昭和天皇 三十二の佳話 (じっぴコンパクト)

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408420080

感想・レビュー・書評

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  • 読むにつれて、昭和天皇の偉大さが判ります。
    昭和天皇万歳!!

  • <感想と私的ポイント>

    ■天皇は戦前も「象徴」だった
    私はサヨク勢力の強い小中学校で学んだこともあり、昭和天皇について学校でまともに習ったことはこんな話だった。

    ************************************
    戦前の日本では、天皇は「現人神」と呼ばれて神格化されていた。みな神様だと思っていたから、その神である天皇陛下のために死んでいった。
    しかし、戦争に負けてポツダム宣言を受諾した後、天皇陛下はラジオで国民に向かって「人間宣言」をした。
    新憲法の下では、天皇は神ではなく「象徴」になった。
    *************************************

    私は比較的純真な子だったけど、この話には思わず首をかしげた。
    まるで新興宗教ではないかと。
    「戦前の人たちは騙されやすかったのかなぁ?」と思ったことを覚えている。

    しかし、この本を読むと、国民も、天皇陛下ご自身も、天皇という存在を「現人神」だとは思っていなかったということがよーくわかる。

    天皇は戦前も戦後も「国民(民族)統合の象徴」であり、だから日本国の歴史と、日本民族を守るために戦った多くの兵士たちは「天皇陛下バンザイ」と言って死んでいった・・・とは、小林よしのりが「天皇論」で明らかにしているが、この本にある空襲下での四方拝や戦後のご巡幸関連のエピソードは、そのことを裏付けている。


    ■愚直さと「無私の心」
    いっぽう、子供の頃、テレビで見た昭和天皇は昭和天皇は「なんとなく人のよさそうなおじいちゃん」というイメージだったが、決してパーフェクトな人ではなかった。「学習院での成績は中の上」で、「決して器用なタイプではなかった。むしろ、『愚直』という言葉があてはまる」らしい。例えば相撲をとるにしても「ひたすら一生懸命に押すのみ」。
    明治天皇は才気みなぎるスーパーヒーロー的な天皇だったが、昭和天皇はいい意味でも、悪い意味でも策略とは無縁の人だったそうだ。

    戦後最初のご巡幸のときもGHQ高官はもちろん、米英のジャーナリストは「この猫背でやせっぽちの子男が天皇だってよ」と言わんばかりにバカにして、カメラマンも「あっち向け、こっち向け」と陛下を小突き回したらしい。でも、何も言わずじっと耐えて、沿道の民に声をかけ続けたそうだ。

    とはいえ、一般人とどうやって話せばよいものかという戸惑いもあって、子供に話しかけるときに、うっかり「チチハハはどうしているかい?」と言ってしまう。子供はお言葉の意味がわからなくてポカンとしていたので、側近が慌てて「お父さん、お母さんはどうしたの?」と通訳したとか。(笑)

    唯一無二の家系に生まれ育ち、個人としての煩悩や葛藤と向き合いながらも人々の苦しみや悲しみを我がことのように感じ、人々のために祈り、常に天皇という存在でありつづけようとする・・・その姿の美しさに感動した。

    もう、小学校の「道徳の時間」なんて、これ読ませるだけでいいよ!と思った。

  • 現人神から人間宣言された昭和天皇の意外なお人柄が記されています。
    天皇とは、神々を祀ることと、歌の伝統を継いでいかれること。
    常に国民の永久の平和を願いつつ、日本の象徴として数々の苦難を乗り越えてこられたんだということ。
    そのお人柄に触れられる最高の一冊だと思います。

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著者プロフィール

外交評論家。慶應義塾大学、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長。1977年より福田・中曽根内閣で首相特別顧問を務めたほか、日本ペンクラブ理事、松下政経塾相談役などを歴任。公益社団法人隊友会理事、東京国際大学特任教授。著書に『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』『アメリカはいつまで超大国でいられるか』(ともに祥伝社新書)、『昭和天皇の苦闘 巡幸と新憲法』(勉誠出版)『「美し国」日本の底力』(共著、ビジネス社)など、多数。1936年、東京生まれ。

「2022年 『日本と台湾 なぜ、両国は運命共同体なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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