イキイキとした文章のサンプルやプロの技の例文を紹介しながら、つかむ・のせる・転がす・落とす視点から、「読ませる」ための文章の書き方が理解できる。
    センスは一朝一夕には身につかないと感じるが、やりがちなモヤモヤ文章への注意と意識しなければできないコツが参考になる。
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著者プロフィール

奥野宣之(おくの・のぶゆき)
1981(昭和56)年、大阪府生まれ。
同志社大学でジャーナリズムを専攻後、出版社、新聞社勤務を経て作家・ライターとして活動。
読書や情報整理などを主なテーマとして、執筆、講演活動などを行っている。
『情報は1 冊のノートにまとめなさい[ 完全版]』『読書は1 冊のノートにまとめなさい[ 完全版]』(以上、ダイヤモンド社)、
『学問のすすめ』『論語と算盤(上)自己修養篇』『論語と算盤(下)人生活学篇』(以上、
致知出版社「いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ」現代語訳)など著書多数。

「2022年 『心をつかむ文章術 無敵の法則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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