徳川家康 トクチョンカガン (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550909

感想・レビュー・書評

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  • 荒山徹の小説は初めて。

    徳川家康の影武者を主人公とした小説と言えば、言わずもがなの時代小説傑作中の傑作、隆慶一郎「影武者徳川家康」を思い出すのだが、本作はあの名作に果敢に挑んいる本歌取り的作品。善悪の立場を反対にし、家康の影武者をまさかの文禄の役の捕虜とするという離れ業を放ってくる。

    小説自体も、隆慶一郎だけでなく山田風太郎や山岡荘八いや読みようによっては吉川英治や司馬遼太郎までもカバーというかリビルドしているという貪欲さ。

    ただその心意気はいいのだが、残念ながら仕上がりの粗さが気にかかる。真田十勇士の末路の乱雑さや、関ヶ原合戦までとそれ以降の秀光の個性の変わりよう…文自体も必要性がないところで文語口語が混ざっていたり、雑味が残るのは仕事の丁寧さに欠けているからではないか?

    朝鮮の忍者3人衆のガッチャマンネタはやりすぎで却って興を削ぐと思ったし、オーラスのどんでん返しもあれじゃ落語のサゲやん…と、雑味というか違和感が残ってしまうのだ。

    せめて伝奇小説に特化していれば、悪乗りも勢いも味わいになったのだろうが、歴史小説の側面を持たせてしまったがために、荒っぽくかつ軽薄なイメージが残ってしまったのが残念

  • 130111

  •  荒山徹 著「徳川家康トクチョンカガン」を読みました。

     朝鮮の義勇軍に参戦していた元信は、豊臣秀吉率いる日本軍に捕らえられ、徳川家康の影武者に仕立て上げられる。豊臣に恨みを抱く元信は、怪しげな朝鮮忍者を駆使して豊臣滅亡をもくろむ。関ヶ原の戦いや大阪の陣の裏で一体何が起きたのか。そして、徳川秀忠と柳生宗矩は阻止することができるのか。

     関ヶ原、大阪の陣というあまりにも有名な歴史の裏でこのような戦いがあったと誰が想像できるのか、それはまさに山田風太郎亡き後、この荒山徹をおいて他にいないという意気込みが伝わってきそうな読み応えたっぷりの歴史エンターテイメントでした。

     家康の影武者が朝鮮人だったという設定にも驚かされますが、そういう展開で歴史をなぞらえていくと、思わず納得してしまいそうに感じざるを得ない所もさすがだと感じました。

     また、表の戦いでの登場人物はみな歴史上の人物を配しつつ、裏の戦いでは得体の知れないすさまじい忍者を描くところも楽しめました。

     特に、自分の好きな霧隠才蔵が最後まで物語に関わってくる所などもうれしいかぎりでした。

     結末も荒山徹らしい終わり方でやられました。

     これからも歴史の裏から歴史のおもしろさを描いていってほしいと思いました。
     

  • 無茶な設定でもこういう脚色も割りきって読めばそれなりに愉しいからよいのではないでしょうか。映画とかにしたら面白いかも。

  • 設定に多少無理があるが、軽い読み物としては楽しめた。最後のオチは、冷やっとする落語のオチ見たいで良い。

  • 面白い伝奇小説。ここまで奇想天外であると、軽い読み物としては、つい引き込まれました。でも、設定が奇抜すぎて、共感出来ません。あり得ないですよ(笑)
    決して、隆慶一郎氏の名作、影武者徳川家康と一緒にして欲しくないと思います。

  • 朝鮮人である必然性がない。動機が卑小すぎる。。。

  • かなり大胆な話しを“軸”にしながら、所謂“時代伝奇”、「妖しいモノを含むアクションが入って来る時代劇エンターテイメント」として綴られている。なかなかに愉しい…

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著者プロフィール

荒山徹

一九六一年富山県高岡市生まれ。上智大学卒業後、新聞社に入社、出版社勤務を経て、九九年『高麗秘帖 朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ』で作家デビュー。その歴史伝奇小説の作風から「現代の山田風太郎」と評される。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で第二四、二五、二七回吉川英治文学新人賞候補。第二回舟橋聖一文学賞を『柳生大戦争』で受賞。『白村江』で、第六回歴史時代作家クラブ賞で作品賞を受賞、「二〇一七年 週刊朝日 歴史・時代小説ベスト10」で一位、「第七回本屋が選ぶ時代小説大賞」にノミネートされた。

「2021年 『神を統べる者(三) 上宮聖徳法王誕生篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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