薔薇忌

  • 実業之日本社 (1990年6月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784408531281

みんなの感想まとめ

現実と幻想が交錯する舞台を舞台背景にした短編集で、登場人物たちの切なくも残酷な物語が描かれています。美しさと腐敗が共存する世界観は、著者の独特なスタイルを色濃く反映し、耽美さや狂気が織り交ぜられていま...

感想・レビュー・書評

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  • 舞台に関する、現実と幻想の境をさまようお話ばかり。
    舞台も現実も、しょせんは夢のようとふと思わされてしまう。
    いつも舞台袖に佇んでいる幽玄のもののような?

    全編に漂う、切なくて残酷なあれこれよ。
    皆川節。

  • 薔薇忌とは「薔薇忌」「禱鬼」「紅地獄」「桔梗合戦」「化粧坂」「化鳥」「翡翠忌」7つの芸事に纏わる物語である。ある時は脚本、ある時は役者、舞台装飾、踊り子、子役に歌手に女優見事に揃えたと読み終えた時関心と満足感が残った。
    肝心のタイトルの「薔薇忌」は会話劇がメインの物語であまり好みではなかった
    「禱鬼」は最初「禱」というか漢字が読めずパソコンを頼った「いのり」という読み方だった。まさしく「禱鬼」は祈りの物語であり意味である①いのる。いのり。「祈禱」「黙禱」 ②まつる。そのままの意味の物語で姉の信仰を汚した弟と姉の信仰の物語であった
    「紅地獄」は妖艶な少女の誤解からの狂った兄のような存在であった家に働きにきてた男の過去話であり全て過ぎ去った幼少期の過去に過ぎず9歳にして男を魅了してしまった女性の過去を知り自分もまた居なくなってしまった彼を思い彼と同じことをすると決意する話。悲しい誤解と正解の物語であったが美しくとても心惹かれた物語であった。
    「桔梗合戦」娘が知らぬ母の愛憎劇の話を知るという話だ。自分が望まれた子ではなかったと知るが主人公は逆に踊り子だった母があの日踊ったものは自分が踊ったのだと自分の価値を母の死によって知るというある意味未来ある終わりであったと思う
    「化粧坂」小学生の子供ゆえの過ちの話である。同性の男の子にキスをされたら誰だって動揺してしまう。ムサシがどう思っていたかなんてどうでもいい。ただ一人の少年を事故で殺してしまった少年時代をずっと背負っていく罪の話だ
    「化鳥」自分の理想の歌手を育てたいと思った男が自己判断のミスによりと運命のいたずらにより自分の理想ではなくなったら死んでほしいと願った男の物語である。手に入らないなら死んでくれと願った主人公は今後どう思って生きていくのか罪がバレるのかが想像の余地にゆだねた終わり方で逆にすがすがしい
    「翡翠忌」罪を犯した女。罪は虐めぬいたそれだけ。それで人が死ぬと思っていなかった話である。彼女はただ才能がない役者が気に入らない悪い女。それだけの話
    1990年の私が生まれる前の本。少し文章が古めかしい気もしたが私好みの本とオススメされてただけあってすらすら読めてとても面白く満足感ある小説でした
    そしてページの隙間にたった4ヶ月前に誰かが借りて返却日を記した印刷された紙をページの隙間に挟みっぱなしなのが図書館で借りた。1990年の本を2025年の今でも誰かが私のように借り続けていると分かる出来事もあり何故か嬉しくなった。本は生き続けている

  • こちらも「作品精華 迷宮ミステリー編」と「溶ける薔薇」を手に取っていたので複数既読済みでしたが、初期皆川博子世界観を余すところなく楽しめる、薔薇の名を冠した耽美さと残酷さを舞台にした、幻惑の短編集でした。タイトルからして凄惨な美に酔いしれてしまう…。

    表題作は、皆川先生作品では姉に執着した弟って割と珍しい気が…。しかし、薔薇と死のにおいが付きまとう男を忘れられない女…っていうのは皆川ロマンだな…。

    「禱鬼」あなたは視られ祈られている。異形の鬼が、愛が、その場所からずっと。

    「紅地獄」めttttttttttっちゃ皆川博子だ…好きだ…。やっぱり皆川文学の惹かれ合う男女は常世では結ばれんのよ…。

    「桔梗合戦」この狂いっぷりも皆川文学だな…。レプリカだったのは、果たして…。

    「翡翠忌」このタイトルも良すぎる…。老嬢が年若い男に心奪われ…みたいなの。いくらでも惨めで暗くできそうなのに、どこか恋着の痛ましさの方が強い…。

  • 美しい腐敗を夢見た劇団員の自死。焼け焦げた飾り櫛の桔梗模様に隠された秘密。きらびやかな舞台衣裳に火をつけた老人の幻想…。妖美の世界を鮮やかに表く巧者の傑作短編集。(アマゾン紹介文)

    薔薇忌
    禱鬼
    紅地獄
    桔梗合戦
    化粧坂
    化鳥
    翡翠忌

    舞台に関係する人々が織りなす短編集。場面設定とお話がしっかりつながっているのは、この方の著作では珍しいような。
    また、その分だけ現実よりなお話が多く、幻想みは薄れ、比較的理解しやすいかと思われます(もちろん、幽玄な世界ではあるのですが)。
    薔薇忌、禱鬼、化鳥が特にお気に入り。

  • 舞台に宿る情念が生きる者の現実を侵食していく妖艶な幻想世界。後を引く味わい。

  • 夏にオススメな怖い本3冊
    …とドコモに薦められたので、読んでみた(その3)

    舞台、芝居に関わる人々のお話。
    怖いというよりは、切ない・・・かも。

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著者プロフィール

皆川 博子(みながわ・ひろこ):1930年旧朝鮮京城生まれ。72年『海と十字架』でデビュー。73年「アルカディアの夏」で小説現代新人賞受賞。86年『恋紅』で直木賞、90年『薔薇忌』で柴田錬三郎賞、98年『死の泉』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。著書に『聖餐城』『海賊女王』『風配図 WIND ROSE』『天涯図書館』など。

「2024年 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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