- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408537306
感想・レビュー・書評
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10話の短編が少しずつ繋がっていく。
ある都市の真ん中にこんもりとした山があり、頂上にはお城が。麓から何本もの登山道があるが…
夜にライトアップされたその姿はまるで虚空に浮かぶ魔城のようである…
そんなプロローグ的な始まりからの1話目。
登場する高校生の少女が中学時代の担任と山で再会し関係を持つ。少女の執着はしだいに狂気となり…
まぁちょっとサスペンス的な話で☆3くらいかな
と(´∀`*)めちゃくちゃ短いし笑
2話目も場所は当然この城山の周辺だけど、まったく別の話。話の時代も書かれてないし名前も名字だったりニックネームだ…ここからとりあえず登場人物の名前と特徴をメモしとくことに_φ(・_・
3話4話と読んでくうちに何とも言えないキミの悪さです…
あれっ?あの時ちょろっと出たアイツじゃない?
え〜っ?こんな事になってたの?と繋がりが分かって来ますがそれが怖い(-_-;)
後半からは「ページを繰る手が止まらない!」の帯の煽りも納得の面白さですd(^_^o)
どうやら舞台は四国のようですね。
不思議な気味の悪さがピッタリ♪
四国の方ごめんなさいm(_ _)m
前に読んだ宇佐美まこと作品とは全く別ジャンル。
どうやらこの方自分が読みたい物を書くらしい。
うん!満足の一冊でした(๑˃̵ᴗ˂̵)
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城山が真ん中にある街の中で起きる怪奇な話の短編集。最初の話はなんだこれ?だったけど読み進めていくとじわじわと人や不幸が繋がり山の深さと怪奇が浸食していきすぐ傍にある暗闇の暗さに驚く展開になる。ホラーともファンタジーともいえる読後感。この人の過去がこれか!とか現在はあんな事に!とか時間軸も飛び越えるので一気読み必須。何度読み返して確認したか。でもまだ何か読み落としている繋がりがある気がする位各短編間の関係が周到に張り巡らされていてミステリ好きとしても満足。
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真ん中に山城をシンボルに持つ地方都市で薄気味の悪い事件が起き、短編が進むごとに少しずつつながって行きます。狂気と不思議な生き物の存在で町が違うものに感じられて来ます。
戦前に書かれた絵に描かれた、コウモリの顔と猫の体を持つ三本指の生き物。それが森の中にうごめいていますが、果たしてそれは悪なのか善なのか・・・。
なんとも形容のし難い物語で、読んでいて指先が冷たくなる感じでイヤーな気分が蓄積して行きます。ホラー?そうねホラーかもね。 -
10話で構成された連作短編集。
1話づつでも十分恐ろしいが読み進めて行くと各話が微妙にリンクされている事に気付き浮かび上がる人物相関図と背景に恐ろしさが上書きされる。
舞台となっているのは街の中心にある城山の魔界
この場所で次々と起こる不可思議な事件の数々。
最初から最後まで文中から不穏で陰鬱な空気が溢れ出しゾワゾワしながらページを捲り続けた。
「白い花が散る」で祖母の孫に対する深い愛情を感じ涙するも、一筋縄では行かないラストにゾッとする。
魔界に呼ばれた者達の複雑に絡み合った運命の結末を知った時、恐ろしさは更に増す。 -
ちょとずつ、ちょっとずつつながっていく短編集。
最後はちょっとゾワッとした。 -
罠ではないよな
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面白くなくはない(ていうか、面白いw)んだけど、読んでいて、なぁ~んか物足りないだよなぁ~。
何なんだろうなーと思っていて、「711号室」を読んでいたら、あ、これって、(ストーリーの核が)「実話怪談」と同じなんだと気づいた。
とはいえ、プロの作家の書く話だから。描かれる世界は「実話怪談」のそれより全然リアルなんだけどさw
でも、ストーリーを「実話怪談」に出てくるような決まりごとで紡いでいっちゃうところがあるから、「ホラー小説」の一歩手前で終わっちゃう。と言ったらいいのかなー。
いや。「えー、そこがいいんじゃん!」という方もいるだろうし。また、それもとってもよくわかる。
でも、「ホラー(小説)」って、最近は衰退の一途なこともあって。ホラー小説ファンとしては、(怪談ではなく)「ホラー小説」として書いてほしかったと思ってしまうんだろうw
思うに、受け継がれる不幸の連鎖、人を死に追いやる三本指の指の小動物や白い蛾、死が見える人、死者と普通に対話出来る人等々、(ホラーの)物語としてはどれも魅惑的な要素なのに。それをつなげるものが、「城山の森」という曖昧なものしかないため、ホラーではなく怪談っぽくなってしまうんじゃないのかぁ~。
見も蓋もないことを言うようだけど、それがどんなに鬱蒼とした森だったとしても、所詮は街中にある小山の森でしかないわけでw
(東京近辺の感覚で言っちゃうなら)それがどんな森だったとしても、高尾山や筑波山よりは小さい森なわけで、高尾山や筑波山って、そんな不気味さはないよなーってなってしまうんだと思う。
(実際は、どこに行っても人を感じる関東近辺より、四国辺りだと何か違う雰囲気があるんだとは思うけど…)
あと、読んでいて、語り手がやけに草木の名前に詳しかったり、難しい言葉や一般的ではない用語を使うのが気になった。
それこそ、「白い花が散る」の語り手だ。
「白い花が散る」語り手は、冒頭「オレは頭が悪い」で始まり、「そうなったら、シュラバだ。シュラバってどいう字を書くか知らないけど」という人なのだ。
そういう人が、「蔓性植物」だの「体躯」なんて言葉はまず使わないと思うのだ。
また、「凝視している」ではなく、「じっと見ている」みたいな普通の言葉ではなぜダメなんだろう?
実はそれ、最初のその城山の説明で「平山城」や「郭」という言葉が当たり前のように出てきて、ちょっと違和感を覚えた(ま、昨今の城ブームで、それらの言葉も一般化したとはいえw)。
「繭の中」で、その語り手である、ずっと遠洋漁業で暮らし、大酒で身も家庭も壊しちゃったような人が「キャンパス」や「アダルト・チルドレン」なんて言葉を言い出した時は、思わず「はい!?」ってw
いや、重箱の隅をつつくような話で本当に申し訳ないと思う。思うのだけれど、ホラーというのは、やっぱり雰囲気だと思うのだ。
ホラーだし、フィクションだから、そこで語られることは現実でないに決まっているのだが、でも、読んでいてその雰囲気に酔わさることで、読者はそのフィクションと現実と異世界の境を彷徨うようになっていく。
ホラーの楽しみというのは、そこ!現実でもなく、かといって丸っきり異世界でもない、その境目を彷徨うことだと思うのだ。
でも、なんかしら違和感があると、その物語の世界の現実味が壊れてしまう(異世界がたんなるお話の中の話になってしまう)。
それが壊れてしまったら、読者はその雰囲気に酔えない。酔えなければ、読者はそのフィクションと現実の境を彷徨えない。
そうなってしまったら、それは「実話怪談」という作り話になってしまうと思うのだ。
そう。自分は、怖い話を読みたいんじゃない。怖くて面白くいホラー小説を読みたいのだ!w
と、否定的な感想ばかり書いてしまったが、でも、個人的にはこの著者は何かひっかかるものがある(生意気言うようだけどさw)。
なんだろう? その内、ものすごいホラーを書いてくるんじゃないだろうか?っていう期待みたいな。
ということで、その時、「コイツ、この作家にこんな低い評価つけてるよ」と言われちゃうのもイヤなので、★は4つにしておく(爆) -
ミステリーというよりは、ホラーファンタジー的な。
伊坂さんの本みたく、全ての話がどこかかしらでつながって全体を構成する流れはすごく面白かった。
みんなが城山とその森を中心に闇を抱えてるなか、唯一「白い花が散る」の話だけ救いがあってよかったなと。 -
古い城山のある町で、生活する人々。中学校の恩師との愛に狂う少女、苦悩する絵描きの妻、かつて暴力とともに捨てた息子の子供を見守る父親、児童養護施設で暮らす動物と心の通じ合う少年……城を内包する森に、山に人々の情念が惹かれていく。
最初の二、三話は悪夢のような、嫌な感じなんだけどややぼんやりした印象だったのだけど、四話くらいになって話の繋がりが見え始めてからの楽しさがすごい。特に『酔芙蓉』読んでる最中に、真相の想像がついた段階で一話読み返した時の繋がった感が最高だった。ただの人嫌いかと思ってたら。基本的にホラーなんだけど重苦しくなく、どこか遠い夢のよう。
だから、図書館ぶらり旅は、滅多にできず、新規開拓は難易度高い。
そして、自転車も置けない受け取り所なので、ある程度文庫混じりで無いと、重い!
車で10分ぐらいで通勤の途中でも寄れるので便利です♪
車で10分ぐらいで通勤の途中でも寄れるので便利です♪