牧師、閉鎖病棟に入る。

  • 実業之日本社 (2021年5月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784408339825

作品紹介・あらすじ

なぜ人を傷つけてはいけないのかがわからない少年。
自傷行為がやめられない少年。
いつも流し台の狭い縁に“止まっている"おじさん。
50年以上入院しているおじさん。
「うるさいから」と薬を投与されて眠る青年。
泥のようなコーヒー。
監視される中で浴びるシャワー。
葛藤する看護師。
向き合ってくれた主治医。

「あなたはありのままでいいんですよ」と語ってきた牧師が
ありのまま生きられない人たちと過ごした閉鎖病棟での2ヶ月。

これまで牧師としてスーツを着て見舞いに行っていた病院へ、わたしは患者として入院しに行く。その病棟は、自分では自由に開閉することのできない分厚い扉で仕切られている。 (序章より)

みんなの感想まとめ

多様な人々が集まる閉鎖病棟での経験を通じて、自己理解や他者との向き合い方を探求する物語が描かれています。牧師としての立場から、患者たちと共に過ごす中で、彼自身の弱さや葛藤を見つめ直す姿が印象的です。特...

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】牧師がメンタルの病気で閉鎖病棟に 自分を取り戻す過程を綴る|NEWSポストセブン
    https://www.news-postseven.com/archives/20210722_1676829.html?DETAIL

    実体験を綴った『牧師、閉鎖病棟に入る』 出版記念インタビュー開催 | クリスチャンプレス
    https://christianpress.jp/kazuya-numata/

    牧師の僕が閉鎖病棟に入って気がついた「真実」 | ブックス・レビュー | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
    https://toyokeizai.net/articles/amp/438238?display=b&amp_event=read-body

    牧師、閉鎖病棟に入る。|実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-33982-5

  • 閉鎖病棟の少年達を思うとキツイ。
    勉強したいのにできない環境…
    少年達とちゃんと向き合うことのできる人達が現れることを望みます。

    鬱になるのは、男性の方が多い
    その理由に、男だから、男なのになどと言われたりして自分の気持ちに正直に思い泣くことができなかったり

    子供に、男の子なんだから泣かないのって言うのはやめます。

  • 良書でした。
    病棟で自分の弱さを見つめ続けた筆者の考えや
    その変化がよくわかる本でした。

  • 終章と、最後のあとがきのページの衝撃。世間一般の方々の、精神病、また、「先生」とよばれる職業への固定観念、偏見の強さよ、、、

    ヌマタさん、いい先生に出会えてよかったね。こんな風につきあってくれる先生、ほんとなかなかいないよ。

    そして、たくさんの人に注目されているようだが、入院日記部分を読んで、精神病や閉鎖病棟のことをわかったつもりにならないでね。これは、たったひとつのケース。心底そう願います。

  • 人の上に立つ仕事の人でも、心を病んでしまうことがある。
    牧師さんだって、たまには閉鎖病棟に入院することがある。

    前半は、閉鎖病棟ではどのような人がどのように暮らしているのかが語られ、後半は、著者が入院することになった経緯や退院した後の暮らしが描かれていた。

    発達障害をもつ少年が、事件を起こし、閉鎖病棟に閉じ込められる例があることを知った。社会から完全にシャットアウトされた世界で生きる彼らの夢は、いつか、病院の外の世界に出ることだ。

    どこか遠い世界だった閉鎖病棟の世界が、本書のおかげで少し理解できた。

    p64
    「なにを、見ているんですか?」
    「夕日だよ。きれいだなあと思って」
    マレはきょとんとした。
    「『きれい』って、どういうことですか?」
    わたしは窓から目を離し、彼らの顔を見た。彼らは不思議なものでも見るかのような顔で、わたしを見ている。たぶんわたしも同じような表情で彼らを見ていただろう。互いが互いにとって未知の存在となった瞬間。
    「いや、そのなんというか......きれいって思わない?外の景色をさ」
    彼らは顔を見合わせ、首をかしげる。キヨシが答えた。
    「分かりません。『きれい』ってどういうことですかね」
    彼らは「夕日がきれいだね」と一緒に言ってくれる親も、友人もいなかったのだ。夕日でなくてもいい。花でも、目の前のかわいい子でもいい。とにかく生まれてこのかた、「きれい」を分かちあう相手がいなかった。
    「きれい」という感情は本能ではない。それは誰かと共に「きれいだね」と言いあう体験をとおして、学習することなのだ。ところが、じっさいに「きれい」を体験したことのない人間が、わたしの目の前にいる。そんな彼らに「きれい」とはなにかを、どうやって説明したらいいのだろう。
    「きれい」と感じるという、理屈ではない体験を理屈で説明なんかできるのか。

  • 精神科の病は単なる薬の処方だけではなく、治療者との根気強い対話によって回復することが実感として語られている。昨今注目を集めているオープンダイアローグに通じるものがあると思う。
    本書に出てくる少年たちと対話をする支援者が現れることを、切に願う。

  • “「ありのまま」という言葉を武器にして、多弁な言い訳によって自分を糊塗し、なんでも人のせいにする。自分は無垢な被害者なのであり、つねに他者こそがわたしへの加害者であると、他者を断罪し続ける。それでいいのかが、今、わたしに問われていることなのである。”
    (p.122)


    “誇るべきはおのれの強さではなくて弱さ。語るべきは自分の一貫性ではなく綻び。ほんとうの輝きは、弱いもののなかにこそあるのだと。”(p.206)

  • 閉鎖病棟の様子だけでなく、そこへ入院することになった自己と向き合う様が、本当に刺さった。

  • 2021/06/03リクエスト 1

    この本を書くのにどれだけ、ご本人はいろいろなものを投げ打ったのだろう。
    ドクターに
    私を操ろうとしている
    私を恫喝してもなんともなりませんよ
    などの言葉は、読んでいるわたしにもとても響いた。
    心療内科に10年以上通った私も、自分がドクターに言われているように感じるほど、素直な気持ちが綴られている。

    先生や弁護士などの人は、どんなに精神科のドクターが言葉を尽くして伝えても、反論する術を持っているから、まず治療ベースに上がることがない、その点でこのドクターも初めての体験に戸惑い悩み、この牧師先生の恩師にも相談したと後で書いてある。

    いいドクターに会えてよかった。
    このような診療科はドクターとの相性次第で、良くも悪くもなると思うので。

  • 尊敬する牧師さんの本。閉鎖病棟での日常や、震災時の出来事等、経験した事のない事が読み易く書かれていて一気に読んでしまった。月並みな言い方だけど人は弱いものだなあ

  • 自己との対話、主治医との格闘がかかれており、自分を変えることはすごく苦しいと思うが、向き合う過程が迫ってくる。

    誇るべきは強さではなく、弱さ。
    語るべきは自己の一貫性ではなく、綻び。

    この文章に心が動いた。

    牧師である沼田さんが、ケアしたり指導する立場だと思っていたが、自分も同じく弱い人間だ、という気づきは、福祉業界にいるものとして響くものがあった。

  • ちゃんとした文章を書ける(失礼)牧師の精神病院入院体験記。

    精神病院の中での暮らしや、そこに長期入院してる人のこと、看護師のこと、主治医の話など分かりやすく書いてあり面白かった。

    自閉で他責的な著者が、忍耐強い医師との面談(治療?)を通して少しずつ「相手にも言い分がある」というのを理解したという話は衝撃だった。

    たまにいる頭はいいけどめちゃくちゃ性格悪い人とかも精神科にかかったら結構な割合で病名付くのではと感じた。

  • 3.5くらい。
    よかった。

  • 実はクリスチャンの私。
    実はうつ病治療中の私。
    タイトルで惹かれて読みました。
    今まで自分が信じていた神様、信仰、ありのままの自分を大切にするキリスト教の教えがわからなくなったんですけど、沼田先生も同じ事を触れていていて読んでて思わず涙が出ました。共感と励ましの本でした。
    沼田先生の他の本も読んでみようと思います。

  • 916

  • タイトルの通り、牧師さんが閉鎖病棟に入院し、そこで見て、聞いて、会話して、考えたことが書かれています。

    一緒に体験しているような気持ちで読みました。

    知的障害があり、読み書きに困難を抱えている若者との出会い、
    なぜ人を殺めてはいけないのか理解できない方との出会い、
    「きれい」がわからない方との出会い。
    何十年も、ずっと病棟で暮らしている方との出会い。

    患者の立場から見える情景や感じたこと、主治医とのまっすぐなぶつかり合い。

    自分の中にある感情も呼び起こされ、決して他人ごとではないと感じました。

    著者は牧師として復職されたとのこと、本当に良かった、と思いました。

  • ありのままの自分を見つめ直す。
    被害者ポジションでもなく、自己卑下でもなく。

    きれいが伝わらない、普通がわからない、相手を察することができない、それを個性だから大事だよね!で済ませるのは難しい。

    良い主治医や看護師、病院に当たるかで人生変わる。

    本を通して知らない世界を見て、知ったかぶり・わかった気にならないように気をつけたい。読むのと体験するのは雲泥の差があるけど、それでも知るのは大切だと思った。

  • こちらとそちら側
    境界を垣間見た気がした
    そんな感情を抱いた私も認めたくないけど、偏見の心があったのかと驚かされた

    ありのまま、ただそこに居ることの難しさ

    めちゃくちゃ良い本に出会った

    久しぶりに一気読みした本。

  • 牧師さんが閉鎖病棟に入って気がついた真理だったり、諸行無常が綴られています。

    どんなことでもそうだけど「出逢い」によって、岐路が大きく変わりますよね。
    良い先生に出逢えてよかったですね、沼田さん。
    それでも少年たちや社会的入院の方たちを思うと、この問題の根深さに面食らいます(わたしが面食らったところで、どうしようもありませんが)。
    この業界で働く方々のハード面、ソフト面のケアはもっと叫ばれても良いのかもしれませんね。

    わたしが知れたのは、ほんの一面に過ぎないでしょうが、それでも読むことができてよかった1冊です。

    自分と徹底的に向き合うって、怖くてなかなかできないです。


    【本文より】
    彼がここに拘束されているから、世のなかは「まともな」人たちだけで独占していられるのだ。

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著者プロフィール

沼田和也(ぬまた・かずや) 日本基督教団王子北教会 牧師。高校を中退、引きこもり生活などを経て、伝道者の道へ。精神科病院の閉鎖病棟への入院も経験し、現在は再び牧師をしている。著書に『牧師、閉鎖病棟に入る。』『街の牧師 祈りといのち』がある。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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