御徒の女 (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社 (2020年8月5日発売)
3.00
  • (0)
  • (5)
  • (8)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 72
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784408556093

作品紹介・あらすじ

貧乏も天災もなんのその!
幕末を生きる痛快女一代記

「人の一生は幸不幸がもつれ合ってできている」

――下谷の下級武士の娘・長沼栄津は、隣家の長男・水嶋穣太郎に思いを寄せるが、
良い噂を聞かない國木田義三のもとへ嫁いだ。

大地震や流行り病に襲われるも、武家の誇りを胸に歩む栄津だが……

〈着物始末暦〉シリーズの著者が、波乱の時代を生きる女の人生を描き切った、
人情あふれる傑作時代小説。

解説/青木千恵

みんなの感想まとめ

波乱の幕末時代を背景に、長沼栄津という女性の人生を描いた物語は、彼女の成長と周囲との人間関係が織り成す感動的なドラマです。貧しい家に生まれ、厳しい環境に耐えながらも、栄津は自らの信念を持ち続け、時には...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読んでみたら再読だった。再読記録はタイムラインに上がらないので文庫の方で書く。

    貧乏御徒の家の娘・栄津の十七歳から五十五歳までの半生を描く。時代は文政から明治まで。この三十八年の間に時代が目まぐるしく変わる。

    暴君の兄に良いように使われ、母親は兄の言いなり。兄の妻は家事も育児もせず栄津は女中のような扱い。このまま嫁ぐこともなく一生を終えるのかと嘆く。しかし突如兄が縁談を持ち込み、強引に嫁ぎ先を決められる。

    兄に振り回され、隣家の兄弟やその母親に振り回され、耐え忍ぶだけの不幸な女性かと思いきや、栄津は案外言い返している。
    嫁ぎ先の姑が相当きつい人かと思ったら実は…だったし。覇気のない、何を考えているか分からない夫も実は…。
    結構幸せじゃないの?

    おたふく顔がコンプレックスの栄津が家を守ること夫を支えること跡継ぎたる子供を産み育てることが自分の使命と必死になる姿と、兄の妻がその人脈であの鳥居耀蔵と兄を引き合わせ兄の出世に繋げる姿は対照的。
    栄津は兄が出世し裕福になっていく時は妬み、鳥居の失脚と共に兄の家が没落し兄夫婦が行方知れずになれば兄の妻を恨み…と結構どす黒いところも見せている。
    小町と呼ばれるほど美しいが意地悪な兄の妻と対照的に、心優しい不器量な栄津という構図ではないのがなかなか面白い。

    隣家の長男といい次男といい、耳に心地良いことを言う者にろくな者はいない。むしろ自己中を隠そうとしない兄の方が清々しく感じる。
    逆に三男は時代を見通していて頼もしいし、彼の弟子でもある栄津の長男もまた…。
    栄津は『自分の努力次第』で運命を切り開ける男が羨ましい、『男に生まれたかった』と言うが、男は男で苦労もあるし『自分の努力次第』だけではどうにもならないこともある。

    控えめなようで頑固一徹な栄津だが、彼女の気持ちも分からないではない。生まれた時から正しいと信じて歩んで来た道を否定されれば拒否反応も出るだろう。それは娘の姑も同じ。
    しかしだからと言って男たちを恨むのも筋違い。
    結構言いたいことを言って、自分の信じる道を進んでる栄津だが、恩義ある人にはきちんと返してきたせいか、守られたり大切にされたりしている。
    やっぱり幸せな人生じゃないか。

  • 月刊ジェイノベル2015年3月号:資乏くじ、6月号:船出、9月号:悲雨、12月号:紅の色、2016年3月号:ふところ、6月号:神無月、9月号:江戸の土、の7つの連作短編を2017年4月実業之日本社から刊行。2020年8月実業之日本社文庫化。江戸の下級武士の娘、栄津の娘から妻、母となる17歳から55歳までの一代記。幕末から明治になるまでの暮らしの変遷が興味深く、余韻があるストーリーが心地よい。

  • 働き者かもしれないが、文句ばっかり言っている主人公を好きになれないままラストまで読んだ。
    心の中で思っていることや思わず口にしてしまうことが、武家の女としてブレないリアルなんだろうけれど、もう少し自分の幸せに気がついても良いんじゃないかと虚しい気持ちで一杯になる。短編は好きなんだが、長編は私には刺さらないと感じた。

  • 202204/主人公にはイラっと感じたり好きになれないところもあったけど、クセつよの周囲含め巧みにリアルな人間が描かれてるからこそ。好みではないが面白かった。

  • 最初は主人公の境遇が哀れだったけれど、周囲の情の厚さにほろりときた。ぐっとくるフレーズがたくさん散りばめられている本だった。

  • 普段時代小説を読まないからあまり気が進まなかったけど、読み始めたら案外面白くてスラスラ読めた。栄津さん愚痴をこぼしても頭の中だし、決めるところはびしっとハッキリしてる。後書きを読んで栄津さんのすごさに気がついた。大切なことって、無くなってから気がつくことが多いよなぁ。私も自分の幸せを忘れないようにしよう。

全6件中 1 - 6件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

中島 要(なかじま・かなめ):2008年「素見(ひやかし)」で小説宝石新人賞を受賞し、10年『刀圭』で単行本デビュー。著書に「大江戸少女カゲキ団」シリーズ、「着物始末暦」シリーズ、『江戸の茶碗 まっくら長屋騒動記』『うき世櫛』『御徒の女』『酒が仇と思えども』『神奈川宿 雷屋』『誰に似たのか』など。


「2024年 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島要の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×