銀河の図書室

  • 実業之日本社 (2024年8月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784408538594

作品紹介・あらすじ

「ほんとうの幸い」って、何だろう?
瑞々しく、愛おしく、胸に響く傑作青春小説!
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追い、やがてそれぞれの「ほんとう」と直面する。今を生きる高校生たちの青春と、宮沢賢治の言葉が深く共鳴する感動長編。

みんなの感想まとめ

青春と文学が交錯する物語が描かれており、主人公たちの成長と心の葛藤が丁寧に描写されています。舞台は県立野亜高校の図書室で、宮沢賢治を研究する「イーハトー部」の学生たちが、部長の風見先輩の突然の不登校を...

感想・レビュー・書評

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  • 『図書室のはこぶね』の続編のようですが、前作を未読でも読めると思います。

    舞台は前作と同じ野亜高校。
    主人公は新二年生の高田千樫、チカ。
    イーハトー部所属。

    他のイーハトー部員は、キョンヘこと石館恭平、新二年生。
    三年生の風見昴佑。
    新入生のマスヤスこと増子耶寿子
    の四人です。

    図書室にあるイーハトー部は、宮沢賢治と彼の作品について研究する同好会です。
    そのメンバーの一人、風見が不登校になります。
    風見が不登校になった訳は…。

    部員たちは風見を心配して色々な話をします。
    そのうち話が広がり風見が野亜高を辞めるかもしれないと噂になります。
    でも、風見はチカにSOSを出します。


    この作品は宮沢賢治にひかれて読みました。
    青春ものは苦手感がありましたが、ラストシーンは素敵でした。


    ”誰だって、ほんたうにいいことをしたら、いちばん幸せなんだねえ”

    ”僕もうあんな大きな暗の中だってこはくない。きっとみんなのほんたうのさひはてをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行かう”

  • 昨年9月、ブクログの間でかなり読まれていたのに、全然触手が疼かなかった。のに、年末にふとブクログ「あなたへのおすすめ」に出ていた。図書館に予約してしまった。高校生たちが「イーハトー部」を結成しているという設定の青春物語だった。部名は言うまでもなく宮沢賢治の創作した理想郷の名前から採っている。

    先輩に誘われて、宮沢賢治同好会に入って高校生活に楽しみを見出した二年男子のチカ。チカに誘われた仮入部中の同級生のキョンへ。賢治大好き、明るい一年生女の子マスヤス。二年の修学旅行の後ぴったり不登校になったけど、イーハトー部初代部長の風見先輩。先輩と曰くありげの美人の美濃部先輩。賢治初心者と賢治に詳しい若者、賢治と高校生を掛け合わせるとしたら、わたしもこれに似た構成にするかもしれない。

    風見先輩の拗らせた悩みの謎を追いかけながら、賢治の幾つかの作品とコラボさせながら、図書室を舞台に一冊の本を無難なくまとめているなぁと読んでいった。

    伊吹先生の言うように「宮沢賢治は決して聖人君子ではありません」。時には修羅の人として、イーハトーブたる岩手の平地や山々を歩き回ったのが、賢治である。当然、登場人物との悩みとも響き合う。

    そのまっくらな巨きなものを
    おれはどうにも動かせない
    結局おれではだめなのかなあ

    いまや、絶版の全集でしか独立詩として扱われていないそれを、昔ぼくは中学生のときに、カラーの扉写真付きの詩集で、意味がわからないままに受け止めていた。風見先輩の絶望感は、多かれ少なかれ、ティーンエイジャー全員の絶望感だ。

    もう語られ尽くされた「銀河鉄道の夜」の新たな謎は出てこない。それでも、何度でも何度でも、彼らに寄り添いながら、賢治は読まれてゆく。最終章のチカのビブリオトーク、思いもかけずにちょっと泣かされた。「銀河鉄道ー」が未完のまま終わったのは、決してチカの言う通りじゃないかもしれない。風見先輩の不登校1年半はちょっとあまりにも長過ぎるかもしれない。でも、一挙に読ませる「銀河の図書室」の物語の力が、「そうかもしれない」「風見先輩の絶望を救うことがあるかもしれない」と、ちょっと思ってしまった。

    • yukimisakeさん
      宮沢賢治さんって、結構人間臭い方だったみたいですね。
      お坊ちゃんだけど親近感湧きますー。
      宮沢賢治さんって、結構人間臭い方だったみたいですね。
      お坊ちゃんだけど親近感湧きますー。
      2025/01/29
    • kuma0504さん
      雪見酒さん、
      なんか、いろいろ拗らせているはずなんです。
      父親の金貸業に対する反発と宗派に対する反発。
      神童だったのに、中学に上がった途端に...
      雪見酒さん、
      なんか、いろいろ拗らせているはずなんです。
      父親の金貸業に対する反発と宗派に対する反発。
      神童だったのに、中学に上がった途端に不良に。
      長期入院していた時に看護婦に初恋?
      友人へのLGBT?
      どうしても家業を継げない性癖。
      最大の理解者妹の早すぎる死。
      東京への家出。

      でも、純粋なんです。
      優しいんです。
      しかも、いまだに誰も追いつけない表現力を持っている。
      そりゃ、賢治本が何百冊、何千冊と出るわけです。
      2025/01/29
  •  前作『図書室のはこぶね』の記憶が曖昧で、本作は続編?と気にしつつ読むことに‥。でも、心配ご無用! 「野亜高校図書室」の舞台は同じですが、前作未読でも全く問題ありませんでした。

     宮沢賢治とその作品を研究する同好会「イーハトー部」。同好会を立ち上げた3年の風見昂祐が、昨秋の修学旅行後から突然不登校状態になり‥。
     2年の千樫(チカ)と恭平(キョンヘ)、1年の耶寿子(マスヤス)を中心に、先輩の謎解明が主軸となっています。

     ホッコリ系青春物語と思いきや、なかなか興味深く物語に深みが感じられました。
     おそらくその要因は、風見が『銀河鉄道の夜』の言葉を残し不登校になった謎が一つ。さらに、そもそも『銀河鉄道の夜』は、賢治が推敲を重ねるも未完で、死後に遺稿が出版され、元々謎が多いこと。
     これらをベースとして、宮沢賢治を深掘りする取組が、「イーハトー部」の活動に直結しています。

     結末は伏せるとして、人に対しても作品解釈にも、想像力が大切だということですね。独りよがりや傲慢さは要注意です。
     何十年かぶりに、宮沢賢治記念館や羅須地人協会を訪ね、作品も再読してみたくなりました。宮沢賢治という人物・作品へ興味関心を喚起してくれる、人への優しさに満ちあふれた物語でした。

     それにしても、「イーハトー部」だなんて、綺麗なネーミングです。青春です。理想郷です。
     私に似つかわしいのは、せいぜい「デ部」とか「腹八部」とか? あ、「耐え忍部」?

    • おびのりさん
      耐え忍部でしたら 副部長くらいイケます
      耐え忍部でしたら 副部長くらいイケます
      2024/09/02
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      まあ、何を耐え忍ぶか、ですね‥((((;゚Д゚)))))))
      まあ、何を耐え忍ぶか、ですね‥((((;゚Д゚)))))))
      2024/09/02
  • 高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会である。

    昨年、入学した高田千樫は部長だった風見先輩の大胆さに引っ張られるように入部したが、その先輩は、去年の修学旅行後から不登校である。

    同級生の石舘恭平は仮入部で今年入部の1年・増子耶寿子の3人と緩く活動をやっている。

    3人それぞれに悩みはありながらも賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』を紐解きながら、先輩の謎を追っていく。

    高田が第一志望校に落ちた理由や石舘の弟の死、増子が入学前から風見先輩を知っていたこと…いろんなことを3人で越えながらもいつもそばに賢治の言葉がある。
    そして、高田が修学旅行で宮沢賢治記念館を見学して気づいたことは…。

    ラストは、みんなの本音が見えて良かったと…。
    『銀河鉄道の夜』には、彼らに響く素晴らしい言葉がたくさん散りばめられていた。
    どの一節が彼らの琴線に触れたのだろうか、と考えて再読するのも良いかもしれない。

    また、じっくりと宮沢賢治の本を読んでみたくなった。
    子どもの頃とは違った発見や思いがあるかもしれない。


    卒業式を締めくくるにふさわしい呼びかけ〜
    僕もうあんな大きな暗の中だってこはくない。きっとみんなのほんとうのさいはいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行かう。



  • ヒリヒリするような青春時代。優しくて繊細な風見さんに、チカの気持ちが届いて良かった。
    宮沢賢治を読みたくなる。ビブリオバトルも、一度聞いてみたい。

  • もっと本が好きになる!もっともっと本を読みたくなる!
    素敵な小説だった✩.*˚

    『図書室のはこぶね』でお馴染み県立野亜高校が舞台。
    そちらも読んでおくと、図書室司書の伊吹さんとの再会を楽しめたりもするが、未読でも十分楽しめる内容。

    今回は、「イーハトー部」の高校生たちが、宮沢賢治が残した言葉や詩、未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、突然不登校になった部長の先輩の謎を追っていくという話。

    それぞれが抱えた過去。
    宮沢賢治の言う「ほんとうの幸い」とは何か。
    自分と向き合うことで見えてきたそれぞれの答えとは。

    自分のことを打ち明ける勇気。
    相手を決めつけない想像力。
    大切なことに気づき成長していく彼らを、見守る思いで読みきった。

    久しぶりに宮沢賢治の作品を読みたくなった。

    • ひろさん
      本が大好きな人が書いた物語だなぁって(*˘︶˘*)
      主人公たちが作った宮沢賢治の本のPOPも読書欲をそそられましたよ~♪
      本が大好きな人が書いた物語だなぁって(*˘︶˘*)
      主人公たちが作った宮沢賢治の本のPOPも読書欲をそそられましたよ~♪
      2025/01/24
    • 1Q84O1さん
      恥ずかしながらきちんと宮沢賢治は読んだことないです…(๑´•.̫ • `๑)
      POPをみて読書欲をそそられようかな〜^_^
      恥ずかしながらきちんと宮沢賢治は読んだことないです…(๑´•.̫ • `๑)
      POPをみて読書欲をそそられようかな〜^_^
      2025/01/24
    • ひろさん
      あっ『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』くらいしか記憶にないので、私もきちんと読んだとは言えないです(*´ `*)
      いっきゅうさんも、ぜひ...
      あっ『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』くらいしか記憶にないので、私もきちんと読んだとは言えないです(*´ `*)
      いっきゅうさんも、ぜひPOPにそそられてみてくださいっ♪
      青春も味わえますよ~(*^^*)b
      2025/01/24
  • 名取佐和子さんのハートウォーミング学園ストーリーですね。
     宮沢賢治のオマージュ作品でもあります。
     そして『図書館のはこぶね』の続編ですね。
     野亜高校の図書館が三年ぶりに帰ってきました。もちろん、司書の伊吹さんも健在です。但し定年間近になっています。そして土ダン(土曜日のダンス)も!嬉しいですね♪

     物語は二年生の高田千樫が一年生の入学の時に出会ったイーハトー部の設立者二年生の風見昂祐との出会いから、始まる。その風見が修学旅行から帰ると突然不登校になる。
     それから、チカ(千樫)は、同級生のキョンへ(石舘恭平)をイーハトー部に誘って部を存続させるが!
     二年生に成って、新入生の部への勧誘で、マスヤマ(増子耶寿子)と出会う。何故かマスヤマは自分からイーハトー部に入部を希望する。
     イーハトー部は図書委員をすることが条件になっているので活動は図書館で、伊吹さんやチカの担任の郡司先生が顧問になっている。
     『図書館のはこぶね』同様にミステリーも絡んで、それぞれが抱える問題を絡ませて、成長の学園ドラマが始まる。

          contents

     第一章 図書ノ/教室ニ/居リマス
     第二章 何をやっても間に合わない
     第三章 無畏 無畏
     第四章 ほんとうの幸い

     いつもながら、名取佐和子さんの文章は滑らかで、人間模様を包み込んでいます。
     最後に全ての伏線が繋がって、心温まる爽やかな笑顔が溢れます。
     宮沢賢治の作品の謎もあり、賢治さんの作品を深く楽しめるのも良いですね♪
     次の作品が気になります!
     野亜シリーズになれば嬉しいですね♪

     

  • 「図書室のはこぶね」に続く野亜高校の図書室の物語。
    こちらも青春小説でライトミステリー。
    宮沢賢治推しのイーハトー部って…
    それいけ平安部にもびっくりしたけど、部活や同好会がこんなふうに自由に創れたら高校生活はたまらなく楽しくなりそうだ。

    さて、宮沢賢治。
    にわとり並の忘却力を誇る私…本の内容どころか読んだかどうかも記憶にない。
    そんな私でも、ちゃんと宮沢賢治読みたい衝動に駆られるように様々な本をさりげなく紹介してくれる。

    私の高校時代はビブリオバトルなんてなかった…
    そんなずっと前の高校生でもビブリオバトル並に読みたくなる本ばかり次々とでてくる。

    「ほんとうの幸いは、遠い」
    という賢治の言葉を廻って、高校生達が仲間の苦しみを理解しようと奮闘する姿は、まさしく青春

    こんなふうに、誰かを理解しようともがき苦しむ高校時代を過ごせたら、失敗してもまた頑張れたり、相手を想う心のある大人になれるだろう。

    賢治を読んだか怪しい私が惹かれたのは、
    「教師 宮沢賢治のしごと」に書かれた一節
    「常に賢治は、今目の前にいる生徒を、今目の前に見える姿ではなく、相手がかくあるはずだという理想の形に置き変えて話していた。
    それが、賢治の人間教育の基本であった。」

    大人がこんなふうに子ども達を見て接することができたら、子ども達はどれだけの可能性を最大限に活かせるだろうか…
    益々賢治の本が読みたくなる。

    そんな賢治に惹かれた伊吹先生や郡司先生がイーハトー部の生徒達に関わる姿もまた素敵だ。

    だから、彼らは自分達の力で仲間とわかりあえたのではないかと思う。

    無畏 無畏…

    流石、今年の課題図書。
    多くの高校生に読んでほしい。

  • イーハトー部ってネーミングセンス良過ぎ!
    宮沢賢治を愛する少数部員たち、そりゃ仲良くなれるでしょ。
    好きな作家のことをあれこれ話し合う時間は楽しいだろうし、ビブリオバトルも盛り上がるだろうなと羨ましい気持ちで読んだ。
    最近は文化部も〇〇バトルみたいなイベントがたくさんあって明るいイメージだし、思い出もさらに増えていいなと思う。
    楽しい部活の一方で、創部者の風見は理由不明の不登校になっている。
    風見を助けようとするみんなの気持ちと賢治の作品が重なり合って、暗闇にいる風見を支えているようで、仲間っていいなと思った。
    人の気持ちって難しい。でも、自分の気持ちを信じるということも大切にすべきことだなと感じた。
    たくさん出てきた宮沢賢治の作品、また読みたくなってしまった。

  • 前作を読んだのが約2年前。すっかり内容を忘れてしまってた。でも、物語の舞台となる野亜高校と出てくる高校図書館司書の伊吹さんが同じというだけなので、いきなり今作を読んでも全然OKな感じだった。

    主人公の高田千樫は第一希望の高校に落ち、レベルの下になる野亜高校に入学する。そこで、イーハトー部を一人で立ち上げた風見先輩に誘われて入部する。そこは、名前通り宮沢賢治の本を読んだり研究したりする部だった。

    風見先輩とチカの二人だけで活動をしていたイーハトー部だったが、ある日突然、風見先輩は不登校になってしまう。

    風見先輩はなぜ学校に来なくなってしまったのか?そして、チカ自身もある大きなトラウマを抱えていてー。

    誰でもちょっとしたことが原因で不登校になったり、トラウマを抱えてしまう。この二人の抱えている問題を解決していくだけでも、心に響くストーリーなのに、そこに宮沢賢治が入るからこれはもうぜひぜひYA世代には読んで欲しい。

    最後のページにイーハトー部おすすめの宮沢賢治本が載っているけど、読んでない本ばかりで、彼の本は国語の教科書ばかりで読んでたなと反省。

  • 2025年高校生、読書感想文夏の課題図書です。
    宮沢賢治作品を絡めながら、時に謎解き風に使っているのは作家さんの雰囲気にも合っていて、素敵だなと思いました。。
    ただ、悩みが盛り沢山なうえに、それなりに重いのに、解決までの道筋が短すぎて、消化不良な部分もありました。
    高校生がこれを読んでどんな感想を持つのか気になります。

  • もしも私が中学か高校の図書館司書をしていたら、夏休みにオススメの1冊にしたい。高校1年生、いや2年生の夏までかなぁ。読んだら、高校生活をさらにエンジョイするきっかけになりそう。

    いや、でも…。
    伊吹さんはそんなお仕着せがましいことはしないかもな。野亜高の図書館には、オススメの本を選んでくれるAI的なものもあるようだし。
    生徒自身がオススメの本を文化祭でビブリオバトルして盛り上がるような学校なら、生徒同士が勝手にオススメし合うだろう。大人が勧めてきたものより、身近な友人たちが「おもしろい」と言っているものを読みたいよね。私にも覚えがある。

    この本の主人公は、高校2年生の男子。
    尊敬する先輩の不登校をめぐって起きる、様々な心のゆらぎ。そのゆらぎと、宮沢賢治の作品、特に『銀河鉄道の夜』がリンクする。

    こういうことって、あるよね。
    よかれと思ってやったことが、誰かを傷つけていたり。
    そのことに全然気づかない鈍感な自分が嫌になったり。
    そんなこと、大人になったっていっぱいある。
    高校生でそれに気づけていたら、私も人生変わってたかな…。

    すっかり大人になってしまった私としては、周辺の大人たちのセリフが目に留まった。
    周辺の大人、といっても、主人公たちの親は出てこない。出てくるのは、ざっくり言って、担任であり顧問でもある女性教師と、定年を過ぎている図書館司書の女性。

    これ、まわりの大人がもうちょいなんとかできんのか?
    と思う部分もあったけど、高校生の力で解決に向かおうとするところが本書のステキなところだとも思う。
    図書館司書の伊吹さんは、地味にいい味を出している。こういう〈ホビット〉みたいなオバチャンになりたい。

    登場人物たちが大人になったスピンオフ物語、書いてもらえないかなぁー。風見くんが農業に関わる仕事してたりして。
    名取佐和子作品は、先に『金曜日の本屋さん』を読んでいるので、余計にそう思う。この本に出てくる主要メンバーが4人組であることも、『金曜日の本屋さん』と被る。

    私はこの本をブクログを通じて知った。
    清川あさみの『銀河鉄道の夜』の感想を書いたときに、いいねしてくれた方の本棚を覗いてみたら出てきた。
    宮沢賢治が苦手な私としては、正直あまり興味はない。
    でも、読んだら違う見方ができるかも。
    こういうタイミングでないと、きっと読むことはない。
    わりと新しい本だから、予約しても来るのに時間がかかるよね、と思って早速図書館で予約したら2ヶ月で来た。

    この本を読んでも、宮沢賢治の作品を読んでみたいとは、やっぱり思わない…。
    でも、宮沢賢治は母の本棚にたくさんあった。ちくま文庫の全集の表紙を思い出す。
    母のお気に入りの賢治作品は、何だろう。
    今度、帰省したときに聞いてみたい。
    母が死んでから、「そういえば好きだって言ってたな」とか思い出すんだろうな。どんなところを好きなのか、今のうちに聞いておこう。
    ついでにこの本の話もしよう。

    名取佐和子の作品は、やっぱり「人と人を本で結ぶ」のが上手だ。

    自分にとってのイーハトーヴはなにか。
    それが通っている学校だ、と言い切れることは羨ましい。まぶしいくらいに青春!
    私の子どもたちも、そんな学校に行けるといいなぁー。

  • 「図書室のはこぶね」の続巻。
    図書館で借りました。
    前作が面白かったから、読んでみたかったのです。が、今作は作品名でわかるように宮沢賢治の作品がたくさん出てきます。残念ながら、私は賢治さんの作品はあまりに読んだことがありません。なので作中に出てきた時は何となくで読み進めました(;´д`)トホホ…

    作品の舞台は、前作同様で野亜高校
    主な登場人物は、
    高田千樫 2年生
    石舘恭平 2年生
    増子耶寿子 1年生
    風見昂祐 3年生
    ここまでは、同好会のイーハトー部の部員たち
    美濃部真琴 3年生
    図書館司書の伊吹先生は健在でした。
    同好会の顧問、郡司先生

    3年生の風見昂祐が「ほんとうの幸いは、遠い」という言葉を残して不登校へ。そんな所から物語は始まりました。

    文化祭のビブリオバトル、同好会の夏合宿、修学旅行と描かれるなかで、登場人物たちは様々な悩みを抱えています。ちょっと、しんどいな、と思えるような悩みも、嫌味なく暗くなりすぎず、高校生らしい瑞々しさいっぱいに描かれていました。

    読み進めるうちに風見くんがなぜ不登校になったのかがわかります。
    その理由を読んだときは、なかなか難しいことだと思いました。そして、物事を多面的に見ること、考えることが大切だと改めて思いました。

    桜の花咲く新年度の始まりから終わりまでの1年間の物語で、終わり方は「春」のように暖かで爽やかで素敵なハッピーエンドでした。

  • 僕もこんな青春時代を送りたかった思わされました。

    恥かしい話が、僕は銀河鉄道の夜を読んだことがありません。多分・・・
    学生の頃は、本も国語の授業も苦ってだったので思い出があります。

    この小説を読むと青春時代にもっと今みたいに本を読んでいたらと後悔します。
    笠原くんのビブリオバトルがとても印象的でカッコ良かった。
    また、笠原くんの今を楽しむ姿がめっちゃ良かったです。
    サブキャラクターの立ち位置ですが・・・

    宮沢賢治に詳しい人が読んだらもっと細部まで迫れる小説だと思います。
    銀河鉄道の夜は読んでみたくなりました。
    また、他の作品も登場するので気になってしまいました。

  • 後半の重い空気から読後の清々しさの落差が心地よい。

    無知は罪。私も日頃から思っていること。
    ただ知識はちりつもで、急に蓄えられることではないから、知らない事でも想像する事が大事だと思う。
    人の言動を吊し上げる前にどうして?と一度でも立ち止まって想像できるようになりたい。

  • “図書室のはこぶね”が大変良かったので、御縁があればと思い、図書館で予約して手に取った。

    風見くんが、SOS出してくれて高田くんが感じとってくれて、ホントに良かった。
    良かれと思っての行動が、本当に良い行動なのかー   響いたな。
    図書室での卒業式 ビブリオバトル アツくなった。
    恥ずかしながら、宮沢賢治の作品 読んだことない・・・?かも。読んでから、この本を読むとまた面白いようだ。
     
    沢山悩み、青春真っ只中の中高生の感想を聞いてみたい!

    風見くん、美濃部さん、イーハトー部に幸あれ!!

  • 名取佐和子著『銀河の図書室』特集|実業之日本社 文芸出版部(2024年7月25日)
    https://note.com/jippibungei/n/n03d036150605

    名取佐和子著『銀河の図書室』書店員さんのご感想を紹介!①|実業之日本社 文芸出版部(2024年7月25日)
    https://note.com/jippibungei/n/n3f444424753c

    Webジェイ・ノベル|実業之日本社の文芸webマガジン -「J-novel」絶望しても走るのをやめない、人と本を結ぶ物語-
    https://j-nbooks.jp/novel/columnDetail.php?cKey=223

    銀河の図書室 | 実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-53859-4/

  • 本人が100%善意から行った行動であっても、それが他人を傷つけてしまったり、良からぬ結果をもたらしてしまうことは誰にでもあるのだと思う。
    そこに対して一度絶望したとしても、しっかり反省してまた善き行いを積み重ねていこうとするのが人間の徳である。

    人によって解釈は異なると思うが、宮沢賢治の作品たちから読み取れる思想には、そのような要素が含まれているのだと思う。

    この思想をベースに、本作の話は展開されていく。
    宮沢賢治研究会?のような高校の同好会の発起人である風見。
    彼が善意から助けた迷子の子は、実は家庭虐待からやっと逃れて外に出てきた子であった。
    後からその事実を伝えた同級生の万琴。 
    彼女もまた、その事実が風見を傷つけて不登校にまで至るとは想像だにしていなかった。
    そんな風見を同好会の活動に復帰させるべく行動を起こす後輩たち。
    その後輩たち自身も、その善意の押し付けが余計に風見を学校から遠ざけているのではないかと疑心暗鬼になりながらも、試行錯誤を重ねて最終的には…

    僕自身は宮沢賢治の作品に詳しいわけではありませんでした。
    それでも、彼の作品の解釈を通して様々な考え方を身につけて成長していく作中の高校生たちから目が離せませんでした。
    宮沢賢治に造詣の深い方であれば、より一層楽しめるストーリーなのではないかと思います。

  • ほんとうの幸いってなんだろう?

    宮沢賢治を尊敬する風見先輩が立ち上げた「イーハトー部」
    彼に誘われて入部したチカだったが風見先輩が急に登校拒否になる。なぜ?風見先輩のため、イーハトー部を存続するため、チカは友達のキョンへや新入生のマスヤスと共に風見先輩の謎を追っていく。

    宮沢賢治の作品を元にイーハトー部3人の悩み、そして風見先輩の謎を紐解いていく。
    恥ずかしながら宮沢賢治の作品はまったく読んだことなく、銀河鉄道の夜がこんなにも素敵な話とは知らなかった。

    【ほんとうの幸い】
    この難しい問題を彼らがちゃんと成長しながらも見つける姿がよかった。

    それにしても楽しそうな学校。
    体育祭の土ダンがいいな。
    ビブリオバトルもあるし、
    自由な個性あふれる学校。
    そんな学校に行きたかったなー

  • もう大好きな宮澤賢治の作品がオンパレードで出てくる最高の一作でした。特に『銀河鉄道の夜』についての記述は最高でした。同好会のイーハトー部での活動は応援したくなってしまいました。コロナ禍の時に持っていた角川文庫の宮澤賢治作品を全て読んで偉大でそして心あたたまる作品の数々でした。ラストのイーハトー部がこれからもずっと続くことがうれしく思いもうこの作品はシリーズ化間違いなしでしょう?第三弾もお待ちしております。あなたも読んで心震えて感動して下さい。

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著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

名取佐和子の作品

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