星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551456

感想・レビュー・書評

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  • タイトル「星がひとつほしいとの祈り」に強く心惹かれて手に取り、何の根拠もなく、ただ感覚的に「この本は大切に読み進めたい」と思った。 

    結果、わたし、正解。

    豊かな表現力、美しく無駄のない文体、情景がクリアに頭に浮かんでくるようで…
    うまく言えませんが、とても安心しながら読んでいる自分に気付きました。
    なんて、、こんな風に勝手な感想を書くのは簡単ですが、読者を安心させるってとても難しく、それが出来るって超一流の小説家なんじゃないかと思うのです。

    偉そうに、すみません…m(._.)m

    この本は今年、読書好き友人の誕生日に贈りたいと思います。

  • 訳ありの女性たちが主人公の短編集。それぞれの舞台となっている場所がとても魅力的に描かれており、訪れてみたくなった。
    中でも『長良川』がめちゃくちゃ良かった。
    たったの35ページなのに、一冊分くらい泣けた。読んでしばらく経っても情景が頭から抜けず、やっぱマハさん最高だな、と思った。
    『旅屋おかえり』の続編も早く読まなくては!
    『ハグとナガラ』も!!

  • 二十代から五十代までの女性が主人公の七作品の短編集です。

    『椿姫』は主人公の女性には共感できなかったけれど、脇役の少年が清々しくて、よいお話を読んだ。世の中そんなに悪くないと思いました。『椿姫』というタイトルが少年の交際相手の少女のことだと思うと微笑ましかったです。

    表題作の『星がひとつほしいとの祈り』。
    8月15日に泊まっていたホテルで主人公の文香の前に現れたマッサージ師の、上品な老婆の昔話。
    老婆が最後に「星とはなにかとお訊きになりますでしょうか」と言い出し「私の場合は詩、でございましょうか」と自答したのには、泣けました。
    恋とか、愛とかとは答えずに、自分のために、命をつくしてくれたものを思う気持ち。真夏の夜のおとぎ話のようなお話でした。

    『長良川』は幸福感に満ちたお話でした。
    『沈下橋』はちょっとしたサスペンス感がありました。

    この1冊の短編集で飛び交うお国言葉や情景を読んで、日本全国各地に旅をさせてもらったような気持ちになりました。
    旅好きなマハさんらしい短編集だったと思いました。


  • おすすめされて、久々のアートではないマハさん。
    アートのマハさんも、そうでないマハさんもどちらもやはり最高です。

    とくに好きだったものを厳選すると、

    2章目 夜明けまで
    女優の母を亡くした娘が、母の願いを叶える物語。全く知らない土地で知る母の姿と、最後の願いとは。禁断の恋とはいえ、好きだった人とこうして別れるのは辛かっただろうなと想像しながら、ひとり心を強く持って娘を育てたあかりさん(母)は凄いと思った。

    3章目 星がひとつほしいとの祈り
    盲目の旅館のマッサージ師が経験した戦時中の物語。ヨネの優しいこと..。ヨネも先生のことが好きだったんじゃないかな。でも自分の気持ちより、大切なお嬢さん(マッサージ師)の幸せを願っていた。ヨネにとってのたったひとつの星はお嬢さん(マッサージ師)だった。
    支えてくれたヨネや先生が、今もマッサージ師の心の中で輝き続ける星となっている..

    読みながら、私が希望や祈りや幸福を抱くのは誰だろうと心に問いかけた。(本書では星と表現されている)
    そして、今まで出会った大切な人たち、大好きな人たちが、星となって浮かんできた。
    いつまでもいつまでも、輝いてほしい。

  • 夜明けまで、寄り道、長良川、沈下橋がお気に入り。過去を受け止め、前に進もうとする女性。静かな物語に一人一人の人生が感じられる。

  • 原田マハさんの作品はいつも何となく清潔でジブリみたいでそんな綺麗に上手くいくわけないって言われそうな話なのに、どこかリアルで自分のことのように感じられるからすてきだなと思う。
    今回は女性にフォーカスされてたから余計にそう思ったのかもしれないけど、それでも原田マハさんの言葉の力なんだろうな

  • 原田マハさんの本を初めて読みましたが、とても丁寧で綺麗な文章を描かれる方だという印象を受けました。方言や言葉遣いの違いで人柄がよく表現されていたし、情景を想像するのがとても楽しかったです。


    複数の短編集に、不倫を経験している女性が登場していました。パートナーのいる男性と関係を持った女性は不幸な思いをして深く傷つくことが多いと思いますが…登場する女性の悲しみが痛いほどに分かるようになっている自分に気がつきました。これは、きっと報われない恋をして傷ついてみないと分からない感覚でした。純粋で綺麗な恋愛だけしてもわからなかった気持ち。私は知らないうちに、少し大人になれたのかなと感じることができました。
    短編集の出来事含め、不幸な境遇にある時は確かに辛いです。しかし、その苦しみが人間くさく生きていくことや、他者の痛みを理解できるようにさせてくれる。不幸も人生を豊かにしてくれるのだと思わせてくれる一冊でした。辛いことを経験した人は、きっと強く生きていけます。

    原田マハさんの他の作品も必ず読みたいです!

  • 眠る前に軽く読むには、丁度良いくらいの
    短編集。

    …と、思っていたのだが
    就寝前の語り部として原田さんは如何なものか。
    「さ、おしまいですよ。もう眠りましょう。」
    と、お布団をかけられ、トントンされても
    心がうるうるしちゃって眠れないっ。

    それでもいつの間にか朝になり、
    (泣きながら眠るなんて、
     少女の頃以来だなァ…。テヘ。)
    なんて、鏡に向かうと
    写っていたのは真っ赤に腫れた目が痛々しすぎるただの現実。

    就寝前泣きの小説には要注意かな。

  • すごく小さくてささやかなものが欲しいという祈りは実はなかなか得難いんだなって思いました。
    やっと手に入れたのかもって思っても奪われてしまう、でもまた立ち上がるんだって思わせてくれました。

    夜明けまで
    星がひとつほしいとの祈り
    がすきです

  • 7つの短編集で、どの物語も女性が主人公。
    人生の節目、決断をするとき、どんなときでも希望がある。と教えてくれる。
    どの話も涙が溢れる。
    7編全部良かったけど、「寄り道」「長良川」が好きかなぁ。
    本当にどれも素敵です。

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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