メメント (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 68
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550695

作品紹介・あらすじ

ペットの寿命。死後の世界について。宗教の役割。戦争や大量殺戮が起きる理由。殺人事件はなぜニュース・バリューを持つのか。細胞不死のメカニズム。人生で残された時間の量-煩悶を繰り返すドキュメンタリー作家が、死に関する様々な事象に想いをめぐらせ、考察し続けた数年間の記録。文庫化に際し、東日本大震災後に執筆された「震災、受賞、父親の死」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • オウム真理教のドキュメンタリ映画『A』、『A2』を撮ったドキュメンタリ映画監督森さんの連載エッセイ集。

    タイトルは"メメント・モリ"="死を想う"、から取っている。だったら『メメント・モリ』にしてしまえばいいんじゃないかと思うが、「モリ=森」なので、何かを掛けているのではと思われることがいやだったんだろうか。藤原新也の有名な著書名とかぶるし、「メメント」~ 想う、だけでいいのだとの説明があるが、それだけではないだろう。繊細だけれども、強情な森さんらしい選択なのかもしれない。もちろん会ったことないのでわからないけど。

    「(死を)想う」とのタイトル通り、「死」を巡る多くの体験と思索が綴られている。それは、ペットの死であったり、取材対象の放送禁止歌の歌手の死であったり、昔自殺した友人の死であったり、死刑囚の死であったり、入院患者の死であったり、日々のTVニュースにおける死であったり、宇宙の死であったり、粘菌の死であったり、細胞の死であったり、北朝鮮拉致被害者の死であったり、サリン事件被害者の死であったり、ホロコーストの死であったり、震災下の死であったり、そして父の死であったり。そう思うと、実のところ死はありふれていて、私たちの周りに溢れている。

    メディア批判は相変わらず手厳しい。事実と記憶の多面性や、(悪意ではなく)善意こそが徹底的に人を残酷にさせるといった主張など、他の本で提示されたテーマもしつこく繰り返されている。売れるべき『A3』が売れなかったことへの悔しさと恨みごとも、また出てきている。いいと思う。

    連載物なので、ときにまとまりなくテーマも揺らぐが、最後『われわれはどこからきたのか、われわれはなにものか、われわれはどこへいくのか』というポール・ゴーギャンの有名な言葉で締める、これを読む読者にも少し考えてほしいなあという森さんの期待が透けるエッセイ集。よいですよ。

  • 生と死をテーマにした随筆集。
    筆者の動物好きが印象に残りました。

  • ものごとを安易に断定することなく、何だかいつも、何に対するときもいきつもどりつ煩悶しながら生きているような気がする森達也。
    今回は特にそれが顕著。

  • 自分のダメな部分も文章にしてさらけだせるのはすごいなぁ。久々に森さんのを読んだので、これくらいの長さの文章が考えながらにはちょうどベストでした。

  • 森達也さんのものの見方にはっとさせられることがよくあります。
    メメントモリ=死を想う。

  • 久しぶりの森達也。本作で12冊目。結構読んだな。

    主として生命・死をテーマとした文章を書き連ねている。
    タイトルのメメントは、ラテン語の「メメント・モリ=死を想う」から来ているから、
    そのテーマ設定も頷けるところである。

    善人が大量虐殺を犯す、仮想的が先制攻撃を正当化する等、
    いわゆる森節は健在で、その意味では「世界はもっと~」や「世界が完全に~」
    などからブレはない。

    特徴的なのは、文筆業であることへの違和感・飽きだろう。
    恐らくは2001年発表の「A2」以降、映画のみならず、映像作品を
    ほとんど発表してない禁断症状が出ているとみた。

    しかし、森達也ってこんなに動物を飼っていたのか(好きなのか、とは敢えて書かない)、
    と思えるほど、彼の飼育歴が明らかとなる珍しい作品。

    文庫では「震災、受賞、父親の死」が追録されている。
    慈しみに富む、切なくも美しい追悼の文章。

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著者プロフィール

1956年、広島県生まれ。ディレクターとして、テレビ・ドキュメンタリー作品を多く製作。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開し、2001年には映画「A2」を公開。11年『A3』(上下巻、集英社文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞。現在は映像・活字双方から独自世界を構築している。16年、ドキュメンタリー映画「FAKE」で話題を博す。著書に『死刑』(角川文庫)、『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』(ダイヤモンド社)、『ニュースの深き欲望』(朝日新書)など多数。

「2018年 『虐殺のスイッチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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