砂漠

著者 :
  • 実業之日本社
3.74
  • (658)
  • (721)
  • (1122)
  • (70)
  • (21)
本棚登録 : 4172
レビュー : 820
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408534848

作品紹介・あらすじ

「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という"砂漠"に囲まれた"オアシス"で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 直木賞は東野圭吾さんが受賞しましたが、伊坂さんにもあげたいと思った人は相当いるんじゃないでしょうか。
    5冊目になる伊坂幸太郎の作品。
    この「砂漠」は、大学生たちが主役の青春小説です。
    さてどんな風に騙してくれるかしら?とワクワクして読んだのですが、全体に色素が薄い感じがします。
    もちろんいつも通りのテンポ感とエネルギッシュな処、小粋な会話等はそのままなのです。何故そう感じるのでしょうね。

    物語は、平たく言うと「青春群像劇」。
    岩手出身の「北村」という男の語り口で語られていきます。
    入学から卒業までの月日に巡り会う個性豊かな仲間。
    合コン、麻雀、バイトなどと共に、「超能力」とも遭遇し、暴力沙汰などにも巻き込まれます。
    「砂漠」という比喩は「社会そのもの」のことで、学生である今は「オアシス」のようなもの。
    だから色々あっても「なんてことは、まるでない」と北村はしばしば言っています。

    いや、なんてことあるってば、北村君。
    語り手であるくらいだから、彼は鳥瞰型の人間なのですが、仲間と過ごす日々で徐々に即断即決型の熱い人間になっていきます。
    そう、肝心なのはこの部分。

    卒業式で学長が言う最後の言葉「人間にとって最高のぜいたくとは、人間関係におけるぜいたくのことである」…これに感動した北村と仲間たち。
    まぁこれはサン・テグジュペリの「人間の土地」からの引用なのですが、これに感動できるだけになったんです、4年間で。

    伊坂さんという人は、とことん理論的でありたいのかもしれません。
    そこが青春小説には無理がある気がします。
    もっとみっともないし、カッコ悪いし、惨めだし、やる気ばかりがフライングして切なかったりする、そういう切なさが足りない気がします。
    それが「色素が薄い感」の正体だと思うのですが、他の方の感想も聞いてみたいですね。

    北村君の友だちの「西嶋君」がとても良い味を出しています。
    伊坂さん自身はたぶん「北村型」の人間だけど、本音の部分は「西嶋」に言わせている、そんな設定でしょうか。破天荒だけれど憎めない、危なっかしいけれど何とかなってしまう、ちょうど「チルドレン」を彷彿とさせるキーパーソン。

    私は、カーティス・メイフィールドやジョン・レノンに向かって、言いたいことがあったのですが、読後久々にそれを思い出しました。

     そうだ、麻雀が出来た方が、この本は楽しめます。
     麻雀は「即断即決能力」を養ってくれますよ。  
     と言ったら久々に卓を囲みたくなってしまいました。
     

    • ミオナさん
      私もこの本大好きです!いいねを連打したい!伊坂さんが北村型で、本音は西嶋に言わせているっていうのか納得です。
      再読したくなりました(^_^)
      私もこの本大好きです!いいねを連打したい!伊坂さんが北村型で、本音は西嶋に言わせているっていうのか納得です。
      再読したくなりました(^_^)
      2020/06/10
    • nejidonさん
      ミオナさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます。とても嬉しいです!

      これはもともとブログの記事だったのですよ。
      容量...
      ミオナさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます。とても嬉しいです!

      これはもともとブログの記事だったのですよ。
      容量がいっぱいになってしまい、急いでこちらに登録して貼り付けたものです。
      でもこれが面白かったのは、よく覚えています。伊坂さんの作品では特に好きな方ですね。
      同じ見方の方がいらして、何だか嬉しくなりました!
      2020/06/10
  • 伊坂幸太郎のようであってそうでないような。
    でも、ユーモアがあって軽快で知的な感じだね。
    お洒落でちゃんと内容もあるよ。

    ちょっとした違和感はあったものの、1年の話として読んでいたら4年間の話だったとは。
    なるほどねー。
    いいなぁ、ガッツリ人間関係濃くなってての展開だったのね。
    青春だなー、くそー。

    北村くん、鳥井くん、東堂さん、南ちゃん、西嶋くん、鳩麦さん、みんないい。
    西嶋くんのキャラが、なんともいえずカッコ悪くてカッコ良くて、愛おしいわ。

    マージャンもパンクロックもキックボクシングもまるで興味がないけど、面白い話でした。

    大学時代を懐かしく思い出して、砂漠に雪を降らせるくらい余裕でできそうな気がしました。
    なんてことはまるでない、はずだ。

  • 伊坂幸太郎らしい軽妙さのある大学生の話だけれど、「夏」の事件はさすがに重かった。5人のキャラは際立っていて、その会話が絶妙。

  • 「(中略)心のどこかでは、自分が本気を出せば、言いたいことが伝わるんだ、と思ってるはずですよ。絶対に。インターネットで意見を発信している人々もね、やろうと思えば、本心が届くと過信しているんですよ。今は本気を出していないだけだってね。でもね、三島由紀夫に無理だったのに、腹を切る覚悟でも声が届かないのに、あんなところで拡声器で叫んでも、難しいんですよ」p.200-201


    「目の前で、子供が泣いてるとしますよね。銃で誰かに撃たれそうだとしますよね。その時に、正義とは何だろう、とか考えててどうするんですか?助けちゃえばいいんですよ」p.205

    「人間とは、自分とは関係のない不幸な出来事に、くよくよすることですよ」p379他

    「残念ながら、俺を動かしているのは、俺の主観ですよ」p.206

    「学生はね、時間を持て余しているし、頭もいい。しかもこう思っている。『自分だけは他の人間と違うはずだ』と。自分は何者かである、と信じてる。根拠なくね」p.235

    「たぶんね、頭の良い人の陥りやすい罠ってあると思うんだけど」「賢くて、偉そうな人に限って、物事を要約したがるんだよ」「超能力はこうだ、とか、信じる人はどうだ、とかね。(中略)みんな一緒くたにして、本質を見抜こうとしちゃうわけ。実際は本質なんてさ、みんなばらばらで、ケースバイケースだと思うのに、要約して、分類したがる。そうすると自分の賢いことをアピールできるから、かも」p.240

    「つらいけど、楽だよ。何をすれば良いか分かっていて、しかも結果も見えるんだから。でも、結局さ、そういうのに頼らず。『自由演技って言われたけど、どうすればいいんだろう』って頭を掻き毟って、悩みながら生きていくしかないんだと、私は思う」p.264

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:913.6||I
    資料ID:50501230

  • 大学の先輩に大学時代に読んどいたほうがいい、と勧められて読んだ。最初、西嶋鬱陶しいなあと思っていたけど、堂々としてびっくりするほど真っ直ぐで、世間の目を気にしない姿勢が眩しかった。そして常に世間の目を気にして生きてる自分が恥ずかしくて悔しくなった。来年から大学二回生。本当にいい時期にこの本に巡り会えてよかった。ラストの莞爾の言葉をわたしもまんま北村くんたちに言いたい。

  • 伊坂さんの本を読んでるとは思わないほど青春だった。石田衣良さんの雰囲気を感じた。
    現実離れしているはずだけど、全くもって現実で、砂漠の中のオアシスで楽しんでいる彼らの姿に青春をあまり感じたことのない自分を重ね楽しんだ。

  • ☆以前に読了

    社会人が物語の主人公になることが多い、伊坂作品において大学生というのは珍しいと思う。
    大学生の時に読んだけれど、こんな魅力的な大学生活はおくれなかった。
    飲んで騒いで遊んでいた大学生活に自分もこんなエッセンスを加えられたのだろうか。

  • 再読。
    すごく馬鹿馬鹿しいのだけど、あぁこれが学生だな、と思った。
    4年間のモラトリアム以外の何物でもない時を過ごしてみて、そう思う。

  • 自分的ランキング伊坂幸太郎部門第一位。
    鳩麦さんを含めたこの6人の関係、好きだなぁ。
    学生時代は良かったなぁ、と思わされてしまう作品。

    図書館で借りた単行本を読んでいる最中に買う気になり、単行本を読み終わってそのまま廉価版を読み始めた。かなりいろんな部分がちょこちょこ変わっていた。伊坂幸太郎は版型を変えるときに手を入れる作家のようだ。文庫版はまた違ってるんだろうなぁ。

全820件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

伊坂幸太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

砂漠を本棚に登録しているひと

ツイートする
×