文庫 崩れる脳を抱きしめて (実業之日本社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408556192

作品紹介・あらすじ

著者初の本屋大賞ノミネート作品!
感動の恋愛×ミステリー!!

僕にしか書けない
恋愛小説です(著者)

広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性ユカリと出会う。
外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく――。
実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女は死んだのか? ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜を彷徨う。驚愕し、感動する、恋愛ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 凄く面白かったです。
    夢のような物語でした。

    研修医の碓氷蒼馬は広島の病院から神奈川県の葉山の超高級ホスピスの岬病院に実習生としてやってきます。
    そこで28歳の脳腫瘍を抱えた女性患者の、弓狩環(通称ユカリ)と出逢います。
    ユカリは身寄りがなく莫大な遺産をもっていました。
    そして、親しくなった蒼馬に「わたしをこの鳥籠から連れ出してくれる」と言い、蒼馬は自分の父の不審死の謎を解いてくれたユカリに生まれて初めての本当の恋をしてしまいます。


    そこまでが前半の第一章で、以下ネタバレしていますのでお気をつけください。


    第一章の最後は「僕は二度と弓狩環と言う女性に会うことはなかった」と結ばれていて「えーっ、話はまだ半分残ってるんだけど、どうなるの~!」ということになります。

    第二章はユカリが4日前に亡くなり、ユカリの弁護士が蒼馬の元に以前話した父の借金3068万円を遺産として広島に持ってくるところから始まります。

    蒼馬はユカリの死に不信感を抱き、岬病院に行ってみますが、院長は「君は弓狩環さんを担当したことは一度もなかった。すべて君の妄想だ」と言われ愕然とします。
    蒼馬は病院の異常さに気づき、一人でユカリについて調べようとしますが…。

    前半は少々メルヘンチックな感じがしましたが、後半は謎だらけの展開で一気読みでした。
    ラストも全然予想がつかず驚きました。
    ホント、狐か狸に化かされたのかと思うような嘘みたいなミステリーでした。

  • 感動の恋愛ミステリーとのこと。
    確かに、これはやられた!
    第8回広島本大賞、第4回沖縄書店大賞、第1回一気読み大賞の3冠だそうです。
    (あんまり聞いたことない賞ばかりだけど)

    広島から神奈川の終末医療病院に実習に来た研修医の碓氷は脳腫瘍を患う女性ユカリと出会います。

    家族を捨てた父親の恨みが忘れられない碓氷。
    いつ、脳腫瘍で亡くなってしまうのかをおびえるユカリ。
    二人の距離は徐々に縮まっていき、お互いのトラウマを克服、ついには想いが通じ合うようになります。
    しかし、研修が終わって碓氷は広島に帰ることに...

    ここまでは、いわゆる恋愛小説ですね。

    しかし、後半、広島に戻った碓氷はユカリの死を知ることになります。
    なぜ彼女は死んだのか?その死の真相を明らかにするために再び神奈川へ。

    そこからは、ミステリー!
    前半で語られた違和感、伏線が回収されてすっきりです。
    彼女の死の真相が明らかになります。

    ここからはかけない。

    しかし、とてもよい読後感。
    これはとってもお勧めです。



  • 知念実希人さんにしか書けない恋愛ミステリー。

    第一章、第二章と分かれており
    第一章では広島から研修しに来た医師ウスイとそこに入院していて脳に爆弾を抱えるユカリが神奈川の葉山の病院で出会い
    それぞれの過去のトラウマにどう立ち向かうかの話し。
    二人の距離が近づき王道の恋愛小説を読んでるようでなにか心にくるものがあった。

    第二章では広島に戻ったウスイのもとにユカリの死の知らせが届く。
    ユカリは本当に死んだのか少しの不自然さ、なぜという疑問が気になり神奈川に行く。

    第二章からの心の揺さぶりがすごく、
    次々にユカリの真相がわかっていき
    ページを読む手が止まらなかった。

    普通の恋愛小説ではない、そこに謎があるという設定がものすごく面白く
    まさに知念実希人さんらしい二転三転する物語が心にぶっ刺さった。

  • うーーん...
    なんだろう。私が歳をとってしまったからなのか、2人の会話のシーンがダメでした。
    お互いに意識しあっていながら、相手の気持ちを探り合ってじゃれあっているような会話が、もう全く受け入れられなかった。ミステリーとして少し楽しめたので⭐︎2にしました。

  • 帯の言葉をお借りすれば、「物語を清々しく輝かせることができる真に優れた仕掛け」ということだろう。
    第1回一気読み大賞とのこと。読む手が止まらないのは確かだった。前半からとても読みやすく、それが逆にラノベ風(?)にとれたが、(思ったより)軽く感じなかったのは医師である著者の作品であり医療面での信頼があるからだろうと思いました。後半はミステリー要素が先に立って、一度騙され。そんなに甘くない仕掛けに心情よりも素直に恋愛ミステリーとして楽しめました。ユカリの命と向き合ったことで碓氷が医師として成長する姿が良かった。
    「けど、もうそろそろ気づいてもいい頃じゃろ。もっと自由に生きてもいいって」この言葉が心に残った。
    あまり読まない恋愛ミステリー、情景描写が美しく世界観が新鮮だった。

  • 恋愛もミステリーも楽しめる。

    2人の距離と関係が終始せつない。

    がっつりミステリー
    がっつり恋愛小説
    っていう気分じゃない時にはちょうどいい!

  • ガチガチのミステリーではない。
    でもしっかり謎があって、伏線化もバッチリ☆
    スカッと爽快解決!なミステリーではないけど、ゆったりと優しい気持ちになれる恋愛ミステリーだった。

    当たり前のように今日を生きていて、明日があるかもわからない恐怖っていうのは、当人にしか理解できないことかもしれないけど、今日を楽しく生きて明日も誰かと会えるってささやかでもすごい幸せなことなんだと改めて思った。

  • 脳に爆弾(腫瘍)を抱えるというのは、ある意味どんな病気よりも怖いかもしれない。死の恐怖はもちろん、自分が自分でなくなってしまうような恐怖もあると思う。
    ラブストーリーとしてはある意味余命ものなのかな。ミステリーとしてはなかなか凝った設定です。

  • おい!ちょ、ま、待てよ!

    ……すっげえ、いい話じゃねえかよ!

    と読後、思わずキムタクのモノマネしながら言ってしまいましたよ。

    知念先生の本を読むのは3冊目。『仮面病棟』『時限病棟』の病棟シリーズは既読でした。

    知念先生の本はストーリーはいいんだけど、ちょっと人物描写が薄いんだよな~、これは大丈夫かな~。
    なんてこと思いながら読んでましたけど、杞憂でした。
    面白かった。

    この本をカテゴライズするとなんだろうな?

      ~♪闘病系美少女小説ミステリー仕立てハッピーエンド風味医療知識を添えて♪~

    というような気取ったフレンチレストランのメニューみたいな感じかな(笑)。

    いや、最初は闘病系美少女小説のエースとして名高い『君の膵臓を食べたい』みたいなんですよ。それからミステリーチックというか、波乱万丈というか、実はそうなの?みたいな驚きというか。

    もういろいろなエッセンスが詰まってて、
       もう、アニメ化してください!!
    ってこちらから全裸でフライング土下座して頼みたくなるような本でしたね。

    BGMも決めました。
    主人公のユカリさんの心情の表す二曲。
    いずれもUruさんの曲で
      中間のBGMは
        『ホントは、ね』
      ラストは
        『奇蹟』
    で決まりでしょ。

    多分ね。
    この本の対象ってヤングアダルトだと思うのね。
    でも40をとうに超えた僕のような中年男子でも泣いちゃうよ。
    でも、もっと泣いちゃうのは女子だろうな。
    なんか有川浩の『レインツリーの国』を彷彿とさせるんだよね。
    いろいろある女の子を全部ひっくるめて包んでくれるイケメン男子。好きでしょ?夢でしょ?

    はい、この本持って妄想の世界にいってらっしゃい。
    オール・ボアール♪

  • 脳に爆弾を抱えた女性と研修医の恋バナと思いきや2転3転、恋愛ミステリー
    病院側が全て無かったことにして妄想と説明したのは無理があるなぁー妄想ててそれは無いわ
    映像化するのであらばユカリさんは新木優子希望

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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