本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (616ページ) / ISBN・EAN: 9784408552149
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
戦後70年目に編集された短編集。14人の作家が、それぞれの戦後を描く。目取真俊の短編が一番面白く、柴田哲孝、古処誠二、山田風太郎、五木寛之、小松左京の短編が面白かった。
柴田哲孝『草原に咲く一輪の花 ー異聞 ノモンハン事件ー』。柴田哲孝の『異聞 太平洋戦記』に収録されていた短編。ノモンハン事件の真相に迫るミステリーであるが、その真相は意外なものだった。
坂口安吾『真珠』。ハワイの真珠湾攻撃の未帰還兵を描いた作品。歴史の裏に知られざる事実あり。
大岡昇平『歩哨の眼について』。歩哨兵の『私』の敵襲への恐怖を描いた掌編。
田村康次郎『蝗』。慰安婦と白木の棺桶を戦地に運ぶ任務に就いた原田軍曹…生(性)と死の狭間で描かれる兵士たちの渇望。後味が非常に悪い作品であるが、戦時の中で日本が行なった蛮行から目を背けてはいけない。
古処誠二『糊塗』。敗戦濃厚な戦場で繰り広げられるミステリー…狂気…古処誠二の描く、戦争小説は心を抉られるようで、何とも残酷。
帚木蓬生『抗命』。『蛍の航跡 軍医たちの黙示録』収録の短編。軍に抗命した中将の精神鑑定を引き受けた軍医の迷いとは…
城山三郎『硫黄島に死す』。享楽的な生活と戦場という地獄の対比…人間の愚かさと人生の無情さを感じる作品。
山田風太郎『潜艦呂号99浮上せず』。米国との兵器の差は歴然であり、精神力でその差を埋めようとする日本。合理主義者の九鬼中尉は新興宗教の教祖の御神託をも撥ね付け、戦場に向かうのだが…
皆川博子『アンティゴネ』。物語の舞台は書かれてはいないが、登場人物の言葉から推測すると東北地方の田舎であろう。東京から田舎に引っ越して来た佐倉梓と田舎に疎開して来た篠井江美子…終戦後に二人を待っていた悲劇…
徳川夢声『連鎖反応 ーヒロシマ・ユモレスクー』。広島鉄道局の車掌、吉川右近を突然、襲った悲劇…原爆により、突然、喪われた日常…
島尾敏雄『出孤島記』。広島、長崎に原爆が投下されたという報を耳にしながら、自殺艇による特攻命令を待つ主人公の不安の日々…
五木寛之『私刑の夏』。敗戦後、朝鮮半島に暮らしていた日本人たちは祖国を目指し、脱出を図るのだが…ラストに仕掛けられたミステリーと異国の地で過酷な運命を辿る日本人たち…
目取真俊『伝令兵』。この短編だけは本作の中では異質。異質というのは決して、つまらなかったという意味ではない。むしろ、一番面白く、心に突き刺さった短編である。舞台は返還後の沖縄。嘉手納基地近くでジョギングをしていた金城は三人の米兵とトラブルを起こし、首の無い少年兵に助けられる。ホラー短編のような趣きもあるが、戦争は今も続いているのだという著者の強いメッセージを感じる。傑作である。
小松左京『戦争はなかった』。最後は小松左京のSFである。同窓会に向かう途中の主人公が階段で転倒し、彼ひとりだけが戦場の記憶を持つことになるのだが…戦争の記憶の無い日本…パラレルワールドSF。上手い。 -
真珠湾攻撃、インパール作戦、硫黄島の戦い、沖縄戦、広島原爆投下等々…
第二次世界大戦を題材にした14人の作家による戦争小説集。
戦時中の兵士、一般市民だけでなく、現代に繋がっている物語もあり。
全てフィクションでありノンフィクションなのだと思う。
アンソロジーの作品
本棚登録 :
感想 :
