- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408537993
作品紹介・あらすじ
1冊の本と、10年前の謎――この世界が愛おしくなる、瑞々しい青春小説!
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、なぜいま野亜高校の図書室に戻ってきたのか。体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す。未来はまだ見えなくても歩みを進める高校生たちと、それぞれの人生を歩んできた卒業生たち――海の見わたせる「はこぶね」のような図書室がつなぐ〈本と人〉の物語。
~~県立野亜高校図書室名物~~
① オリジナル検索機「本ソムリエ」
② 司書の伊吹さん
③ 海が見わたせる窓
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装画:カシワイ
感想・レビュー・書評
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作品紹介にも書かれている通り、本当に“瑞々しい青春小説“。読みながら一気に高校生の頃にタイムスリップしました。
「学校という大きな容れ物の中身は、ごった煮のようでいて、実は細かい膜によって何層にも分けられている(略)が、移動は簡単にはできない。」
スクールカーストまでいかなくても、確実に“膜“はある。
バレーボール一筋だった主人公の百瀬は最後の体育祭を前に足を怪我してしまう。それも、この学校の体育祭への熱の入れ方は半端ではなく、一年で一番の大イベント。校外の人もたくさん見学に来る。目玉は同じ曲を各クラスごとに味付けして踊る通称『土曜日のダンス』。
文化祭や体育祭って盛り上がりますよね〜!
それも、クラス毎にダンスの評価をされようものなら、クラス全体の結束力も高まります。
でも、様々な理由でその盛り上がり、結束力に入り込めなかったから‥‥
毎年盛り上がっていた百瀬は怪我のため、体育祭全般に参加できずただの傍観者。学校中が体育祭の準備で沸き立つ中、友だちにピンチヒッターを頼まれ、しぶしぶ図書委員の仕事のため図書室へ。そこで、今までの生活の中では確実に出会わなかったであろう人たちや本に出会うことになる。“膜“を飛び越えて。
“膜“のこちら側とあちら側。それだけで理解できず敵対してしまうことがある。それは本当の意味で対立しているわけではなく、立場の違いだけだったりする。相手は敵ではなく、お互い一生懸命なだけなのに。
一冊の本をめぐる謎解きや、ほのかな恋愛模様も絡んできて、ザ・青春な物語。
作中に出てくるお薦め本が巻末にPOPの形で載せられていて、またまた読みたい本が増えてしまいました〜!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『金曜日の本屋さん』のシリーズの名取佐和子さんの作品だったので読みました。
『金曜日の本屋さん』ほど本に関したお話ではなく、青春ストーリーでした。
野亜高校3年3組の百瀬花音と3年4組の図書委員の俵朔太郎らが主人公。
図書室にあるはずのない2冊目の『飛ぶ教室』が返却されていて、それには暗号が書かれたメモがはさんでありました。
「方舟はいらない
大きな腕白ども
土ダンをぶっつぶせ!」
これを書いたのは三十三期生の図書委員だった佐々野公という生徒であり、10年前に事故死していることがわかります。『飛ぶ教室』を返却したのは一体誰なのか?そしてなんで今ごろになって?
百瀬と朔太郎は二人で土曜日のダンス(土ダン)に向けて月曜日から日曜日までの1週間で、この謎を解こうとします。
現役の高校生と10歳年上の三十三期生だった五人の図書委員、初代生徒会長までが交流します。
そして、百瀬と朔太郎は「方舟はいらないー」のメモにあったように土ダンに参加できない生徒たちのために動きだします。
曜日ごとの目次になっていますが「金曜日のホワイトボード」は、「うーん、青春だなあ」と思いました。
月曜日の図書室が楽しみですね、百瀬ちゃん。-
まことさんこんばんは★
ツイッターがああだこうだ、と混乱させてすみません。
私もスマホデビューしたのは一昨年の9月でした。私はパソコンが使...まことさんこんばんは★
ツイッターがああだこうだ、と混乱させてすみません。
私もスマホデビューしたのは一昨年の9月でした。私はパソコンが使えないので、そこが違います。ツイッターは暫くこのまま、眺めて、たまに教わりながらつぶやくだけに
(^・^)混乱させてごめんなさい(^-^;2022/04/23 -
ゆうママさん。
私も、昨年の9月です。
一緒ですね。
今、Twitterデビューしました。
#ブクログで検索されると、私の家のお庭が見てい...ゆうママさん。
私も、昨年の9月です。
一緒ですね。
今、Twitterデビューしました。
#ブクログで検索されると、私の家のお庭が見ていただけるかもしれません。
なんか、面白くなってきました。
名前も「まこと」に戻り、アイコンも同じです。
よかったら探してみてください。
では、お休みなさい。2022/04/23
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学園青春ミステリーですね。
主人公の百瀬花音は女子バレーのエースだったが怪我のために部活が出来なくなる。折しも通う高校、野亜高校の体育祭が週末に行われる。クラスの図書委員から頼まれて体育祭が終わる一週間だけ代打を引き受ける。
図書室に出向いて、図書委員の俵朔太郎と図書当番をすることに成るところから物語は始まる。
十年前に貸し出された本がカウンターに返本されてきた謎、その本「飛ぶ教室」に隠された野亜校の体育祭、通称『土ダン』(土曜日に開催されるダンス)に関わる謎が膨らむ。
名取さんの物語は登場人物がしっかりと書き込まれていて、物語の進み方も丁寧で、主人公と一緒に謎解きと高校生活を体現している気分を味わえました。
名取さんの作品は人情味が豊かで心に温かさをもたらしてくださいます。
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青春っていいなぁ。とても爽やか。
ケストナー著『飛ぶ教室』が図書室に戻ってきた理由とは。一冊の本をきっかけに十年前の謎を追う。そして体育祭を間近に控えたなか、図書室を舞台に物語は展開していく。
野亜高校伝統の「土曜のダンス」をめぐり彼らが企てた「方舟計画」。伏線回収により過去と現在が繋がりをみせ、時を経て生徒会と体育祭実行委員も巻き込み大きな事態へ。
体や心にいろいろな特徴を持つ人たちも含めて、誰もが楽しめる環境を作る。それは学校行事に限らず社会においても同じこと。そういった視点を忘れずに持っていたいな。
また、魅力的な登場人物たち。彼女らの小さな心の動きも繊細に描かれていた。そして、かつて高校生だった大人たち。特に野亜高校の主的な存在の学校司書の伊吹さんの、程よい距離からきちんと彼女らを見守っていてくれる感じが好き。
大人になっても忘れたくない気持ちがたくさんあった。
それと「本ソムリエ」という図書室オリジナル検索機。私もおすすめしてもらいたいな。読書において選書って大事。その時の自分にピッタリとあった本と出会えるのは、その後の人生にも影響を与えるくらい幸せなことだと思うから。
最後に、この本の重要な鍵を握る『飛ぶ教室』。読んだことがある人ならより楽しめるはず。児童書ってあまり読んだことがなかったが、これを機に読んでみようかな。 -
netgalleyにて読了
「図書館」や「図書室」とタイトルにある本は、仕事がらどうしても気になる。
名取佐和子さんの作品では「江の島ねこもり食堂」が有名だと思うが、未だ未読の作家さんだった。
藤沢市の辻堂でお育ちになったからか、湘南が舞台の作品が多いようだ。
この「図書室のはこぶね」は、軍艦が浮かぶ海を見下ろす高台にある県立野亜高校が舞台となっているが、軍艦と聞いて横須賀かな?と想像した。
しかも横須賀には野比という地名がある。
いやしかし違う違う。
タイトルにかけているのか〜、と思い直した。
タイトルからもう伏線が張られているこの作品、
主人公はバスケに青春の全てを捧げた三年生の百瀬花音。
部活で負ったケガのため、高校最後の体育祭に参加することが出来ず、準備に忙しい友人に代わって本番前の1週間、図書当番を引き受ける。
三年間で一度も足を運ばなかった図書館での委員代行が、花音を思いもよらぬ謎解きへと導く…。
その謎解きとは…
10年前に図書室から借りられたまま、返却されなかったケストナーの「飛ぶ教室」と野亜高校体育祭のメインイベント「土曜のダンス」、通称「土ダン」との関係が浮かび上がる…。
かつての高校生と現役の高校生がタッグを組み、そこにある壁を壊す。
よく言う陽キャと陰キャの対決かと思いきや、もっと深い物語がある。
脇を固める人物達も魅力的。
現役の高校生だけでなく、未来の高校生、かつての高校生、全ての人に読んでほしい。
2022.3.18 -
徐々に引き込まれていく、青春ミステリー。
10年前に貸し出されたままの本の謎から始まり、体育祭を控えた沸き立つ校内で起きるドラマ。
バレー三昧で、足の怪我のため体育祭も出れずに友人の代わりに図書当番を引き受けた百瀬花音も図書室の存在すら頭の片隅にも無く高校3年になっていた。
そして、一冊の本に挟まれたメモから謎を解明していく…
多数派にはなれない人間が感じることは、どこへ行っても居場所は無く、除外される。
そうなると…逃げ込むのは、図書室で。
「全員で楽しもうと謳う行事は、全員で楽しめる環境を整える必要がある。」
このことばに尽きると思う。
そして、出しゃばらず、遠すぎず、くだけすぎず、ちょいちょい的確な事を言う司書の伊吹さん。
彼女が、初代の女性生徒会長であり、ベイ・シティ・ローラーズの熱烈なファンで体育祭の1日をお祭り騒ぎで楽しもうと始めたこと。
確かに自分の高校の頃もベイ・シティ・ローラーズが、流行ってたなぁ。
伊吹さんと同年代かも…。
いろんなことを思い出し、そして、時代とともに変わっていくこともあって、一番は、みんなが楽しめることなんだと。
感動できる一冊だった。
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友人から一週間限定で図書委員の代打になった花音。
一冊の本と、その本に挟まった手紙に出会い、新しい世界が広がっていく。
ひとつのことを始めようとすると、いろんな考えの人がいる。そして前例とか多数決で意見はまとめられがちだ。そして少数派というか、反対派は肩身が狭く我慢を強いられる、私はそういう時代を生きてきた。少数派の意見にも理由がある。
みんなが楽しい環境を整える
朔太郎、いいこというなと思う。他にも心に刺さる言葉を朔太郎が話していた。
多様性を認める
言うは易しだけど、実現するのは結構難しい
朔太郎と花音の未来に期待。
続編あったらいいな
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ひょんなことから、図書委員を一週間だけやることになった女子生徒が見つけた「飛ぶ教室」。謎のメモが挟まったそれを書棚に戻そうとするが、そこには同じ本が。この本はどこから来たのか。メモの謎は?!女子高生の謎解きが始まる。
まぁ小説なので、猪突猛進、謎に向かっていく主人公が必要なのは分かるが、デリカシーに欠ける行動に少しイライラ。本の貸し出し履歴は個人情報だし、自分の好奇心のためだけに無神経にそれを暴こうとする姿勢には全然共感できない。
小説なんで、そういう行動があってこそ物語が進むし、誰かが抱えてきた悩みが解決するわけだけど。
そこが気にならない人にはもっと純粋に楽しめるのかもしれない。 -
体育祭までの一週間を描いた青春もので、10年ぶりに返却された本の謎解きもあり。
なかなか上手い構成で、個性豊かなキャラクターがたくさん出てきて、読後感は爽やかな感じでした。
もう充分大人だし女子校だった私としては、こんな青春が羨ましいなと思ってしまいました(笑)
三問の三択に答えるだけで本を選んでくれる図書室の蔵書検索システム「本ソムリエ」!実際にあったら楽しそうです。 -
スッキリとした読後感の一冊。カシワイさんのかわいらしい装画と「図書室」というテーマに惹かれ。
前半はグイグイ突っ走る百瀬さんに苦手意識を持ちつつ読んでましたが…笑。終盤謎が解けていくにつれおもしろくなった。みんなが乗れる方舟、いいなぁ。学校司書の伊吹さんも良いキャラ。学校の図書室をもっと堪能しておけばよかったなぁと思いました。
著者プロフィール
名取佐和子の作品





