桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
3.42
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本棚登録 : 495
感想 : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408554020

作品紹介・あらすじ

面倒だけれど愛おしい「ふるさと」をめぐる感動作-郡山、仙台、花巻…桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行く先で待つものは-。実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと…複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く。注目の気鋭作家が丁寧に紡いだ、心のひだの奥底まで沁みこんでくる「はじまり」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 宇都宮で一人暮らしをする祖母の家を訪ねるために、東京駅から新幹線に乗り込む智也。
    三ヶ月前に膝を痛めた祖母の、通院や買い物の運転手をするためである。
    温泉郷にある足湯や、大きな吊橋が架けられた美しい渓谷が映像のように浮かび上がってきて、しばらく帰っていない自分の実家をふと思い出し、私も田舎に帰りたくなってしまった。
    母として、女として生きた祖母のたくましさを知る「モッコウバラのワンピース」
    婚約者の実家のある郡山へ向かう律子。「からたち香る」
    母の七回忌法要のため実家を訪れた武文。「菜の花の家」
    母方の親戚の結婚式に向かう小学4年生の知里。「ハクモクレンが砕けるとき」
    宇都宮、郡山、仙台、花巻と桜前線が北上するように、北へ向かう人たちのふるさとをテーマにした短編集で、それぞれの名所もおさえてくれているので、東北を旅した気分になれます。
    帰る場所、誰かが待つ場所をいつまでも大切にしたいと思う。

  • 郡山、仙台、花巻…桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人の物語。特に何かが起こるわけでもないが、彩瀬まるさんらしい美しい物語だった。ぜひ春に読んでほしい1冊。

    ブログにて詳しいレビューしています*
    https://happybooks.fun/entry/2021/03/05/170000

  • 彩瀬まる『桜の下で待っている』実業之日本社文庫。

    初読みの作家。珍しいサイン本ということで興味惹かれて購入。

    東北を舞台にした懐かしさを感じる優しい物語ばかりを集めた短編集。『モッコウバラのワンピース』『からたち香る』『菜の花の家』『ハクモクレンが砕けるとき』『桜の下で待っている』の5編を収録。

    心が風邪をひいた時に読んで欲しい短編集。

  • ふるさとをテーマに描かれた短編集、の一冊。

    記憶にある東北の景色を思い出しながら手にした作品は一話目からじんわり。
    「からたち香る」の律子のふと頭をよぎる思いと婚約者家族の思いにドキリとさせられた。
    被災地のためにじゃなく、普通に美味しいものを食べて美しい景色を眺めて、楽しんで帰る、そういう接し方が嬉しい…のくだりに、たしかにそうかも。それでいいんだ、それが一番なのかもと思わされた。

    「ハクモクレンが砕けるとき」の幻想的な雰囲気、宮沢賢治に絡めた美しさも印象に残った。

    今、誰かが待っていてくれる場所で、思い出はもちろん、新しい気づきを心のお土産にもらい、それを心の糧にして、明日もがんばる気持ちになる…きっとそんな場所がその人にとってのふるさとなんだろうなぁ…そんな想いが読後にこみ上げてきた。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      311に合わせて読んだのかな?
      くるたんはいい評価ね✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      私、期待しすぎたのか、ちょ...
      こんばんは(^-^)/

      311に合わせて読んだのかな?
      くるたんはいい評価ね✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      私、期待しすぎたのか、ちょっと物足りなかったわ。
      でも、また彩瀬まるさん読んでみようかな。
      2019/03/11
    • くるたんさん
      けいたん♪
      こんばんは(*^^*)♪共読だね(⸝⸝˃̶͈ ૢ ૢ˂̶͈⸝⸝)
      たしかにソフトクリームが一番印象的かも。

      まだ2冊目だからよ...
      けいたん♪
      こんばんは(*^^*)♪共読だね(⸝⸝˃̶͈ ૢ ૢ˂̶͈⸝⸝)
      たしかにソフトクリームが一番印象的かも。

      まだ2冊目だからよくわからないけどまあまあかな。
      眠れない夜はからだを脱いでを今度読んでみようかなぁって思ってるよん(*^^*)♪
      2019/03/11
  • 物語自体は面白いものではなかったけれど、「ふるさと」というものについて考えさせられ、心に沁みこんでくる一冊でした。
    「ふるさと」について、今まで私が抱いていたものと考えが変わりました。誰の中にでも存在する場所であって、自分自身で見つけ、決定してもいいんだと思うようになりました。そして自分のふるさとについてゆっくり考えました。こんなに考えることがなく、いいきっかけとなる一冊に出会いました。

  • 『菜の花の家』『ハクモクレンが砕けるとき』の不思議さが好きだなー。

    いろんな意味でつながりについて感じる一冊。
    人間関係は一筋縄ではいかないこと、一面性ではなく多面的なこと、当たり前なんだけど、綺麗事だけでは済ませられないし、自分の価値観だけが正しいというか当てはまるわけではないことを感じさせられた。

  • 彩瀬まるさんの本、ここ数年とっても好き。
    なんといっても、(個人的に)ハズレがない。
    温かいなかにも、尖っていたり痛々しかったり、ちょっと怖いお話も結構あるけれど、この小説はタイトルや表紙からして優しげな感じがして、受けた雰囲気は間違っていなかった。

    故郷、家族、旅にまつわる5つの短編集。
    舞台は主に東北地方。青森が残念ながらなかったのは恐らく、東日本大震災の影響を強く受けた土地を選んだからだと思う。
    彩瀬まるさんは関東の方だけど、震災当日に東北を旅行していて被災したらしく、その関連の本も出されている。震災をモチーフに描かれた「やがて海へと届く」という小説は私も以前に読んだ。

    福島にある彼氏の実家へ、彼女である主人公が一緒に帰る「からたち香る」は、放射能のことを気にしながらもそれを口にしていいのか迷う様子がリアルだった。
    その土地に住む人にとってそこは愛する場所だけれども、よその土地の人にとっては少しの脅威を感じる場所になる。震災の影響で、いろんなかたちで傷ついた人がたくさんいるのだという事実を感じた。
    他の短編にもタイトルや話中に必ず花や植物が登場する。
    「ハクモクレンが砕けるとき」はほんの少しのホラー要素も混ざっているような幻想的なお話で(基本は温かいのだけど)、表題作は一番最後に据えられているのだけど、最後に配されたことに大きな意味がある。

    故郷は楽しいばかりの場所ではないし、家族というものは面倒くさい面もある。「菜の花の家」はとくにそういう側面が表れている。
    だけど、故郷や家族はなくならない。亡くなっても、なくなるものではない。
    帰る場所とは思えなくても、それは確かに存在している。
    その少しの鬱陶しさや、心強さを、感じられる物語群だった。

  • 著者の、東北を大切に思う気持ちをちらちら感じる。なんとなく展開が読める話で想定内の着地点が多い短編だが、この人に求める部分はそこにあるので私はこの本、結構好き。

  • 読んでいると香りと色の中に漬け込まれたような気持ちになった。良い本です。

  • 彩瀬さんの本を立て続けに読んでいる。3.11に旅行中、被災した彼女が「ふるさと」を題材に書く短編集。母親にいい思い出のない事も、結婚を決め、旦那の家族という新しい家族がいる場所、自分にはないふるさとを思う新幹線販売員…何気ない気持ちや葛藤を、ふるさとと言うテーマで読ませてくれた。

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著者プロフィール

1986年生まれ。2010年「花に眩む」で第9回「女による女のためのR-18文学賞読者賞」を受賞しデビュー。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』(新潮社)『骨を彩る』(幻冬舎)『神様のケーキを頬ばるまで』(光文社)『桜の下で待っている』(実業之日本社)がある。自身が一人旅の途中で被災した東日本大震災時の混乱を描いたノンフィクション『暗い夜、星を数えて――3・11被災鉄道からの脱出――』を2012年に刊行。

「2021年 『OTOGIBANASHI』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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