- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408550589
作品紹介・あらすじ
高杉晋作は「目黒のさんま」で暗殺された?井伊直弼の大老就任は「長屋の花見」で決まった?公武合体は「道具屋」が実現させた?大政奉還は拒否するはずが「時そば」のおかげで?幕末の一大事変、知らずに関わっていたのは何と、落語でおなじみの熊や八に与太郎、粗忽長屋の面々だった-鯨マジック爆笑必至!時代大逆転ミステリー。
感想・レビュー・書評
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これは一言、面白い!久しぶりに本で声出して笑えた。帯にも紹介のある箇所は特に秀逸。
そして落語の素晴らしさも再発見。粗忽長屋の面々が知らぬうちに歴史を動かす重要な局面に関わっていたとは。
何故か、自分は意図してないのに悪役がどんどん勝手に倒れていってくれる、小さい頃に見たピンクパンサーのクルーゾー警部もよぎる。
あくまでも異譚。でも意外と世の中こんなものかも。ベルリンの壁も、命がけで亡命を試みた人もいたのに、その崩壊は報道官1人の勘違いからだったし。悲劇のすぐ側に喜劇がある。
落語、まさに人生そのもの!辛いこともサラッと笑いに変えて生きていこうと思えた、軽くて重い一冊。
有栖川さんのあとがきも良い!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここまでお気楽ではないと思うけど、まぁ、江戸の人達は面白おかしく人生を楽しんでたのだなぁ、と思わせる。フィクションなんだけどね
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タイトルの面白さに、うっかり買ってしまった。古典落語が好きで、この物語の素材となった噺は何回となく聴いたものだ。それだけに、ただ単に噺をなぞるだけの物語になっては興ざめだと思った……のだが、その心配は杞憂だった。うかうかと幕末の日本の動乱が、異譚という形で古典落語と融合させている。そしてまた、古典落語を演じる現代の噺家によっては、今風のギャグを江戸・明治の話に違和感なくスルっと入れるように、著者も同じことをしており、うっかり読み進めた後でニヤリとさせてくれる。
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ざっくり言ってしまうと古典落語をベースにした連作短編集。
でもベースの落語を知らなくても全然受け入れOKな作品。一話一話はそれぞれのタイトルにある古典落語のあらすじをなぞった体で一話ごとにちゃんと落ち(サゲ)がある安心感。
更に一話目に登場する粗忽長屋の住民が各話に絡んでくる連作短編の形式をとっている。呆れるくらいネジが外れ気味な粗忽長屋の住民の軽妙な掛け合いが全編を通して笑いを誘う。
更に更に、誰もが知る江戸幕府末期の幕末から大政奉還に至る歴史的転換点を大ボラを吹きながら壮大に物語る(もちろんフィクション)。
ホントなんとも贅沢な創りである。有栖川有栖氏の解説にもある『サービス精神が豊か』な鯨統一郎を気軽に味わえる一冊。 -
落語が元ネタになってるんで、その話を知らないとつまらないかな?
私は大体殆ど知ってたので楽しめたけど。
読みやすい連作だった。 -
さくさく読めたが、一つ引っかかる点が……。
平将門の時代、日本にお茶は無いだろう。
念のため調べてみた。将門の死は西暦940年。栄西が宋から茶の種を持ち帰ったのが1191年。 -
外出好きの若殿様、隠密、陰陽師。幕末の政界の裏にいる面々を軸に、古典落語の世界が幕末史を運命付けたという趣向の連作集。
ただ、古典落語の部分は殆ど手が入っていない粗筋そのまんまなので、鯨さんのオリジナルで描いた部分って全体の四分の一とかもっと少ないとかじゃないんだろうか(^^;
ちょっと残念。 -
荒唐無稽で、ある意味ばかばかしい話の連作。
古典落語を知らなくても十分楽しめますね。
色々な歴史の転換点は、こんな感じでばかばかしく進んでいってしまうのかもね。 -
有名な落語ネタを使った連作。結構笑えたなあ。