為吉 北町奉行所ものがたり

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 92
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536705

作品紹介・あらすじ

為吉は幼いころ呉服屋「摂津屋」の跡取り息子だったが、両親を押し込み強盗に殺されていた。その後、北町奉行所付きの中間となっていたが、ある日、両親を殺した盗賊集団・青蜥蝪の首領が捕まったとの知らせが届く。その首領の発したひと言は為吉の心に大きな波紋を広げ…。与力、見習い同心、岡っ引きなど、江戸の治安を守る"狼"達が集う庭の、悲喜交々の人間模様。そして、為吉の人生にも大きな転機が訪れる…。

感想・レビュー・書評

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  • 月刊ジョイ・ノベル2013年2月号、5月号、2014年11月、2015年1月号、3月号、5月号発表の6編を2015年8月に刊行。奉行所付の中間、下手人、見習同心、与力の妻、岡っ引き、下っ引きの6つの視点で奉行所仕事を味わい深く語るところが良かったです。もう宇江佐さんの新作が読めないと思うと、とても残念です。

  • 目次
    ・奉行所付き中間 為吉
    ・下手人 磯松
    ・見習い同心 一之瀬春蔵
    ・与力の妻 村井あさ
    ・岡っ引き 田蔵
    ・下っ引き 為吉

    「北町奉行所ものがたり」となっているが、奉行所が舞台というわけではない。
    「為吉」というタイトルだが、全ての話に出ているわけではない。
    北町奉行所という組織の下っ端で働く人たちが、ゆる~く繋がった連作短編。
    しかし、あまり人と打ち解けて付き合わなかった為吉が、最後の方では恋もして、家族も出来て、人として成長しているところがいいですなあ。

    起きた事件はそれぞれ、普段は隠していた心の闇がなさしめた、後味の悪いもの。
    そんな中、「見習い同心 一之瀬春蔵」は、普段から同僚の弱みを探し回っているような嫌な奴の代表格、臨時廻り同心の神谷舎人の心のうちがとてもよかった。
    江戸の町を守るものであるという矜持。
    人を見る目は厳しくも温かい。

    「与力の妻 村井あさ」も、しみじみよかったなあ。
    男女の愛と夫婦の情。
    家族といえども、自分が気づかぬ面を持っているということ。

    「下手人 磯松」は切なかった。
    磯松には、悪い心というのはなかったのに。
    うっすらと笑みを浮かべて刑に服した磯松の人生は、幸せだったのだろうか。
    最後に笑えたから、幸せといってもいいのだろうか。

  • 宇江佐真理氏の北町奉行所物語。
    6話からなる連作短編集。

    押し込み強盗で、運よく一人だけ難を逃れた幼い為吉だったが、家は取り潰され、叔母さんの所でも、苦労しながら、中間をしてきた。
    与力、同心、岡っ引き、そしてその家族の人間模様と心の揺れ動きを、上手く描いている。

    一之瀬春蔵の見習い同心は、臨時廻り同心の神谷舎人とうまく付き合えるか悩んでいた。
    神谷のヒール役の意味を知って、本当の同心というものを知る。

    与力の妻の村井あさ。嫡男の兄が亡くなったせいで、許嫁までいたあさは、養子を迎えることになるのだが、、、、
    村井家の家族の人柄皆いい事に、微笑ましく読んでしまった。
    両親、子供達、そして、夫の愛情が、どれほど深いのかと、、、
    いつもの宇江佐氏の人情味ある描き方である。

    岡っ引き田蔵と、下っ引き為吉、、、十手を預かる家から竹次を縄付きで出さないといけなくなる。
    ここでも、人の優しさと、御上の采配の上手さを現して、ホットさせる終わり方であった。

  • もうこれも続きは読めないのねー

  • 与力、同心、中間、岡っ引きとその家族たちの連作短編集でした。苦しい環境で育ってきた人間のうち、苦労しても幸せをつかむ者と罪を犯して落ちていく者と。 冤罪、汚職、ブラック職場、いじめ、裏切りなど、江戸の世に現代をみごとに投影していて時にはどきどきして読んだ。いつの世も、まともな人間を作るには、やはり思いやりと正義が必要なのだと思った。地味な作品だけどとても味わい深くてよかった。 

  • 久々に宇江佐さんの。コレももしかしたらシリーズを考えてたのかなぁぁ。

  • 奉行所に働くものとその家族を描いた短編集で、
    当時の仕事ぶりがうかがえる。
    駄作が1つもない。
    やや急ぎ足なところもあったので、
    為吉がらみの話をもう少し読みたかった。

  • 【収録作品】奉行所付き中間 為吉/下手人 磯松/見習い同心 一之瀬春蔵/与力の妻 村井あさ/岡っ引き 田蔵/下っ引き 為吉

  • 為吉の努力が実って良かったけど、竹次は気の毒。

  • 北町奉行所に勤める中間、同心、岡っ引きなど様々な人々のドラマを描く連作短編集。
    押し込み強盗からの生き残り、中間の為吉の成長もはさみながら進んでいく。
    複雑な心境を丁寧に細やかに描くところは宇江佐さんらしくそれでいて読みやすい。
    これからも彼らを見ていきたいと思ったが、宇江佐さんが亡くなられたという衝撃的なニュースが舞い込んだ。
    新刊はもう読めないが、今ある作品を大事に読んでいきたい。

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著者プロフィール

1949年函館市生まれ。函館大谷女子短大卒業。95年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞。人情味豊かな時代小説を得意とし、著書は「髪結い伊三次捕物余話」シリーズなど、多数。2015年11月、惜しまれつつ、没。

「2016年 『口入れ屋おふく 昨日みた夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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