文庫 密告はうたう 警視庁監察ファイル (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社 (2019年4月5日発売)
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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784408554709

作品紹介・あらすじ

池上冬樹氏(文芸評論家)、激推し!!
裏切り者がこの中にいる――
緊迫の人間ドラマ!


「いやあ面白い。…三つの事件が出たり入ったりして葛藤劇を形作っていく。

緊迫の度合いを高め、いったいどうなるのかと先の展開を期待させて、

一気に結末へと読者を引っぱっていく。

しかも人物と読者の感情をかきたてながら」
――池上冬樹氏(文芸評論家)


かつての仲間も容赦しない。
それが俺の仕事だ――


警察職員の不正を取り締まる部署、警視庁人事一課監察係に所属する佐良は、

捜査一課所属時の元同僚で、現在は運転免許場に勤務する皆口菜子の監察を命じられた。

彼女が免許証データを売っているとの、内部からの密告があったのだ。

佐良は、上司とともに皆口の尾行を始めるが、やがて未解決事件との接点が……

実力派の俊英が放つ警察ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 「市民にとって警察は最後の砦だ。その警官を取り締まる監察は、砦の最後尾を守っている。後ろに誰もいない私たちに失敗は許されない。」

    警察内部の不正を暴く「警察の中の警察」と称される警視庁警務部人事一課監察係を舞台とした警察小説。横山秀夫の『影の季節』シリーズを思い出す。全く筋が読めない緻密なストーリー展開の中に、魅力的な登場人物、複雑な人間模様、警察内部の駆け引き・軋轢が盛り込まれ、終始前のめり状態。伊兼源太郎、すごい!出会えて嬉しい!

    監察に公安出身者が多いと知り驚いたが、行確の過酷さと緊迫感、求められる高度な判断力に、なるほど、となる。特に、胸に秘めた熱いものをおくびにも出さず、”プロの行確”を見せつけ、徹頭徹尾冷徹さを貫ぬく須賀にはしびれまくった。


  • 警察職員の不正を取りしまる警察の警察、監察係。

    そこに所属する佐良は、かつての同僚で、免許試験場に勤務する皆口菜子の監察を命じられる。
    彼女が免許証のデータを不正売買しているという内部の密告があった。

    やがて、自分も関わった未解決事件との接点が浮かび上がる。
    果たして、本当に彼女は不正を働いていたのか?

    ノンフィクションとはいえ、監察とはこんな事まで行うんでしょうか?
    ハラハラドキドキの連続ですが、いろいろ不良警官が浮かび上がる様子は、暗澹としますね。

    最後、次の続編が想定され、今後に期待です。

  • よく作り込まれた物語。
    ただ意外性を重視をしたためにオチが地味になったかな。警察小説を新しい角度から書いたのが注意深い。

  • 3.8
    警視庁人事一課、いわゆる監察の話。
    トリックやアリバイ工作ではなく伏線から予想外の犯人がわれる小説が好きなため、監察シリーズは警察官の誰が犯人なのかわからず楽しめた。

  • 警察官の不正を取り締まる監察に所属する佐良。同じ組織の人間を調べることは仲間を疑うことで精神的にきつい。情報をもとに調べていくと佐良が関わった事件、仲間が関係してくる。過去に傷を負った佐良の苦悩が根底にずっとあって緊張感が途切れない。徐々に広がりを見せ複雑になりながらの展開は一気読みの面白さ。ぜひシリーズ化になってほしい。

  • 警視庁職員の不正を取り締まる部署、人事一課監察係。警察の警察と呼ばれ、任務を果たせば裏切り者と忌み嫌われる役職。捜査一課からある事件がきっかけで監察係に配属となった主人公・佐良(さら)と彼を取り巻く一癖も二癖もある面々。

    佐良に与えられたシビアなミッション。与えられた任務を悟られることも許されない中で行われる行動確認。まさに胃がキリキリとするような展開の中、密告案件と過去に起きた2つの事件が絡み合いなかなか複雑な展開を見せる。

    全体を覆う雰囲気は重くて暗い。そう、この感じ、公安もの通じるところがあるなと思っていたら途中からきな臭さが増してきて。。。。
    あまりに利己的な動機、あまりに理不尽な死、そしてまだ尾を引く過去の事件。全て解明された後は虚しさに襲われたものの、シリーズ第2作への期待は膨らむ。

    あと2作ももちろん読みます!

  • 須賀さんのファンになりました。

  • Amazonオーディブルで「密告はうたう 警視庁監察ファイル」を聴いた。

    ギスギスした警察小説が好きで、本作も途中までギスギス、ギスギスしてて心躍った。
    「警察の警察」である監察係の主人公は警察内部で忌み嫌われ(みんな大人げない)、かつて同僚が殺された件で本人も傷つき、その点についても警察内で責められ、ギスギス、ギスギス。

    須賀さん、特殊能力者!?
    コンビニのビニール袋持ってても音がしないってどういう技!?(笑)

    後半はギスギス感が薄れて、少しベタベタしたのが残念だった。
    話の流れはちょっともったりしてて、スピード感はあまりなかった。

    でも面白かったので、三部作をオーディブルで聴くつもり。

  • オーディブルで。警察官の行動を確認する話。
    始めて触れたテーマなので、興味深い。やや地味な印象もあるが、
    警察内の人事や思惑が複雑に、絡みあったストーリー。
    主人公の刑事は、頭も良く精神的にもものすごくタフ。

  • Audible

    重いものを背負いながらも、ぶれない主人公にしびれました。10時間以上という再生時間があっという間。
    暴力シーンが迫真に迫りすぎていて辛かったけど、他は全部おもしろかった。

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。上智大学法学部卒業。新聞社勤務などを経て、2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。2015年に『事故調』、2021年に「警視庁監察ファイル」シリーズの『密告はうたう』がドラマ化され話題に。本作は地方検察庁を舞台としたミステリ『地検のS』『地検のS Sが泣いた日』と続く「地検のS」シリーズの最終巻にあたる。他の著作に、『巨悪』『金庫番の娘』『事件持ち』『ぼくらはアン』『祈りも涙も忘れていた』などがある。

「2022年 『地検のS Sの幕引き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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