王妃の帰還 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 819
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408552279

作品紹介・あらすじ

私立女子校中等部二年生の範子は、地味ながらも気の合う仲間と平和に過ごしていた。ところが、公開裁判の末にクラスのトップから陥落した滝沢さん(=王妃)を迎え入れると、グループの調和は崩壊!範子たちは穏やかな日常を取り戻すために、ある計画を企てるが…。傷つきやすくてわがままで-。みんながプリンセスだった時代を鮮烈に描き出すガールズ小説!

感想・レビュー・書評

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  • 良くあるスクールカーストものかと思えばそんな単純なものではない。
    フランス革命に重ね合わせたつくりがすごく面白い。

    どうしてこの年頃の子供たちは明確な階級わけに拘るんだろう。
    合わない人たちと無理をしてでも一緒にいなければいけないほど1人が怖くて恥ずかしいんだろう。
    大学に入れば、社会に出れば、1人で過ごしている人たちなんて大勢いるし、誰も変にも思わない。
    むしろいつもどんなときでも誰かとつるんでいる人たちよりよっぽどカッコイイとさえ思うのに。

    何がメリット、デメリットになって個人ではなくグループごとに対立したり、ふとしたことで誰かを仲間外れにしたり、メンバーが入れ替わったりするんだろう。
    単純に仲良くしたいって気持ちだけでは一緒にいれなかったりするんだろう。

    大人になった今では、本当に馬鹿馬鹿しいと思うけれども、自分たちもこうだったな、と。
    ここまで激しい抗争はなかったし、目に見えていじめまがいのこともなかったけど、上位や中間、地味な層などははっきり分けられてたな。
    イベント時だけのみんなが分かり合えた感じも、やっぱり表面上だけだったんだなって切なくなる感じも、懐かしい。

    それに比べて、範子たちのクラスでは問題が次から次に沸いて出たからこその各々の成長が目覚ましかった。
    「クラスメイトみんなが仲良くなりました、はいハッピーエンド!」ではなく、それぞれの居場所に戻りつつも、確実に良い雰囲気になっていたラスト、すっとした。

  • 読み進めてしばらく、
    「なるほど、それで『王妃の帰還』なのかー」
    と、納得。

    予想していたよりもドロドロで、女子の心理がたくさんつまっていて面白かった。
    コロコロと標的が変わり、女の子の奥深くに潜めていた感情が爆発して、まるで人が変わったようになる。

    最後に主人公があだ名をつけてからかわれるくだりは、ちょっとひどいけれど、友達としてはとても楽しい。
    今風な仲良しだな、と思えた。

    これ、現役女子中高生が読んだらどんな反応をするだろうか?

  • うーん、学生時代の色んな人間関係がぎゅっと濃縮されてて、ほんとに懐かしい甘酸っぱい気持ちになります。わたしは共学だったけどね。
    女って、ほんと争う生き物ですよ。これはフランス革命からインスピレーションを得て書かれたそうですが、ほんと、こんな感じです。
    なんで、子供の頃ってあんなに残酷になれるのでしょうね。生々しいドロドロした感情を、平気で他人にぶつけられるんですよ。全く酷い生き物です、女の子って。
    私も例外なくそういう時期があって、友人とぶつかったりしてました。なんと青いことか。思い出すと赤面ですけど、いっぱいぶつかって、そして和解しました。相手の子が本当に器が大きい人だったからです。現実は、こんな本のようにうまくはいきませんよね。

  • 安定の品質。安心のブランド。
    構成も展開も、まるでエンタメ小説のお手本みたいな小説。
    そのまま中学や高校の国語教材にしても良いくらいだ。
    教える教師の方が疲れるだろうけれど。

    ありきたりな感想だけれど、学校というガールズコミュニティで起きる事件を、中世ヨーロッパの革命史になぞらえているところが実に上手い。
    男性読者からすれば、少女たちの思考や行動は自分にあてはめられないだけにやっぱり不思議で、
    星崎先生よろしく「女ってどうして派閥を作りたがるんだろうな」と首をかしげたくもなってしまう。
    けれどそれを「歴史」になぞらえることで、実に共感的に読めてしまう。
    しかもそこに「中世ヨーロッパ」とか「革命」という中二フレーズが付くのだから、まるで歴史ものの一大スペクタクルを読むかのように、男性でも面白く読めるに違いない(盛り過ぎか)。

    あと、大人の社会がきちんと描かれていたのが意外だった。これは引き合いに出される「終点のあの子」とは違う点だろう。

    大人は大人でちゃんと自分の役割をもっていて、それが少女たちの世界に広がりを持たせているのだと感じた。
    世界史でも、ドラマを作ったのはフランスの人々だけではないのだ。周辺諸国が首を突っ込んだりなんだりかんだりしてあの革命はあるべき形に成功したのだ。
    大人だって捨てたもんじゃない。
    大人だって戦ってるんだ。

    これはぜひ、年頃の娘さんを持つ歴史好きなお父さんにおすすめしたいものだ。
    とは言えオッサンが書店のレジにこんな表紙の本をもっていったら、バイトの若い女子店員に「なにこのオヤジキモいんだけど」と思われるかもしれない。

    けれど、その時はどうか、強く戦ってほしい。

  • 然程期待していなかったのに,ここまで面白いとは・・.
    中高生のあの頃にすっかりタイムスリップしてしまった.そしてこのスピード感は紛れもなくあの狭い教室だからである.絶対におススメ!!
    以下あらすじ(裏表紙より)
    私立女子校中等部二年生の範子は、地味ながらも気の合う仲間と平和に過ごしていた。ところが、公開裁判の末にクラスのトップから陥落した滝沢さん(=王妃)を迎え入れると、グループの調和は崩壊!範子たちは穏やかな日常を取り戻すために、ある計画を企てるが…。傷つきやすくてわがままで―。みんながプリンセスだった時代を鮮烈に描き出すガールズ小説!

  • 思春期真っ只中の女子中学生特有の、グループ付き合いとクラス内ヒエラルキーについて描かれてる作品。
    大人となった今、そういえばこういうのあったなぁ、学生時代のほうが社会に出てからよりも、人付き合いが難しいかったなぁ、と思い返しながら読んだ。

    また親となり、自分の娘はクラスの中でどういったポジションに位置するのかなぁ、性格が悪い子にはなってほしくないなぁ、と思いを馳せながらも読めた。

    学園物も、子を持つと自分が学生だった頃と、娘が学生になったこと、二つの面から捉えて楽しめることを発見できるのね。

  • 女子あるあるだなーって読みなら若い頃を思い出した。
    女子ってほんとグループ作って排他的になるなと。
    若い子って無邪気に残酷!

  • さすが柚木さん、女子の描写がすごい。
    中学って大変だったよなぁと思い起こされた。
    女子の醜い部分も沢山描かれるけど、やはり終わりが素敵。

  • 私立女子校・聖鏡女学園中等部二年の範子は雑誌の編集長として勤める母と二人で暮らしながら、チヨジ、スーさん、リンダさんという気の合う仲間たちと、地味ながらも楽しく平和な学園生活を送っていた。ところが、クラスである事件が起き、公開裁判の末に滝沢さん(=王妃)がクラスの頂点にいる姫グループを追われてしまう。なりゆきで滝沢さんを迎え入れることとなった範子たちだったが、彼女の傍若無人さに、グループの調和は崩壊!穏やかな日常を取り戻すために、範子たちはある計画を企てる・・・。

    ああ~~すごい分かる。私立女子校で中学生というオトナもなくコドモでもない、あの超絶自意識だけは高くてやっかいな生き物だった時代を生きた私には、分かりすぎて、ああこんな年になってもまだ当時のことを鮮明に思い出せるんだなと妙なところで驚く。それとも、いくつになっても女子である限り忘れないものなのだろうか。グループごとに固まって、あっちに移動こっちで引き取る、小説みたいな世界が実際にあった。周りの目やグループのことばかり考えて生きていたあの頃の自分に、それでも、そんなことを超えた友情や絆は生まれるし、年を重ねたら些細なことになるよと言ってあげたい。

  • 先日読んだ「女の子ってどうして傷つけあうの?」の小説版だ!と思った。そして、作者がフランス文学科卒業だからか、フランス革命に女子のヒエラルキーをなぞらえているのも隠し味だな。なかなか小説のように解決はしないものだが、こんな風になれたら不登校も別室登校も減るのだろう。
    自分が中2の頃といえば相当な昔であるが、当時人気のいとうまい子の髪型を真似、夏休みにおばあちゃんから小遣いをもらい、ドキドキしながら部分パーマをかけたな〜…とかどうでもいいことを思い出した。2019.6.15

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著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

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