彼方の友へ

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 809
レビュー : 158
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537160

作品紹介・あらすじ

平成の老人施設でまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった。昭和初期から現在へ。雑誌の附録に秘められた想いとは-。

感想・レビュー・書評

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  • どんな状況におかれても、自分の好きなことにまっすぐに向かう姿勢が素敵だなと感じました。

    ハツさんくらい、熱い情熱をもって仕事したいなあ。

  • 本を読んで涙を流したのは久々でした。

    戦争中、自分たちの信念をつらぬいたハツ、有賀さん、長谷川さん、上里さんたち編集部。そして、いつも明るい太陽みたいなちおりちゃん。


    その人たちの想いがあったから、繋いでくれたから、今当たり前のように美しい本があり、雑誌があり、マンガがあるのではないだろうか。

    お仕事小説としても存分に楽しめるし、恋愛小説としての一面がまた素敵でした。


    最後の最後に想いが通じあったハツと有賀さん。オシャレで、2人らしい繋がり方でした。
    でも、欲を言えばやっぱり、生きていて欲しかったし、有賀さんの言葉で直接聞きたかったなぁ。。


    今は当たり前のことが、戦争中は決して当たり前でなかったこと。そういう時代を精一杯生き抜いた人たちがいること。感謝を忘れてはいけないなと改めて思いました。


    個人的には伊吹さん作品で1番好きでした!

  • 後半は一気に読みました!!感動しました。

  • 美しいもの、芸術、教養や文化を愛せる世界である様にと祈りつつ、あの時代にもそれらを守ってくれていた人達に感謝が溢れる。
    『友へ、最上のものを』。物作りに携わる端くれとして、迷った時はこの言葉を自分の中の灯台にしよう。
    大切な本になった。生涯愛すると思う。話も登場人物も。
    読んでる最中、読み終わった今も、ずっと頭から離れない。
    主人公の波津子が、素直で強く賢くとても良い。有賀主筆や純司先生が…もう素敵過ぎるんです…。他の皆の事も、大好きになってしまった。ただただ時代が悔しい。
    勿論、雑誌「少女の友」がモチーフとなっているのだけれど、読んでみたかったなあ。

  • これだけ夢中になれたものがあれば、きっとその人の人生は幸せだったといえるのだろう。

  • 素晴らしかった。
    戦中戦後の殺伐とした時代に、少女に向けて刊行していた「乙女の友」。その雑誌を作るために奮闘した出版社の人々の物語です。
    パワハラ、セクハラ当たり前の時代に、女性主筆となったハツが立ち向かう世界は、苦しい生活を強いられた少女たちだけでなく、広く人々の心を救ったのでしょう。
    そして彼らの末裔たちが、ハツへ最後の幸福を届けてくれる。
    最近戦後の新聞社の物語を読み、更に浅草で東京大空襲を逃れた蔵をカフェにした建物の話を知りました。あの時代の物語が連鎖して繋がりました。
    傑作です。

  • 戦中の少女月刊誌に関わる女性の青春物語。

    雑誌モデルは「少女の友」、男性編集者、執筆陣もモデルがありそうです。
    実業之日本社の記念出版らしいですが、主人公が読者から主筆預かり、編集者、執筆者、主筆と戦中の出版困難事情の中の成長物語として大変面白く読めました。
    このような雑誌は、現代ではコミック、ファッションと多岐に分化してい行ってると思いますが、当時の憧れの本とはちょっと違うような気もします。

  • これは、すごく好きだ。そしてすごく良い読み物だ。戦中の少女向け雑誌『乙女の友』にかける人たち。華やかな銀座の街並みが空襲で焼け落ちる様子、すべてが色鮮やかに読者の脳裏に浮かぶ。ほんとうに読んで良かったと思える作品だった。

  • 戦時中の出版社で奮闘する1人の女性のお話でどこか朝ドラ的。最初やや荒削りで読みにくかったけど、面白かった〜。
    (最初の方に出てくるジェイドとかスパイっぽい父や従兄弟の話が未回収で終わって「これでいいの?」って思ったけど…)

    なにより美蘭がめちゃくちゃタイプでした。
    こういう、惚れた男のためなら淑女にも娼婦にもなれる美人で賢くて勝気な女、大好物です。


    そしてなんとなく漫画・はいからさんが通るを読み返したくなってしまったので、近日中に読み返します…

  • 素敵な題名だなあっと思って手にとる。表紙も軽やかで。
    彼方、とあるから、時代を超えた友情ものかな?っと思って読みはじめたら違った。読み続けるのがちょっと苦しい。でもこの人達がどうなるのか最後まで見届けたくて、読むのをやめられない。素晴らしい物語だった。
    友へ、最上のものを。
    真摯な心で届けるものを必死で作り続けた人たちの物語。
    フィクションではあるけれど、戦前から戦中のあの時代、
    寛容さをどんどん失っていった時代、実際にどれだけの人が命を奪われ、心を殺されたのだろうと思う。
    そして、一人の少女の一途な片想いの物語、でもある。憧れが体温をもって目の前に現れそれはいつしか恋になる。
    恋ならしてます、と答えたシーンはちょっと切ない。わっかりやすい波津子なのに、なぜ、そこは伝わってないんだー。
    波津子はずっと自分に自信をもてずに、おずおずと進んでいるようだけれど、ここぞという時にはぐっと足を踏みしめて、顔を上げる感じが好きだな。
    できるなら有賀主筆としあわせになって欲しかった、と思うのだけれど、気持ちだけでも繋がってくれて、泣、泣、である。
    老人施設と過去とを交互にする必要あるかな、っとちょっと思ったりもしたけど、すべてはあのシーンのためだった、と言える。
    もう涙しかないよー。
    自分の心に気づいた有賀さんのお話読みたかったわあ。
    でも帰って来れなかったんだなあ。
    純司先生が意外と丈夫だったのが、嬉しかった。無事帰ってきてくれて。
    はあ、ようやく読み終わった。
    幸せな数日だったけど、やっぱ、ちょっと哀しい。
    ここ数日ずーーっと彼らの姿がちらちら、する。なんか余韻がありまくり、な作品だ。

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著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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