枕元の本棚

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 226
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536897

作品紹介・あらすじ

今夜は、なに読む?想像力のツボをじわりと刺激。"目からウロコ"の読書エッセイ。人気芥川賞作家、つぶより58冊。

感想・レビュー・書評

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  • 津村さんらしい、何ともユニークなブックレビュー。注目すべきは、実用書メインなこと。図鑑、事典、スポーツもの、児童書、写真集、画集、心の処方箋…ただ幅広いだけじゃない、ユーモラスだけど真摯さが垣間見える津村さんの文章に、その本に対する愛が感じられて、夢中になって読みました。凝り固まっていた心と体がほぐされた気がする。トーストや紅茶のおいしさ、日々の暮らしを楽しむヒント、妖精やギリシャ神話の面白さ、歌川広重や沢尻エリカの魅力再発見、メンタルケアや処世術、海外サッカーやツール・ド・フランスの奥深さ、世界の知られざるエピソード…etc、ミクロにもマクロにも楽しめる。
    例えば海外サッカーなんて、個人的には興味のない分野だったのだが、強いのか弱いのかもよくわからなかったオランダに対しては俄然そそられた。PK戦、コーチから選手へのアドバイスがびっくりするほどざっくりで、それに対しての津村さん「一周回って感動的でさえある」という締めに噴いた(笑)
    他にも、引用したくなる文章が多数。中でも印象的だったのは、「仕事は、やりたいやりたくない以上に、向き不向きが左右すると思う。やりたかったけどあまり向かない仕事も、やりたくはなかったけど向いている仕事もある。いろいろあって、わたしは後者の方が幸せなんじゃないだろうかと思うようになった。」という箇所だ。思いがけない気付きに、目から鱗が落ちることはこれまで何度もあったけれど、今回は鱗が落ちた後の視界が実にクリアーだ。
    津村作品がどの本にどう影響を受けたかもわかり、ファンには嬉しい。これは何度も読み返したい、まさに枕元に置きたい一冊だ。

  • 津村さんの書評集です。
    取り上げられる本は図鑑や事典、津村さんの好きなサッカーやサイクルロードレースなどのスポーツ系の本もあって、多種多様。
    にまにま緩んだ顔で読んでいる時間と、真面目に考えさせられる時間のバランスも私には、ちょうどよい1冊でした。

    津村さんの本を紹介するときのテンションが好み。
    絶妙な言い回しが何の前触れなく出現するので、油断して読んでいると盛大に吹き出してしまいます。
    今回のクリティカルヒットは五味太郎さんの『ことわざ絵本』(岩崎書店)の紹介文。
    この絵本を「貴重なまとまった五味供給源」と言い表した一文に、爆笑のち悶絶してしまいました。
    「五味供給源」…なんというパワーワード…。

    そのほかにも真面目なものも、おもしろいものも、読みたいアンテナを刺激される本ばかり。
    津村さんに紹介される本は幸せだなぁ…と、本の気持ちになりながら読了。

  • 津村さんの本エッセイだ!と思い、中身を見ずに買ったのだけれど、紹介されている本に一般的な「小説」はほぼなく、児童書や図鑑、実用書やノンフィクションばかりだったのには最初ちょっと驚いた。わたしはそういう一般的な小説以外の本ってあまり読まないので、津村さんが紹介してなかったらまったく興味を持つことがなかったかもしれない。なのに、気がついたら付箋を貼りまくりながら読んでいた。どれもこれもおもしろうそう!と。
    プロなのだから当然なのだけれど、本を紹介するにも、その褒め方がありきたりではなくて、なんというか、読んでいてうっとりするような。ぜひとも読んでみたくなる。そして、たぶん、読んだら、ここのところをこう評価するのか!このおもしろさをこう表現するか!とか感心するんだろうな、と。

    あと、選書からしてユニークで津村さんらしいなあと思うようなところもあって。読みながら、津村さんの、世界をできるだけいろいろな方向からながめるとか、自分で工夫して日常をできるだけ「まし」なものに、楽しいものにしていくとか、そいう姿勢が感じたりもした。……見習いたい。とにかくなんでも読んでみる、手を出してみる、とか。

  • まず最初に、おこがましいのだけれど、何故か自分の中に所々、「津村記久子さん的な」部分がある気がしてならない。
    津村さんにとっては迷惑な話だろうけれど、どうしても、「わかるわ〜」と思う部分が沢山あるのだから許して欲しい。

    次に、私はよく自分の生活に全く関係の無い分野の本に惹かれ、「こんなこと、凡人の私が興味深く読んだところで何の足しにもならないのに、つい引き込まれて読んでしまった」と思うことがある。
    しかし本書で津村さんも独特な表現でそれを肯定してくれているので、うん、いいんだよねと思えた。(「グアルディオラのサッカー哲学」の章にて)

    最後に、どの本も読んでみたいけれど、とりあえず5冊に絞った。
    どれも津村さんの本書で知ることが無ければ手に取ることは無かったに違いない。

  • 本読みが読む雑誌の書評連載だけあって、ありきたりでないラインナップが並ぶ。いくつもAmazonのほしいものリストに入れました、ありがとう。
    何より嬉しかったのは、冒頭の一冊が『デブの国ノッポの国』だったこと。子供のころ何十回と読んだ本を、いま好きな作家さんも手にしていたんだと知っただけでハッピー。

  • 津村さんの小説以外の文章ははじめて。書評集とのことで目次をざっと見た感じ興味の持てそうにない本ばかりだなぁと不安に思ったが、紹介されてるどの本もすごくおもしろそうに語るものだから読みたくなった。楽しさの感度を高めるのはすごく大切なことなんだと思った。状況に応じて読むのに適した本を紹介しているが、その具体例が的を得ていた。「暇だけど何にも考えたくない時、まとまった読書をする気力が起こらない時」ってあるよなあと、紹介されている本の是非はともかく、あげられている具体例の的確さに唸った。

  • 芥川賞作家の著者による書評集だ。
    図鑑だったり、妖精やら妖怪やらの話だったりとこの人の読書傾向が自分とほとんど重ならないので、「こんな本あるのかー!」と、その本の「どこを」面白い、と思ったのか、ということも含めて面白かった。
    よく他人の本棚を見るとその人の頭の中がわかるというけれど、著者の脳みそのひとかけらを見せてもらったような気持ちになる。
    この人の、フラットで、地に足がついていて、でもただ平凡なだけではない世界の描かれ方がすごく好きなんだけれど、その源っていうのはどちらかというと人間が苦手でネガティブでだからこそ平等にフラットにものを見よう世界を見ようとする視点なのかなと思った。
    今までほとんど読んだことがなかったジャンルの本、手に取って見たくなる。

  • 枕元の本棚には、生温い気配が充ちている。今日の私を癒し、明日の私のための英気を養う大切なひととき。

  • 津村記久子さん、最近エッセイをよく読んで楽しんでます。(「やりたいことは二度寝だけ」「二度寝とは、遠くにありて想うもの」など)ちょっと感性が似てるような気も~~~w。「枕元の本棚」(2016.7)を読みました。津村さんの枕元、絵本、児童書、料理本、スポーツ関係などいろんなジャンルの本が整列してるようです。本作では約60冊が紹介されてます。それにしても、その中で私が読んだ本が「暮らしのヒント集」の一冊だけだったとは・・・。

  • この人と波長が合うかもなー。好きな本の傾向が似ている。で、紹介がうまい絶妙。
    読みたくなった本がたくさんあったが、きっと同じ本を読んでもこんなふうにかんじたり、考えたり私はできないんだろうな、ということも同時におもうのである。
    だからダメってんじゃなくて、だから紹介するのがうまいよな、とおもうのだ。
    ”海賊”パンター二とカベンディッシュについて教えてもらい、Tour de Franceへの興味が再燃。マーク・ストロングのマイヨジョーヌの本、読んだよなー。

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プロフィール

津村 記久子(つむら きくこ)
1978年、大阪府大阪市生まれ。大阪府立今宮高等学校、大谷大学文学部国際文化学科卒業。
2005年「マンイーター」(改題『君は永遠にそいつらより若い』)で太宰治賞を受賞し、小説家デビュー。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、2009年『ポトスライムの舟』で芥川龍之介賞、2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、2013年「給水塔と亀」で川端康成賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2017年『浮遊霊ブラジル』で紫式部文学賞、同年『アレグリアとは仕事はできない』で第13回酒飲み書店員大賞受賞をそれぞれ受賞。
近刊に、『ディス・イズ・ザ・デイ』がある。

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