豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537238

感想・レビュー・書評

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  • 変奏曲・ABCの殺人
    社内偏愛
    薬味と甘味の殺人現場
    夜を見る猫
    豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件
    猫丸先輩の出張
    の六編。
    一番興味がひく『豆腐の角に〜』。戦中、陸軍の研究所で兵士が死んでいた。豆腐のかけらが散らばっており、豆腐の角で頭をぶつけ死んだとしか考えられない状況であった。なんだろうって注目を集めるのが上手い作家さんね。豆腐事件のタイトルとか、猫丸先輩のこととかユーモアいっぱいで楽しく書いているんだろうなあ。倉知ワールドそのもの、その世界でハズレがないかな。私の中では”豆腐”と『ABCの殺人』、ABC、パロディだけれど楽しめたかな。

  • タイトルと表紙のデザインが興味をそそる。
    やはり一番読み応えのあったのは表題作。
    後頭部に傷が一つ。四角い角で殴った様な深い傷。そして屍体の周りには粉々にぶちまけられた豆腐が一丁。どう見ても豆腐の角に頭をぶつけて死んでいるようにしか見えないが…?
    勝手にお笑い系かと思っていたけれど予想外に(?)とても真面目な短編。
    不可解な点の多い事件の裏に隠された真相とその背景に、何とも言いがたい気持ちになった。

    他にも現代の社会問題を風刺するような短編が多かった。
    特に『社内偏愛』は日本の未来を予言するかのような展開にニヤリとなる。

  • ユニークなタイトルに惹かれて、初読みの作家さん。
    短編が6本。
    ショートショート風のオチがあったり、SF風味だったり、語り口がバカミス風のものがあったり、楽しく読める。
    謎解きやトリックの他に、ちょっとひやりとする人間の怖さとか、未来に対する警鐘や、過去や現在における、この国の“ちょっと変だよ”という主張、社会問題などが、どの作品にも織り込まれている。


    『変奏曲・ABCの殺人』
    心の中に秘めたる殺人願望…
    この“変奏曲”は笑うところなのか…?
    クリスティも嘆くわ~

    『社内偏愛』
    ワタシニモ カンジョウ トイウモノガ アリマス

    『薬味と甘味の殺人現場』
    犯人の見当はついたが、容疑者はなぜ、そんな余計なことを?奇妙な死体に警察官は悩む。

    『夜を見る猫』
    猫には人に見えないものが見える?
    しかし、人間は枯れ尾花の正体を看破る。
    どこかにありそうで怖い。

    『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』
    風船に爆弾つけて飛ばすとか、本気で考えていたから、この国。

    『猫丸先輩の出張』
    5年間かけて開発された新素材。
    研究所から本社へデータを持ちこむのは手渡しが一番安全、と、浜岡がその任に当たるが…
    なぜか、奇人変人の先輩がそこにいた。

  • タイトル買いしたやつ。6つの短編集で、夜を見る猫が好き。ミステリーなんやけど、猫に凄い癒される。変奏曲ABCの殺人は人間の醜さの塊やな。どれも変化球な感じのミステリーで面白かった。

  • 完全にタイトルに惹かれました。
    ちょっとおふざけ設定も多くて楽しかったり、ゾクッとしたり。ソワソワしたり。

    最後の『猫丸先輩の出張』に出てくる猫丸先輩が出てくる本は未読なので今度読んでみようかな。

    『変奏曲・ABC殺人』のオチが完璧すぎて、とても大好きです。どうなったのか気になる…。
    『社内偏愛』はミステリーじゃないな?と思いつつ、これからの社会で本当に起きそうな気がして楽しかったです。
    表題作の『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』は、何となくインパクト弱くてあまり印象に残りませんでした。

  • 「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件」
    そんなバナナ。


    変奏曲なABC殺人。マザ・コン。ネギと殺人。夜を見る猫。豆腐と殺人。そして、ねこめろんくん。 タイトルから察するに十中八九真面目なミステリーでは無いと踏んでいたが、その通り。変化球づくしの短編集になっている。


    倉知淳の作品は「シュークリーム・パニック」以来に手に取ったのだけど、この方はユーモア系もゆるっとしたミステリーも風刺系やアットホームなものもイケるのだと確認できた。そもそも一つ一つの短編がピチッと終わる感じが良く、ああ読み切ったと思えて、個人的には好み。


    また、猫丸先輩はデビュー作「日曜の夜は出たくない(猫丸先輩シリーズの第1作目)」の主人公だったのかと。表題とは時代背景も全く違うし、どんな意図でこの短編集に収められたのだろう。とにかく映像化しやすそうなキャッチャーなキャラクターで、猫丸先輩のおかげ?で、がっつりユーモラスな仕上がりになっている。


    個人的には、変奏曲なABC殺人とマザ・コンが、好きかな。前者は終わりは予測可能で、あれ?もう終わり?となるけど、なんかそれが良い。特に大掛かりな仕掛けがあるわけじゃ無いけど、このさくっと感。好きであります。


    後者はオチが効いてるのが良い。マザ・コンの支配下から逃れたかったが、また別のマザ・コンが立ちはだかる。その上でこのオチ。世にも奇妙な、に出てきそうな短編。


    この短編集は、ゆる〜い読了感がストロングポイント。ゆる〜い感じになりたい時はおススメ。

  • ミステリ短編集。何たるタイトル、ってので気になって仕方がありませんでした(笑)。
    お気に入りは「猫丸先輩の出張」。いやもうひさびさの猫丸先輩だ! ってのだけでテンション上がりまくり。そして期待にたがわぬ面白さ。
    猫好きとしては「夜を見る猫」も好き。ミステリとしてはかなりシンプルだけれど、この猫と戯れまくってる物語だけでも充分すぎるほど満足ですってば。
    そして何ともタイトルが気になる「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件」。もしやバカミス路線? と思ったけれど、至極まっとうでした。でも主人公の抱く危惧がたしかに一番恐ろしく思える……ユーモラスだと思っていたけれど、最後にはうすら寒いものを感じさせられました。

  • さすがの猫丸先輩に敬意を表して星4つ。
    他は星3つ未満と感じた作品もあり、ちょっと不満。
    ただ、
    「夜を見る猫」のおばあちゃんの静岡弁が優しくて泣きそうになった。
    寡作で知られる作家さんだが、ここのところ立て続けに出版されて、ファンとしてはうれしい限り。

  • ノンシリーズの短篇5作に、猫丸先輩シリーズの新作1作を加えた作品集。
    大好きな作家さんなので期待して読んだが、予想に反して出来がイマイチだった。全くミステリじゃないのが数篇あったし、ミステリにしても「あれれ、これで終わり?」と拍子抜けした作品ばかり。表題作も空前絶後のトリックかと思ったら、実は・・・。
    唯一、巻末の猫丸先輩だけが面白かった。ただこれも、いつものシリーズよりは推理に念が入っていて、ガチの本格ミステリっぽくなっていたのが若干違和感があった。トータルで、残念だけど著者の単行本の中では下位の部類だと思う。

  • いろんなテイストのミステリが読める1冊でした。
    もっと何かありそう!と思わせて、案外あっさり終わるので割と読みやすかったです。

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著者プロフィール

一九六二年静岡県生まれ。日本大学藝術学部卒。九三年「競作 五十円玉二十枚の謎」に応募し、若竹賞を受賞、九四年『日曜の夜は出たくない』で本格的に作家デビュー。二〇〇一年『壺中の天国』で第一回本格ミステリ大賞を受賞。著書に『星降り山荘の殺人』『片桐大三郎とXYZの悲劇』『皇帝と拳銃と』『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』『月下美人を待つ庭で猫丸先輩の妄言』などがある。

「2021年 『作家の人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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