ヒート (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551739

作品紹介・あらすじ

日本男子マラソンの長期低迷傾向に歯止めをかけるべく、神奈川県知事の号令のもと新設された「東海道マラソン」。県庁職員の音無は日本陸上界の至宝・山城悟のペースメーカー役に、孤独なランナー・甲本剛を起用する。果たして世界最高記録達成はなるか。数多の人間の欲望と情熱を乗せたレースは、まさかの展開に-。箱根駅伝を描いた『チーム』の続編。

感想・レビュー・書評

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  •  神奈川県知事の「世界最高が欲しい。しかも日本人が取るべきだ」。

     鶴の一声で計画された「東海道マラソン」。これらの企画立案やすべての責任が神奈川県教育局スポーツ課の単なる職員である音無太志にのしかかった。
     しかも「東海道マラソン」の目玉として,日本マラソン界の至宝,山城悟を出場させ,世界最高記録で優勝させようというのだ。
     個人主義,他者に阿る気は更々ないであろう山城を,この大会に出場させられるのか。

     音無自身,大学四年のときに箱根駅伝には出たが,八区で区間最下位,大学で陸上は引退して一県職員として勤めていたのに,青天の霹靂とも言えるビッグプロジェクトを進めていくことになる。

     「チーム」で学連選抜として出場した山城と,音無,かつてのハーフマラソン日本新記録を持ちながら,不運にもチームの解散に遭い,今回この「東海道マラソン」でペースメーカーを打診されている甲本剛など,それぞれの思惑が交錯する。

     主人公は県職員の音無の視点だけれど,「チーム」でも存在感のあった山城の心情もなんかたまらない。
     走ることに真剣に向き合っているからこその譲れない部分があるのだろうなというのを感じさせられる。多くの登場人物の心情が細やかに書き込まれていて,ああっ,もうっという感じ。(語彙力ひどすぎ)

     あんまり詳しく書けないけれど,レースシーンは圧巻。
     小説に出てくる「東海道マラソン」横浜駅のあたりから六郷橋のところまでの第一京浜は箱根駅伝のコースと同じところを走る。その描写も,個人的にとってもアガるねぇ。

     あと,個人的なことですが,この堂場瞬一さんの陸上小説シリーズ,「チーム」「チームII」「ヒート」の順に読んだんですが,登場人物の時系列どおり読んだほうが良かったなあと思いました。
     しばらく置いておけば,内容を忘れてまた小説を楽しめる質なので,次回はそうする。

  • 文庫521頁を、たちまち読み切ってしまった。
    緊迫感にあふれ、あたかも共に走っているかのような臨場感で、心が熱くなる。
    マラソン場面だけでなく、大会を開催させるべく奮闘する裏方や、陸上界の現状とか、見どころ読みどころ満載のエンターテイメント。
    以前読んだ、この前篇ともいうべき「チーム」を、また読みたくなった。
    堂場瞬一の本領を、警察小説に求めるか、スポーツ小説に求めるか、選択は難しい。

    • azu-azumyさん
      先日、初めて堂場舜一さんの本を読みました。
      読んだのは「アナザーフェイス」です。
      続編もぜひ読んでみたいとおもっているのですが、堂場舜一...
      先日、初めて堂場舜一さんの本を読みました。
      読んだのは「アナザーフェイス」です。
      続編もぜひ読んでみたいとおもっているのですが、堂場舜一さんがスポーツ小説も書かれているとは知りませんでした。
      まずは「チーム」から読んでみたいと思います。
      2015/01/13
    • honno-遊民さん
      堂場瞬一さんのスポーツ小説も、きっと気に入ると思います。
      助言としてー
      時間に余裕のある時に。読みだしたら止めるのが難しい(笑)
      堂場瞬一さんのスポーツ小説も、きっと気に入ると思います。
      助言としてー
      時間に余裕のある時に。読みだしたら止めるのが難しい(笑)
      2015/01/14
    • hs19501112さん
      はじめまして。
      堂場作品で一番好きなのが「チーム」です。
      その続編とは・・・・・。

      ぜひ、読まねば。
      はじめまして。
      堂場作品で一番好きなのが「チーム」です。
      その続編とは・・・・・。

      ぜひ、読まねば。
      2015/05/22
  • 【読間】
    「堂場瞬一に外れ無し」……などと一時期は思っていたが、さすがに25冊以上も読んでいると、中にはイマイチと感じざるを得ない作品もあった。(外れではないものの)

    ……そんな中でのこの一冊。いやあ、面白い!3章組みのうちの2章を終えた時点だけれど、もう既に、一瞬たりとも目を離したくないくらいに引き込まれてしまっている。

    学連時代の裏くんの登場に、ニンマリ♪

    あれほど傲慢な山城が見せた、音無達への怒り……甲本をペースメーカーに指定することは彼の競技人生へ引導を渡すも同じ……は、超自己中かつ超傲慢な山城の、マラソンという競技への誠実さを感じられ、好印象。

    さて、一冊の残り3分の1を残して、いよいよ東海道マラソンのスタート前夜。続きが楽しみすぎる!!!!

    正月目前のこの時期に読むにふさわしい一冊。先を急ぎつつも十分に世界観を味わいながら読もう。

    2015.12.28.書。


    【読了】
    分厚い文庫の3分の1を割いて描かれた42・195kmの攻防は、題の通りに何とも“熱い”気持ちを沸かせてくれた。
    テレビを点ければ箱根路を走る若者たちの熱い戦いが繰り広げられ、手元に目を落とせば元箱根ランナーが世界最高記録に挑んでいる……。

    「チーム」の時にも思ったものだが、この物語を年末年始にかけて読むというタイムリーさは、なんとも幸せ。

    筆者が主張する“箱根駅伝の功罪”に考えさせられ、“ペースメーカーの是非”に想いを馳せながらの、濃密な読書時間を味わうことができた。

    さらなる続編「チーム2」も刊行されてるとのこと。来年の正月も、堂場作品を手に過ごすことになりそうだ。


    ※現実の箱根では、母校はシード落ち…(苦笑)。

    ※今年のテレビ中継では“学生連合”と表記されてたけれど……“学連選抜”という用語は無くなってしまったのかしら?


    ★5つ、10ポイント。
    2016.01.03.新。

  • 作者スポーツ小説マラソン編。
    チーム1→ヒート→チーム2とシリーズになっているのを知らずチーム1→チーム2→ヒートと読んでしまった・・・泣。
    どうやらもう一度チーム2を読む必要がある。
    そしてチーム1の前にキングとやらがあるらしい・・・・・泣泣。
    まだ未読なり。
    本作の結末が続編にて教えますタイプで☆1つだ!怒。と思ったけど、マラソン小説としては十分に迫力のある内容でグングン引き込まれてしまったのと、続編にて教えてくれてるならまあ・・・と思いなおして☆4つにします。

  • 仕事の話が大半を占めてて、マラソンについてはあっさり終わるのでは・・・と読んでて心配になってきたが、そんなこともなかった。ラストもよい!

  • 「チーム」続編。
    日本男子マラソンの世界最高記録達成のため、神奈川県知事の号令のもと新設される「東海道マラソン」。
    ペースメーカーを依頼される甲本剛、世界記録に最も近い山城悟の心の内、走りやすく記録の出やすいコースづくりなど、面白かった。
    ただ、このような終わり方は好きではない。
    (図書館)

  • 名作「チーム」の続編であり、堂場瞬一氏の手による作品であるが故に、もちろん凡百に埋もれてしまうような代物ではない。
    今回も前作同様、レースに入ってからの描写がまるで「キャプテン翼」か「スラムダンク」か、と思うほどに濃密で、大半の紙幅が割かれている。
    対照的に、これも前作と同じように本番に至るまでの流れが若干淡泊であることは確かで、特に今作では、山城が翻意してレース出場を決めるくだりにおいて、決定的に説得力が不足しているように感じた。
    実はレース途中、小説後半部分で、山城がリタイアを選択するのではなく完走を決意した描写についてもそれは言えるのだが。
    ラストシーンは、正直もう少し勝負してほしかったような気がした。
    いずれにせよ、読み物として面白いことは間違いない。

  • 気持ちがいい作品。
    一緒にマラソン走ったり運営してる気持ちになれる。
    コースについて、ランナーの気持ちについて、深く知ってる人が書いていることがわかる。
    絶対エース山城の焦りと人情的な部分を見ることができる貴重な一冊!

  • 再読なのに最後の最後まで誰が勝つのかわからなかった。
    21/7/24

  • チームの後に読みました。
    山城さん、浦さん、吉池監督。甲本さん。
    みんな、人間臭くて好きでした。
    山城さんと浦さんの関係、浦さんの人柄がよかった。分厚くて、大丈夫かな、と思ったけど、おもしろかったです!

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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