牛丼愛

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 198
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536378

作品紹介・あらすじ

時給はいいけど、仕事はキツイ。ここで働く若者たちが、抱える事情はさまざまで…傑作牛丼屋エンタテインメント!

感想・レビュー・書評

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  • 牛丼屋の従業員
    既婚者子持ちの恵は若い従業員と不倫
    不倫相手の数馬はロッカー
    太めの体格の日和は学生だか仕事がよくできる
    仕事に不器用な準一
    要領のよいフリーターの周吾
    店長の育男は恋人りょう子と結婚を考えている

    他にも店に関わる登場人物達が絡み合い
    たくさんの物語が次々にうまれる

    最初はこの登場人物達なんか皆嫌だな
    と思うのだが
    だんだんと愛着が涌いてくるから不思議

    人との繋がり方を描くのが凄い
    こう繋がっていたのか!!

  •  作者の初期作品で、牛丼屋チェーンのさるいち店舗に絡む人間模様を描いた群像劇。3話からなる。

          * * * * *

     (つまらない)人間の卑しく手前勝手な面をふんだんに盛り込み、読む側をイライラさせる筋立て。一時の山本甲士氏の作品よりもエグい煽り方でした。
     デビュー当時は、こういう作品を書いていたのか。最近の作風に馴染んだ身にはいささか刺激が強かったです。

     でも憎まれ役の登場人物までもできるだけ救おうとする小野寺作品のスタンスはこの時からあったとわかって、ちょっと嬉しかったりもしました。

     現在の自分を、生活を含めてちゃんと大切にしようとする人だけが、少しずつでも幸せを積み立てていける。そんなメッセージ、受け取りました。

  • 大通り沿いの牛丼チェーン店の店員たちの悲喜交々。

    連作になっている第一話が、私の知っている著者の作品っぽくなくて戸惑いました。
    この章は恵も日和もかなりブラック。
    終わりもスッキリしなくて、どうしようと思うほどでした。

    が、第三話でそれがスッキリ回収され、その章の主人公の一人店長のおかげで、いい気分で読み終えることが出来ました。
    良かった、良かった。

    小さな街にある牛丼屋さんが舞台のため、登場人物は皆緩く繋がっています。
    この人、あの人の人探しも楽しい時間でした。

  • 最初、ちょっと不安でしたよ。
    私の嫌いなタイプの女が二人でてきて、嫌いな感じの展開になっていって。しかも二章は次々と登場人物がつながって行って、いったいどうなるんだ、どういう風に収まるんだ?と。
    それがラストに「こう来たかっ!」と思わずニヤリ。
    狭い範囲の狭い人間関係の中で人って生きているんだな、と思いました。みんな何かしらどこかしらでつながっていて。そのつながりが回りまわって自分の人生を作りあげている。
    ヒトの縁って大切にしなきゃ。

    そして、「お仕事小説」としてもとても面白かったです。
    自分の好きなものをお客様に気持ちよく食べてもらう。これって食べると読むを入れ替えたらそのまま私自身にも当てはまるわけで。
    そういう意味でもとても身近に感じられる元気がでる一冊。
    そして「、牛丼食べたいっっっす!!!

  • 久しぶりに当たりを引きました!
    ドラマ化してください。長さもちょうどいい感じだし!
    嫌な感じとかいい感じとか、ドキドキとかハラハラとか丁度いいのよ!
    これはおすすめです!

  • 装幀:山田満明さん
    装画:宮坂猛さん

  • 牛丼屋で交差するそれぞれの人生。3話の連作短編。第1話は「ひと」「まち」を描いた小野寺さんとは思えないブラックテイスト。とても嫌な女が出てこちらまでイラッ、ムカッとしながら読みました。第2話は登場人物がバトンをつなぐように進み、第3話でそれらが繋がります。やはり最後は小野寺さんらしい人の温かみを感じられる結末でした。

  • ■読んだ動機
    この作者の小説が好きで、その中でもタイトルが気になり手に取った。

    ■あらすじ
    牛丼屋さんで働くパートの主婦の目線から始まり。
    その主婦が嫌いにしている、ぽっちゃりした女子大学生の視点からも描かれ、
    それらの人を巻き込んだ店長の視点で最後の小説は描かれる。
    内容は、牛丼屋さんのアルバイトの人たちで繰り広げられる人間関係が主軸にある。

    ■感想
    今までこの作者の小説では、「良い人」が描かれることが多かったが、最初のパートの主婦は、言葉遣いやモラルなどが悪いひとであり、新鮮に感じた。

  • 1話目、牛丼屋で働く人の群像。
    ちょっと、いや結構ダーク。
    2話目、リレー形式が面白い。
    カタカナの名前が漢字になり、人物が浮かび上がりまた消えて行く、そんな一つの輪というタイトルどおり一つになるのだと思い読み進めると…
    3話目、牛丼屋に戻る。
    全てがつながり、エピソードに意味があったんだなーと感じつつ小野寺作品らしいラストを迎える。良い意味で想像と違うラストでよかった。

    自分の中では好きな作品。

  • 牛丼屋を中心に人間模様をうまくリンクさせた3つの短編集。バイトの人間模様からしてもロクでもない行動とすぐ人を小馬鹿にする主婦と、さらりとした処世術から狡猾に陥れるしっかり者のぽっちゃり日和ちゃんの対決構図の描き方は見事。

    2話目からは別の話をバラまきながら、最後はうまくつながっていく。あれ?この人どこで出てきたっけ?と前の話を探しながら人間関係を確認するのも面白い。人の良い店長夫婦の明るい未来を思わせる終わり方も良し。続編を希望するところ。真っ直ぐな日和ちゃんや育男店長のような可愛いらしさが好きだな。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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