彼方の友へ

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 817
レビュー : 160
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537160

感想・レビュー・書評

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  • 久々に良作に出会えた感。かなりありです。

  • ハツは自分の名前が好きではない。カタカナだとモダンで外国人みたいでいいでしょと母親言われたことがあるが、好きではないので自分では「波津子」と名乗っている。
    波津子は、音楽塾をやっている先生の女中として働いていた。病気の母は女学校へ行くように言うが、お金がないことは分かっているので働いている。しかし、その女中の仕事もなくなり、巡り巡って雑誌編集社の給仕として働くこととなるが、さまざまな荒波を乗り越え、雑誌編集や雑誌内の小説まで書くことになる。しかし、時代は戦中。徐々に厳しくなる戦局に、雑誌の刊行も危ぶまれ…


    すごくいい話だった。ハツが、有賀主筆と出会って成長していく様もよかったし、最初は嫉妬する役かなと思っていた史絵理ちゃんもすごくいい子だった。そして、今だったら「それ!セクハラですから!!」ってことも普通にあって、昔働いていた女性は今よりもっと傷ついて、そして強かったのかなと。
    有賀主筆は、ハツのこと好きだったんだろうな…あの電話は切なかった。


    しかし、あの最初に出てきた男装の麗人と謎のおじさんは、一体何者で最後はどうなったのだろうか…そこだけがよく分からなかったな。


    2018.6.11 読了

  • 「友へ、最上のものを」
    読者を友とよび、戦前戦中戦後という動乱の時代の少女たちに灯台の灯りのように希望を送り続けた「乙女の友」という雑誌にまつわる人々の物語。

    これは凄い、男の俺が無粋に言うのもなんだが、傑作。世の女性陣…いや友たちに是非読んでもらいたい。言葉や絵の力、雑誌や情報の力、その尊さや明るさや優しさを日本人みんなで改めて感じとって欲しい。

    雑誌には活字や挿絵やイラストには本来こういう力もあるんだと。言論の自由がいかに貴重なものであることを、この本を読んで噛み締めたい。

    芸能人の不倫とか酔ったあげくの体たらくとか、そんなことばかり取り上げている雑誌の愚かさ、みっともなさ、はしたなさ…同じ活字媒体でも、与える影響はこうも違うものか。

    それでも、そういう雑誌は不要だと声高にののしることが、実は言論統制につながっていく。この本に出てくる自称愛国者と同じ土俵にたってしまうことになる。言論の自由を尊重するなら、唾棄したくなるようなモノゴトでも「気に食わんが、意見としては認める」という決断が必要なのである。

    でも、この小説に出てくる短歌の意味をもう一度考えて、言葉を紡いで欲しい。自省も大いにこめてだが。

    磯城島(しきしま)の大和の国は言霊の助くる国ぞま幸(さき)くありこそ
    ※日本の国は言葉の力が人を助ける国だ。だから私はあなたに申し上げます。どうかご無事でありますように

  • 「乙女の友」という少女雑誌の出版社が舞台の昭和12年~戦争前後のおはなし。
     波津子は女学校にも行けなかったが、出版社に勤めながらひそかに小説を書いている。

    ある時、予定していた原稿が掲載することができなくなり、急遽、波津子の学園小説が採用されることになる。

    現代の波津子は老人福祉施設に入所していて、記憶もあいまいだが、青春時代と交互に、描かれていく。

  • 登場人物が生き生きと感じられた。
    戦争前後が時代背景となっているが、イデオロギー的なものが押し付けられていないと感じ好感が持てる。

  • よみおわったあと、心に温かいものが残る、そんな一冊でした。

  • 情熱が伝わります。「彼方の友へ」、タイトルも含めて、心に残る言葉が散りばめられています。

  • このまま朝ドラの脚本になりそうな内容。絶対こんな感じのがあったなあと思って調べたらあったあった。高畑充希の「とと姉ちゃん」が戦後の女性雑誌創世記を描いたドラマでした。

  • 翌日に引き続く余韻・・・。読み終わってから翌日、もう一度はじめの章から読んだら余韻が増した。泣きそう。彼方の友たちが愛しく思える。
    純司、有賀、史絵里、慎、上里、ハトゴヤも。もう一度読み返したい場面がたくさん。
    探しながらパラパラと読んでるとまた泣きそうになる。「友へ、最上のものを」「ま幸くありこそ」「ディア 波津子、シンシアリィ ユアズ」
    やさしくてかなしい、久しぶりにこんな本を読んだなぁ。

  • 映像になりそう。表紙の雰囲気は違う。

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著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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