桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社 (2018年1月22日発売)
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784408554020

感想・レビュー・書評

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  • 東北に行ってみたくなった。
    あと、庭で菜の花を育てるのも憧れた。

    そういえば人生で一度も行ったことないなあ。東北。
    「ハクモクレンが砕けるとき」の程よく幻想的な感じがとても好みだった。
    死ぬことは特別ではなく、祖先も人以外もみんな繰り返してきているもの。
    それぞれに人生を全うしたりしきれなかったりはあれど、不必要に怖がるものではない。と私は読み取った。


    童話村も行ってみたい。あと瑞鳳殿も。

  • テーマは“ふるさと” の5話からなる短編集
    彩瀬さんは旅行途中で東北の震災に被災しており
    描かれるふるさとは東北です

    第一話 モッコウバラのワンピースは
    大学生の孫が東北で一人暮らしをする祖母を訪れます
    祖母は好きな人ができて東北へ
    ばあちゃんがいるところが ふるさと

    第二話 からたち香るは
    婚約者のふるさと東北の実家にご挨拶
    そこに震災を感じさせない温かなふるさとがある

    第三話 菜の花の家
    母親の法事で久しぶりに帰省
    姪とお散歩中に懐かしい思いがけず
    同級生と出会う

    第四話 ハクモクレンが砕けるとき
    花巻 親戚の結婚式で東北へ
    宮沢賢治と遠野物語で生者と死者の境界線を

    第五話 桜の下で待っている
    ふるさとを持たなかった東京の姉妹

    ふるさとの想いは人それぞれ
    ふるさとってその土地があれば良いのではなく
    迎えてくれる人がいての場所なんだと思うのです
    “ばあちゃんがいるところがふるさと”
    が好きでした

  • 今年も桜がちらほら咲いてきた。いよいよ春がきた。満開もきれいだけど、咲き始めのこの感じもけっこう好きだな。

    こちらは、桜前線の北上とともに電車で東北へと向かう、男女5人の物語。
    故郷への複雑な想いを抱きながらも、現実を受け入れ、前に進んでいく。じんわりと優しい読後感。

    子どもの頃、母が故郷を好きになれないと苦しそうに話していたことを思い出した。無理に好きにならなくていいじゃないと思う反面、好きになりたいから苦しいんだよね、とも思って何も言えなかったな。
    でもね、この小説を読むと、自分だけじゃなかったんだって思えるかもしれない。
    それに、故郷は自分の生まれ育った場所だけでなく、大切な人がいる場所だったり、お気に入りの場所だったり、心の拠り所として誰もが持っていいものなのだと思わせてくれる。
    もっと心は自由でいい。故郷という概念に新しい風が入ってきた気がした。

    また、東北の観光名所もたくさん登場する。
    花巻のマルカンソフトは懐かしかったな。倒れないように割り箸で食べるんだよね。
    自分の思い出の場所が出てくるのはやっぱり嬉しかった。

  • 宇都宮で一人暮らしをする祖母の家を訪ねるために、東京駅から新幹線に乗り込む智也。
    三ヶ月前に膝を痛めた祖母の、通院や買い物の運転手をするためである。
    温泉郷にある足湯や、大きな吊橋が架けられた美しい渓谷が映像のように浮かび上がってきて、しばらく帰っていない自分の実家をふと思い出し、私も田舎に帰りたくなってしまった。
    母として、女として生きた祖母のたくましさを知る「モッコウバラのワンピース」
    婚約者の実家のある郡山へ向かう律子。「からたち香る」
    母の七回忌法要のため実家を訪れた武文。「菜の花の家」
    母方の親戚の結婚式に向かう小学4年生の知里。「ハクモクレンが砕けるとき」
    宇都宮、郡山、仙台、花巻と桜前線が北上するように、北へ向かう人たちのふるさとをテーマにした短編集で、それぞれの名所もおさえてくれているので、東北を旅した気分になれます。
    帰る場所、誰かが待つ場所をいつまでも大切にしたいと思う。

  • 初彩瀬まるさん。故郷を巡る5編の短編集。
    故郷を訪れることで、親や親族、友人など人とのつながりや絆を再確認する話。実家へのご挨拶から、ご先祖様との邂逅まで、バラエティに飛んだ話が収録されている。どの話も違和感はないが、現実的な話とちょっと幻想的な話が入り混じっており、どっちかにしてくれと言う気もします。

    モッコウバラのワンピース
    孫の智也(大学生)が、再婚をきっかけに親族と離れて暮らす祖母を訪ねる話。息子や娘らの反対を押し切っての再婚だった。タイトルのモッコウバラのワンピースは祖母が着ている服。あまり馴染みのない花(僕が浅学なだけ?)を出してくるからには何か意味があるのだろうと調べてみた。花言葉は純潔ですね。

    からたち香る
    婚約者の実家、福島を初めて訪ねる律子の話。震災の3年後という設定で、恋人の両親との顔あわせと言う人生の一コマと、当時の福島と言う非日常とが交じり合って緊張感を醸しだす。ちなみに、実家の裏にはに咲くからたちの花言葉は思い出。

    菜の花の家
    母の七回忌で久しぶりに兄夫婦の住む仙台の実家に帰省する武文の話。亡くなった母親と兄嫁の加奈子さんは折り合いが悪かったのだが、、、

    ハモクレンが砕けるとき
    叔母の結婚式出席で両親と花巻の母の実家を訪ねる話女の子の話。事故死した友人を思い気が塞いでいた知里の前に、不思議な少女が現れる。前3編は現実味のある(菜の花はちょっと不思議体験ありましたが)話だったのだが、こちらは幻想的。バラエティがあるといえば聞こえが良いが、少し浮いている気もする。

    桜の下で待っている
    前四話が全て、誰かの故郷(親族)を訪ねる話だったのだが、この作品だけどこも訪ねない。さくら姉弟は帰る故郷を持たないのだ。自らが新たな故郷となることを目指す希望の章。

  • 「モッコウバラのワンピース」「からたち香る」「菜の花の家」「ハクモクレンが砕けるとき」「桜の下で待っている」の5つの短編集。さらりと読めた。東北へは行ったことがないので、新幹線に乗ってたどって行くのもいいなぁと思った。ふるさとや、祖父母や、弔いとかに思いを馳せながらの読書だった。

  • これが最初 郡山駅に並木に出てきて馴染みがあるのも援護射撃。ここから無条件に彩瀬まる読んでます

  • 4月。東北へ向かう新幹線に乗った男女5人は桜前線と共ににそれぞれのふるさとへ向かう。
    理由は様々。どの登場人物も心に故郷や家族に対する複雑な想いを抱えていたりする。
    家族って近い存在だからこそ難しかったりするし、私も共感できるな〜っていう部分がありました。
    東北という土地の描かれる情景も美しかったし桜も見てみたくなりました。
    連作短編なのだけれど、私はモッコウバラのワンピースの素敵な恋をした祖母と孫のお話とからたち香るの福島の実家へ結婚のあいさつをしに行くふたりのお話が好きです。
    ふるさとって深い。

  • ふるさとを巡る心が浄化されるような本書。

    新幹線で向かうそれぞれ5人の5つ短編集。
    どの物語にも新幹線に乗っている時の感情や、想い、または過去といった内容が丁寧に書かれていた。

    そして一番私が好きだなと思ったのは、行く先々に観光名所となるものが本作に登場してくる。
    人生で一度は、郡山(こおりやま)・福島・仙台・花巻などへ新幹線で観光してみたい。

  • 5作品収録の短編集
    すべてのタイトルに花の名前が入っており
    物語の中でその花がでてきました
    新幹線で移動し、その先で人々のいろいろな話で
    それなりに楽しめました

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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