総理の夫 First Gentleman (実業之日本社文庫)
- 実業之日本社 (2016年12月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408553184
作品紹介・あらすじ
20××年、相馬凛子は42歳の若さで第111代総理大臣に選出された。鳥類学者の夫・日和は、「ファースト・ジェントルマン」として妻を支えることを決意。妻の奮闘の日々を、後世に遺すべく日記に綴る。税制、原発、社会福祉。混迷の状況下、相馬内閣は高く支持されるが、陰謀を企てる者が現れ…。凛子の理想は実現するのか?感動の政界エンタメ!
感想・レビュー・書評
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いま色々と話題が被っているので、紐解いてみました。映画のキャスティングは絶妙でしたね。中谷美紀は暫く振りの日本、暫く振りの主演作。天然の夫(田中圭)に、美貌と知性を持つ少数政党の党首にして初めての女性総理大臣、正に当て書きをしたかの如く、ピッタリでした。当然公開は自民党総裁選がありそうな今を狙っていたはずです。
話題を呼ぶこと間違いなし。企画段階からハラグロい原久郎(民心党党首)並みのプロデューサーの狡猾さが光る‥‥。いや、文庫の「企画」も大したモンです。まさかの安倍昭恵元ファーストレディに「解説」を書かせるとは!2016年12月文庫刊行だから、モリカケ、さくら疑惑の直前です。絶妙なタイミングです。(そこで書かれている事実「自分が会いたい時に人に会う」等、重要な証言も書いてしまっています。だからアレコレやってしまったんだな、と納得です)
あ、いや、物語の中身については諸処の方面に支障があるので詳しい言及を控えさせて頂きます。という言い方は、政界はともかく書評の世界では通用しないか‥‥。
凛子氏の繰り出す政策の数々、特に消費税の複数税率での増税について反対するものではありませんが、私は幾つか異論がある(これ以上書くと諸処に支障があるので‥‥)。
また、働き方改革も若干異論がある。
そして、おそらくわざとやっているとは思いますが、安全保障政策については一言も触れられていないこと、等この小説の限界は指摘しておかなければなりません。
また、ラストのエピソードのドタバタについても、あんなにクドクドやらなくても良かったと思う。あんなことは、ニュージーランドの首相が数年前に果たしているし。コレも10年前の小説の限界か。
でも、こういう首相ならば、基本的に歓迎です。早くこういう日本になって欲しい。
一つ言うと、相馬凛子総理大臣は第111代なので、あと11代総理が変わらないと誕生しません。残念ですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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2021/06/25
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ポプラさ~ん!
こんにちは!
私は今から「ドキュメント」を読みます!
やっと順番が廻ってきた、と思う反面あの本が・・・・とも思いますが、せっ...ポプラさ~ん!
こんにちは!
私は今から「ドキュメント」を読みます!
やっと順番が廻ってきた、と思う反面あの本が・・・・とも思いますが、せっかくの予約本は逃せません。「ブロードキャスト」に繋がっていると知り、わざわざ再読したのですから。
ドキュメント、正直なところあまり期待できない気がするのです。
それを裏切ってほしい!
さて、箱を開けてみることにします。
ポプラさんの本棚、お邪魔しましたが、総理の夫、以降沢山の本が並んでいますね。この週末は何を読むのでしょう?
(^^_ )>2021/07/03 -
ゆうままさん、こんにちは。(⌒▽⌒)アハハ!自分は土日中心に週3冊が目安ですね。読了後は一気に感想書きですよ~。ドキュメント・湊かなえさん、...ゆうままさん、こんにちは。(⌒▽⌒)アハハ!自分は土日中心に週3冊が目安ですね。読了後は一気に感想書きですよ~。ドキュメント・湊かなえさん、楽しんでね~自分もいつか読みますからね。2021/07/03
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この作品は、20××年に日本初の女性内閣総理大臣になった相馬凛子の夫で鳥類学者の相馬日和の日記からなる物語です。
総理の夫ってどういう意味かと思ったら、ファーストレディならぬ、ファーストジェントルマンという、日和のことを指しています。
最初は小さな事件が起きるだけで、意外に淡々と進んでいくかんじでした。
途中の大きな事件は、連立政権を立てていた、原久郎の裏切り発覚くらいです。
凛子と日和のなれそめも素敵でした。
このお話は最後が二転三転して、凄い展開になります。
作者のマハさんのかきたかったのは、やっぱりラストの部分ではなかったろうかと思います。
そこを書いたらこれから、読まれる方の楽しみがなくなるので、書けないのがとても残念なのですが。
こんな凛子みたいな総理大臣がいたらいいと誰もが思えるのではないでしょうか。
もちろん総理の夫の日和さんも、マイペースで、とてもおっとりした感じで、いい味を出していて、二人の関係もとても素敵でした。 -
良かった。
著者は、言葉を使うのが本当に上手い。
心に伝える言葉たち。
まだまだ続きを読みたい。
新しい日本を観たいと
心から思わせてくれました。
久遠久美との積極的な共演を、続編で是非!笑 -
池井戸潤著『民王』、中山七里著『総理にされた男』、室積光著『史上最強の内閣』『…の大臣』。
今まで総理大臣を主人公にした、あるいは登場人物の小説は、総理がすべて男であった。
この作品で初めて、女性の総理大臣が登場した(未読の小説で女性総理があったらごめんなさい笑)。
しかも、才色兼備眉目秀麗で、その弁舌はごまかしの一切なく、熱くそれでいてどこまでも爽やかで、その言葉に絶対の責任を持つ。
彼女は、「お先真っ暗の日本のために、政治に無関心になってしまった日本国民のために、率先して道筋をつけられる、真のリーダーとして」、財政赤字、消費税増税、少子高齢化問題等、喫緊の課題に骨身を惜しまず努力する。
これ以上ない理想的な総理大臣!
痛快で、読後爽やかな、政治小説のエンターテイメント。
そして、総理お抱えのスピーチライターとして、『本日はお日柄もよく』の久遠久美が顔を出すのも、原田マハファンにとっては、たまらない魅力だろう。
解説を、現総理の奥さんが書いているのが、何ともユニーク。 -
本作のレビュー、好評価ばかりだったのが意外。自分としては、これまで読んだマハ作品の中で最も低い評価なのだが…。
本作、究極の女性活躍+理想の政治家を描こうとした作品だと思う。女性活躍自体はとてもいいと思うのだが(主人公の妻はキラキラと輝いていた)、著者が描く理想の政治家像はちょっといただけなかった。政治に理想を追い求めすぎると薄っぺらくなるんだよなあ。そもそも、民主主義の下で政治が担っているのは利権の調整だ。多くの人々は損をしたくない(一度手にした利権を手放したくない)と思っており、利害が対立するところに政治の出番がある。今回のコロナ禍だってオリンピックだって、どっちつかずの中途半端なものになってしまっているのは、あっち立てればこっち立たずの状況の中で利害調整するからだ。総花的になってしまうのは、まあやむを得ない。大衆の人気をバックに強引に政策を推し進めるという手はあるが、反対派の巻き返しにあって恐らく長続きしない。本作が描く相馬凛子総理の政治手法も、大衆人気(特に女性人気)にあやかって抵抗勢力をねじ伏せるタイプといえるが、経済が悪化した途端に支持率急降下だ。
最近、政治の停滞は必ずしも政治家のリーダーシップの問題じゃないと思うんだよな。日本がもっともっと危機的な状況になってはじめて、国民全体がおしなべて我慢しようじゃないかという気になり、全体主義的な風潮も濃くなって、本格的な国の再生が始まるんじゃないだろうか。悲観的な見方ではあるけど…。
それと、本作にはもう2つほど不満がある。いくら総理大臣の伴侶だからといって、(専業主夫でなく)仕事を持って自立している社会人に対して、強制的に、総理大臣の政治活動の100%サポートを求めるっておかしくないか。まあ、読み進めていくうちに、主人公の日和に「僕は、君を支えよう。そして、君についていこう」なんて独白させてるから、夫が妻を支えることを最優先に考える伴走キャラであることは判明したのだが…。
ハニートラップのくだりも要らないだろ! 人のいい主人公を精神的に追い詰めないで欲しい。読んでてしんどいよ。
不満たらたらの感想を書きましたが、娯楽小説として気楽に楽しめる作品ではありました。 -
テンポが良く爽快。いつも絵画もの中心に読んでいるので、こう言う軽いものもこなす方なんだと驚き。
あまりに現実とリンクしたので書かれた年代を確認してしまったが、7年も前に書かれた作品だった。
7年前も現在も状況はあまり変化していないって事か……
本当にこんな総理大臣が現れてこの閉塞した状況を打破してくれたら!夢物語としてしか受け取れない自分が悲しい。
しかし夢物語としては最高に楽しめた。こう言う世界が現実となりますように! -
一番に感じたのはこんな総理大臣・政治家がいたらいいな、というところ。自分の為ではなく他人の為・社会の為に人生を捧げる姿がとても眩しい。そんな絵を自分の人生にも描きたいなと。
一方日本の政治の現状は、、、と推測で語っている点も反省。凜子のようなマインドを持った政治家もいるのでは?いてほしいなと。現状を知る努力をしてから語るべきだとも感じた。
家族にとって、パートナーにとって自分はどういう存在であるべきなんだろう、という問いに対して一つのSuggestionをくれた作品。 -
2020(R2)9.19-9.27
「総理大臣の妻(ファーストレディ)」ならぬ「総理大臣の夫(ファーストジェントルマン)」と、「日本初の総理大臣となった妻」の奮闘が、夫の日記というかたちで綴られている。
「与野党の政治家の対決」を夫の立場から綴っているが、それほどの緊迫感はない。ストーリーは単純で、ある意味予定調和な流れなので、ライトな感覚で読みやすい。
菅内閣が発足したこともあり、図書館の原田マハのところにあった本書が気になって借りてみた。
現実では、与党内で政権移譲があり、野党も新たな会派が生まれ、衆議院の任期切れも迫ってきて、今後の日本の行く末を担うグループの構図ができつつあるが、私たちが本当にこの国の行く末を託せる政党は、この中にあるのだろうか?その結果が、各種世論調査における「無党派層」の割合の高さなのだろう。
そんな中、この物語の「総理大臣」が本当にいたら、日本は確実に変わり、私たち国民はもっと政治に参加するようになるんだろうなあ。 -
日本初! 女性総理のパートナーの視点で語られる政界エンタメ小説。日本の解決すべき課題がてんこ盛り。できるパートナーと生きる悲哀や葛藤...。久遠さんにもうちょっとフォーカスされていれば...。日和の母がきっちりと普遍的な価値観で治める。ちょっと長くて中だるみするが読後感は良です。