彼方の友へ

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 817
レビュー : 160
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537160

感想・レビュー・書評

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  • どうして☆は5つまでしかないのだろう…。

    日本中の少女たちの憧れの雑誌【乙女の友】
    どんなにひもじくても、どれほど現実が厳しくとも、
    紙面を眺めるひとときだけは、夢を見させてあげたい。
    バラやスミレの絵に、胸をときめかせてあげたい。
    こんな時代だからこそ、少女たちには美しい夢を──
    その信念のもと【乙女の友】を出版し続けた有賀と純司、そして波津子たちの物語。

    この気持ちをどう表現したらいいのか、もどかしくてたまらない。
    いくら書いても書き尽くせない、胸にしみる場面ばかりだった。

    貧しくて買うことはできないが、【乙女の友】の切り抜きは波津子の宝物。
    その編集室に雑用係として働くことになった波津子。
    ついたての向こうには、憧れてやまない有賀主筆がいる。

    出征する有賀を見送る波津子の歌声。
    とこしえまで こころかえじ…
    「アニーローリー」の美しい旋律とせつない歌詞。
    有賀のやさしいまなざし…

    武運長久を願う旗の四隅に書いた、五線譜の音符のメッセージ。
    伝えたかった言葉。

    ただ一度だけの電話…
    想いを伝えたら、その人はきっと自分を待つ、だから──
    生きて帰れたら、まさきくあらばその時は───

    日章旗に大事に包まれていた「フローラ・ゲーム」
    そこにはいっていたものは…
    七十年以上の年月を経て、やっと伝えることができた想い…
    たった一言を伝えることが、こんなにも難しくて、また尊いなんて…
    泣いた、ぼろぼろ泣いた。

    そして、暗がりの中に光を灯す存在でありたいと、美しい絵を描き続けた純司。
    彼が柩に納めてくれと頼んだマフラーと、飼い猫の名前が代々「シュクル」だったと知ったとき、
    秘め続けた恋心に、また涙がこぼれた。


    明治神宮外苑競技場、学徒出陣のための壮行会。
    降りしきる冷たい雨の中を、泥を跳ね上げ行進していく学生たち。
    徴兵免除は、まず文科系の学生たちから外されたという。
    作家を夢見ていた方もおられたでしょう。
    戦争がなければ、書かれたはずの素晴らしい物語もあったかもしれない。

    端切れの布で作った髪飾りが咎められ、少女の夢が踏みにじられる。
    そうしたささやかな喜びが許されない時代。
    美しい物を美しいと言えない時代。
    あまりに悲しい…

    『なかよし』や『りぼん』の付録や切り抜き、千代紙、おもちゃの指輪、きれいなペーパーナプキン、リボン、可愛い絵の鉛筆、香りのする消しゴム、
    クッキー缶の中に入れていた宝物たちがよみがえってくる。

    そして、自分がどれだけ恵まれた時代に生きているかをかみしめた。
    あの繰り返してはならない時代があって、今の私たちはここにいる。

    読み終えて、本を両手でぎゅっと抱きしめた。
    Dear friends──Sincerely yours──
    「友へ、最上のものを」
    この本は、伊吹有喜さん、そして有賀、純司、波津子たちから届けられた最上の贈り物。
    私もまた”彼方の友”のひとりになれたことが嬉しくてたまらない。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      これはまたすごく熱のこもったレビューだね♪素晴らしい。
      私は純司先生のことばかり覚えていてお恥ずかしい(〃...
      こんばんは(^-^)/

      これはまたすごく熱のこもったレビューだね♪素晴らしい。
      私は純司先生のことばかり覚えていてお恥ずかしい(〃ノωノ)

      私たちも乙女だよね(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2018/05/29
    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんは~♪

      コメントありがとうね!!
      なんだかお話するのすごく久しぶりだよね♪

      この本、もうね、たまらなく好き...
      けいちゃん、こんばんは~♪

      コメントありがとうね!!
      なんだかお話するのすごく久しぶりだよね♪

      この本、もうね、たまらなく好き!!
      元々感激しやすい性格なものだから、感想もものすごくチカラが入ってしまったの。
      読み返すと妙に恥ずかしいです。
      そんな風に言ってもらえてとても嬉しい(#^^#)

      純司先生、素敵だよね~♡
      報われることのない恋心が切なかった…

      有賀主筆と純司先生、脳内で勝手にキャスティングして楽しんでたわ。
      映像化されたら素敵よね~(きっとまたブツブツ言ってしまいそうだけど・笑)

      そうそう、私たちも乙女よね~♡
      可愛いモノに目がなくて、少女趣味のまま大人になってしまった…と思ったりもするけど、
      最近はそれもいいのかなって思えるようになった(^_-)-☆
      開き直り?(笑)
      2018/05/30
    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      読んだことわかるように、ひとことコメントして自分のは自分で消すしかないんだね。私のは削除しました。
      よろし...
      こんばんは(^-^)/

      読んだことわかるように、ひとことコメントして自分のは自分で消すしかないんだね。私のは削除しました。
      よろしくお願いします!
      2018/06/08
  • 「友よ、最上のものを」
    戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて――

    老人ホームでひとりまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が届く。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」それは大切な想い出の品。
    フローラ・ゲームを私に届けてくださったのはどなた…
    波津子は思い出す、あの愛する人たちと生きた熱い激動の時代を。

    戦時中に雑誌を作るという事はどれだけ大変だったのだろう。書きたいことが書けず、描きたいものが描けず、さらには紙までなくなっていく…
    それでも、有賀も純司もいつでも心はひとつ「友へ、最上のものを」。今こそ必要な記事や作品、そして素敵な付録を。彼らの情熱が伝わってきてグッとくる。

    戦後、みんなどうなったのか不安でどんどん読み進める。みんな生きていて、戻ってきて!と祈りながらページを捲る。

    エピローグ。70年後に語られる真実、届いたもの、そしてそこに書かれた想い。嬉しくて切なくて…。いい読書ができました。

    言霊の話は、前も何かの本で読んだけどやっぱりいいなぁ。言葉の持つ力、五十の音色、日本語の美しさを感じた。
    「ま幸くありこそ」

    私も乙女に戻って『乙女の友』を読んでみたい。そして純司先生におしたいしておりますとお手紙を送りたい。

    しかし、波津子さん、乙女が鼻毛は…(笑)

    • nejidonさん
      けいたんさん、こんにちは♪
      とっても面白そうな本ですね!
      滅多に小説は読まないのですが、読んでみたくなりました。
      これって、フィクショ...
      けいたんさん、こんにちは♪
      とっても面白そうな本ですね!
      滅多に小説は読まないのですが、読んでみたくなりました。
      これって、フィクションですか?もしやまさかのノンフィクション?
      実話だったら本当に素敵なお話ですね。
      ごめんなさいね、基本情報さえ知らなくてコメントしてます。
      70年後に何が明らかにされたのでしょう?
      ああ、とっても興味があります!
      2018/01/25
    • けいたんさん
      nejidonさんへ♪

      いつもありがとうございます(^-^)/
      最近感想がなかなか書けずムムムになっていたのでこんな風にコメントも...
      nejidonさんへ♪

      いつもありがとうございます(^-^)/
      最近感想がなかなか書けずムムムになっていたのでこんな風にコメントもらえて励みになります!
      nejidonさんはいつも素敵な文章を書いていて尊敬です(⁎˃ᴗ˂⁎)
      たくさんの思いが込められている文章ですよね。

      この作品はフィクションだと思います。
      「少女の友」という雑誌がモデルではあるらしいですけど。
      「少女の友」ネットで調べたら懐かしい雰囲気の表紙でした(*≧艸≦)
      きっと戦時中は苦労して作られたのでしょうね。
      何も知らないことを教えあうのがコメントのいいところですよ♪とても楽しいですよ。
      70年後に誰が訪ねてきたのかが明らかになった時色んな思いが胸によぎりました。
      いつか機会があったらぜひ読んでみてください。
      2018/01/27
  • 男の私が言うのもなんですが、これはオススメの本ですね! 一世を風靡した少女向け雑誌が好きな不器用な女の子が はからずも発行する会社に勤めるようになり更には主筆にまでなってしまう。今は卒寿を迎えた彼女 ハツさんだが彼女を育てた前主筆こそ密かに想い続けた人で、戦時 消息が不明になったまま。昭和12年から20年のハツさんの暮らしが走馬灯のように流れて、大空襲から終戦で全てが無に帰す部分は「この世界の片隅に」や「流れる星は生きている」などが連想された。
    そして最後に 老いた彼女に面談を申し入れた若者とのやりとりでハツさんにも読者にも全てが明らかになる仕掛け!「彼方の友へ」は「かなたの ともへ」なのでした。

  • 卒寿を越えて新しい記憶はすぐに薄れていくのに、必死で生きてきたあの頃の記憶だけは薄れることはない。

    戦中の東京、『乙女の友』編集部で少女雑誌をつくる波津子は、給仕から始まり編集者見習い、編集者兼執筆者と徐々に雑誌づくりにのめり込んでいく。
    敬愛するあの人の斜め後ろに立ち雑誌づくりのイロハを教わる。
    あの人が掲げた標語「友へ、最上のものを」を胸に。
    戦中どんなに過酷な状況にあろうとも、そこに読み物や絵があれば虚しい気持ちもなぐさめられる。
    だから次号の発行を待つ「彼方の友」へ向けて最上のものを届ける!
    固い絆で結ばれた仲間達の奮闘ぶりに涙が出た。
    どんな時でもプロ意識を捨てない彼らを誇りに思う。
    単なる娯楽ではない、「読み物」の存在の有り難さが身に染みる。
    そして波津子の願いが叶って本当に良かった。
    あの時代の「友」が築き上げた情熱は、更に大きくなって今の時代の「友」へとしっかり伝えられた。

    是非とも映画化してほしい。
    それにしても、何故この作品が本屋大賞候補にノミネートされなかったのか不思議…。

  • 「卒寿を越えて新しい記憶はすぐに薄れていくのに、必死で生きてきたあの頃の記憶だけは薄れることはない」で始まる本作。

    主人公の佐倉波津子、ハッちゃんは母と近い年齢。遠住みの母とは残念ながらしみじみと語ったことはない。母の過ごした時代に想いを馳せる。

    地味で無垢なハッちゃんにすっかり魅せられてしまった。こんな人が身近に居たら百人力だろう。学歴がないのをコンプレックスに感じているハツが「乙女の友」編集部の中で迷い悩み苦しみながら、自らの才能を開花させていく。傍らで彼女に編集のノウハウを教える有賀主筆、純司先生、上里さん、美蘭さん、史絵里さん。登場人物がそれぞれに魅力的だった。

    美しいものや遊び感覚が抑圧されるとは大きな危険をはらんでいると気づかされた。

    『子供から大人になるわずかな期間、美しい夢や理想の世界に心を遊ばせる。やがて清濁併せ呑まねばならぬ大人になったとき、その美しい想い出はどれほど心をなぐさめ、気持ちを支えることになるだろうか』。美しさを必要としているのは少女ばかりではない。そして雑誌も小説も詩も音楽も、生活というものさえも、美しさを求めることは悪ではない。

    戦時色が濃くなり価値感は強要されていくが、それでも、彼女たちは「乙女の友」を待つ全国の少女たちに向け、「最上のもの」を届けるという使命を守り続けた。


    万葉集にある柿本人麻呂の一首を引いてあった。 

    磯城島(しきしま)の大和の国は言霊の助くる国ぞま幸(さき)くありこそ(日本の国は言葉の力が人を助ける国だ。だから私はあなたに申し上げます。どうかご無事でありますように)

    「言葉には魂が宿る。良きにせよ、悪気にせよ、口に出した言葉には力があり、物事はその通りになるという考え方だ。だから縁起の悪い言葉は言わない方が良いと僕らの先達は考えた」と有賀が語った言葉も、この時代だからこそ光る。

    美蘭のような愛し方もあって良いのだ。だからこそ命は繋がれたのだから・・・。


    疑問は有賀主筆の任務は何だったのか?たぶん憲兵隊のような仕事をさせられたのだろう。

    終章で明かされるハツの五線譜の暗号による告白と彼が亡くなり届いた有賀からの短い手紙。

    泣けるモノと喧伝される作品には手を出さない私が素直に泣かされました。

    読んでる間彼らと過ごせる時間がたまらなく愛おしく感じらた本作です!

  • 「少女の友」の中原淳一さんの絵はとても素敵だ大好き。
    クリアファイル、ポストカード、いろいろ持ってます。
    最初そういうこと知らずに読んでたのだけれど、
    「少女の友」がモデルになっていると知って納得。
    そして面白さ倍増。

    小学校しか出ていないハツの健気さと
    自信のなさがちょっとかわいそうになるくらいで、
    力になってあげたいと思ったけれど
    小間使いから編集者になって作家になってと
    ハツは「友」の希望になっていったのだと思うと、
    弱いだけでないのだなと思った。

    この物語は、戦争の波に飲み込まれる
    多くの人達の悲しさと強さを表し
    そして、言葉を大切にしていた時代の人達の
    それぞれの愛が籠っている。

    私には到底できない所業だけれど、
    桐島美蘭のように愛する人に迫ることができたからこそ、
    命が繋がったと言える。
    しかしながら、私の共感を得るのは、何といっても
    ハツの五線譜の暗号による告白と
    亡くなって70年たって届く有島からの恋文。
    それも、ハツにしか理解できないとなると
    これ以上のどストライクはないのです。
    あー、でも、この恋文も桐島美蘭が命をつないだから
    ハツのもとにとどいたんだよなぁ。。

    伊吹さん、素晴らしい。
    どうやって選ぶのかは知らないけれど
    私なら直木賞だよ。

    「この国の言葉はこよなく美しく、そして魂は宿ると言われている。言霊というんだ」
    この美しい言葉の魂ははきっと繋がっていくと信じたい。

    ★磯城島の、大和の国は言霊の助くる国ぞ ま幸(まさき)くありこそ 柿本人麻呂

    といううたもでてくるのですが、
    柿本人麻呂って、いろんなとこでちょくちょく顔だすよね。

  • 「乙女の友」は昭和、戦中戦後を通して発行され続けた少女向けの雑誌。その出版社で、小間使いとして雇われた佐倉波津子。「乙女の友」を深く愛し、勉強を重ね、次第に有賀憲一郎主筆の信頼を得て行く。「フルーツポンチ大同盟」というユーモア小説が暗い時代に密かに少女たちの協賛を得る。戦争が激化するなか、ついに主筆になった波津子。過酷な時代に押しつぶされそうになりながらも読者である一人一人の「彼方の友」へ届けたい。そのともしびを消すまいと戦った人たちの物語。
    戦争がそれぞれの人生を捻じ曲げていくが、そのことが不思議な運命を呼び寄せる。ある時、卒寿となった波津子のもとに突然訪れたものは・・・。最後に運命の糸がほどけてゆく。
    吉屋信子の小説と中原淳一の挿絵で一世風靡した「少女の友」を彷彿とさせる物語。波津子の健気な様子や、登場人物のことば遣いもレトロな少女小説の雰囲気を漂わせます。あちこちに散りばめられた秘密。ロマンスも純愛と激情。秘密や別れや愛情を、ときにさりげなく漂わせる描き方に、心地よい感動を覚えました。最後の謎解きは、待ちきれずに一気に読みました。

  • 悲恋は嫌いだ。だけど読んでしまう。
    美しい挿絵と美しい言葉達が 目の前に広がる。
    可憐、清楚、純粋、乙女 心をくすぐられるような少女、耽美な世界へ ぐいぐい引き込まれ 、私も彼方の「友」となる。

    少女の夢のような人生を追い、叶わぬ美しい恋模様にキュンキュンして、一気に読み進めてしまった。

    謎めいた部分の解明がなく、その部分はすっきりしないけれど

    丁寧に描かれた その時代の描写が 想像を掻き立てられて 素敵な風景を見させてもらった。

  • 素敵な題名だなあっと思って手にとる。表紙も軽やかで。
    彼方、とあるから、時代を超えた友情ものかな?っと思って読みはじめたら違った。読み続けるのがちょっと苦しい。でもこの人達がどうなるのか最後まで見届けたくて、読むのをやめられない。素晴らしい物語だった。
    友へ、最上のものを。
    真摯な心で届けるものを必死で作り続けた人たちの物語。
    フィクションではあるけれど、戦前から戦中のあの時代、
    寛容さをどんどん失っていった時代、実際にどれだけの人が命を奪われ、心を殺されたのだろうと思う。
    そして、一人の少女の一途な片想いの物語、でもある。憧れが体温をもって目の前に現れそれはいつしか恋になる。
    恋ならしてます、と答えたシーンはちょっと切ない。わっかりやすい波津子なのに、なぜ、そこは伝わってないんだー。
    波津子はずっと自分に自信をもてずに、おずおずと進んでいるようだけれど、ここぞという時にはぐっと足を踏みしめて、顔を上げる感じが好きだな。
    できるなら有賀主筆としあわせになって欲しかった、と思うのだけれど、気持ちだけでも繋がってくれて、泣、泣、である。
    老人施設と過去とを交互にする必要あるかな、っとちょっと思ったりもしたけど、すべてはあのシーンのためだった、と言える。
    もう涙しかないよー。
    自分の心に気づいた有賀さんのお話読みたかったわあ。
    でも帰って来れなかったんだなあ。
    純司先生が意外と丈夫だったのが、嬉しかった。無事帰ってきてくれて。
    はあ、ようやく読み終わった。
    幸せな数日だったけど、やっぱ、ちょっと哀しい。
    ここ数日ずーーっと彼らの姿がちらちら、する。なんか余韻がありまくり、な作品だ。

  • 戦前、戦中の雑誌社の感動の物語。
    最後に佐倉波津子に届いたカードを包んでいた紙に書かれた音符に感動しました。
    余韻の残る小説です。
    原稿が出来上がるのを待っているなど空き時間を「マチ」と言う便利な言葉も印象に残った。

  • 少女向け雑誌を作り続けた人々の物語。
    卒寿を迎えるハツが昭和12年からを回想をする。

    その雑誌の付録で大人気だったフローラ・ゲームが物語のキーとなりラストで感動!
    女性が置かれた厳しい立場に対する有賀主筆の言葉が良く、戦中でもいつもポジティブなハツに元気をもらいました。
    登場人物が魅力的だからなのか、テンポが良いからなのかドラマを見ている様に映像が浮かびます。ドラマ好きなので星5としました。

  • 最短の恋文・・・哀しくて切なくて胸がギュッと鷲掴みにされた感覚。

    一冊の雑誌を作りあげる友たちの夢や希望が一杯で、あの時代を如何に輝き生きて行くか。戦争が夢や希望、人への想いも焼き尽くす。

    それでも、また這い上がり手に手を取り、また作りあげる友たち。

    有賀の・・・純司の・・・ハツの・・・史絵里の・・・美蘭の・・・若き友たちの生き様がギュッと胸を掴んで離さない。

    この涙は悔し涙。戦争が悔しい。それぞれの純粋な想いが眩しい。
    感動ではなくて、ただ悔しいんです。悔し涙が止まらない作品は初めてです。

  • 涙あり、笑いあり。もっともっとこの世界に、浸っていたかった。
    2018年読んだ本のなかで、BEST1!
    文中、空井先生がハツさんに、小説を書くコツ(登場人物について紹介文(思いつくことすべて)を書いてみる。そしてストーリーの起承転結。)を語っているが、たぶん伊吹さんが普段心がけておられることなのだろう。
    佐倉ハツ(波津子)さん、有賀(憲一郎)主事、長谷川純司先生、佐藤史絵里さん、萩野紘青先生、霧島美蘭さん、上里編集長、結城房江先生… 登場人物一人一人が活き活きと描かれていて、皆みんな素敵!
    そして、しっかり構成されたなかでの、エピローグ。涙せずにはいられない。
    Sincerely yours

    追伸
    多くの人に読んで欲しいから、本屋大賞をとってほしい。しかし、本屋大賞は毎年12/1~翌年11/30に刊行された本が対象らしく(本書20017/11/25発行)もしかして昨年度の対象だった? だとしたら、時期が微妙に損してる(-_-)

  • あまり期待せず読み始めたのに
    まあ、すっかり引き込まれてしまいました
    初めての作家さんです
    昭和を駆け抜けた一人の乙女
    雑誌作りに携わった人々の情熱
    暗部に潜む人
    そして現在
    とても心に残りました
    ≪ 最上のものを友へと灯をかかげ ≫

  • 美しい意匠の少女のための雑誌「乙女の友」。
    「友へ、最上のものを」を掲げて、戦時下の日本で、多くの規制の元、雑誌を作り続けた編集者達の物語。

    余韻に浸っていたくて、一気に2度読みました。

    なんという素敵なお話。
    なんという切ないお話。

    編集部の面々の「乙女の友」に向かう姿勢、熱意に胸が熱くなりました。
    有賀主筆が「フルーツポンチ同盟」を代原に決めたシーンなど、ドキドキが止まらない場面に何度も遭遇しました。

    この時代でなかったら、波津子は有賀主筆の言葉を聞くことが出来たのでしょうか。
    60年の時を超えて、ようやく思いを遂げられた波津子。
    あー切ない。

    もしかしたら、まだまだ読み込み切れてないところもあるのかも。
    今年何度も読み返したい本ナンバー1になりました。

  • 個人的に、現時点で今年読んだ本のベスト。

    明治の終わりから昭和30年にかけて刊行された月刊誌「少女の友」をモチーフに、戦前~戦後の混乱期に「乙女の友」の編集者が出版にかけた情熱を描く。

    「友よ、最上のものを」という標語は、そのまま編集に携わった者の姿勢であり、困難な時代を生き抜くよりどころだった。

    こんな雑誌が70年以上も前の我が国にあったことを奇跡といわずしてなんと言えば良いのか。

    本書の出版が「少女の友」の出版元である実業之日本社であり、本書がその創業120周年記念作品であることは、本書をさらに味わい深くしている。

  • 順風満帆なときに読んだ本って、意外と覚えていないものだったりする。
    苦しいとき、哀しいとき、なんとなく心が満たされないときにそっと寄り添ってくれたり、思いがけず出会っておおきな発見をもたらしてくれた読み物は、本当に深く記憶に刻まれている。
    どんな時でも静かに、忠実にいてくれる読み物は、人が生きていくうえで必要だし、大切にしたいもの。思う存分書籍に没頭できるこの平和な時間を、ありがたく思う。

    もう一つ大切にしたいのが、日本語という美しい言語。私も、端くれながら英語を日本語に直す仕事をしているが、ひらがな、カタカナ、漢字、これだけ豊富に組み合わせて表現できる言葉は日本語だけだと思う。あえて「かな」にひらいてやわらかさを出したり、強さを出すために難しい漢字を使ったり、主語や目的語をぼかして想像にゆだねたりと、さまざまな表現ができる日本語は本当に面白い。この言葉を母国語として生きていることに、誇りを持ちたい。そして、美しくて簡易な表現ですっと頭に入ってくる文章を、これからも追い求めていこうと思う。

  • 図書館で借りたもの。

    昭和初期、戦前~戦中の激動の時代、『乙女の友』を作るのに心血をそそいだ波津子たちの物語。
    本作は、竹久夢二や中原淳一が活躍した少女雑誌「少女の友」(実業之日本社刊)の存在に、著者が心を動かされたことから生まれたました。
    (出版社HPより)

    すでに戦闘状態だった日本では、情報統制や紙の不足から、自由に作りたいものを作ることが難しくなっていった。
    空襲の描写は、目を背けたくなるほどひどかった。
    そんな中でも有賀主筆や波津子たちは、「彼方の友へ」向けて雑誌作りを続けた。

    明かされなかったところもあったけど、最後はいろいろ繋がって涙が止まらなかった。
    久しぶりにこんなに続きが気になる本に出会えた!

  • ハツの病気の母親を支えてがんばろうという気持ちとあこがれの「乙女の友」の編集室で働くことが素直な形で結晶していく.魅力的な有賀主筆,雑誌の顔とも言える長谷川純司,友人となる史絵里など登場人物が暗い時代の中で生き生きと輝いている.
    ハツが有賀に薫陶を受けて編集から作家へとそして主筆へ進んでいくお仕事小説でもあり,戦争の理不尽さを訴えてもいて,何より芸術文化の香りのする格調高い物語だ,

  • 「友へ、最上のものを」
    有賀さんはすごい人だな、ハツさんと同じようにお慕いします。何があっても自分が最上だと思うものを選べる人になりたい。

    贅沢は敵だとか家庭で使うものまで供出しないとダメなんて、そこからして無謀なことだったのだと、今なら大きな声で言える。でも、当時はどこかでそう感じていても言えなかったのだろうなぁとも思う。未来のある若者まで駆り出してまで、何を得たかったのか。得るものなんて何もなかったはず。どこで亡くなったのかもわからないような事態を二度とおこしたくない。

    そんな時代に『乙女の友』を出し続けたことは、意味があったのだろう。

    今、この物語が紡がれた意味を考えたい。

    ハツさん、頑張って生きて良かったね。胸がふるえました。

  • でぃあ はつこ しんしありい ゆあず

    自分もその世界に生きているかのような臨場感で、度々涙腺が緩んだ。惹きつけられる力がすごくて、紡がれている言葉がとても素敵!他の作品も読みたくなった。

  • 尊い。
    悲しくもあるけど困難な時代に一人の女性が必死に生き抜いたお話。
    ハツがピュアで一生懸命だからこそ、それを妬む美蘭の気持ちもよくわかる。
    読んでよかったと思える作品でした

    2018.11.24

  • 2018/10/24
    高ぶった。
    途中「戦争は嫌だなぁ」と心の底からの声が出たので反戦にはこういうのを使えばいい。
    最後の有賀主筆からの贈り物は泣いた。
    ちゃんと生きてハッちゃんに言ってあげてよ。
    でも次の生で必ず巡り合えるよ。
    私も志高くちゃんと生きようと思った。

  • 久々に、読み終わるのが惜しいと思った本でした。
    雑誌「乙女の友」の熱心な読者だった波津子が、憧れのその雑誌の出版社で働くことになり、荒波にもまれながらもへこたれず、戦前戦中戦後と駆け抜け、少女から大人へと成長していく物語。そして、戦時中の言論規制の中で戦った出版社の歴史の物語でもある。
    出征した有賀から波津子への電話、そして最後のメッセージ…泣きました。美蘭の有賀への燃えるような想いや、純司の秘めた想いも……皆それぞれが仕事に恋に、懸命に生きる姿に胸を打たれました。
    時代を越え、最上のものを受け取りました。本当にいい本だったなぁと読み終わってからもしみじみしてしまった。あまり小説の実写化は好きではないのですが、この作品はNHKの朝の連ドラとかで見てみたいなと思った。

  • 心が震える本だった。
    朝ドラにして欲しい。
    戦前から始まる乙女の友という雑誌を作る人たちの話。
    「友へ、最上のものをー。」

  • 良かった。
    読んで良かった。

    この時代のお話が大好きなんですが
    そうと知らずに手に取りました。
    得した気分です。

    切なくて愛おしいお話。

    美蘭さんはズルいです。

  • 乙女心を持つ熊系男子としてはこの表紙で既に胸キュン。柔らかくて優しくて、作り手の伝えたい気持ちが前面に出ていると思います。題名もいいですよね、会えないけれど会いたい友達など色々な意味にとれるこの言葉、とてもイイです。
    冒頭のハツおばあちゃんの回想から始まる瑞々しい乙女の一代記。大事に大事に雑誌が読まれていた美しい時代が見たこともないのに目の前に広がります。
    煌びやかな人々に気圧されて身をすくめるハツに心を痛め、必要とされていない出版の世界の中で、なんとか自分の居場所を作ろうと必死な姿に心の中で声援を送り、雑誌作りに奮闘しながら、彼方の友(読者)たちへ素晴らしいものを届けようとする姿に胸を熱くして読みました。
    過ぎ去りし日々の暖かな光は、過ぎてしまうと切なさが伴うけれど、思い出す光が有るという事は本当に幸せな事です。創作ではあるけれど、戦争前後を乗り越えてそれでも人々に色々な希望を届けたであろう出版という仕事は本当に尊いです。
    ハツが作中で書く「フルーツポンチ大同盟」読んでみたいですね。

  • 新聞の書評を読んで図書館にリクエストした本。
    伊吹さんの作品は初めてだったが、はまった模様…他の作品もリクエスト中。

    最初から最後まで、飽きることなく読めた。
    最後は終わらないで!と思ってしまった。

    情景が目に浮かぶ作品と評されていたが、本当にその通りだった。
    ハツさんと一緒に自分も銀座を歩けたら…と思った。
    憧れの主筆のアシスタント?になる強運はなかなかないと思うけど。

    両親、幼馴染み、上司、同僚…戦争で次々と散り散りになっていくシーンは辛かった。
    でも最後はわずかな期待がどんどん大きくなっていって…感動的だった。
    久々に本を読んで涙が出た。

    自分の仕事が知らない誰かの力になるなんて、素敵だと思う。

  • 良かった

  • 昭和初期の少女向け雑誌の編集者たちの物語。
    戦局が進むに連れ、散り散りになるメンバーと衰退していく紙面。
    編集者たちの情熱と、70年かけて明らかになる真実。
    直木賞候補作ですが、個人的には受賞作よりこちらのほうが面白かった。

著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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彼方の友へ Kindle版 彼方の友へ 伊吹有喜

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