モーニング Mourning (実業之日本社文庫)

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  • 実業之日本社
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  • / ISBN・EAN: 9784408550206

感想・レビュー・書評

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  • 2作目の『Coffee blues』を先に読んでしまった流れで、1作目の本書を手に取りました。

    親友の葬儀で二十数年ぶりに再会した、大学時代の仲間たち4人。
    葬儀を終えた後、仲間の一人・淳平から“自殺する“との発言を聞いた主人公・ダイこと弓島大達3人は、思いとどまらせるため、一緒に福岡から東京までロングドライブをすることに・・・。

    時系列的には『Coffee blues』の後の話ですが、彼らの回想場面が大半を占める為、結果ダイ達の青春時代の話になります。
    ダイ達は1961年生まれという設定なので、同世代の男性の方には刺さりそうなフレーズやアイテム諸々の懐古描写が綴られるうちに、彼らと関わった一人の女性の存在が浮かび上がってきます。
    この女性・茜さんの抱える事情が重くて、文体があっさりしているおかげで読むのがキツくならずにすみましたが、彼女と“婚約者”との関係ってマジで地獄ですよね。まさに“青春の光と影”、というところでしょうか・・。
    そして、終盤に明かされる淳平の“自殺理由”には、彼と死んだ仲間との真相も含めて“なんそれ!(byZAZY)”という感じだったのですが、本書を通して友情の尊さや仲間とすごした時間のかけがえのなさを実感して、遠い目になった私。
    ところで、驚いたのはダイの結婚相手です。続編の『Coffee blues』を読んでいた私は“へえ!そうなるんだ”と意外に思いました。一方、『Coffee blues』で語られていた、ダイの元恋人の不幸について、この本で詳細が解るかと思っていたのですが、全然触れていなかったのには“あれ?”と拍子抜けでした。

  • そうか、モーニングってそっちだったんだ・・

    コーヒーブルースを先に読んでしまって、もうひとつ先の物語があった、と思ったけれど、どちらが先でも大丈夫な内容だった。

    大学時代を一緒に過ごした仲間の一人が事故で死んだ。九州に駆けつけた4人は葬儀を終え、それぞれの生活に戻ろうとしたとき、淳平が言った。「この車で一人で帰って、自殺する」。思いとどまらせるために一緒に変えることにした大、ワリョー、ヒトシ。「自殺の理由を思い出してくれたら、やめる」。さて、理由は思出せるのか。”思い出す”ということは知っていること?

  • 友達っていいな。
    友情って美しい。

    切なすぎるヒロインの半生に心を抉られ、
    元野球部の"人間のクズ"に怒りを覚えつつ、、、

    奇妙なロングドライブを続ける主人公たちの青春にノスタルジーを感じ、
    その絆に憧れを抱く。。。。

    そんな、素敵な読書時間を過ごさせてくれた1冊。
    一緒にバカやったり、一晩飲み明かしたり悩みを語り合ったりした友人は、僕にもいる。大学の4年間を共に過ごし、卒業後20年近く経っても時おり連絡を取ったり会って飲んだりする友は。

    でも、
    でも、、
    ここで描かれた彼らほどに濃密な関係を築いたかというとそこまでではないのかも……と、一抹の寂しさを感じつつ、昔の仲間とまた会いたくなる、そんな気持ちが沸いてくる心地よさ。

    ★4つ、8ポイント半。
    2019.04.08.古。

    ※弓島珈琲店の物語の、第1作。
    そうとは知らず2作目を既に読んでしまっていたたため、"ああ、あそこで昔語りされていた5人の元バンド仲間のおハナシなのね"と、すんなりと物語に入り込めた。
    たしかに、2作目「珈琲ブルース」に限らず、他にもいくらでも作品にできそうなエピソードを抱えていてもおかしくないくらいのキャラ造詣、舞台設定、年齢設定ではあったな。(今作の執筆時点で2作目の構想があったわけではないのだろうけど)


    ※物語終盤、ほぼエピローグの時点でようやく明かされた名前を見て、先に読んだ2作目の感動が甦る。
    "十七歳年下の女"が46歳の喫茶店の主人と結婚したいと思うに至ったのにも、納得♪


    ※かなり暗い展開になり始めても、"小路さんの作品なら最後はほっこりできるはず"と安心して読めた(^_^)v。
    ・・・が。
    最後に空かされた謎だけは、、、素直に感動の1ピースに嵌まってくれなかったあたり、自分の頭の固さというか古さというかが実感され、恥ずかしく思った。

    差別意識はないはずの自分ですら、そこに一抹の嫌悪感を抱いてしまう点・・LGBTの方達の生き難さを想像し、辛くなった。

  • 小路幸也さんの「モーニング」読了。大学時代、共同生活を送った5人。20年ぶりに再会したのは、親友の葬儀だった。悲しみにくれる主人公の私に仲間の一人がつぶやく。「レンタカーで帰って自殺する」おもいとどまらせるため、福岡から東京まで、ロングドライブを決意するのだが。。
    男性5名の大学共同生活の日常がアルバイトあり、バンド活動あり、恋愛ありと楽しかった。5人それぞれの性格も異なり、ある一人の女性をめぐる話が物語に深みを与えてます。小路さんらしい作品。続編「coffee blues」もあるようなので、読みたい♪

  • Coffee bluesがわりと面白かったので、こっちもと思っって借りたらこっちが最初だった、、、
    ちゃんと順番通りに読んでいれば、Coffee bluesがもっと面白く感じたかも。

    親友の葬儀のために久々に集まった4人(+1人)のロングドライブ。
    話しはちょっと重いんだけど、学生時代のエピソードがそれを感じさせない。
    学生の時は気が付かないけど、学生の時の感覚はもう2度と体験することはできない。
    っていうストーリーだけを読むなら☆5
    もしこれが女性の共同生活だったとしたら、絶対こんな風にはならない。
    5人全員女性なら数週間で共同生活崩壊だろうな(笑)


    (図書館)

  • 風景の代わりに、回想を見せるロードムービーのようだった。回想シーンのディーテールや小道具の音楽が懐かしいと思えるかどうかが楽しめるかどうかの分かれ道と思う。
    印象的なシーンや事件そしてそれぞれのキャラクターで話が進んでいくので、ストーリーはちょっと唐突な感じがする。

  • おっさんのための青春小説。
    大切な友達が亡くなるという重い始まりだけど、
    真相は気持ちの良いものだった。
    じんわりくるいい話でした。
    ドラマ化されて欲しい。

  • 淡々とストーリーは進んで行くます。

    大学の友達の葬式で久々に(九州?だったかな?)
    仲間が集まります。
    大学時代一緒に暮らした仲間たちと数十年ぶりに再会します。

    そのうちの一人が葬式のあとに自殺をするといいだします。自殺を阻止するために九州から東京まで、説得という名のドライブがはじまります。


    読んでいて…最後に学生時代の友達に会ったのは何年前かなっと思った。いい思い出があって、いい仲間がいるって素晴らしいなって改めて思いました。

  • 先日読んだコーヒーブルースのシリーズ第一弾。うっかり二作目から読んでしまったので順番がちぐはぐかと思いきや、全然問題なし。
    というか、予想外に面白くて一気に読んでしまった!え、そーくるか!って感じがたまらなく好きな感じ。
    読んだことない作家さんかと思ってたら東京バンドワゴンの作者だった。むしろかなり読んでました。周りにいそうでいないようなクセのある人が主人公でその目線から見る日常が好き。
    第三作も早く読みたいのにまだ文庫になってなかった…

  • 濃密な時間を過ごした学生時代の思い出を思い出しながら、長い長い帰宅をする4人。一人は死亡してしまい、欠けてしまったことはとても哀しいけれど、学生時代の出来事を回想するところは、とても仲が良くバカ話ばかりしていたいい意味での悪友でもあったんだろうなと思う。もちろんいいことばかりではなく、心に深い傷を負うような出来事もあって、この仲間がいたからこそ、乗り越えていたのだろうと思わされる。
    自殺するという一言を口に出した淳平。彼の真意を聞いたとき、ますますその思いは強くなった。
    シリーズ化されているようなので、続編も楽しみです。

  • 過ぎ去った時間の大切さを思い知るのは、いつだって締め付けられるような思いがする。しかもそれが追悼となればなおさら。気のおけない友の存在の大切さがヒシヒシと伝わってくる。

  • あ、こう来るかー。そっかー。

  • ダイ-1
    葬式帰りに突然自殺するといいだした大学生の頃の親友。
    その車内での会話&回想。

  • 4年間の大学生活を同じ屋根の下で過ごした男5人の友情物語。卒業から20年以上たち、彼らが5人そろって再開したのは、中の一人が交通事故でなくなった葬儀の場だった。

    とにかく5人の友情がまばゆいし羨ましい。俺も30年以上前には彼らに似たような青春の一幕があったはずなんだけど、今では付き合いもほとんどなく、旧交を温めなおそうにも彼らのような善人ではない俺では、ちょっと無理そうである。

    せめて彼らが物語の中で聞いていた音楽を聞き直してみて、当時を振り返ってノスタルジーに浸ってみようかな…とか思っている。

  • 葬儀をきっかけに集まった、大学時代の友人。さらに友人の自殺予告を食い止めるためのロングドライブ。
    こういう仲間がいるのは、いいなぁと思った。思いがけないラストだった。
    #読了
    #読書好きな人と繋がりたい

  • 歳を重ねておっさんになった時に、もう一度読みたい。

  • 20数年前の男5人の共同生活.恋愛.悲しみ。
    過去を思い返しつつ、1人欠けた4人でのロングドライブ。

    心の奥底で深く繋がれる友人関係に羨望する。

  • 登場人物たちのように学生時代を友情を育み煌めく学生時代を過ごしたわけではないけれど。
    おじさんになってもなお、変わらない友達を保ち続けていられるわけでもないけれど。

    それでも、この小説はノスタルジーを誘因する強い香りをはなっている

  • 切ない。

    5人で住んでいた大学時代には戻れないみんなの言動やダイのモノローグを読む毎に切なくなっていった。
    悲しい過去ではあるけれど、でも5人にとってかけがえのない日々でもうあんな風には過ごせない時間。輝いて、鮮やかに見える時間。
    その時間といまと、変わっていないようで変わっているみんなが、
    20年の間に重ねてきたものが、20年の間に変わったそれぞれの立場が、もうあの頃には戻れないと、もうあの頃とは違うと感じている4人が、ダイのモノローグが切なさを感じさせる。

    そして謎が全てとけたとき、切なさが一気に押し寄せてきた。
    そうだったのかと納得すると同時に、ああ、あの場面のあの台詞は、あの行動はそういうことだったのかと思うと同時にものすごく切なくなった。

  • これは傑作だと思う。
    3作目を読み終えて再読。やっぱり傑作だ。

  • 1人の男の葬式に4人の男が集まる。
    5人は大学時代に一件の家で共同生活をし、
    バンドを組んでいた。
    卒業し、1人の結婚式の夜から、22年。
    5人が一緒に集まることはなかった。

    葬式の帰り道、4人のうちの1人が言う。
    自殺すると。

    自殺を止めるために、過去を振り返る3人。

    時間を遡り、思い出を語り合う中で、
    自殺の原因を突き止められるのか。


    色々と突っ込み所はありますが、
    それでも一気読みの物語。

  • また、過去に愛した女性が死んでいた。このシリーズは、設定が楽しくなかった。嫌な感じが残ってしまった。

  • 1961年うまれ。5人組。
    真吾、ダイ、ワリョウ、ヒトシ、淳平。
    東京で喫茶店を営むダイ、人気がでてきた俳優淳平、
    水戸の教師ヒトシ、金沢の老舗豆腐屋 ワリョウ。
    20数年後、真吾が死んだことで、葬式に4人が集まる。
    大学時代 一緒に寝起きして、飯を食べ、
    大人になっていく過程の微細な記憶。
    バンドを組み、その時代の呼吸を感じた。

    大学を卒業して以来始めて 4人が出会う。
    それぞれは、自分の生活をしているのだ。
    葬式を終え みんなで空港に向かって 
    別れようとした時 俳優の淳平が 自殺すると宣言する。
    ダイ、ワリョウ、ヒトシは なぜ?自殺するな。
    というが、
    自殺する理由がわかれば、自殺しないと言う淳平。
    そこから、ロングドライブが始まる。
    クルマ故に 音楽も共有できる。
    うまい構成で、過去にさかのぼって 青春を語り合う。
    5人の共有のマドンナ そして 淳平の恋人 
    茜さんにまつわる話を掘り出していくことで 
    淳平が なぜ自殺すると 宣言したのかを探っていく。
    過去にはもどれないにもかかわらず 
    4人は 過去にもどったかのように、
    青春を語り始める。記憶の中にある青春は 
    甘酸っぱく、痛く、そして 幸せだった。

  • 引っ張って引っ張って、ええー、それぇ!?ってなった…。

  • 大学卒業後、20数年ぶりの男「5」人の再会。
    ハードボイルドな世界の住人ではない「普通」の登場人物のおりなす雰囲気を楽しみたい作品。

  • ドライブをしながら青春を振り向いて語り合う4人のおっさんを観ていて、自分の青春の無さを痛感する… 
    そして、あのオチはちょっと。。。。

  • ええええっ⁈
    な、展開だったけど、よかった。
    ダイがよい人で、みんなの学生時代がはっきりして、シリーズの順番ぐちゃぐちゃに読んでるから、また読み返したい。
    どれ読んだかさえ不明( ̄▽ ̄)
    でもほんとに予想外な話で、びっくり。
    思わず一気読みした。

  • 葬儀の後にドライブする話。

    身近な人の死はたくさんの事を考えさせられる。
    大人になればなおさらに。

    先にコーヒーブルースを読んでしまったけれど
    それはそれで大丈夫でした。

  • 読みながら友達の顔が浮かんできたので、それってとても幸せなことだなあと、自分の学生時代も振り返ってしまいました。ゆっくりとしたテンポで、仲の良い友達同士特有の雰囲気で、少しづつパズルがはまっていくような展開にも、いつの間にか引き込まれていきます。とても好きな感じだったけど、最後のエピソードって必要だったのかな?というのが疑問でした。

  • 他界した時に涙するぐらいの親友関係ってそうそうあるもんじゃないと思う。
    そういう友の葬儀が終わり、一緒に過ごした想い出をゆっくり振り返る間もなく日常へ戻らざるを得ない現実。
    そんな中、友のある一言で、一台の車に全員が乗り込んで、夜通しで仲間を偲ぶことになる話。
    運命共同体かのごとき、旧き良き友情?絆?っていいなぁと。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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