微笑む人 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
3.21
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本棚登録 : 2434
感想 : 212
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408552613

作品紹介・あらすじ

エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審死を遂げた人物が他にもいることが判明し…。戦慄のラストに驚愕必至!ミステリーの常識を超えた衝撃作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすいストーリーだった。気になってどんどん読めた。
    登場人物が多めだけど、人物は忘れても話は進めるから楽に読めた。
    田坂(仮)があんなに頑なに名前を伏せたがってたのか…それにどんな意味があったのかよく分からない。ただ悪く言っていると思われたくなかっただけなのか?なんか深読みしてしまった。
    梶原の母にも嫌悪感だった。そんな暴走族みたいな考え方…。それでも世間が悪い!というおばさんに痛いな〜と思った。
    最後までハラハラドキドキしてたのに、終わり方が納得いかなかったかな。
    モヤモヤ感が残る終わり方でした。
    それもテンションが上がるモヤモヤではなく、ただただモヤモヤ。なんだか期待しちゃってたし、めちゃめちゃ面白かっただけにラストが残念だった。

  • 潜れば潜るほど、仁藤という人物がわからなくなり混乱する。
    読後のモヤモヤこそが仁藤の不気味さを最後に際立たせていて、彼の人間性に深みが出ていると感じる。
    人間(他者)の全てを知ろうなんて無理なのだ。

  • 妻子を殺害したエリート銀行員のサイコなお話。
    話が「火の粉」と似ている。みんないい人言うけど実は的な、、、系統が一緒!
    会話形式で進むことが苦手!
    んで結局はどうなのか、曖昧で終わること嫌っ!
    カスミはなんやったん?モヤモヤする!

  • ❇︎
    プロローグ
    第一章 逮捕
    第二章 疑惑
    第三章 罠
    第四章 犬
    第五章 真実

    こんなミステリーがあるんだと斬新な思いです。

    読み終えてノンフィクションだったのか、
    フィクションだったのか正直悩みました。

    ある事件で妻子を殺害した犯人は夫だった。
    絶対に有り得ないとは言えない事件だけど、
    その動機は普通じゃなかった。

    常人には理解できない動機に注目が集まり、
    主人公の小説家はこの事件に興味を持ち、
    本を描くために仁藤の過去を遡ります。

    仁藤という男性の印象は、
    誰もが『いい人』『穏やか』『スマート』
    『怒ったところを見たことがない』
    総じて殺人なんて起こすはずがない、
    何かの間違いだと言います。

    誰もが考えない理由で妻子を殺した仁藤、
    彼の思考はどうやって生まれたのか。

    仁藤の様子を表す印象的な言葉
    [淡い微笑み]
    この微笑みが周囲に感じさせる何か。

    その何かは、仁藤が仕組んだことなのか、
    見た人が持つ独自のフィルターが見せるのか。

    異なる思考、理解できない行動、
    目に映るものは全て、
    自分の見たいようにしか見ていないと、
    改めて感じさせられて物語です。


    〜〜〜〜〜〜〜〜
    以下、要約になるのでネタバレが含まれます。
    読みたいなと思ってくださった方は、
    読まずに閉じてください、お願いします。

    ある日、消防への事故発生の緊急連絡の報が入り、
    消防官が現場に駆け付けたところから話は始まる。

    救急隊出動の甲斐なく、夫である仁藤は
    一度に妻子を水の事故で失ってしまう。

    無感情な仁藤の姿にも、周囲は奇異だと感じず、
    ただ、あまり事に現実だと感じれず茫然として
    いると思っていた。

    状況は一転し、仁藤が警察に逮捕されたことで
    事故は殺人事件に変わる。

    逮捕された仁藤が語った殺人の動機は、
    常人では到底受け入れられない内容だった。

    本当に仁藤は妻子を殺したのか。
    動機は本当のことを語っているのか。
    仁藤の過去を遡る毎に不審な事故死が現れる。

    殺人事件の動機を求める迷路を彷徨い、
    自分の目に映るものに愕然とします。

  • ある時期、娘の出産育児の手伝いで
    横浜にいた時、
    駅そばだったので、すぐ横浜の本屋「かなり大きい」名前度忘れ?あっ。有隣堂だ!
    貫井徳郎を仇の如く読み続けた、ほとんど全部
    だから読んだのだけど何一つ残ってない。

    面白い、いいから貫井徳郎を「30冊?くらい」
    保育園に行った後や家事の合間に読み続けた。
    こんなに印象が残らないものかしら?

    これは作品が悪いのではなく、その頃はインプットだけだったので
    やはりアウトプットがないと残らない
    そういう意味でレビューを書く練習してる。

  • 妻子を殺した男の事件を取材する小説家が
    主人公でした
    取材の中で過去に男の周辺で起こった死亡事故が
    男と関係ありそうで先が気になり読み進めました
    しかし
    読後は、解説にも書かれているように
    もやもやしか残っていません

  • まるでノンフィクションを読んでいるよう。
    独特の雰囲気でよかった。
    関係者の話を聞きながら、仁藤の素顔にせまっていく。
    仁藤のサイコパスっぷりがすごい。
    最後の終わり方もなんだかゾワっとさせられてすごく好み。

  • まるでノンフィクションの犯罪ルポ本を読んでいるようだった。
    終盤、これは無難な結末に着地しそうだなと思っていたら残り10数ページで裏切られた。

    キーパーソンの言葉が真理だと思う。
    「人はわかりやすいストーリーを聞いて安心する」
    人は自分の不安を取り除き、すっきりと納得したいから事態を単純化してわかった気になる。結局は人は自分の見たいようにしか他人を見ない。
    現代社会だとそれが特に顕著で、血のつながった家族のことさえ、もしかしたら何一つ理解できてないのかもしれない。


    モヤッとした読後感。めちゃくちゃイヤミスだった。

  • 「同じ人間とは思えない」
    「人間のすることではない」と、
    罪を犯していない私達は思う。

    理解出来ない、つまり常識が通用しない相手は恐怖である。
    分からないことが不安。
    不安だから理由を探す。
    そうして経験則に基づいて当てはめて、ある程度の安心感を得る。

    しかし、自分の気持ちすらわからなくなる時もある。
    他人の事などどれほど分かるというのか。

    いくら周りが真相を明らかにしようとしても本人にしかわからない。

  • ラストに向かってドキドキしただけに…
    う〜ん。確かに、そういう事ですよね。

    その最後のモヤモヤ感が良かった。
    こういう終わりもいいものだ笑

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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