- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408538143
作品紹介・あらすじ
殺人現場に残された愛犬の痕跡――真実を知るのは、その瞳だけ。
デビュー10周年、著者入魂の慟哭ミステリー!
高級住宅地で一人暮らしの老女が殺害された。部屋には、かつて犬を飼っていた痕跡があり、刑事たちは周辺の捜査を開始する。一方、雑誌記者の鶴崎は、あるスクープをモノにするためコンビニでアルバイトを始める。同じコンビニで働く松本の過去を知る鶴崎は、松本が突然犬を飼い始めたことに驚愕するが――。
深まる謎、犬との絆に感涙&一気読み必至!
貫井徳郎氏も驚嘆の長編ミステリー。
「細かい違和感を憶えておいて。最後に『なるほど』と思うから」
感想・レビュー・書評
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犬好きにはたまらない本だと思う。
最後はすっかり騙されてしまいました。
犬目線の短い挿入がとても良かったです。
それにしても偏見は本質を見抜く妨げになることが良く分かるエピソードでした。 -
「真実を知るのは、その瞳だけ。」って…
表紙の白いチワワ。
そんな瞳で見つめられたら悪いことなんてこれっぽっちもできないですよ、普通。
資産家を殺してその愛犬を盗んだ犯人は、一体どんだけ極悪非道なのか?
思いもよらぬ展開と衝撃の結末。
犬好きは必読のミステリーだな。 -
資産家の80歳の女性が殺害された事件の謎を追うミステリー。
犬好き&犬アレルギーの刑事コンビ、コンビニ店員、ミステリー作家の3視点から描かれています。
少しだけワンコ目線も入ってきます。
とても読みやすくて引き込まれました。
里親募集で出会ったワンコを飼っていたし犬猫の保護活動などに関心があったので、共感できるところもありました。
どうかワンコがつらい思いをしませんようにと願いながらの読書となりました。
ミステリーとしても面白かったし、多頭飼育崩壊、ネット社会の闇、歪んだ正義、人間の多面性などが盛り込まれていて読み応えがありました。
表紙に「the Dognappers」と複数形で書いてあるのは、ややネタバレかも?
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資産家の高齢女性の殺人事件が起こる。
気難しく子どもや親戚からも敬遠されていた被害者の唯一の心の支えとなっていた愛犬。その犬を軸にして、両親を殺害した過去を持つ男、その男の裏の顔を記事にしようと近づいた男、犬の散歩友達でミステリー作家の女、それぞれのストーリーが展開されていく。
真相を追求するのは、愛犬家の下山と犬アレルギーで犬嫌いの植村の刑事コンビ。
ミステリーの展開としてはそれほど複雑な仕掛けや伏線はない。結末には驚いたけど、呆気なくも感じる。
『人を殺したことは後悔も反省もしていない。犬を苦しめることは許せない』
少年時代に飼い犬を父親に殺され、両親を金属バットで殴殺した松本の台詞。愛犬家も度が過ぎるとそれに近いものがあるかもなぁ…と思ってしまった。
犬には悪意がない。人を裏切ることも騙すこともなく、ただ純粋に飼い主を信じてくれる。
人は人を欺く。人を騙すし裏切ることもある。
そう思うと、人を信じられなくなった人にとっては同じ人間よりも動物たちの方が信頼できて命をかけて守るに値するものなのかもしれない。
話の本筋とは逸れるけれど、犬や猫の一生の幸不幸を決めるのは飼い主であって、人の都合で捨てられたり虐待されたりすることもあれば、我が子のように大切にされ愛されることもある。
動物の遺棄や虐待、多頭飼育崩壊など、人間の身勝手で苦しめられる動物がいなくなる世界になって欲しいと思った。
自宅で犬と猫を飼っているので、すごく感情移入して読んでしまった。 -
殺人現場に残されていたのは、愛犬の痕跡。
それを追うのは刑事だけじゃなく、ミステリー作家であったり、謎の動きをするコンビニ店員だったりと…
犬の周りには、いつのまにか誰かしら人の気配がある。
まるで犬がすべての動きを把握しているかのようで、とても不思議なミステリーだった。
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表紙のチワワの可愛さと、犬が死ぬ嫌な話ではないと読者さんの感想でわかったので読んでみたくなった。
自分も猫を飼う前は犬を2匹飼っていたので、犬飼あるある部分は懐かしく思った。
途中までは平凡な本だと思っていたけど、犯人がわかった時には驚きすぎて思わず声が出た。
どうしても許せないポイントは人によって全く違うものだと感じ、読後も考えさせられた。
思っていた以上に面白くて、心に残るものがあったので他の作品も読んでみたくなった。
犬目線で語られている所が変に誇張されていなくて良かった。確かにこんな風に思っていそう。
ペットは飼い主を選べないからこそ、うちに来てくれた子達は悲しむことがないように生涯幸せにしてあげたい。
Audibleにて。 -
面白くてあっという間に読了です。正直もう少しダラけるかなと思ってましたが、テンポの良さ、読み易さ、内容自体が面白く、止まることなく読めました。私自身、現在チワワ2匹飼ってるので、感情移入しやすく贔屓目評価かもしれませんが、、殺人事件のミステリー要素と犬をこれだけ上手い事密接に関わらせる発想と展開が見事で秀逸だなと率直に思いました。
犬の目線で語られる場面が各章ごとにあるのですが、そこを読むたびに改めて大切に育てていってあげたい気持ちになります。実際には犬が何を思い何を考えているのかはわからないわけですが、ただ、当たり前のことですが、人であれ動物であれ、生きているという事、生きるという事、命というもの、それらは絶対に守られるべきものであり、大切にしていくべき事です。人の愚かさと犬の健気さを同時に気付かさせてくれる作品であり、特にこれから犬猫を飼おうとしてる人や今飼ってる人には最適な作品だと思いました。そうじゃない人でも勿論楽しめるミステリー小説だと思います。昨年刊行の一億円の犬も読んでみようと思います。