終わらない歌 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 233
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408552620

作品紹介・あらすじ

声楽を志して音大に進学した御木元玲は、自分の歌に価値を見いだせず、もがいている。ミュージカル女優をめざす原千夏は、なかなかオーディションに受からない。惑い悩む二十歳のふたりは、突然訪れた「若手公演」の舞台でどんな歌声を響かせるのか。名作『よろこびの歌』の三年後を描き、宮下ワールド屈指の熱量を放つ青春群像劇、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 気に入った本は老後にまた読むつもりで保存版として購入するものの、数年以内に再読する性分ではないため、『よろこびの歌』の続編といわれても、記憶は薄ぼんやりどころか遠い彼方。ま、「女子高でいろいろもめて大団円」ぐらいに覚えていれば大丈夫なお話です。

    女子高の校内合唱コンクールの様子が描かれた『よろこびの歌』。本作は、主人公の玲をはじめとする当時の同級生たちの3年後という設定(出版されたのもきっちり3年後)。音大に進学した玲を皮切りに、さまざまな進路を選択した5人それぞれの物語。ミュージカル女優だったり、トレーナーだったり、葛藤しながら目指す夢。当事者目線の物語が占めるなか、短大卒業後に東京を離れて就職することを決意した同級生あやの章は、当事者ではなく、彼女の就職先の先輩の目線。そしてこの章がとてもいい。

    「いっしょけんめい」という言葉。由来からして「一所懸命」が正しいということは知識として持っていましたが、なんとなく字面や語呂がいいような気がして「一生懸命」を使っていました。この章を読むと、「一つ所を懸命に」という気持ちを大切にしたいと思えます。お侍さんじゃないけれど(笑)。

    合唱曲『COSMOS』が聴きたくなります。

  • 宮下奈都さん「よろこびの歌」(2009.10)で、有名なヴァイオリニスト御木本響を母に持つ御木本玲、母とは違って声楽を目指しながら音大付属高校に行けなくて私立の女子校に入学、孤立している玲、30人の仲間たち、2年B組の合唱コンクール、そしてマラソン大会での感動でした。今回、その続編「終わらない歌」(2012.11刊行、2015.10文庫化)、みんな20歳、高校を卒業してそれぞれの世界に。御木本玲は、原千夏は、中溝早希は、東条あやは、佐々木ひかりは、・・・、音楽の素養豊かな宮下奈都さんの青春音楽小説です!

  • 【最終レビュー・文庫化されています】

    予約著書・1ヶ月半弱待ち。図書館貸出。

    *前作・よろこびの歌:既読レビュー(9.26)

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/4408535605

    上記著書の後編。

    *17.7.28放映

    NHK地上波『あさイチ~特選!エンタ~』

    [ゲスト・芦田愛菜さん―イチオシ著書:ラスト著書―]

    約、3ヶ月:紹介著書・全冊既読。

    昨日一気読みをしたおかげで、スムーズに今日付で既読。

    Ⅰ.シオンの娘

    Ⅱ.スライダーズ・ミックス

    Ⅲ.バームクーヘン、ふたたび

    Ⅳ.コスモス

    Ⅴ.Joy to the world

    Ⅵ.終わらない歌

    ジャンルの広い楽曲に沿った、前作での中心人物の彼女達一人一人の数年経過して以降の

    〈変化を、少しずつ、確かなものとして感じ取りながら、新たな一歩にたどりつくまでの過程〉

    をベースに

    個性的に、活き活きと、アクティブに、時には切なさも含まれながら展開される中での

    『戸惑い』

    『試行錯誤』

    『奥底で抱えている本音=着飾らない心境を、上手く比喩的表現を巧みに使った描写』

    を上手く絡み合わせ

    ささやかな音のひとつひとつがまとまっていくかのように

    決して、目には見ることはできない

    〈ひとつのメロディーが創り出されていくような雰囲気〉

    が醸し出されていく『作風という光景』

    ありありと伝わるものがありました。

    と同時に、随所から

    爽快感・清々しさがあったり、心地よさも自分の中で時折、感じていました。

    後半、劇団が舞台となる展開だった分

    よりメリハリのある内容として鮮明に伝わってきたことも、印象度として高かったです。

    どうしても、これは特に印象に残った部分として書きたい!

    と率直に思えたメッセージ

    ネタバレなしで挙げながら、レビューを終えます。

    *貪欲→だから、解放する!

    *様々な形に変化→光り、舞い、響く!

  • 『よろこびの歌』から3年、主人公たちが20歳を迎えるその時を切り取った青春物語。宮下奈都が創り出す彼女たちの静かなあがきが、部分部分を紡ぎながらクライマックスに向かっていく流れは、全体が音楽そのものだ。

    高校時代でそれぞれの想いに決着をつけた彼女たちは、次のステージでまたそれぞれ悩みを抱えながら生きていく。けれどもそこには区切りをつけたからの悩みや思いが渦巻く。あるメンバーは偶然出会った人物とのつながりに感銘を受け、あるメンバーは友達とのやりとりの中で新たな気付きを得ていく。

    「こうじゃなきゃならない」あるいは「どうしてもあそこには行けない」という思い込みが、他人と触れ合ったり、論じたりすることで新たな思いを得て、また相手にも新しい思いを思い起こさせる。そしてそこにはいつも音楽が介在している....

    もう一つ、本書を本書たらしめている、あるいは宮下奈都作品の真髄かもしれないのは、やっぱり相手を信用しているということだ。シーン上心ない言葉なども登場はする。しかし、友達同士、あるいは家族親族の間の会話では、冗談でも相手を刺すような会話にはならず、「でもこうなんじゃない?」「きっとこういうことなんじゃない?」といった方向を転換する会話になっていくのだ。だから、心配があってもまた救ってくれる、救ってくれたという安心感や気持ちの開放感を感じることができる。

    中間の盛り上がり部分では、3年ぶりの同窓会でその思いがぶつかったりすれ違ったりしながら、彼女たちならではのつながりであらたな渦が生まれ、さらに一段昇華していく。

    御木元玲や原千夏が歌うシーンはもう作者の想いが満ち溢れている、というか爆発している。それまでの思い悩んだ姿は一掃され、完全に彼女たちの世界に浸っている。そしてそれがその時々で周囲に評価されるのだ。

    特に、玲がオーディションを受け、次々と曲を歌い上げるところ、個人的には一番の山場と思っているのだが、仁科の想像を次々と覆し思わず次の曲を歌ってしまう流れは、転調してもう一段盛がるjoy to the worldそのものの展開で、こちらも涙が止まらない。

    そしてそして、やっぱり歌を歌おう!と決意するところで晴れやかに明るい光が差し込み、未来への道が開かれるのだ。

    本書は、物語に挿入される楽曲をイメージするとさらに楽しめます。是非時々でYoutubeなどご覧ください。

  • 失敗したぁ。
    この本読む前に、『よろこびの歌』読むんだった。
    久しぶりの宮下作品。
    期待は裏切らない。
    通勤電車で読んでいて、表紙を隠してました。
    オヤジが読むような本じゃないかもね。
    でも、好きだからしょうがない。

  • 宮下奈都さんの作品はどれも、読みやすい。
    こちらの作品は、『よろこびの歌』の3年後を描いた作品ですが、読んでいない私でもすっと作品に入り込むことができました。そして、人物像が私と重なる。
    私が過ごしてきた人生と重ねて、自分が抱いてきた気持ちと言葉を客観視しているようで歯がゆくて。
    『自分のことをもっと認めてあげて』
    と思いながら読み進めました。
    私は自分を認めてあげているのかな?と自分に問いかた本。

  • 「よろこびの歌」より年月が経ち、当時の高校生たちはみんな大学生や社会人になる年ごろ。年代特有の、これからの自分の進む方向に悩んだり、生き方を決めた友人についてあれこれ思ったり。その渦中にいる時は苦しいけれど、若者よ、大いに悩め!と今となっては思う。

  • シリーズ第2弾。前作は、とある高校の生徒達がそれぞれ将来への悩みなどを抱えつつも、合唱を通して青春をかけぬける爽やかな音楽学園小説。
    今作は、彼女たちが高校を卒業し、それぞれ、音楽大学に進学したり、舞台女優目指して奮起したり、見知らぬ土地へ就職したり…とネクストステップを歩み始める。
    主人公のクールな玲も好きだし、女優を目指す転身爛漫だけど言葉が暖かい千夏、スポーツトレーナーを志す早希も、みんな好きだな。章によって主人公が変わるので、みんなに思い入れを感じてしまう。最後の章は、疾走感あって良かったな!千夏が強引に玲を舞台に誘って、練習を重ねながらステージで輝く。夢って良いね!青春って良いね!
    ミステリーばかり続いたので、こういう爽やかな作品ももっと読んでいきたいな、と思った。

  • よろこびの歌の続編。ちょっと大人になったヒロインたちの今を描く。ラストの章では胸の高鳴りを抑えきれないほどの熱い展開があり、興奮冷めやらないうちに一気に幕が閉じる。ブラボー!

  • よろこびの歌の三年後。
    御木元玲は音楽学校に入っているが、クラスで1番ではなく、色々と迷いながら進んでいる。歌が上手くなるために、必死でやろうとするが、何をしたら歌が上手くなるのかがわからず、色々と挑戦してみる。そこに千夏や3年前の同級生が絡んで、より悩みを浮き上がらせている。読んでいて気持ちよくなる作品。

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著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。
代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月に映画公開される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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