月の淀む処

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  • 実業之日本社 (2021年7月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784408537863

作品紹介・あらすじ

消えた死体、謎めく大量の骨壺……

怪しいのは、住民全員。

マンションで連鎖する狂気の事件の真相は……!?



注目の気鋭による戦慄のホラーミステリー!



築40年のマンション・パートリア淀ヶ月に引っ越してきたフリーライターの紗季。

ある日、敷地内で行われていた不気味な盆踊りに遭遇する。

祭りに乱入した女が連行されるのを目撃した彼女は、

隣の部屋に住む雑誌記者の真帆子と共に調査をはじめるが……。

住人たちの持つ奇妙な風習、連続して起こる行方不明事件、

徐々に明らかになる驚愕の事実とは……!?



【目次】

プロローグ

第一章 泣く女

第二章 消える男

第三章 替わる男

第四章 描く女

エピローグ

感想・レビュー・書評

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  • 白いヒルガオの花が誘う世界の一冊。

    築40年のマンションの秘密が暴かれるストーリー。

    現代的な建物にそぐわない敷地内の地蔵尊、不思議な盆踊りと序盤から魅惑的な要素がたまらない。

    白い揺れるヒルガオの花に誘われるかのように明らかになる数々に好奇心は止まらない。

    花が時に人魂に時に蛇の鱗にとその時々によって表情を変える様は、住人誰もの表情を変えていくようでこの相乗効果に魅せられた。

    主人公 紗季の、自分の中の正常範囲、それが次第に惑わされ崩されていく感覚も危うくて妖しくてゾクッとくる。

    このマンション、身も心も…実に危ない。

  • 引っ越してきたマンションがなんかおかしい。
    おかしな盆踊り、過去の虐待事件…
    ミステリーかと思って読み始めたら、じめじめとしたホラー?
    主人公の紗季が、だんだんと洗脳されるように変わっていくところが一番怖いと思った。


  • 月の淀む処/篠たまき 

    初めて篠たまきさんを読みました。
    主人公の紗季が引越したパートリア淀ケ月
    マンションには不思議な習わしがあった。

    夏の盆踊りを機に不可解な事が見え始めるが、
    次第に紗季は怪しい住民の中に入り込んでゆく。

    隣人の真帆子にも、紗季自身にも狂気が見え隠れ
    する様も恐ろしい。

    誰もが怪しく歪んでいて、執着する様は
    狂気染みている、異端な集団の姿。

    ミステリーだけど、ホラーです。

  • 大好き。
    他作品とは何かが違う感じ。
    けれども何故だかとても楽しめた。
    躊躇なく常識を壊す住人。
    マンネンロウの香り髪は、ただでは起きない。
    これからマンションはまた少しだけ揺らぐのだろうか。彼女は自分に危ない卵を産み付けた。孵してはいけない、小さな真珠を。

  • ミステリーだと思って読みましたがホラーですね。
    読み進めるうちになんとなく紗季の気持ちがわかってしまう自分が恐ろしくなった。
    居心地の良さ、安心して暮らせることが異常や狂気より勝ってしまい、馴染んで受け入れてしまう。
    洗脳のようなものなのだろうか。

    元彼の離れて暮らす娘さんへの魔が差してしまった行動までは悪魔の囁きというか、そういうこともあるかもしれないと思ったが、真帆子や最後の方の紗季の子どもに対する猟奇的な感覚がおぞましくて、読んでいてすごく嫌な気持ちになり、現実に引き戻された。

  • 湿度も粘度も高い、不快指数100%のまがまがしさ。寝苦しい夜にぴったりの不眠本登場!
    まともな人なんて、この世には存在しないんじゃないかと思えてくる。自分の中に狂気を見つける快感。あぁ、ハマってしまった。

    古い村がそのまままるごとマンションに。まずはその設定に惹かれる。
    なるほど、その手があったか、と。
    街に建つマンションが古い因習にとらわれた村を存続させていく。一見不可能に思えるその存在。
    幽霊の正体が枯れ尾花だったとしても、その奥にこっそり幽霊がたたずんでいるのかもしれない。
    それが、街の中のマンションならあり得るという以外さ。
    血と土の匂いのする都会。安眠が遠のく一冊。

  • ミステリーなのかホラーなのか、読んでいてわからなくなってくる。
    この不思議な世界に私も迷い込んでしまったかのよう。

    紗季は普通の女性で普通の感覚の持ち主のようだけど、こういう人が一番おかしくて怖い。
    真帆子の詰めてくるような話し方も不快だし、マンションの住人たちもやばそうなヒトだらけ。

    なのに読み進めていくと、マンションの秘密を暴こうとする真帆子に対してこの住人たちと紗季の暮らしに波風立てないでほしいと思ってしまう。

    何がおかしくて誰が異常なのかわからなくなっていく感覚、読み終わってゾッとした。

    普通に考えて、村のしきたりを街中のマンションでやり続けようとする老人たちの執着も怖いし、笙の正体もよくわからない。
    隣人の直樹も善人だけれど(表向きは)得体の知れない人間だし、お隣りは連続殺人犯の真帆子。
    そして、心の奥底にサイコパス要素を秘めている紗季。

    何も知らずに値段だけで選んでこんなとこに住んでしまったら、、
    エピローグも後味悪いし、この作品はぜひ梅雨のジメジメしたどんよりした日に読んでいただきたい。

  • マンション「パートリア淀ヶ月」に越してきたフリーライターの紗季。
    不気味な習慣のあるマンションについて記事を書こうと、隣人の真帆子に誘われ調べ始める。ホラーミステリー。

    表紙のこれ誰?読み終わってもわからない。
    八方美人でハッキリしない紗季、流されてやっていたお参りや民生委員の相手がストーリーが進むうちに意味合いを変えていく… 
    住民全員●●。
    狂気にゆっくりと浸食されていくような雰囲気がなんだか病みつきになります。●に何が入ると感じるか、読んで味わってみてください。

  • じわじわと浸食されていくような、引きずり込まれていくような感覚になる作品だった。主人公の紗季の視点で進んでいくので、徐々に彼女の日常が普通から離れて、狂気みたいなものに呑まれていくのが面白い。
    淀ヶ月の奇妙さがだんだん親しみに変わっていく。一方で隣人である真帆子の異常さも加速していく。結構終盤まで結末がどうなるのか、紗季がどちらを選ぶのかが読めなくてハラハラしながら一気に読んでしまった。
    紗季自身も罪を背負っていて、会社の倒産も経験して、なんというか本当に、淀ヶ月の人々の疑惑よりも生活や将来の不安の方が問題に思えるのが生々しくも少し共感してしまった。
    エピローグの一見問題なさそうな平和の片隅で、真帆子が残した不穏分子が垣間見える終わり方がまた良かった。

  • これは狂っていて面白かった。はじめ忌避していた主人公が徐々に向こうの世界へと移行してゆくのが楽しい。それにともなって主人公の目に映るヒルガオの印象が変わっていくのもうまい。主人公の抱えた闇も、副主人公の隠された真実、異常性も楽しい。この「パートリア淀ヶ月」まだ空き部屋があるのなら僕も住みたい。収入証明ではじかれるかもしれないけど。

  • アパートの神様、アパ神

  • 何きっかけか忘れた本。

    ホラーと若干のグロ。

    何事も抵抗するより受け入れてしまったほうが生きやすいという話。

    表紙イラストは真帆子だろうか?何故真帆子?

  • 2022/12/21

  • 産み直し…児童虐待…
    やっぱりマンションもの?ホラーって怖い……

  • 事故物件のあるマンションの一室を買い、それまでの生活から逃げるようにやってきたフリーライター紗季。彼女が目にするのは集会所でのお通夜、奇妙な盆踊り、エントランスに結界のように張られたしめ縄…。まるでマンション全体が一つの閉鎖された集落のよう。異常さを調べ始める紗季と隣人・真帆子、少しずつ明らかになる紗季の事情やマンションの実態に圧倒され、いつしかこの物語の香りまで伝わってきそうな雰囲気に呑み込まれていた。悲しい、怖い、許し難い…。エピローグの何事もない一日を切り取ったような情景が、ぞわりと私の肌を撫でる。

  • ほぼ1棟のマンションの中でお話しが進んでいくのだが、何故が先が気になって一気読み。ホラーというかダークファンタジーというか不思議なテイスト。続編が出たら読んでみたいとさえ思ってしまう。

  • 途中で挫折しそうになったのですが、頑張って読み続けたら後半は盛り上がったかなあ。四冊目ですが次も。

  • タイトルと表紙を見て、ふんわりミステリーかと思って読むと後悔します。

    この人間には心がない かつて、『黒い家』のキャッチフレーズになったコピーですが、これをすぐ思い出しました。この本の場合、人間たち、ですが。

    真帆子をとりあげれば彼女が外道なのは序盤でわかりやすい。獲物をみつけて洗脳、支配する人間って、こんな人だな。
    団地を支配してるのこの人かと思った。
    他の人もみんな。

    個人的な好みにはなりますが、読んでいて、なかなか話に入っていけなかった。ページを目が上滑りするというか…
    表現もおなじ言葉を繰り返しますし、情景が浮かびづらい。
    モチーフも、幻想的だったり、サイコミステリー?土着系ミステリー?カルト?色んな要素が混ざってて、短いせいか、ちょっとまとまりきれずに生かしきれず、もったいない感じでした。

    全体を通じて、人間のにおいが感じられない、AIが書いたらこんな感じなのかな、と言う作品でした。作品内容に合わせて、あえてそう表現して書いたのなら、すごい手腕ですね。

    すごいネタバレになってしまいますが………(以下 )


    乳幼児が家族にいる場合、ものすごく不快になります。



  • 「氷室の華」を読んで一瞬で好きになってしまった篠たまき先生の最新作。

    作品全体に漂う不穏な空気が大好きです。

    各所「ぞっ」とするシーンも、優しくここだよと教えてくれるようなストーリー運びも親切で、ホラー、ミステリ初心者もきっと楽しめるかと思います。

    終わりかたも余韻と未来への不安を感じさせてくれて、最高です。
    読後も色々なことを妄想して楽しめます。

  • 不思議なマンションで起こるき奇々怪々な出来事、多くの骨壺、奇妙な盆踊り、深い因縁ラストに待つ衝撃な事実とは、この夏いちばんの傑作ホラーミステリーあなたも肝を冷やして下さい。

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著者プロフィール

しの・たまき●秋田県出身。東京都在住。ホラー作家、ライター。第10回「幽」文学賞短篇部門にて「やみ窓」で大賞受賞、デビュー。著書に『人喰観音』『氷室の華』『月の淀む処』などがある。

「2022年 『やみ窓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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