マル暴甘糟 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
3.63
  • (25)
  • (75)
  • (69)
  • (10)
  • (1)
本棚登録 : 653
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408553856

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ジェイ・ノベル2013年10月号〜2014年7月号,9,10月号掲載のものを2014年12月実業之日本社から刊行。2017年10月実業之日本社文庫化。マル暴シリーズ1作目。任侠シリーズに登場した甘糟さんの本編ということで読んで見ました。自信なげな甘糟さんの推理する過程がたいへんに面白く、興味深い。今野さんが語る警察小説は、いつも楽しくわくわくします。

  •  『任侠シリーズ』のスピンオフ。穏健派で争い事を好まないという刑事らしくない刑事、甘糟達夫の活躍を描くライトミステリー。

     甘糟達夫。警視庁北綾瀬署勤務の巡査部長だ。齢 35 歳だが童顔と痩せた小柄な体格で、ヘタすると 20 代に見えたりする。当然ながら押し出しも強くなく、とても刑事とは思えない。
     なのに配属されたのは、どういうわけか組織犯罪対策課。通称「マル暴」だ。おまけに所轄管内には暴力団事務所が多いときている。
     
     せっかく就いた安定の公務員。平穏無事に定年まで勤め上げることを目指す甘糟にとって、苦難の日々は続く。シリーズ1作目。
             ◇
     甘糟の当直中に、管内に事務所を構える暴力団組織・多嘉原連合の構成員であるゲンが撲殺されたという知らせが入った。
     殺人は自分の担当ではないと安心していた甘糟だったが、合同捜査本部が立ちマル暴にも応援要請が来た。駆り出されることになったのは若手の甘糟と指導係の郡原。

     マル暴の権化のような郡原と本庁捜一警部補の梶の間で気を揉みながらも、多嘉原連合はじめ管内の暴力団事務所に顔を出し様子を探る甘糟だったが……。

         * * * * *

     扱う事件は結構ハードではあるけれど、『任侠シリーズ』との共通点が多いのでストーリーに入っていきやすい。共通点には例えば次のようなものが挙げられます。

     まず、少々コミカルな作風で、主要人物が命の危険に瀕する惧れがない点。
     また、甘糟がマルB相手に恫喝も威嚇もせずに、愚痴や泣き落としのような要請の仕方をする点。
     そして、マルBから見ても甘糟はどうにも憎めない刑事だという点。

     ただ『任侠シリーズ』では描かれていなかった甘糟を知ることもできました。

     本作の甘糟はなかなか頭が回るし土壇場の度胸もいい。
     犯人側の描いた絵図を読み取って暴力団同士の抗争を未然に収め、事件も解決に導いた活躍は見事のひと言でした。
     おまけに対立する組織双方から感謝されるのだから、意外に人徳があるのだとわかります。このあたりは、さすが主役です。

     警察小説史上もっとも気弱な警察官と銘打たれながら、なかなかに有能な甘糟巡査部長。
     『任侠シリーズ』でももう少しいい役回りで使ってやって欲しいと思ってしまいました。(阿岐本組の面々が登場しなかったのが残念でした。)

  • 甘糟~~~!なんでしょう?
    物語のピークを迎えることなく、
    解決する893抗争事件の話

  • '22年10月22日、Amazon audibleで、聴き終えました。今野敏さんの小説、確か以前も読んだ事ありましたが…ちょっと覚えてないですಥ⁠‿⁠ಥ

    面白かったです。理屈抜きに、楽しめました。

    主人公を筆頭に、登場人物が皆、魅力的で…やくざのアキラでさえ、親しみを覚えました。

    今野さんには、もう少し、ハードボイルド的なイメージを持っていましたが…良い意味で、ひっくり返されました。ちょっとコミカルな、本書のような主人公も、いいなぁ…。

    今野敏さん、もう少し読んでみようかな。

  • 甘粕達夫と言えば、任侠シリーズ(『任侠書房」『任侠学園』『任侠病院』)でお馴染みの”マル暴刑事”。
    任侠シリーズでは、阿岐本組の組事務所を訪ねては「お茶なんか出さないでよね~」と言っていた最弱刑事。
    今回はその甘粕が主人公。
    マル暴刑事とはもっともかけ離れていると思われる35歳の巡査部長だが…
    実は最も向いている。
    愛すべきチャラの持ち主。
    シリーズ化されており、第2弾も控えているのだとか。

  • 気弱で普通極まりない甘糟君が、マル暴の担当としてなぜか活躍する話です。
    マル暴といえば、柚月裕子の「孤狼の血」のように自分自身が暴力団一歩手前というイメージを逆手に取ったニューヒーローという感じでしょうか。
    さほどガツンとくるようなエピソードがあるわけではないのですが、意外な人物が有能な動きを見せる話はそれだけで胸がすく思いがするので、なかなか楽しく読む事が出来ました。
    今野さんは読む前に勝手にハードル上げてしまっている自分がいる・・・。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    甘糟達夫は「俺のこと、なめないでよね」が口ぐせのマル暴刑事だ。ある夜、多嘉原連合の構成員が撲殺されたという知らせが入る。コワモテの先輩・郡原虎蔵と捜査に加わる甘糟だが、いきなり組事務所に連行されて―!?警察小説史上、もっとも気弱な刑事の活躍に笑って泣ける“マル暴”シリーズ第一弾!“任侠”シリーズの阿岐本組の面々も登場!

    読みやすい。不器用だけど誠実な甘糟が少しずつ成長していく様子が読み取れる。○クザが手荒なこともせず、暴れず安心して読める。

  • オビに書いてあった「あの」面々は、何処に出てた?

    すでにシリーズ化されてるようで。

    あっちこっち手広くシリーズ化されているが、だいじょぶか?

  • 甘糟さんと郡原さんと本署の梶刑事とのやりとり。読んでいて捜査が進むにつれて犯人が最期まで分からなかい展開。マルBの価値観や警察内部に思考を読み取れた。郡原さんのぶっきらぼうであるが、的確な判断、指示、人情味がある雰囲気が私にはグッときた。

  • 後半にオチは見えてくるけれど、甘糟ファンになった。

全55件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

今野敏の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×