終わらない歌 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 412
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408552620

作品紹介・あらすじ

声楽を志して音大に進学した御木元玲は、自分の歌に価値を見いだせず、もがいている。ミュージカル女優をめざす原千夏は、なかなかオーディションに受からない。惑い悩む二十歳のふたりは、突然訪れた「若手公演」の舞台でどんな歌声を響かせるのか。名作『よろこびの歌』の三年後を描き、宮下ワールド屈指の熱量を放つ青春群像劇、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 宮下奈都さんの小説はなんでこんなに優しくて繊細で心に染みるんだろう。「よろこびの歌」の続編である本作。それぞれの道を歩みだした、かつての2Bの生徒達。それぞれの道をしっかり歩んでいる。が、しかし、それぞれの心の中の複雑な思い、葛藤、迷い、燻る情熱と熱意、挫折、失意など実に繊細な心の中を丁寧に丁寧に描き出していく。

    誰しもが感じたことのある、青春時代のそうした複雑な心の心境が見事なまでに描かれており、読み手にじわーっじわーっと感動を与えてくれる。特に後半に向けての展開はとても引き込まれました。宮下小説は、大きな出来事・ドラマティックな展開は起こらないと言われているようですが、いやぁ、なんのなんの。私からすると、最後の章は大変盛り上がりました。ザ・ブルーハーツの「終わらない歌」を熱唱する千夏と玲、想像するだけでもう鳥肌がたち、まるで舞台を見たかのような感動を覚え、心の中でスタンディングオベーションをしてしまう自分がいました。

    素晴らしい傑作です。前作をさらに上回る青春感動作でした。どんな世代にも幅広くお勧めしたい一作です。

  • 『よろこびの歌』の続編。前作とストーリーラインに大差はないが、後半の盛り上がり方(ライブ感)は圧巻。しばらくはブルーハーツの曲が脳内再生を繰り返すことになりそうだ...。
    「夢は遠い。希望は儚い。どんなに手を伸ばしてもつかめないかもしれない。夢も希望も、挫折や絶望のすぐそばにある。もしかしたら、欲しがらないほうがいいのではないか、希望など初めからないほうがよかったのではないかと疑いながら、それでも希望を持たないわけにはいかない。夢に向かわずにはいられない。」

  • 「よろこびの歌」の数年後。彼女達の悩み、足掻きは続いている。各章、音楽が効いている。特にcosmosはgood!
    世界にひとつだけの花に通じる願いを合唱曲が歌い上げていて、何度もYouTubeで聞いてしまった。
    前作も込みで良い小説だった。

  • 気に入った本は老後にまた読むつもりで保存版として購入するものの、数年以内に再読する性分ではないため、『よろこびの歌』の続編といわれても、記憶は薄ぼんやりどころか遠い彼方。ま、「女子高でいろいろもめて大団円」ぐらいに覚えていれば大丈夫なお話です。

    女子高の校内合唱コンクールの様子が描かれた『よろこびの歌』。本作は、主人公の玲をはじめとする当時の同級生たちの3年後という設定(出版されたのもきっちり3年後)。音大に進学した玲を皮切りに、さまざまな進路を選択した5人それぞれの物語。ミュージカル女優だったり、トレーナーだったり、葛藤しながら目指す夢。当事者目線の物語が占めるなか、短大卒業後に東京を離れて就職することを決意した同級生あやの章は、当事者ではなく、彼女の就職先の先輩の目線。そしてこの章がとてもいい。

    「いっしょけんめい」という言葉。由来からして「一所懸命」が正しいということは知識として持っていましたが、なんとなく字面や語呂がいいような気がして「一生懸命」を使っていました。この章を読むと、「一つ所を懸命に」という気持ちを大切にしたいと思えます。お侍さんじゃないけれど(笑)。

    合唱曲『COSMOS』が聴きたくなります。

  • 「よろこびの歌」に続く今作。
    めちゃくちゃよかった。
    宮下さんらしい情熱、静かな闘志が各所に散りばめられていて素晴らしかった。

    最後の章の臨場感の「そうこれこれ!!心待ちにしていた!!」感が気持ちよかった。

    「2Bで最後に歌ったとき、未来の自分に向けて歌うんだって決めたじゃない。覚えてる?今、あのときの未来だよ。あのときから、ちゃんと今につながってるんだ」
    このフレーズに心打たれた。

    いつの間にか
    仕方ないを受け入れて
    守りに入って
    なにかを諦めて
    何かを手に入れたフリをして
    勝手に自分を納得させて
    そう言うことにしておけば満足してた

    そんな自分にとても刺さった。

  • 『よろこびの歌』から3年後、音大生になった玲やミュージカル女優をめざす千夏たちの、二十歳ならではの「ぐるぐる」が描かれています。

    前作のように淡々とじわじわと話が進んで行きますが、今作は前作よりもちょっとだけ盛り上がりを見せます!

    やっぱり歌っていいよね。読んでいて歌が聞こえてくるようで、胸が熱くなりました。

    前作も今作もザ・ブルーハーツやザ・ハイロウズの曲を知っていると、さらに楽しめます。私はYouTubeで検索して聴きました。

    ただひとつだけ気になるのは…第一章に出てきた居酒屋のPさん…結局???

    私も「うどんのみみ」好きです。

  • 終わらない歌       宮下奈都

    まさかの THE BLUE HEARTs
    の歌が織り込まれています。
    “多感“と称される頃の仲間、
    それぞれのS .ストーリィ。
    いいことの全てから遮断されて、
    黙々と 延々と 歩く、その “ 時 “ というものは、
    全ての人に与えられることになってるんでしょうか、
    このいくつかの、S.ストーリィには
    ちゃんとその残酷な場面に風穴をあけてくれる、
    出会いもあたえられています。
    よかった よかった 。

    ちなみに私のNo. 1は「love letter」
    No.18は「僕の右手」でございます。

  • 青春ストーリー。「コスモス」の舞台が自分の地元であり、中学時代に歌った曲でもあるので懐かしく感じました。

  • それぞれの登場人物が自分の状況に葛藤しながらも音楽から力をもらい、自分の人生を切り開いていく姿に心が揺さぶられました。
    特に、音大ではクラスでも二番手だと嘆いていた玲さんが、オペラとミュージカルと分野は違えど、自分が光輝く場所で頑張る姿が印象的でした。

  • 「よろこびの歌」の彼女らが帰ってきた。よりパワフルに、より人生をしっかり踏みしめて。
    大人(成人という意味で)になって帰ってきた。でも決して順風満帆とはいかず、彼女らはそれぞれ、彼女らの境遇に不安や鬱屈を感じて一所懸命生きている。

    最初は「元気がなかったり、悩んでたりする彼女らをもう一度読み直すのはイヤだなぁ」と思って、ページも進まなかったのだが…1ページ1ページ進むごとに、違ってくる。エネルギーというか生きる活力というか、(これを言うとホンマジジイを認めてしまうのだが)若さゆえの回復力というか。

    読んでるこっちまで元気が与えられる。実家帰ってうどん食ってしっかり寝たら、明日から何とかなりそうな気がしてくる。なんでこの子らこんなに元気なんだろう…。
    そうか、歌を信じているから、信じることにした友人を徹底して信じぬくから、がんばれって言葉がお互いを責めたりしないから。だからこそ。

    そその根底には、やっぱりヒロトとマーシーがいた。30年前の歌が色あせずに、心を震わせる。宮下奈都の筆によってさらに強力になって…。

    外角は、それと隣り合わない内角の和に等しい…。この定理を歌って人の心を震わせることができるのは、ヒロト&マーシーと宮下奈都だけかもしれない。

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著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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