桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 147
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408554020

作品紹介・あらすじ

面倒だけれど愛おしい「ふるさと」をめぐる感動作-郡山、仙台、花巻…桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行く先で待つものは-。実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと…複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く。注目の気鋭作家が丁寧に紡いだ、心のひだの奥底まで沁みこんでくる「はじまり」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 彩瀬まる『桜の下で待っている』実業之日本社文庫。

    初読みの作家。珍しいサイン本ということで興味惹かれて購入。

    東北を舞台にした懐かしさを感じる優しい物語ばかりを集めた短編集。『モッコウバラのワンピース』『からたち香る』『菜の花の家』『ハクモクレンが砕けるとき』『桜の下で待っている』の5編を収録。

    心が風邪をひいた時に読んで欲しい短編集。

  • ふるさと=心の置き場所、というとらえ方だ。そして、その場所は、自分自身で見つけ、決定していいものだ

  • 初出は「紡」、「月刊ジェイ・ノベル」の5短篇で、2015年単行本化

  • 桜前線が北上するとともに、舞台も北へと向かい、
    宇都宮、郡山、仙台、花巻そして東京になり男女5人のそれぞれの
    故郷にまつわる物語が綴られています。

    情景が細かく描かれていて
    それぞれの故郷での風景が目の前に浮かんできます。
    郡山を舞台にした作品の「からたち香る」では、
    東日本大震災で被害を受けた地元の人達なのに、
    風評被害などでこんな思いをしているかと思うと
    胸の詰まる思いがしました。
    けれどこんな事にも負けずに健気に毎日を生きている
    人達がより強い人達だとも思えました。

    どの作品でも故郷に対して様々な角度から
    故郷の想いを込めています。
    一度は故郷を出て大人になった人達が
    また改めて故郷を思い出すの人生の節目だったり、
    何かの転機だったりして思い返すのかもしれないです。
    若い頃には故郷なんて特別に思い返すこともあまり無く、
    面倒な家族、親戚付き合いなどとややこしいことだと
    思ったりしてしまうものだと思います。
    けれど歳を重ねた時にそんな事がふと懐かしくなり、
    良いものであったりと気が付いてしまうものだとも思います。
    理屈ではなく何かこれまでに自分の人生を築いてくれたのが
    故郷であったりするものであると思うので、
    何かと面倒なものであったりしても自分が元に戻れる場所があるというのは
    幸せなことだと思えました。

    自分が最後に何処に住むのかなというのも大事なことだと思いますが、
    それよりも作品中にあった
    「自分がどこかに帰るより、
    居心地よくするから誰かに帰ってきてほしいな。」
    というのも凄く素敵なことだなと思えました。

    遠くに故郷が無くても
    自分が戻れる場所、故郷と思える場所があることは
    幸せなこと、そしてまたその故郷にふとした時に
    懐かしく訪れてみたいなと思わせてくれる作品だと思います。
    所々に東北訛りの言葉あって、東北の人達の温かい心が伝わって
    読んだ後にじんわりと心に沁みます。

    ちょうど桜が満開の時期に読めたので、
    ふと滅多に訪れる事の出来ない場所を思い出してしまいました。
    もう随分前から実家が無く寂しい思いをしていますが、
    故郷と思える場所があるだけで、
    愛おしいなとも思えました。
    いつまでもふるさとは大事にしておきたいものです。

  • これから桜の季節なのと、たまに仕事で東北新幹線に乗るので、気になって読んだ。
    話は宇都宮→郡山→仙台→花巻と桜と共に北上して、最後話は東京に戻ってくる。
    一つ一つの話は好きだけど、放射線の話から宮沢賢治のファンタジーまで大きく雰囲気が揺れてちょっと苦手なとこもあった(敢えてその流れにしてるのも分かるけど)。最後に東京で子供の頃に恵まれなかった姉弟が家庭とはなんだろうと模索するとこに落とすコントラストは好き。

  • 東北,ふるさとがテーマの短編集。彩瀬さんらしい,心の深いところの機微が胸を熱くする。落ち込んだとき読み返したい一冊でした。
    あらすじ(背表紙より)
    面倒だけれど愛おしい「ふるさと」をめぐる感動作―郡山、仙台、花巻…桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行く先で待つものは―。実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと…複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く。注目の気鋭作家が丁寧に紡いだ、心のひだの奥底まで沁みこんでくる「はじまり」の物語。

  • 東北に向かう新幹線からつながる連作短編集。
    東北人(福島人)としては馴染みがあって面白かった。

    そして福島の話し。
    震災後、それを書いた小説をいくつか読んだけど、どれも心に響かなかった。
    震災、原発事故をネタにしてる気がして不快だった。
    でもこの本はなんかスーッと入ってきた。

    福島に住んでいると、なんかもう日常で。
    普通に暮らしてるだけなんだよね。
    もちろんすべてが元通りではないんだけど。
    そこの感じをうまく書いてあるなぁ、と、嬉しかった。

    あとがきで知ったけど、著者は東北旅行中に福島で被災していたんですね。
    そのルポルタージュもあるみたいだけど、これはちょっと読む勇気が出ないかな・・・

  • 最後のお話がよかったな。帰れるふるさとはなくても、そんな憧れの場所を自分でつくろう、っていう考え方素敵だと思った。

  • なんとも言えない共感を誘う連作短編集。ふるさとがテーマなのだけれど、ほっこりする生ぬるいものじゃなく、もっとヒリヒリピリピリする剥き身のふるさとってかんじ。
    一筋縄ではいかない。解説にもそんな表現があった。
    ふるさとについてもっと寛容に大胆に考えてもいいんじゃないかと思われせてくれた。

    桜の下で待っている。
    それは誰かが自分を、ではなく、自分が誰かを。
    自分はここにいる。受け入れる。そんな強さを持って入られたらいい。そんな風に思えた作品。

  • 東北新幹線で東京から、1話ずつ異なる主人公を乗せて北へと進んでいく短編集。
    降りた土地で、それぞれが気付きを得ていく様子が柔らかくやさしい。各話から花の香りがしてくるような副題も素敵。

    隣にある暗闇に、たしかに輝くきらきらしたものを見つける「ハクモクレンが砕けるとき」が特に好き。

    それぞれの話で描かれる、身近な暗闇としての死や別れ、その中の明るいなにかが丁寧に拾われていて、感情がほどけた読み味。

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プロフィール

彩瀬まる(あやせ・まる)
1986年千葉県生まれ。上智大学文学部卒業。小売会社勤務を経て、2010年「花に眩む」で第9回女による女のためのR-18文学賞読者賞を受賞。2016年『やがて海へと届く』で第38回野間文芸新人賞候補。2017年『くちなし』(文藝春秋)で第158回直木賞候補。

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