さくらのまち

  • 実業之日本社
4.07
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本棚登録 : 641
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538662

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ、主人公の性格とか色々ツッコミたいところあるのですが、悔しいかな、一気読みしちゃいましたね。それくらい引き込まれる設定と展開だったかなと思います。

    本作は主人公が中学時代の同級生が自殺したと知らされるところから始まります。その同級生はかつての親友かつ恋心を抱いていたくらいの仲であった。しかし、とあることをきっかけに疑心暗鬼となり、決別してしまうことになる。

    とにかく設定が面白い作品でした。自殺阻止のために、メンターみたいな人を派遣するっていう設定で、ここまでディストピアに近いことが出来るのかと、作者の発想力に脱帽でした。

    正直、主人公のことはあまり好きではないし、展開とかも決して気持ちのいいものではないけれども、面白いと評価せざるを得ないくらい、オリジナリティ溢れる展開とストーリーだったと思います。

  • 人は誰しもが演技をし合って生きている。
    それが極端化された世界観は、他の方も言われている通りディストピア的な要素が強かったです。
    青春ミステリー、と謳われていますがミステリー要素は薄め。あくまでも疑心暗鬼に満ちた人の心に焦点を当てたダーク・ヒューマンドラマといった感じ

  • 三秋縋作品はどれも、状況はどうであれ、登場人物達が気持ちに整理をつけて、最良の形でラストを迎えているため、今回言ってしまえば後味の悪い終わり方をしたのが意外でした。
    しかし、内容や主人公の思考はいつもの三秋縋、もっと言えば一層研ぎ澄まされたような感じがして、非常に満足感があります。
    さり気ないけど印象的なラスト、良かったなぁ。

  • 本当の私。本当のあなた。本当の気持ち。本当の嘘…
    主人公が生きた「青春」と、味わった「絶望」を、二度と繰り返さないために他人と深く関わらずに生きてきた時間。
    一本の電話でその封印していた過去を確かめに戻っていくこと。
    近未来に導入されたとある制度。その関係を表す言葉の、二重の意味。
    読みながら彼の、そして彼女の思いに胸を刺される。
    本当のことなんて、誰にも分らない。同じように、本当の嘘も誰にも分らない。
    分からないから生きていけるのかもしれない。
    彼らの、もしかするとあったかもしれない未来を思い本を閉じる。
    自分ならどんな道を選んでいただろうか。
    苦しいのに何度も読み返したくなる。青春ミステリの新しい名作。

  • 6年ぶりの三秋縋作品。もう新作は読めないかと思っていたので新作が読めたのがとにかく嬉しい。

    どこまでが本当でどこまでが嘘だったのか、気になって読み返すと最初から澄香は本当のことを言っていたのだと気づいた。
    ハッピーエンドかと言われると微妙だが、3人の関係はハナから拗れていたため丸く収まりようがなかった気もする。主人公である尾上が前を向けたという意味ではいい終わり方だったと思う。

    最後の一文で綺麗に終わるのが三秋先生の作品の特徴だと思っている。今作もそう終わるかとニヤリとする終わり方だった。

  • 今の時代、昔と比べて人との関係が希薄な気がする。だから人との距離感がわからなかったり、場の雰囲気がわからなかったりするのかもしれない。
    本音と建前が入り乱れ、本当がわからなくなっていく感覚、わからなくもないなと思いつつ読む。
    年齢を重ねても感じることがあるから若いとなおさらだろう。

    心が痛くなる罪の物語だった。

    登場する国民健康管理システム、プロンプター制度には空恐ろしさを感じた。

  • 【請求記号:913.6 ミ】

  • 感想
    人間関係の拗れ。どこまでが本当のことでどこから虚偽なのかわからない。だけどそれはただの思い込み。あの人は最初から誠実だった。

  • 久しぶりの三秋さん。
    このなんとも後味の悪いようなオチが心地よい。
    後味が悪いというとちょっと違う気もするけど。
    さくらと思ったらさくらじゃなくてやっぱりさくらで。

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著者プロフィール

WEBで小説を発表していた作家

「2015年 『僕が電話をかけていた場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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