ぞろりん がったん (実業之日本社文庫)

著者 : 大門剛明
  • 実業之日本社 (2013年6月5日発売)
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  • 11レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551302

作品紹介

広島の田舎町に暮らす作家・世良の家から、妻の加奈子が姿を消した。友人の内畠は実情を探ろうとするが、世良は話を逸らし、執筆中の原稿を読んでほしいと言う。それは、「座敷わらし」「言うな地蔵」「吉作落とし」など日本各地に伝わる怪談をモチーフにした物語だった…。昔話と現実世界が交錯する幻想的なミステリー。著者初の短編集が、いきなり文庫で登場!

ぞろりん がったん (実業之日本社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • まんが日本むかしばなしで大好きだった『吉作落とし』をモチーフにした話があるとのことで手に取りました。
    主人公は、情に熱く、正義感溢れるタイプの消防士、内畠。彼の友人世良には加奈子という妻がいたはずだが、最近姿がみえない。内畠は加奈子の妹から姉を探すように頼まれる。
    世良の家を訪ねると、作家の世良は新作を書いたと言って、内畠に原稿を見せてくる。彼はその話を読んでみる。
    こんな感じで、ほぼ作中作形式の話が展開。
    それらが一通り終わったところで内畠を取り巻く事情が語られ、加奈子失踪事件の真相が解き明かされる。

    まず、作中作がどれも奇妙で面白かった。
    一番惹かれたのは、冒頭に書いたように『吉作落とし』。
    主人公の釘宮医師が断崖絶壁の上に取り残され、まさに『吉作落とし』の吉作の状態になるけど、友人にハメられてこうなったらしいことが徐々に分かってくる。釘宮医師は昔、彼女を事故で亡くしているが、それが単純な事故ではないらしいことも判明。一連のことは亡くなった女性の身内が仕掛けた復讐……なのかと思いきや。
    『吉作落とし』についてはあまりに秀逸な話なので昔ちょっと深く読んでみたことがあるんですが、「このまま衰弱死する」か「落ちて死ぬ」かの二通りしかなく、吉作が極限まで追い詰められて、落ちる方にほんのり希望を持つところまで行くという凄まじい展開。
    この話は吉作と同じ二択かつ、「ここまでの方法を取るかとらないか」という二択が事前にあったことが分かる。
    落ちて死ぬというのは、釘宮医師の恋人と同じ死因なのですよね。

    『座敷わらし』
    誘拐犯自身が痴呆症になり、誘拐したことを忘れてしまっていたというオチ。誘拐した子供と割といい関係を気付いていたことがわかる。子供の今後を考えると切ない。座敷わらしの正体も、上手い。

    『言うな地蔵』
    語り手が犯人パターンと思いきや…。最後の方になるまで真相が分からず、信用ならない語り手を上手く使っているなぁと思った。「自白してしまうだろう」という地蔵の言葉もちゃんとその通りになってるし。

    『河童の雨乞い』
    ひったくりが高じて老婆を殺してしまい、少年院に入っていた涼雅。涼雅には落ちぶれた父親しかおらず、娑婆に出た彼を雇ってくれたのは藤井という工場経営者。
    保護司である住職の後押しもあり、被害者の遺族にお詫びに行ったりなど、しばらく真面目に過ごす涼雅だが、やがて嫌気がさす。そんな時、昔の悪い仲間・北島に声を掛けられ、再び彼の仲間に引き入れられそうになる。
    しかしその前に北島が何者かに殺される。涼雅に疑いが掛かるが、雇い主である藤井が自首した。
    実は藤井は涼雅の父に窃盗の罪をなすりつけた過去があった。そのせいで涼雅の父親は落ちぶれ、家庭環境が悪くなった。涼雅が荒れたのは自分のせいだという負い目があり、藤井は出所後の涼雅の面倒をみていた。
    その涼雅に再び近づこうとした悪党の北島といさかいになり、はずみで北島を殺してしまった。
    浅田次郎の人情物を読んでいるような気分。
    二時間ドラマでうまい俳優さんに演じてもらいたいです。

    『チロリン橋』
    主人公の倫子は結婚を間近に控えた教師。
    モンスターペアレントがいたりなど、問題はあるが、あと少しのことと思って日々を過ごしている。
    そんなある日、倫子の家に「結婚するな」という怪文書が投げ込まれる。
    倫子には、友達のよっちゃんを見殺しにしたという過去があった。積極的にいじめに加わってはいないけど、クラスのみんなでその子を無視し、倫子もその輪に加わっていた。よっちゃんは給食費を盗んだと疑いを掛けられ、橋の上から身を投げた。
    よっちゃんは欠けた鈴をお守りにしていて、その音が今でも倫子の耳に残っている。
    今回の脅迫状は、そのよっちゃんの遺族がやったことなのか、自分はよっちゃんを見殺しにしたのに、このまま幸せになっていいのか、倫子は思い悩む。

    『ぞろりんがったん』
    読んでいて何となく、語り手の内畠がなんかやってるんだろうなと思ったけど、犯人と見せかけて誰かを庇っているみたいなパターンの話があったので、そういうのかなと。
    でもこっちはストレートに内畠が犯人でした。やはり「信用ならない語り手」の使い方が秀逸。

  • 怪談モチーフのミステリー短編小説。
    通勤時にいい長さ。『言うな地蔵』と『チロリン橋』が好きかなぁ…。

  • なかなか面白い構成の連作短編集。

    序章で消防士の内畠拓也は、広川まどかという女性から作家の世良耕平の妻が失踪したらしく、確かめて欲しいと相談を受ける。世良の家を訪れた内畠は、世良から執筆中の原稿を読んで欲しいと言われ…

    ここから、日本各地に伝わる怪談をテーマにした短編が5編続き、最後の『ぞろりん がったん』で全ての真相が明かされる。

    なるほど。最初に短編を描き、序章と終章の『ぞろりん がったん』を書き下ろしで追加し、再構成して、ひと味違う作品として仕上げたのか。

    短編の『座敷わらし』『言うな地蔵』『河童の雨乞い』『吉作落とし』『チロリン橋』のいずれも、怪談をテーマにしながら、ひねりの効いたミステリーに仕上がっている。

    面白い。

  • (収録作品)序章/座敷わらし/言うな地蔵/河童の雨乞い/吉作落とし/チロリン橋/ぞろりんがったん

  • 強引な展開と不自然な設定が目立つ。
    怪談チックなのに、恐怖感があまり感じられない。
    筆力の問題かな。

    設定は面白いから3つ星にしたけど

  • 短編集、簡潔で読みやすい。
    アリバイ、トリック、どんでん返し、

  • 序章を読みながら、かなり悪い予感はしてたんだが、やっぱりという感じ。主人公がナルシストぽかったので凄く胡散臭い奴と思ってた。
    世良の原稿って設定の短編はどれも良いのでもったいない。
    なんで長編にするかな。言っちゃ悪いが作中作だけで短編集にしたほうがマシだったと思う。
    余計な仕掛けを足したせいで二度と読まなくていい本になっちゃったパターン。

  • <短編> 初めて読む作家さん。もっとオドロオドロシイかいと思いきや、むしろ「良かったねぇ~」と思える作が多かったです。怖~い本を読みたい人にはちょっと物足りない感があるかも知れません。私は「座敷わらし」がお気に入りです。導入部分が最終編の続きだったと、ちょっと忘れていました(^_^;)

  • 怖イイ話系のホラー短篇集。
    全体的に面白かったが,特に「言うな地蔵」と「チロリン橋」が良かった。
    ただし最後のオチがどうもいただけない。

  • 怪談をモチーフにした連作ミステリ。でもあまりあからさまにホラーではなく、さほど怖くもなく。ミステリとしては、案外シンプルに思えたのに。ラストでのひねりにことごとく騙されてしまいました。
    お気に入りは「言うなの地蔵」。ある意味倒叙ミステリなので、経緯のどきどきが読みどころかと思っていたら。これには完全にやられました。そういうことだったのか!

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