少女たちは夜歩く

  • 実業之日本社
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本棚登録 : 112
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537306

感想・レビュー・書評

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  • 10話からなる短編集。
    不思議でちょっと不気味な話が多く、読んでいてそれなりに惹きつけられる。
    でも、読み終えた時に何かひとつ足りないな・・・と思う話ばかり・・・と思いきや、中盤のある話からこの短編集の話は全てつながっていたんだと分かる。
    そして、つながりの先の話を読んだ時、足りないと思っていた1ピースがピッタリとはまり、きれいに完結した。
    薄くて物足りないと思っていた話のどれもがそれぞれ、深みを増したように感じた。

    この短編の舞台は愛媛県、松山市・・・と地元の人間なら読んでいてすぐに分かる。
    松山城を舞台にしていて、その周辺の東雲神社や女子高校も周辺の様子も、ちょっと違う所もあるけど、ほぼそのまま使われていた。
    そして、そこを舞台に登場するのは、
    松山城へ続く森で恩師と出会い、恋に落ちる女子高生。
    姑の依頼で絵の修復をする修復士の女性。
    若い頃の素行により、妻、子供をなくした孤独な老人。
    吃音のある子供のことを気にかける保育士の男性。
    とある事から夫の浮気を知る主婦。
    いなくなった飼猫を探す主婦。
    知り合いの男性から一時期、赤ん坊を預かる男性。
    高校の美術教師。

    彼らが微妙に、共通のキーワードを介してつながっている。
    そのつながりが無理がなくて絶妙だった。
    人の肩の上にその人の秘密が見えるとか、絵からもうひとつの別の絵が見えてきて、そこに描かれているものが自分に関係しているとか、発想も面白い。
    個人的には、なじみのある場所が舞台なので、読んでいて親しみがわいた。
    この本では城山に続く登山道は森のように描かれているけど、森というには大げさにしても、そんな風に見えない事もないか・・・と思った。

  • 中心に城山がある四国のとある街で起こる事件の数々を描いた連作短編集。ジャンルとしてはホラーなのだろうが(実際に数編はとても怖い)、無関係と思えた一編一編が次第に関連してくる構成が絶妙で唸った。キーパーソンだと思っていた人物が死んでしまったり、接点が無い感じの2人が意外な形で交差していたりと、先の読めない展開にワクワクし通しだった。『骨を弔う』も良かったが、これも全く遜色無い。宇佐美さん、今後も読み続ける事に決めた。

  • 「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    これこれ。
    日常と地続きのところにある暴力や人殺し。
    乾いた殺意。
    ほのかにただようホラー。

    柄にもなく相関関係を作りたくなるような
    錯綜した、しかし閉じたように狭い人間関係も
    恐怖感をつのらせる。

    誰が主人公だったのだろうか。
    それさえもよくわからない。

    『「骨を弔う」筆者が放つ話題作』と宣伝文句にあったが、
    「骨を弔う」より面白かったと思う。

  • ややホラー。全ての話がどこかで繋がってるんだけど年代が微妙に前後してるので行きつ戻りつしながら読みました。怖くはないけど不思議な感じ。キリキリキリ鳴くアレに咬まれないように生きねば。

  • ホラー要素もありましたが、怖がりな私でもするする読めました。短編集でいて、一つ一つ繋がっているので、前後日談のような感じで、楽しんじゃいけないような内容なのに楽しんでしまいました。良い人も、困った人も、怖い人もいたけど、読後はふわっとファンタジーのような雰囲気も感じるので不思議。キリキリ…という音?声?にしばらく敏感になりそう。

  • ミステリーというよりは、ホラーファンタジー的な。
    伊坂さんの本みたく、全ての話がどこかかしらでつながって全体を構成する流れはすごく面白かった。
    みんなが城山とその森を中心に闇を抱えてるなか、唯一「白い花が散る」の話だけ救いがあってよかったなと。

  • 城山が真ん中にある街の中で起きる怪奇な話の短編集。最初の話はなんだこれ?だったけど読み進めていくとじわじわと人や不幸が繋がり山の深さと怪奇が浸食していきすぐ傍にある暗闇の暗さに驚く展開になる。ホラーともファンタジーともいえる読後感。この人の過去がこれか!とか現在はあんな事に!とか時間軸も飛び越えるので一気読み必須。何度読み返して確認したか。でもまだ何か読み落としている繋がりがある気がする位各短編間の関係が周到に張り巡らされていてミステリ好きとしても満足。

  • (図書館本)お勧め度:☆5個(満点10個)。タイトルからして、きっとホラーだろうなとは思っていたけど、宇佐美さんの作品はホラー性もあり、ファンタジー性もあり、さらにSFっぽくもある。何というかすべてが混合したような作品が多い。この作品も、とある都市の平山城をめぐる住人の恐ろしい体験をもとに展開する。街の真ん中に鎮座する魔城の森に住む奇妙な生物がそれぞれの短編に絡んでくる。そして人々が奇病でなくなったり、繭の中で死んでいたりと不思議な現象が続く。あまりにも暗い話ばかりで読後感はあまり良くない気がする。

  • 女は怖えーわ って思わせる本かぁー
    って思いつつ読み進めてみたらそれだけではない
    人の弱さや逆に強さも感じ…
    なんか新しい触感の文章ってカンジ。

  • 読んでて「あれおかしいな」と思ったところが、最後で「そうだったのか」ってなる。

    ホラーではないけど、ぞわーってした

  • 城の周りにある結界には
    人の愛情や 未練 暴力や裏切りなど
    どろどろしたものも一緒に巡っていて
    より濃く より暗くなっていくようです
    飲んだくれのDV男に
    蛾をのどに詰まらせて 殺すなんて
    ちょっとニヤリとさせる面白さがありました
    なんとなく DV男には
    相応しい最後じゃないですか?
    窒息すれば もう嘘は吐けないよね

  • 黒い点がじわりじわりと広がってにじんで、大きなしみになっていくような感じです。いつかの私の姿かもしれない…。

  • 古い城山のある町で、生活する人々。中学校の恩師との愛に狂う少女、苦悩する絵描きの妻、かつて暴力とともに捨てた息子の子供を見守る父親、児童養護施設で暮らす動物と心の通じ合う少年……城を内包する森に、山に人々の情念が惹かれていく。

    最初の二、三話は悪夢のような、嫌な感じなんだけどややぼんやりした印象だったのだけど、四話くらいになって話の繋がりが見え始めてからの楽しさがすごい。特に『酔芙蓉』読んでる最中に、真相の想像がついた段階で一話読み返した時の繋がった感が最高だった。ただの人嫌いかと思ってたら。基本的にホラーなんだけど重苦しくなく、どこか遠い夢のよう。

  • 怪奇小説なのだろうが、2話目で興味がはずれてしまい、3話目以降ようやく構造を把握できたのだが、結局入り込めずに終わってしまった。

  • 面白かった。独特の趣きがあり、魅了された。

  • 読み終わって言葉が見つからない。敢えて言うならば、因果応報の連鎖かな。沸き起こり、心から離れることのない情念に取りつかれた人々。その感情のいなし方、行動のパターンは、遺伝由来の賦質からか、それとも後天環境によって変えられたものなのか。否定してもこの体にあの血が流れ巡る性。宿命か、神のなせる業か、人がコントロールしえない筋書きが綴られた短編の数々。倫理の一線を越える様子が、あたかも自然に違和感ない筆致で、でもそこには幻を見ているような違和感が残る。何ともアンビバレントな感覚でそれがこの作品の魅力でもある。

  • 街の中心にある城山の魔界にからめとられ、闇に彷徨う人々。悪夢を見た彼らに救いの時は訪れるのか―ミステリーからホラー、ファンタジーまで越境する魔術師・宇佐美まことの到達点!(e-honより)

  • 久々のホラー。
    ゾゾーっとしたわ。森の暗さがそうさせるのか。

  • 宇佐美まこと氏3冊目にして、氏の描かれる物語に囚われる。
    四国、松山の城下町を舞台にした短編風に描かれた10編が
    少しだけの謎と結末を迎えないままリンクしていき、
    最後の『おわりのはじまり』で全てがひとつに繋がっていく妙。
    人が陥りやすい弱さや狂気、人の負に連鎖されるように
    起こる怪異を本当に丁寧に物語と昇華される。
    いつのまにか松山の街に私自身も佇み、
    暗い森の中へと歩いていくような錯覚を覚える。
    またまた、もっと他の作品も読んでみたいと
    思わせる作家のひとりと巡り会えた。

  • 一つ一つが奇妙な物語。そして、登場人物が
    少しずつ繋がっていて、どのお話も「町の真ん中に鎮座する真っ黒な山」が怖さを醸し出している。少しずつ明らかになっていく登場人物の行く末と正体。しかし、恐怖の象徴である山の謎はわからぬまま……。負の連鎖の原因はなだったのだろう?人間の闇が死を招いていたように感じた。

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。2006年『るんびにの子供』で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年、ミステリー小説『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞する。日常に潜む怪異を描き、恨みや妬み、欲や貧困など、人の心の闇や怖さを浮き彫りにしたミステリーが高く評価されている。

「2017年 『角の生えた帽子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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