三人屋

著者 :
  • 実業之日本社
3.09
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本棚登録 : 1039
感想 : 143
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536675

作品紹介・あらすじ

朝は三女の喫茶店、昼は次女の讃岐うどん屋、夜は長女のスナック-時間帯によって出すものが変わるその店は、街の人に「三人屋」と呼ばれていた。三女にひと目ぼれするサラリーマン、出戻りの幼なじみに恋する鶏肉店の店主、女にもてると自負するスーパーの店長など、ひとくせある常連客たちが、今日も飽かずにやって来る…。さくさくのトースト、すだちの香るぶっかけうどん、炊きたての白飯!心も胃袋もつかむ、おいしい人情エンターテインメント!

感想・レビュー・書評

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  • 朝はトーストメインのモーニング、昼はうどん、夜は夜食も出すスナック。それぞれを三姉妹が営業する〈ル・ジュール〉(とはいえ常連客からは〈三人屋〉と呼ばれている)を舞台にした連作集。

    三姉妹の確執というほどではないが微妙なすれ違いやスーパーの店長・大輔と三姉妹との関係、元オーケストラ奏者だった亡き父親が残した(らしい)唯一のレコードを巡る物語、そして常連客たちの物語が綴られる。
    特別ではないけれど美味しいごはんと人間ドラマというよくある設定なのだが、青山美智子さんや古内一絵さんのような再生ものを期待していた私としてはいささか期待はずれな作品だった。

    何しろ登場人物たちの殆どがだらしなかったり流されやすかったり、その時の感情のままに動いたりという好きになれないタイプだった。
    全体的に恋愛物語が絡むのだが、それが真っ直ぐだったりほのぼのだったりというよりは爛れた感じが強くて受け付けなかった。唯一まともに読めたのは鶏肉屋・三觜の熟年恋愛くらいだが、途中ストーカーになりかけるという危ういところもあったし熟年ならではの難しさもあるしで手放しでは応援できなかった。

    三姉妹の中では次女のまひるが一番頑張っているように見えるが、夫が離れていったように人によっては窮屈に感じるかも知れない。
    終盤父親のレコードを巡って一波乱あるが、これもまたどうしてそうなるかなぁと思う展開だった。

    目線を変えれば人間くさい、人間らしい物語といえるかも知れない。しかし最近のご時世にお疲れモードの私としてはもう少し素直でほのぼのする話が読みたかった。
    最終的に店の名前が〈三人屋〉に落ち着いたのは良かった。
    続編があるようだが、私には合わなかったので読まなくても良いかな。

  • 三姉妹が同じ一つの店構えで、朝昼晩とそれぞれの食べ物屋を展開している『三人屋』。
    三女がモーニング、次女がランチの讃岐うどん屋、長女がスナック、とそれぞれの性格や好みを活かして、亡き両親の喫茶店を引き継いでいる。

    ここ近年はこういうタイプのお店もよく見かけるけれど、この作品が発行された2015年当時は珍しかったのかな。

    『三人屋』を営む三姉妹と常連客を中心とした連作短編集。
    妙なお色気とふわふわと掴みどころのない長女に、ボーイッシュな爽やかさの三女もいいけれど、個人的に気になるのは生真面目で無愛想な次女。
    次女が丁寧に作る讃岐うどんも食べてみたいし、二人の子供を抱えてバツイチとなったその後がとても心配。
    一筋縄にはいかない若妻の言いなりになっている頼りない元ダンナは、果たして次女の要求通りの養育費をキチンと支払ってくれるのだろうか。

    三姉妹も常連客も、その後の展開が気になる終わり方だったので、そこのところは続編に期待したい。

  • 読了後、頭の中が????でいっぱい。
    良くない方の意味で、長めの読みやすい芥川賞作品というかんじ。
    細かく人間関係や背景を描いていないので分かりにくい。


    三姉妹の少しぎこちない関係性わかる気もしました。

    多分だけど女性って奇数人数の行動は合わないような。
    それが兄妹でも友達でも。
    3人でいるとなんか突然他2人を客観視しちゃったり。
    だったら自分は好きにすればいいやって行動を取り出して
    自分以外の2人がナゼか仲良さそうに見えて
    入り込めないように思えてくる。
    あぶれたように描かれていた長女はそんな心理だったのでは。

    女って、姉妹ってめんどくさいなと読んでいて思ってしまいました。
    それが上手く描かれていたと思います。


    味の素かけときゃ美味しい的なセリフ笑っちゃいました。
    たしかに、有名な料理家も言ってた。
    そこだけは共感。。。


    姉妹が父親のレコードにこだわる理由が示されていないのにその話が頻出するのはなぜなの???
    なぜレコードがそんなにも姉妹を繋いでいるカギになっているのか謎です。


    短編が繋がっているようであまり繋がっていない。

    分かるようで分からない不思議小説でした。

  • 鄙びた商店街の一画にある古びた喫茶店跡に三交代制で朝はモーニングカフェ、昼にはうどん屋、夜はバーを営む店が現れた。
    営むのは考え方も行動もそれぞれ異なる背中合わせの三姉妹で、お互いに付かず離れずな距離感で暮らす。
    そんな店にまつわる男たちの逸話で展開して行く人情話的な作品です♪
    見た目カッコ良さげな男性陣もみんな結構情け無いメンツなのが面白いですね。
    途中少しかったるい感があるけれど、終盤の盛り上がりにはワクワクします。
    結局オヤジ達から密かに「三人屋」と陰口叩かれていた店は紆余曲折の末に消滅の危機を乗り越えて晴れて正式に三人屋の看板が掛かってめでたしめでたしってことで笑

  • 三姉妹のお話。朝日、まひる、夜月が両親から譲り受けたお店で朝(喫茶店)昼(うどん屋)晩(スナック)を経営。訳あって仲が悪く別々にお店をやっているけど最後は、なんとなく仲直りできたのかなぁ?どうかなぁ?
    続編もあるようなので是非読んでみたいです。
    ひ香さんのお話は、おいしそうなものが出てくるのでそれだけでホッコリします。

  • 美味しそうな表紙に惹かれて♪

    ラプンツェル商店街にあるお店「ル・ジュール」
    モーニングのメニューがそれはそれは美味しそうでね。

    でもね、美味しいお話ばかりではなかったんですよ。
    三姉妹が、朝はモーニングの喫茶店、昼は讃岐うどん屋、夜はスナックと
    交代でお店をやっている話なんですが、
    姉妹の仲があまり良くなくてね…。
    商店街や、ほっこり食堂ものが大好きな私としては、
    少し残念でした。

    でも、父親のオーケストラのレコードを探し続けた果てに、
    本当に父が残してくれたものは、
    このお店と自分たち姉妹なんだと気付くことが出来たから、
    「三人屋」はこれからが本当のスタートってとこかな?

    ぜひ、続編を読みたいです。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私も友達に勧めてもらって今度原田さん読もうと思っています。「母親ウエスタン」を読むつもりです。

      この作...
      こんばんは(^-^)/

      私も友達に勧めてもらって今度原田さん読もうと思っています。「母親ウエスタン」を読むつもりです。

      この作品もいつか読めたらと思います。楽しみです♪
      2015/09/29
    • 杜のうさこさん
      けいたんさん、こんばんは~♪
      コメントありがとうございます!

      私も、原田ひ香さん気になっていて、
      本当は他の作品を、と思っていたん...
      けいたんさん、こんばんは~♪
      コメントありがとうございます!

      私も、原田ひ香さん気になっていて、
      本当は他の作品を、と思っていたんですが、
      美味しそうなこの表紙にひかれて(笑)

      設定が奇抜なお話が多い作家さんのようですね。
      それにしても、読みたい本ばかり増えてしまって、お互い嬉しい悲鳴ですね~(*^-^*)
      2015/09/30
  • 哀愁が濃く漂ってる感じ。
    仲は良くはないけど、姉妹の繋がりはやっぱり家族だと思う。
    ダメ男しか出てこないところが、次作期待?

  • 東京ロンダリングからの三人屋。前から気になっていたはずなのに、自分的には微妙な感じ。期待が大きすぎたのか・・

    お年寄りの多いラプンツェル商店街で、「ル・ジュール」が再開店。朝は三女の喫茶店、昼は次女のうどん屋、夜は長女のスナック。仲良くお店をやっているのかと思えば、それぞれに家族に思うところがあって。ただ、父のやっていた喫茶店(場所)を残したいという思いだけが共通している。長女の失踪の場面は、東京ロンダリングシリーズを思い出した。

  • 遡って読んだ。
    最初は三姉妹の話で続編がスピンオフ的な短編なのかと思ったら
    最初から同じような作りだったのね。
    でも続編とは人が違ってるよな印象。フシギ。
    [図書館·11月9日読了]

  • 三姉妹が営業する
    朝は喫茶店、昼はうどん屋、夜はスナックになるお店、三人屋。
    ラプンツェル商店街にあるそのお店と人間模様を描いた小説。

    何の不安もなく、優しく安心して読める本。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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