- 本 ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408538662
作品紹介・あらすじ
二度と戻らないつもりでいた桜の町に彼を引き戻したのは、一本の電話だった。
「高砂澄香が自殺しました」
澄香――それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。
澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。
あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。
ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。
人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く、悲しい罪を描く、圧巻の青春ミステリー!
感想・レビュー・書評
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いやぁ、主人公の性格とか色々ツッコミたいところあるのですが、悔しいかな、一気読みしちゃいましたね。それくらい引き込まれる設定と展開だったかなと思います。
本作は主人公が中学時代の同級生が自殺したと知らされるところから始まります。その同級生はかつての親友かつ恋心を抱いていたくらいの仲であった。しかし、とあることをきっかけに疑心暗鬼となり、決別してしまうことになる。
とにかく設定が面白い作品でした。自殺阻止のために、メンターみたいな人を派遣するっていう設定で、ここまでディストピアに近いことが出来るのかと、作者の発想力に脱帽でした。
正直、主人公のことはあまり好きではないし、展開とかも決して気持ちのいいものではないけれども、面白いと評価せざるを得ないくらい、オリジナリティ溢れる展開とストーリーだったと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。(ウィキペディアより)
いやー面白かったー
まず設定が良い!ちょっとSFチックなんだけどね
周りの人間が全てサクラなのではないかと思う「サクラ妄想」が物語のキーなんだが、それを違和感なく受け入れられる設定の妙
素晴らしい
そしてこの文体が良かった
なんとなく言葉足らずな感じが
常に何かが足りない気がする
常にまとわりつく喪失感みたいなんをすごくよく表現出来てたと思う
これはちょっとまず他の人のちゃんとしたレビューを読んで欲しいわ〜(他力本願寺)
〈手錠〉のない世界で良かったな〜
〈手錠〉って何?
そりゃあ読みなさいよ-
私も、そっちのサクラと違うでしょ?って思ってしまいましたが、読んでないのでコメントは差し控えました(笑)私も、そっちのサクラと違うでしょ?って思ってしまいましたが、読んでないのでコメントは差し控えました(笑)2024/10/09
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2024/10/09
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2024/10/09
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タイトルの響きと違って重々しい内容。
あまり好きじゃないな、と思いながら読み進めたけど、後半はかなり引き込まれた。
この小説の舞台設定をディストピアとする感想を幾つか目にしたけど、僕はリアルにかなり近いんじゃないかと感じた。
誰が騙されていて、誰が騙しているのか、人の心ってほんと難しい。
最後に真相は明らかになるけど、なんだかスッキリしない。心の整理がつかないというか、なかなか物語の中から抜け出せず彷徨っている感じ。 -
さくらって、あのサクラのことだったとは。
タイトルの「さくらのまち」の平仮名の柔らかさから思っていたイメージとはちょっと違った。
手錠とかプロンプターとかが日常に出てきて、少し近未来の設定なんだろうか。
自分の心が読み取られていること、自分に優しくしてくれる人がサクラかもしれないこと…
そんなことが続いたら、疑心暗鬼になってしまいそう。
登場人物の本心はどこにあるんだろう?と引き込まれて、一気読みした。 -
作者の『君の話」から6年ぶりの新作である。尾上匡貴はマッチングアプリの「サクラ」をして暮らして。ある日、電話がかかってくる、中学時代のクラスメートの高砂澄香が自殺したと。彼は澄香の自殺の理由を調べるべく、久しぶりに故郷のまちに戻る。そこで彼女にそっくりな妹の霞と出会う…
この物語世界では、<システム>が腕輪型のデバイス(手錠とも呼ばれる)によって国民の健康を管理している。そして、そこから集まるデータから自殺する可能性のある人物に、<プロンプター>と呼ばれる自殺予防のサポート役を密かに付けていた。これは通称「サクラ」と呼ばれてた…
相変わらず作者の描く女性は、「可愛く」そして「魅力的」だと思う。そしてストーリーは「切ない」。
そして、この<システム>の設定は、伊藤計劃の「ハーモニー」を彷彿させるところがある。 -
読書備忘録901号。
★★★☆。
世間的に高評価の作品!
個人的な好みとして、なんていうか、物語の展開にメリハリを感じられず、ずぅ~っと瞼が重い感じの読書を強いられたという印象です。なので失礼ながら★3.5。
主人公の中学時代の同級生女子が自殺した。
自殺した同級生の妹のサクラとなった主人公は、サクラの任務と並行して、同級生が自殺した原因を突き止める行動をとる。
自殺した原因がああだ、こうだ、そうだ、なんだ・・・とぐるぐるぐる。
そしてあいつはサクラ?こいつはサクラ?実はサクラ?という感じでぐるぐる。
サクラってなんやねん!
amazonのサクラチェッカーのサクラ。
友だち、恋人の顔して実は・・・。
なんのこっちゃわからん。
物語の世界。
日本なんですが、ちょっとだけ我々の世界と違う。
「国民健康管理システム」というものが構築されており、国民は腕輪型のデバイス(手錠)を常時身に着けている。
このデバイスによって健康状態がモニタリングされているという設定。
そしてモニタリングされたデータの分析から、自殺リスクの高い人間をリストアップする。
システムは対象人物が自殺しないように、メンタルサポートする人間を選定して対象人物のそばに当てる。
メンタルサポートとして選定されたやつはプロンプター(通称サクラ)と呼ばれ、"本人にバレないように"自殺しないようにケアする。
親友の顔して、恋人の顔して。
いやいや。設定は面白いとおもふ。
でもストーリーがおもひろくなかった。
主人公、尾上匡貴22歳。
中学時代の同級生高砂澄香が自殺したと匿名の電話を受ける。
ふ~ん。澄香が死んだのか。ふ~ん。
尾上の心に徐々に澄香の死が澱となって沈殿してゆきメンタルを破壊していく・・・。
尾上は澄香の死を事実として確かめる為に故郷、桜の町に戻る。そして澄香の瓜二つの妹、霞と出会う。
一旦自宅に戻った尾上にサクラ指令の赤紙が届く。
霞の自殺を防げ、と。
再び桜の町に戻り、"澄香の自殺の原因を突き止めたいのだ"、という理由で霞に接触する尾上。
そして、澄香の死の原因はああだ、こうだ、そうだ、なんだ・・・とぐるぐる回りながら、霞の心のケアをするけど結局は・・・、という結末。
サクラという仕組みが疑心暗鬼を生んで素直に恋ができなかった悲しい恋愛小説?なんだろうなぁ。-
裸で走り回るにはまだ早かったですね(^^;;
春めいてきてテンション上がっちゃうのはわかりますʅ(◞‿◟)ʃ裸で走り回るにはまだ早かったですね(^^;;
春めいてきてテンション上がっちゃうのはわかりますʅ(◞‿◟)ʃ2025/03/14 -
不思議な世界観で面白そうな感じですけどね。読んでみないと、合うかどうかはわからないですね(⌒-⌒; )
雪さん、服を着てゆっくり眠って...不思議な世界観で面白そうな感じですけどね。読んでみないと、合うかどうかはわからないですね(⌒-⌒; )
雪さん、服を着てゆっくり眠ってください。お大事にm(_ _)m2025/03/14 -
どんぐりさん、マキさん、春めいてきてつい…
服⌒ ヾ(*´ー`) ポイ
2日何もせず寝てたら大分良くなりました!明日返却日なので、図書館...どんぐりさん、マキさん、春めいてきてつい…
服⌒ ヾ(*´ー`) ポイ
2日何もせず寝てたら大分良くなりました!明日返却日なので、図書館行かねばと言う強迫観念で治ってきたのかも笑
2025/03/14
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全国民に着用が義務付けられている〈手錠〉によって、装着者の生体情報が収集される国民健康管理システムによって監視される社会。〈システム〉は自殺リスクも評価し、自殺ハイリスク者には当人の知らないところで様々な支援が行われる。自殺ハイリスク者の身近な人間の中で適性ある人物が〈システム〉によって選び出され、「プロンプター」に任命される。「プロンプター」は自殺ハイリスク者に友人として寄り添い、自殺を阻止する役目を与えられる。このプロンプター制度は自殺率低減に寄与している一方で、「サクラ妄想」と呼ばれる疑心暗鬼の病を生み出していた…
…という近未来SFのような世界が舞台。主人公の尾上匡貴は謎の人物から「高砂澄香が自殺しました」という電話を受け、生まれ故郷の「桜の町」を訪れる。高砂澄香はかつて尾上が“サクラ”と疑った人物だった。彼女はなぜ自殺にいたってしまったのか?尾上は澄香を知る人物らに話を聞きながら真相を追う…というストーリー。
設定はユニークだが、ずいぶん長いこと引っ張った割には拍子抜けするオチだった。主要登場人物達の行動原理が色々と理解に苦しむ。もう一歩踏み込んで双方向コミュニケーションして欲しかったが…若さゆえか。
「かがみの孤城」も手掛けた禅之介さんの装丁は好き。
キノベス! 9位 -
特殊なシステムで、登場人物達が翻弄された印象。
ヒロインの行動や、ヒロイン妹とのやりとりは気になった。
もどかしい気持ちにさせられる小説。 -
**さくらのまち**
三秋縋著(ミアキ スガル)
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### あらすじ
二度と戻るつもりのなかった桜の町に、一本の電話が彼を引き戻した。
「高砂澄香が自殺しました」
澄香――それは彼の青春を彩り、心を欺き、桜の町を特別な場所に変えてしまった少女。その彼女の死を確かめるため桜の町を訪れた彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。再び同じ物語が繰り返されるように思えるが、今回は立場が逆転している。欺くのは彼であり、欺かれるのは彼女だった――。
人の「本当」が見えなくなりつつある現代を舞台に、痛みと悲しみを伴う罪が描かれる、圧巻の青春ミステリー。
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### 感想
本作は、ミステリーの緊張感にSFのような未来的要素が織り交ぜられ、さらに甘酸っぱい青春小説の趣も感じられる、独特の物語でした。
人を疑うことで生まれる悲しさや、そこから逃れられない孤独感――それらのテーマは、誰もが一度は向き合うものかもしれません。この作品では、心が管理される少し未来の世界で、それがより顕著に描かれています。主人公たちの関係性を通して、人間の複雑な感情とその裏にある傷を巧みに描写しており、読後には切ない余韻が残りました。特に、立場の逆転によって浮き彫りになる欺瞞と真実の対比は、本作の見どころのひとつです。
ミステリーとしての完成度も高く、先の展開を知りたいという気持ちで一気に読み進められる作品です。それと同時に、澄香という存在が持つ象徴性や、彼女と主人公が共有する記憶の重さが、読者に深く訴えかけてきます。悲しいけれど美しい物語を求める人に、ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。 -
親友だと思っていた、この心地良い関係を崩したくないから、告白もせずに三人で過ごしていた。そんな二人は、自分のことを好きでもなく、一緒に過ごすのを苦痛に思っていた。こんな事がわかったら、人間不信に陥ること間違いない。
疑心暗鬼の渦に巻き込まれたら、なかなかそこから這い出ることは難しい。だけど、どうにかならなかったのか…と読後に思ってしまう物語だった。唯一の救いは、主人公が、人間不信から立ち直ろり、人と関わっていこうという兆しが見えた終わり方だ。
なくして初めて知るということは、よくあることだが、後悔しないために、ちゃんと向き合って自分の気持ちも話したい。
著者プロフィール
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