刀伊入寇 - 藤原隆家の闘い

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408535890

感想・レビュー・書評

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  • 理知で流石だなと思ったのはこの一節
    定子からの手紙 ―  手紙に包まれた山吹の花とともに一言、「いはで思ふぞ」
    そしてその思いを知った清少納言は返歌に
    「心には下ゆく水のわきかへり言はで思ふぞ言ふにまされる」
    粋だね!切ないね
    平安時代のスターが総出でどーんよ盛り上がっていくが
    終盤は・・・・

  • 中関白家・藤原隆家を主人公にすえた小説というのは珍しい…ということで。

    この辺りの歴史を知りたいなら読むのもありかも。

  • 葉室さんにしてはあっさりしたお話で、あんまり心に響かなかった。
    けれど話自体は読みやすいし、隆家は魅力的な人物だった。これを機に、平安時代が舞台の小説を他にも読んでみようと思う。

  • 直木賞の葉室麟さんの新作小説。刀伊の入寇という歴史的に著名でない事件を題材にしているところもユニークだが、立ち読みをしてみると、式部や清少納言といった女官なども登場する。確かに隆家を扱えば、道長との確執や定子と彰子をめぐる藤原家内部と天皇家をめぐる愛憎などを上手く描けるのかもしれない。図書館では全て貸し出し中。まだ読んでないけれど久しぶりに新作小説として読みたくなった。1日缶詰で読みきりたい。

  • 清少納言とか紫式部の頃のお話。
    読み進めるのにすごく時間がかかっちゃった。
    うーーん、あんまり興味を持てなかったし、物語にも引き込まれなかったという感じかな。

  • ●平安時代で武闘ものと言えば平将門とか奥州関連くらいしか思いつきませんのですが、刀伊の入寇ってこりゃまたマイナーな。
    サブタイトルに“藤原隆家の闘い”とわざわざ入ってるのも無理はない、たって、とっさに藤原家の誰かすぐに出て来るのは日本史専攻か受験生くらいと違うか?
    実際は、花山院との争いが前半全部、刀伊の侵攻は後半1/3になってからで、合間に藤原家内部の権力闘争。藤原道長は怪物的ではなく小物の敵役として描かれています。
    皇后定子と清少納言も出るので雅な要素はなきにしもあらずだが、豪華絢爛な絵巻物て感じはしないかも。斉子のキャラクターはもう少しふくらませてもよかったのにと思わなくもなくなくも・・・・頁が足りないか。

    ●ファンタジー要素の薄い平安時代小説を読みたい人にいいんじゃないでしょうか。どうしても0ではないんだよな・・・・(´Д`;)

  • 刀伊の入寇は、平安時代の1019年に大陸から来た刀伊と呼ばれる女真族に、壱岐、対馬、博多湾沿岸部が襲われた事件。知らなかったなぁ。
    いつもながら、葉室さんの史実を調べこんでその中にドラマを描くうまさには感心するけど、今回は壮大な絵巻だ。
    刀伊の乙黒、瑠璃、烏雅の三人の造形と花山院に与していたという設定がそれをおもしろくしている。
    藤原家内部の権力争いや清少納言や紫式部も関わる盛衰も興味深いが、この時代、呪詛や祈祷が政治に無くてはならないものだった様子に驚いた。

    待ちに待った第2部は一気にスピードが上がり隆家の活躍が爽快。
    こんなにまっすぐな(しかも眉目秀麗!)武士がいたとは。博多をそしてこの国を救ってくれてありがとう。
    葉室さんの話はいつもすがすがしい読後感だ。

  • 藤原隆家が魅力的な人物であることは分かるし、この時代の空気や事件も面白いが、人物に深く迫っていない感じで、プロットとしてはいいが、何かもの足らない感じである。

  • 江戸時代ものを得意とする著者の初めての平安時代もの。
    題材も異色といっていい。

    「刀伊の入冦」は高校の日本史の教科書に登場し、一般的には、遣唐使の廃止以来、大陸とは交渉が途絶えていたが、「1019年、満洲の女真族(満洲民族)と見られる海賊船団が壱岐・対馬を襲い、更に筑前に侵攻した事件。」とされている。


    第1部は、破軍星を宿星として生まれた摂関家の次男藤原隆家が、少年期から強い敵を求めて、摂関家に恨みを持つ花山法王を護衛する者たちと戦いながら、政争に巻き込まれていく。
    この護衛が女真族で、強い高貴な血を得るために花山法王に近づいていたが、隆家の命を狙う一方で一族の娘瑠璃を隆家と契らせて隆家の子種を得、その子が隆家と戦うことになると予言して日本を去る。

    第2部は、権力を握った叔父藤原道長に煙たがられた隆家は、来るべき女真族の襲来に備えるため、望んで太宰権帥として筑紫に赴任し、九州の武士たちを束ねていた。そこへ、女真族の大船団が攻めてきて、対馬の住民を捕虜とし、筑紫にも上陸した。
    朝廷の貴族たちが寺社に敵の調伏を祈らせている中、隆家は独断で武士たちを率いて迎え撃ったが、女真族の中に隆家と瑠璃の息子烏雅がいて、父子は戦場で戦うこととなった。一騎打ちに勝った隆家は、子に父祖の土地で国を大きくせよと諭して退却させ、撃退に成功する。


    着眼は面白いし、スケールも大きい。
    『銀漢の賦』で描いて見せた、男の静かな強い友情とはまた違った世界を見せてくれそうで、今後の作品が楽しみ。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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