- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408550985
感想・レビュー・書評
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ちょうど今の私のような、仕事が楽しくなってきた、そんな時期の女性の話。6人の作家の短編集。
いろんな職業の話が読めて面白いし、職業は違えど、それぞれ悩んだり、へこんだり、でも立ち上がったりっていうのに共感できるのがいいんだよね。まさにエール!でした。文庫本書き下ろしらしい。どれもさくっと読めて楽しかったです。近藤史恵さんのやつが結構好きかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
様々な仕事で活躍する女性。色んな仕事があるな~それぞれの話が楽しめた♪
2012.10.17 -
「主婦」というのはお仕事には入らないんだろうなあと思いながら読了。
女性が主人公のせいか、ちらちらと結婚願望が顔を出す作品が多かった。
どれだけ「女性も働くのが当たり前の社会になりました」と言っても、やっぱり女性の場合は「仕事」か「結婚(家庭)」かの二者択一になってしまうんだな。
どっちも手にしたい、という言い方をするけれども、男性に対してはそもそもそんな選択は存在しないわけだから。
表現するということでいちばん心に残ったのは大崎梢さんの「ウェイク・アップ」。漫画家は浮世離れした人が多いというのが定説のようで、この主人公もそこそこ浮世離れしている。でも最後にはやっぱり漫画に戻ってくるというラストが好きだ。
平山瑞穂さんの「六畳ひと間のLA」は切ない終わりだった。
青井夏海さんの「金環日食を見よう」は、女性が主人公というこのアンソロジーの縛りを忘れてしまうような話だった。プラネタリウムが主人公のような感じ。
小路幸也さんの「イッツ・ア・スモール・ワールド」。私はこの人の文体がちょっと苦手なので、若干読みづらかったし、取ってつけたような展開がいまひとつ共感しづらかった。
碧野圭さんの「わずか四分間の輝き」は最近よく書いているフィギュアスケートの世界にからめた、ライターの話。ちょっと大崎梢さんの漫画家の話と世界観が似てる。どちらも、自分のやりたいこと思うことと、周囲が食い違っていて悩むという話だから。
それだからこそ、自分の意思を貫くというラストが心にしみる。
近藤史恵さんはツアーコンダクターの話。こういう話はもうちょっと長いもので読みたいと思う。客の個性が、通り一遍になってしまうから。元彼との絡みも、ダイエットと英会話についての思索も、もうちょっと関係していたら面白かったのにな、と思う。
アンソロジーのいいところは、ふだんあまり縁のない作家さんの作品を読むことができるのと、それぞれの作品のカラーを見比べられるところだ。
自分の好みを再発見したり、あらたな魅力に出会えたりするのが、アンソロジーの醍醐味だと思う。