- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408534497
作品紹介・あらすじ
財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。広報室で働く編集者・杉村三郎は、義父である会長から遺された娘二人の相談相手に指名される。妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。しかし姉の聡美は出版に反対している。聡美は三郎に、幼い頃の"誘拐"事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にしてほしいと訴えた。姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。
感想・レビュー・書評
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言わずと知れた杉村三郎シリーズ、
ここからかな?
始まりは、
まだまだ杉村三郎シリーズ、待ってます。「昨日がなければ明日もない」も読み、
とにかく夢中で読んでます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Audible読了
宮部さんの作品ではブクログレビュー点が控えめですが、なるいストーリーの中にも面白く感じた点があります。
電動自転車が走り回る現在ならばいざ知らず、2003年刊行時点では高額賠償を調べても数えるほど。そんな中で自転車事故という題材をチョイスした嗅覚が一流。
作中で印象的だったのは、自転車で死亡事故を引き起こした息子に「黙っていれば分からないわよ」といった母の一言。それが元で罪の意識と板挟みになる中学生の心。過失致傷は罪か、事故か。自転車という社会認知の過渡期にありがちな線引きの難しさが描かれています。その解像度を下げていくと、ネコババはどうなんだとか投げたオモチャが他の子に当たったら、爪が伸びてしまい相手の子の顔を引っ掻いてしまったらと、一体どこから子どもの良識を育てればいいのかという親の苦悩につながっていると思えました。
また細かな点ですが、登場人物の繊細なセリフ回し一つで心の機微までも映し出している所に気が付きました。例に出すと、玩具屋を十数年前勤め上げたご老人が、聞き取りに来た主人公にあれこれ熱弁をふるっていく内、いつのまにか「"トモノ玩具"が"ウチ"とくだけた呼び方になっている」というシーン。昔に思いを馳せる内、心の中にわずかな情熱の炎が灯る。それは一瞬かもしれないけれど、きっとご老人の中に強かさを蘇らせる。このわずかな心情描写の折り重ねが、蹴鞠のように繊細であでやかな宮部ワールドの情景を作り出しているんだなぁ、などとかっこいいこと言った気になりました。 -
『昨日がなければ明日もない』を読んでからのシリーズ第1作。主人公杉村三郎に惹かれて手に取った。財閥会長の義父の運転手が自転車に轢き逃げされ死亡,その娘たちと共に犯人犯探しに奔走する…。随所に主人公の幸せな家庭の描写が出てくる。いったい何があった? 次を読んでみよう。
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杉村三郎シリーズの第三部「ペテロの葬列」を読もうと思い、第一部の本書を十年ぶりに再読。もちろん、細部は忘れており、初めて読むような感覚で、読了。
物語は、日常生活を描きながら、淡々と進む。
そして、しだいに暴き出される、普通の人々の心の中に潜む『毒』、それが第二作の「名もなき毒」につながるのか。
読み終えて、題名の「誰か」は、犯人捜しのWhoばかりではなく、Somebodyでもあると。
「わたしたちはみんなそうじゃないか?自分で知っているだけでは足りない。だから、人は一人では生きていけない。どうしようもないほどに、自分以外の誰かが必要なのだ。」P332 -
「名もなき毒」は既に読了。今回の「誰か」は、ドラマをきっかけにタイミング良く読めて良かったし、面白かった。
しかし、杉村三郎さんって本当にこんなにも毒のない人物がいるのかと思うほど、良い人だな~。ドラマの配役もぴったりだな。
「誰か」から「名もなき毒」に繋がっていくドラマの展開も楽しみです。 -
杉村三郎シリーズ第一段。主人公がとても優しい人なので、物事の捉え方や語り口がやわらかく読んでいてホッとします。しかしやはり事件が対象なのでほろ苦い部分もあり。全体を通して優しい気持ちになれるミステリー。
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慎重に読んだからか、私にも展開がすらすら読めてしまって少し物足りなかったです。
宮部みゆきさんだから期待しすぎてしまったのかもしれません。
全体的に悲しすぎる、とにかく悲しいという読了感です。 -
杉村三郎シリーズ1作目。
爽快感はなかったです。
2作目は、名もなき毒