- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408536293
作品紹介・あらすじ
昭和十八年、初夏。女学校三年生の三芙美は、思いがけず手に入った布でブラウスを縫い始める。女学校のマドンナ・和美、韋駄天の詠子、あくびが似合う則子。美しい布に触れ、笑い合う四人にも、戦争の暗い影が忍び寄っていた-。著者がはじめて、太平洋戦争を舞台に描いた、感動の"戦時下"青春小説。
感想・レビュー・書評
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戦時中の女学生が主人公。
どんな時代でも仲良しはキャピキャピしているのかもしれないなぁ。
厳しい時代でも自分たちの楽しみを見つけ出しているところが素敵。 -
こういう時代があったことを忘れてはいけない。
お腹いっぱいごはんを食べられて、好きな洋服を着ることのできる今。当たり前じゃないんだなって強く思いました。 -
人を幸せにするために良かれと思って行動したのに、幸せでない人が続出する、その最たるものが戦争。
昔も今も個人を蔑ろにする国家、日本。
当時の方が大東亜共栄圏という理想を掲げていただけマシかも知れない。
人が望むことは、自分と大事な人たちが、安全で、空腹ではなくて、それが明日も保証されていることだけなのに。
その上で誰からも迫害されずに自分らしさを発揮出来ることだけなのに。
三芙美たち女学生の人としての自然な感情に尊さを覚えた。
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昭和18年、4人の女学生の物語。生活が逼迫する中、思いがけず手に入った布地で4人はブラウスを縫いはじめる。おしゃれが好きで、笑いあう――そんな仲良し4人組にも、やがて戦争の暗い影が忍び寄り…。
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2020.10.08
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H29/6/18
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なんかじわじわ来た。 本当に「戦争なんて」という気持ちになる。 当たり前だった日常が少しずつ崩れ落ちていき、自分の気持ちの在り方さえわからなくなる様子が切なくなる。 決して非国民なんかではなく、当たり前の感情だと思った。
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B29が本土爆撃を開始した昭和18年夏、その緊迫した情勢のなかで闇物資の布でブラウスを仕立て戦後のファッションシーンを夢見てはしゃぐ少女たちには違和感を抱くところなのだが…
しかし思い起こしてみれば我が国では直接戦闘は行われておらず主要都市は焦土と化したものの男達が出征して行くことでしか戦争を実感できない地域が殆んどであったのは間違いない事実。
つまりこの長閑に見える少女たちもひめゆり部隊の悲劇の少女たちも実は同じ時代に生きた少女たちなのである。
中三の教科書に載ったそうだがこの新しい戦争の描き方に挑んだあさのさんの想いをきっと感じ取ってくれる若い感性があることを信じたい