王妃の帰還

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 995
レビュー : 182
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536194

作品紹介・あらすじ

聖鏡女学園中等部二年の範子は、仲良しグループで地味ながらも平和に過ごしていた。ところが、公開裁判にかけられ地位を失った滝沢さんを迎えることとなりグループの調和は崩壊!範子達は穏やかな日常を取り戻すため「プリンセス帰還作戦」を企てるが…。女子中学生の波乱の日々を描いた傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • スクールカーストを描いてるのに、なぜかカラッと明るくて
    「さあ、次はどう来る?!」とわくわくしてしまう、不思議な本。
    『ベルサイユのばら』や『おにいさまへ・・・』が大好きだった方、必読です!

    美貌とプライドで聖鏡女学園中等部2年B組の頂点に君臨していた滝沢美姫。
    彼女がちょっと調子に乗りすぎて起こした「腕時計事件」で姫グループから蹴落とされ
    主人公の範子が属する地味グループに身柄を押し付けられて。。。

    なんといっても面白いのが、フランス革命オタクの範子の視点。
    彼女の脳内では、滝沢美姫はもはやマリー・アントワネットのごとき王妃!
    腕時計事件でクラスのみんなの前で王妃がつるし上げられるホームルームは
    まさに、コンコルド広場での公開裁判。
    王妃の権威が失墜した今、姫グループの居城に
    恐れを知らぬゴス軍団が攻め入ったら・・・と、あわあわする。

    姫グループ、ゴス軍団、ギャルズ軍団、チームマリア、地味グループと
    5つの階級が入り乱れ、スキャンダルを起こせば移籍を余儀なくされて
    移籍先でさらにまた新たな火種となるあたりは
    フランス革命というよりはAKBのあれやこれやみたいで、くすくす笑いが止まりません。

    お情けで地味グループに入れてもらったにもかかわらず
    全く空気が読めなくてわがまま放題の王妃。
    グループ内平和を取り戻すため、総力を上げて王妃をプロデュースして人気者に祭り上げ
    姫グループに帰還させようと作戦を練る範子たち。

    「ギロチン」・「マカロン」・「王政復古」など、
    マリー・アントワネットの面影が浮かんでは消えるような章タイトルも楽しく
    身も蓋もないいじめを受けても、知恵を絞り、行動に移して
    したたかに乗り越えていく少女たちが眩しい、ちいさな革命の物語です。

    • harutaku22222さん
      フォロー&コメントありがとうございます!
      柚木さんの本は最近知ったばかりですが、どれも面白い話ばかりで、好きな作家さんの1人になりました。
      ...
      フォロー&コメントありがとうございます!
      柚木さんの本は最近知ったばかりですが、どれも面白い話ばかりで、好きな作家さんの1人になりました。
      文章を書くのが苦手で、レビューも短文になりがちですが、こちらこそ、よろしくお願いいします!
      私も近くに読書友達がいないので、うれしいですw
      2013/06/01
  • 女子校の中学生クラスで巻き起こるカースト騒動。
    トップの女子が転落したことから‥?
    やや戯画化されていますが、いきいきと描かれていて、好感が持てます。
    どことなく可愛くて、一生懸命な女の子達です。

    聖鏡女学園中等部2年B組28人は、姫グループ、ゴス軍団、チームマリアといった5グループに分かれている。前原範子は一番地味なグループに属していた。
    広報担当のチヨジ、落ち着いているスーさんに、上がり症の範子と、目をつけられやすいリンダさんは守られている格好。
    範子がひそかに「王妃」と呼んでいた滝沢美姫が、とあることからつるし上げにあって失墜。
    マリー・アントワネットの首飾り事件ならぬ腕時計事件、と歴史オタクの範子は思う。
    姫グループの2番手の恵理菜から、滝沢をグループから出すのでそちらに入れてくれと打診され、一度は断るが、孤立する様子を見かねて入れることに。
    まぢかに見る滝沢はとても綺麗な女の子だった。だが空気が読めない滝沢にお手上げとなり、姫グループに戻すのが一番!と計画を練ることにする。
    王妃の人気を回復する作戦に出た範子らだが、つぎつぎに意外な事態が‥?

    範子の母は独身で雑誌の編集長。
    チヨジの父とくっつけようと娘達はロッテ作戦(「二人のロッテ」の)を展開していたのに、クラス担任のホッシーと母は恋仲になっていた?!
    女子校には貴重な若い男でけっこうハンサムな先生は大人気だったので、範子は誰にもそのことを話せない。
    王妃のことに熱を入れた範子は、親友チヨジとの関係が危うくなってしまうが‥

    それぞれの弱点もあらわになるけど、よく知らなかった子が意外にいいやつだったり。
    大人しくて真面目な範子も矢面に立つ苦しみを初めて知るが、そこから‥?
    王妃が立ち直り、少しずつ皆が成長して、後味がいいのがよかった!

    派手に区分けされたグループは、現実にはちょっと違うだろうなと思いつつも、いろいろな感情が飛び交う様にはわかるところも。
    私が中学生だった頃には、仲良しでグループは分かれていても、はっきりしたカーストはなかったし、小学生の頃はワガママだった子ももう直っていたけど~持ち上がりで家庭環境も露骨にわかったりすると案外いるのかも?
    大人になっても、華やかな人は目立つし、気の合わない人もいることはいるし、似たようなことはないでもない‥
    学校で上下があったらやりにくいだろうな~徒競走で順位をつけないような教育をしていたのは無駄だったんじゃないの?などと、思わせられました。

  • クラスの中でも一番地味なグループに属する
    4人の女の子を中心として、女の子の内側を
    時にヒリヒリさせながら見事に見せてくれる、
    女の子のヒエラルキーの戦い。
    クラス最上位「姫グループ」の
    ロベスピエールばりの恐怖政治はとてもリアル。

    善良で目立つことなく過ごしてきた自分にも
    悪の芽があることを知る主人公のりちゃん。
    思春期の女の子が通る心の葛藤と多感の道を
    マリー・アントワネットやフランス革命の
    歴史になぞらえつつ展開していく。

    上も下も立場が変われば視点も変わり、
    どちらにもどちらの意見も欠点も美点もある。
    狭い社会での絶対的な閉塞感。

    かわいさも残酷性も恐怖も強気もその身に潜め、
    どこで誰と戦い、何を掴み、誰と歩いていくのか。
    女として生きる道はその先も長く険しいけれど、
    がんばれ!女の子!
    成長していく姿がとても清清しかった。

  • 女子中学校の内情というものを私はほとんど知らない。
    こんな幼いときから、異性のいない学校生活を送ると、ものの見方や人との付き合い方、或いは恋愛感情が歪なものになるのでは、と心配になる。
    中学が男だけだったら毎日つまらんだろうなあ、と高校が男子校の私などはしみじみ思ってしまう。
    まあ、そんな女子中学生による学園で、王妃を頂点としたヒエラルキーのお話である。
    ある事件がもとで、王妃の座からすべり落ちた女子が別のグループに入ったことで、そのグループ自体が崩壊していく。
    女の子のグループ意識というものはこの年齢でも凄まじい。
    私なんか、誰のグループかなんて一度も考えたことなかった。
    とにかく女子の自意識は煩わしいほど過剰だ。
    でも、それはこの世代の女子にとっても大問題なのだろう。
    この年代の女の子ってこんなことばかり考えているのかと勉強になるような、面白く練られたストーリーである。
    現実の作者の柚木さんはアラサーの年齢らしいが、こんなのばかり(鋭い着眼点で)書いており、今はどういう大人の女性になっているのか、一度お会いしてみたいものである。

  • 主人公は14歳の女の子、範子。
    彼女のクラスは幾つかのグループに分かれていて、その中で最も低いと位置されているグループに範子は属している。
    でもグループの仲は良く、ちょっとした緊張感をもちつつも学校生活を楽しんでいる。

    そんな彼女のグループにクラスの頂点に立つ王妃・・・と勝手に範子が呼んでいる少女が入る事になった。
    事の発端は彼女が自分の好きな教師にちょっかいを出しているクラスメートを陥れようとしてそれを目撃され、さらにはホームルームでやり玉にあげられたから。
    その場面を範子はマリーアントワネットの斬首刑-ギロチンの場面と重ねている。

    そんな訳で頂点グループから一気に大転落した王妃は範子のグループに入る事となったのだが、彼女はものすごくワガママで思った事をすぐに口にするし、感情が激すると泣いてしまうような女の子で、彼女が入った事でそれまで仲良かったグループの調和が乱れていく。
    これは早く王妃に元のグループに戻ってもらわねば・・・という事で範子の王妃帰還作戦が始まった。

    これを読んでホッとした事がいくつか。
    この表紙とちょっとした内容である程度、この本の内容は掴めていただけに、もしやバカバカしいほどひどいイジメの描写があるのでは?と思ったり、今時の若者言葉連発の薄っぺらい会話が盛りだくさんなのでは?と不安を感じていました。
    ・・・が、それは全てクリア。
    さらにものすごくホッとできたのは出てくる登場人物が皆今風の名前でなく、主人公の範子って名前にしてもそうだけど、普通だという事。
    これを見て、「あ、これなら読めるかも・・・」と思いました。

    これを読んで思ったのは、自分と趣味とか価値観の合っている人、一緒にいて疲れない人で仲良くしたり、グループになったり、そんなのって子供だけでなく大人になってもある事だし、そういう単位で行動するようになったら自然と他のグループの子たちとはそれほど親しくならなくなるって事。
    このお話の範子も、王妃が転落するような事がなければ、同じクラスにいてもお互いに口をきく事もなかったんだろうと思う。
    でも、たまたまだけど一緒の時を過ごすようになった事で、それまでは知らなかったお互いの価値観だとか考えを知って触発されて変わっていく。
    変化って、やっぱりそれまでと違う事の中から生まれるんだよな~と思う。
    まるで化学変化のように。
    だけど反対に、ホントどっぷりと自分と合う子たちだけでいられるなんてのは学生の醍醐味かもな~とも思う。
    大人になったら嫌でも年代も価値観も違う人と接点をもたなきゃいられないから。

    ここに出てくる王妃と呼ばれる少女って、私が最初思っていたほどカリスマ性がある少女じゃなかった。
    もっと凛としたタイプかと思っていたら、ワガママだし、すぐに泣くしで、どこにでもいそう。
    でも顔がメッチャ可愛いという設定で、性格も裏表がないのには好感がもてた。
    やはり人に傅かれる要素はあると感じた。

    王妃の事を普段から憧れの目で見ていて、だけどそんな王妃が実際に自分のグループに入るとやりにくくてしょうがない。
    それでいてやっぱり人が憧れる要素をもっている王妃といると誇らしく感じたり、嬉しく感じたりしてしまう。
    それまでの友情をおざなりにしても・・・。
    その辺りの微妙な少女の心情が伝わってきていいと思いました。
    私のようなバアさんでも読めるくらいだから同年代の子や20代くらいの女性だったら楽しく読めると思います。
    読後感もいいし、何となく可愛さを感じる本です。

  • 女子校中学生の話なんて…と思っていたけど、やはりこの人の手にかかるとすごいなー。関係性をここまでリアルに、かつ物語性のある形で表現してる作家って意外といない。それぞれの女が持ってる嫌な部分とか実体がきちんと書かれているからなのかな…
    学園物ってあんまり好きじゃないはずなのに、面白くて一気に読んだ。

  • ミッション系お嬢様学校に通う範子には、いつもツルんでいる仲間が3人いる。地味な彼女たちはクラス内では下位のグループで、その対極とも言える華やかな最上位集団は「姫グループ」と呼ばれ一目置かれている。そしてそのリーダーは、範子が密かに「王妃」と呼ぶ、誰もが目を奪われる美少女。
    ところがある日突然王妃は「姫グループ」から追放され、なんと範子たちのグループに転がり込んでしまう。
    城を追い出され市井の民衆に混じってもなお傲慢な態度を崩そうとしない王妃を元の場所へ帰還させるべく、範子たちは立ち上がる。

    自意識が芽生えたての女子中学生たちは残酷だ。でもそんな中で良心を見失うまいとする範子たち「地味グループ」。登場人物が大人も子供もみんな魅力的で、読後感の爽やかなことといったら!
    映画化されてもよさそうな面白さだった。

  • お嬢様学校の中等部2年B組には5つのグループが存在する。
    トップの姫グループ、ギャルグループ、ゴスグループ、マリアグループ、最下層の地味グループ。
    地味グループに属する範子は姫グループの中心人物を密かに王妃と呼んで憧れていた。王妃はクラス内の女子をいじめ、ある日姫グループから追い出され孤立。
    孤独な彼女の姿を見ていたたまれなくなり、地味グループが迎え入れてしまったが…さぁ大変。プライドが高くわがままな王妃に振り回され、メンバーが他のグループに移籍する騒ぎも。このままでは平穏な生活が送れない、彼女を元のグループへ帰還させようと作戦会議を始める。。。

    「桐島、部活やめるってよ」と同じスクールカーストの話なのに、こちらはとてもコミカルで、悪戦苦闘する彼女たちは至って真剣で面白い。歴史オタクの範子が、フランス史になぞらえて(王妃はマリー・アントワネット扱い)クラス内の出来事を見つめているのも。
    結局範子以外の3人のメンバーが一度地味グループから離れたり、1番大人しい範子が最後にクラスのボスと闘ったりとドラマが多く、最後はうまくまとまってとても読後感がよかった。1日で読破。

    範子母が後半で、チヨジに救いの手を差し伸べたのがとてもよかった。思春期で複雑な環境や心境を抱え込む子供を、大人はきちんと見守っているよという描写がちゃんとあったのがよかったな。

    柚木さん、これからチェックしてみようっと♪

  • エスカレーター式のお嬢様学校に通う「ノリスケ」範子は2Bでは地味グループに属しているが、明るい親友のチヨジやおだやかなスーさん、憎めない末っ子キャラのリンダさんと和気あいあい楽しい毎日。母子家庭の範子と父子家庭のチヨジは互いの親を再婚させようと「ロッテ作戦」を実行中!しかし、ある事件からクラスのトップ滝沢さんが、それまで所属していた「姫グループ」から外され、一人ぼっちに。成り行きで範子たちのグループに来ることになったから、平和な生活が一変することになる。
    いわゆる女子校ヒエラルキー、スクールカーストの話ではあるが、どの女子も憎めず、どこか可愛らしい。家族の関係性も含めて好もしい描き方で、最後まで楽しめた。リアルとファンタジー、このくらいのさじ加減がいいのだと思う。

  • 中だるみなく最後まで面白く読めた。
    扱ってる内容は、他愛ないが、女子学生時代を過ごした人なら、ここまで極端ではないけど、あ〜女子あるあると、懐かしくなる。
    主役の女の子に全て正しい行動を取らせる訳ではなく、俯瞰した物語構成が良い。

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