王妃の帰還

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536194

感想・レビュー・書評

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  • 2018/03/30読了

    めっちゃ好き

    学園もの、女同士の嫉妬・友情・思春期・内面の醜さと向かい合う。最高要素、、、、

    みんなキャラがよかったなぁ。ただ面だけ見てたら、その家庭環境とか性格とか全然分からなかったけど、知ろうとしたり、関わることで見えてきた、背景を知ろうとする流れがよかった。

    終わり方も、王妃のあの笑顔と駆け寄る様っていうのがまたいいね。青春。

    わたしも、もっと人と深い関わりを持つことに喜びを感じていきたいなぁ。

  • 女子校中学生の話なんて…と思っていたけど、やはりこの人の手にかかるとすごいなー。関係性をここまでリアルに、かつ物語性のある形で表現してる作家って意外といない。それぞれの女が持ってる嫌な部分とか実体がきちんと書かれているからなのかな…
    学園物ってあんまり好きじゃないはずなのに、面白くて一気に読んだ。

  • 主人公は14歳の女の子、範子。
    彼女のクラスは幾つかのグループに分かれていて、その中で最も低いと位置されているグループに範子は属している。
    でもグループの仲は良く、ちょっとした緊張感をもちつつも学校生活を楽しんでいる。

    そんな彼女のグループにクラスの頂点に立つ王妃・・・と勝手に範子が呼んでいる少女が入る事になった。
    事の発端は彼女が自分の好きな教師にちょっかいを出しているクラスメートを陥れようとしてそれを目撃され、さらにはホームルームでやり玉にあげられたから。
    その場面を範子はマリーアントワネットの斬首刑-ギロチンの場面と重ねている。

    そんな訳で頂点グループから一気に大転落した王妃は範子のグループに入る事となったのだが、彼女はものすごくワガママで思った事をすぐに口にするし、感情が激すると泣いてしまうような女の子で、彼女が入った事でそれまで仲良かったグループの調和が乱れていく。
    これは早く王妃に元のグループに戻ってもらわねば・・・という事で範子の王妃帰還作戦が始まった。

    これを読んでホッとした事がいくつか。
    この表紙とちょっとした内容である程度、この本の内容は掴めていただけに、もしやバカバカしいほどひどいイジメの描写があるのでは?と思ったり、今時の若者言葉連発の薄っぺらい会話が盛りだくさんなのでは?と不安を感じていました。
    ・・・が、それは全てクリア。
    さらにものすごくホッとできたのは出てくる登場人物が皆今風の名前でなく、主人公の範子って名前にしてもそうだけど、普通だという事。
    これを見て、「あ、これなら読めるかも・・・」と思いました。

    これを読んで思ったのは、自分と趣味とか価値観の合っている人、一緒にいて疲れない人で仲良くしたり、グループになったり、そんなのって子供だけでなく大人になってもある事だし、そういう単位で行動するようになったら自然と他のグループの子たちとはそれほど親しくならなくなるって事。
    このお話の範子も、王妃が転落するような事がなければ、同じクラスにいてもお互いに口をきく事もなかったんだろうと思う。
    でも、たまたまだけど一緒の時を過ごすようになった事で、それまでは知らなかったお互いの価値観だとか考えを知って触発されて変わっていく。
    変化って、やっぱりそれまでと違う事の中から生まれるんだよな~と思う。
    まるで化学変化のように。
    だけど反対に、ホントどっぷりと自分と合う子たちだけでいられるなんてのは学生の醍醐味かもな~とも思う。
    大人になったら嫌でも年代も価値観も違う人と接点をもたなきゃいられないから。

    ここに出てくる王妃と呼ばれる少女って、私が最初思っていたほどカリスマ性がある少女じゃなかった。
    もっと凛としたタイプかと思っていたら、ワガママだし、すぐに泣くしで、どこにでもいそう。
    でも顔がメッチャ可愛いという設定で、性格も裏表がないのには好感がもてた。
    やはり人に傅かれる要素はあると感じた。

    王妃の事を普段から憧れの目で見ていて、だけどそんな王妃が実際に自分のグループに入るとやりにくくてしょうがない。
    それでいてやっぱり人が憧れる要素をもっている王妃といると誇らしく感じたり、嬉しく感じたりしてしまう。
    それまでの友情をおざなりにしても・・・。
    その辺りの微妙な少女の心情が伝わってきていいと思いました。
    私のようなバアさんでも読めるくらいだから同年代の子や20代くらいの女性だったら楽しく読めると思います。
    読後感もいいし、何となく可愛さを感じる本です。

  • 女子校ってこんな感じなのかなぁ、中学生けっこう怖いよなぁ、とか思いながら読み終えた。お嬢様学校だからなのかな?未知の世界。

    滝沢さんはすごくいらっとするキャラクターだったけど、この流れで柔らかい王妃になれたら素敵。
    範子のお母さん、カッコイイなぁ。先生とっていうのは、絶対無理だけど、そこ以外は。

    ところどころにフランス史(主にマリー・アントワネット)が出てくるのが、面白い。
    自由が丘デパートは、たしかにデパートではないよなとか、そんなのも楽しかった。

  • おもしろかったー!!
    名門女子中学のスクールカーストについての話。
    王妃である滝沢さんが、クラス中から、はみ出される。
    最下層のグループの中に入ることになるが、
    最下層グループも王妃には、迷惑!!って感じ。
    王妃をもとのグループに戻すべく、いろいろと考える!!

    女子校ということもあり、グループごとの格差が
    こんなにあるものかー!?と疑いつつ、
    おもしろく読めたよー!!

    エピローグで、王妃のことを名前で呼ぶシーンには、
    ちょっと感動したなぁー。
    思春期の学校生活って、
    それが人生の全てって感じなんだよね。
    それをうまぁーく、表現してた話だと思ったよー!!

  • ダメだぁ、このような設定自体が、と思いつつも最後まで読む。
    女子校ってこんななの? なら、共学で良かったよなどと思ってしまうわ(笑)。どこにも所属せずひとりでも平気って態度でいられればいいのに。仲間に入ろうとするとこんなことになるのかもね〜。

  • 最近柚木さんブームで、こちらも読んでみました。
    中学生ってもうかけ離れちゃった年頃と思ったけど、うんうん、そうかそうかと、すごく楽しく?ハラハラ?読める読みやすい本だったな。

    クラスの王妃がグループから外されちゃって、それをグループに戻そうとする、地味な女の子達のお話。

    どんどん嫌な自分が見えたり、人を見下すことで自分を確立したり、自信を取り戻したり。
    そんな誰もが経験していることをふむふむと改めて実感させられる本だった。
    いくつになっても彼女達のように、自信がなく不安な毎日を過ごしてるなーと。大人にとっての本。

    汚いことを素直にやっちゃえる彼女達が、ちょっと羨ましい。
    それを間違ってるって言える彼女たちが眩しい。
    いくつになっても不安なものは不安。
    独りになりたくない。
    それは同じ。

    毎日一緒に笑い合える仲間に会える彼女達が羨ましいな。

  • お嬢様学校の中学生のお話し。あながち中学生だけじゃなく大人の女子会もこんな組織だなーっと。誰かを攻撃したり、嫌いという気持ちで一体感が生まれたりする。女ってそいう生き物だなーっと。反省した。

  • 女子のアレコレを書かせたら柚木麻子ですね。
    女子ヒエラルキーの心情の機微を書くのがとても上手。
    学生の頃に感じてた気持ちを全部言語化してくれる。
    姫グループとか、オタクグループとか、昨日仲良しだったのにハブられる感じとか。

  • 女子校って取り合う餌がないから基本すごいのんびりしてたんだな、ってのを共学女子と友達になるとひしひし感じるんだけど、そこにぽんと餌を置くとこうなるのよっていうやつ。でもどこか偶像崇拝でそこが女子校。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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