神の涙

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 181
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537122

感想・レビュー・書評

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  • もう、読んでいる途中、ずっと身体中の血が滾るのを感じていた。そして読み終わった瞬間、魂の震えを止められなかった。
    自然の偉大さ、それに抗おうとする人の愚かさや無力さ。私たちはその存在さえ神に赦されなければならないほど、小さい。そんな小さく無力な私たちは、誰かと支え合い信じあう事でやっと生きている。
    あぁ、もうどんな言葉もこの物語の前では軽くて薄い。何も言い表せない。この魂の震えをどうやって伝えたらいいのかわからない。
    アイヌの血を引く人々の、それぞれの人生と歴史、そして今を思う。

  • アイヌの血を引く人々の物語。
    この作家さんの作品は2作目。「不夜城」のイメージが強く、もっとハードボイルドな作品を書く人だと勝手に思っていたが、帯にある通り、ラストでは涙が溢れる。
    雄大な北海道の自然とその中で生きる人々の様子が丁寧に描かれる。東京である事件を起こして、自分のルーツを探るために川湯を訪れた尾崎、その尾崎がどうしても弟子になりたいと頼った木彫り作家・敬蔵とその孫の悠の3人を中心に物語は進む。犯罪者であるはずの尾崎は過去を引きずりつつも、明るく優しく、心を閉ざしていたはずの敬蔵と悠の心を徐々に開いていく。徐々に打ち解けた3人に別れの時が迫り、3人はそれぞれある決断をする…
    人を思いやる気持ちが溢れている作品。頭の中では昨年の9月に旅したばかりの道東の景色が溢れて来て、ラストまで一気読み。純粋にいい作品だった。

  • この作品を読み終えた瞬間は、著者である馳星周さんに興味があったのが、ファンになった瞬間だった。
    北海道の、屈斜路湖や摩周湖を抱く大自然の中でおりなされる、家族の、今を生きる物語。それに殺人事件が絡んでいて、でもサスペンスではなくヒューマンドラマで、ストーリーや展開が、私が求めていたのと一致したような感覚だった。この物語の世界に入り込んで、読み終えた後、興奮して寝れなかった(笑)。それぐらい、ワクワクする、夢中になるものでした。

  • 馳星周は『不夜城』しか知らず、ご縁のない作家でした。書店平積みの隅に一冊だけあったこの『神(カムイ)の涙』。その時ちょうど"カムイ"というワードが私の中にあり、「あ、今読まなきゃ」とインスピレーションで購入しました。あらすじはAmazonの作品紹介におまかせして、私が今思うのは、「再読したい」。すでに本を手放したのですが、この作品は一度読んだだけでは味わいきれなかったのではないかと、今、感想を書いていて気づきました。アイヌの魂、北の大地の雄大さと清廉な空気を感じさせてくれます。そして、その素晴らしい世界と、私たちの日々生きる「現実」が重なっていることを、ある事件によって思い知らされます。「おまえはどう生きる」そう問われているように思いました。やはり再読します。

  • 泣いた。おじいちゃんの孫を思う気持ちも、悠の外に出たいと願う気持ちも、尾崎のルーツ探しも、みんな丸く収まってよかった。
    ウポポイ行って、アイヌのこともっと知りたいな。

    「はんかくさい」って言葉がいっぱい出てきたけど、意味がわかったようなわからなかったような。
    北海道出身者にこんど解説してもらおう。

  • アイヌの血を持つことに誇りを持っている祖父。
    アイヌの血を嫌う孫。
    福島県出身の青年。
    主にこの3人からなる話。

    北海道の壮大なる風景描写がとても良かった。
    木彫りのシーンも、まるで自分がその場に居るような感覚でページをめくり、思わず息を潜めてしまった。

    しかし、青年の事件は必要あったのかなぁ。
    あの部分だけ妙にチープな感じがしてしまって、少し残念。

  • アイヌの木彫氏に弟子入りした男とその家族。色々有るが出てくる料理、自然が良いな。
    2018.8.31

  • 数時間で一気読み。魂が揺さぶられた。
    恥ずかしながら馳作品は初めて。
    自然サスペンスと帯にあったがそんなものでは無かった。

    アイヌ民族が、自然に敬意を払い祈りを捧げ、その懐に入り感謝の念を持って暮らしてきたこと、我々日本人が忘れてしまった気持ちだ。
    3.11の前であれ程自然の脅威にさらされ、思い知ったはずなのに、原発事故ではいっときの節電でそのうちまた文明の力にすがる。そうだ、また気づかされてしまった。

    そして人を想う気持ち、大切な人がいる素晴らしさ、一緒にご飯を食べることのありがたみ。
    最後はつながっていて本当に嬉しかった。
    色々なことに思いが及び、とても幸せな気持ちになれた、良い本に巡り会えました。

  • アイヌの木彫り師の老人、なんとか家から出たいと思うその孫娘、そして、弟子入りにとやってきた男。この男により、老人、孫娘は変わってゆくが、男の正体は…そして、三人はどう行動するのか。自然に畏敬する念を払う、人間にできるのは許すことだけ、自然の中では人間は無力だ。アイヌと家族愛、読後感良。馳さんの作品ですが、自然いっぱい、あっさり系。

  • 良かったです、ラストは何故か涙が止まらない。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。編集者、フリーライターを経て、96年『不夜城』で小説家デビュー。97年、同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌 不夜城II』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年『少年と犬』で第163回直木賞受賞。ノワール小説だけに留まらず、さまざまなジャンルの作品を執筆、高い評価を得る。近著に『蒼き山嶺』『雨降る森の犬』『ゴールデン街コーリング』『四神の旗』などがある。

「2020年 『文庫 神の涙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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