ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社 (2020年10月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784408556239

作品紹介・あらすじ

人類史の最前線から秘宝館まで……人間って、面白い!
愛と好奇心が渦を巻く、興奮のルポエッセイ!

博物館が大好きな著者が、まじめに、ときに妄想を膨らませつつお宝や珍品に迫る。
「なぜ、こんなにたくさん集めなすった!?」という著者の素朴な疑問に答えてくれるのは、慎み深くも超キャラ立ちした学芸員さんたち。人類史、鉱物、漫画、SM、服飾、地場産業、伝統工芸……

さまざまな世界と人間への情熱と愛と好奇心に満ちたルポエッセイ。

◎登場する博物館◎

長野・茅野市尖石縄文考古館

東京・国立科学博物館/風俗資料館

京都・龍谷ミュージアム

静岡・奇石博物館/熱海秘宝館

福岡・大牟田市石炭産業科学館

長崎・雲仙岳災害記念館

宮城・石ノ森萬画館/日本製紙石巻工場

福井・めがねミュージアム/越前和紙・岩野市兵衛氏

大阪・ボタンの博物館

解説/梯 久美子

装画/化猫マサミ

みんなの感想まとめ

さまざまな博物館の魅力をユニークな視点で探求したルポエッセイは、著者の好奇心と愛情に満ちています。特に、一般的な博物館とは一線を画す珍しい展示が取り上げられ、読者は思わず足を運びたくなることでしょう。...

感想・レビュー・書評

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  • 私の中にある三浦しをんさんへの崇拝は置いといて。
    日本にあるちょっと変わった博物館のご紹介レポ。
    なんていうか、チョイスが既に面白い。もっとこう、普通の博物館があったのではないか。と思いますがそこも好き。
    説明の中にちょこちょこ挟む三浦節ににまにましてしまう感じでした。
    ちょっと偏った愛を楽しく読めます。
    私もメガネミュージアムに行って五時間かけて自分のメガネ作りたい…。

    • へぶたんさん
      にゃんちびさん
      ちょうど私も今、しをんさんエッセイ読み終わりましたよ〜。これも面白そうですね〜♪
      にゃんちびさん
      ちょうど私も今、しをんさんエッセイ読み終わりましたよ〜。これも面白そうですね〜♪
      2024/03/20
    • にゃんちびさん
      へぶたんさん

      コメントありがとうございます♪
      あっ、三浦推しですね!嬉しい!
      なんのエッセイですか??
      私もそれ、読みたいです!
      博物館を...
      へぶたんさん

      コメントありがとうございます♪
      あっ、三浦推しですね!嬉しい!
      なんのエッセイですか??
      私もそれ、読みたいです!
      博物館を紹介するだけなのに、まずチョイスが独特。解説も世界観。という感じでオススメです⭐︎
      2024/03/20
  • 単なる博物館のレポートではなくて、しをんさんならではの視点や妄想が語られていて面白かった。

    "熱海秘宝館"や"風俗資料館"のように、アレと正面から向き合う展示のレポートは難しいものだが、しをんさんの説明はうますぎます。
    興味津々でドキドキしているのを見透かされないように平静を装う姿が目に浮かびました。

    "国立科学博物館"以外は知らない博物館ばかりですが行ってみたくなります。
    "めがねミュージアム"は予想どおり鯖江にありました。
    以前メガネフレームに「MADE IN SABAE JAPAN」と書いてあるのを見て、鯖江という地名を知っただけなのに懐かしい気分になりました。

    思いがけず興味をそそられたのは"ボタンの博物館"。
    ボタンを5000種類も集めていて、そのうち1700程を展示しているそうです。
    ボタンなんか見て何が楽しいの?と思いながら読んでいたのですが、展示されているものは、まさに宝石・装飾品でした。
    女性のコレクターが多いというのも頷けます。
    手間暇かけて創られた小さな芸術品です。
    どのようなボタンを身につけているかが、その人の地位を示す手段だった時代もあったことを知って目から鱗でした。
    しをんさんが訪ねた時は、大阪市天王寺区にありましたが、今は移転して東京の日本橋浜町にあるので、その気になれば行けそうです。

  • 相変わらずくすりとさせられるぼそっとしたひと言は健在だし、正直興味のない博物館の展示をきっちり楽しませつつ読ませてしまうのはさすが。何個か行きたい博物館もあったので収穫はあったということかな。

  • 「旅先で博物館を発見したら、とりあえず入ってみる」ぐらい博物館好きな著者が、10の博物館(+熱海秘宝館)を通して博物館ワールドに読者をグイグイ引き込んでいく、博物館見聞記。

    著者が巡ったのは、茅野市尖石縄文考古館、ご起立科学博物館、龍谷ミュージアム、奇石博物館、大牟田市石炭産業科学館、雲仙岳災害記念館、石ノ森萬画館、風俗資料館、めがねミュージアム、ボタンの博物館、そして熱海秘宝館(笑)。

    元々興味あるテーマだったり、面白い実演などが見られれば別だが、展示物が淡々と並んでいるごく普通の博物館の場合、直ぐに飽きていまってであまり楽しめないよなあ(なので積極的には入りたくないなあ)、と思ってたりしていたのだが…。本書から、しをん流博物館の楽しみ方を教わった気がする。その極意は飽くなき好奇心、これに尽きるな。

    身近なところから、博物館巡りしてみようかな。

    著者の文章、いつもながらビビッドでかつウイットに富んでいて楽しい(何故かカタカナばかりになってしまった)。

  • 博物館、一番イメージしやすいのは東京国立博物館ですか。
    しかし、しをんちゃんはその概念を良い意味で打ち砕いてくれる。
    石、眼鏡、釦等、そこにあるのは文化を守ろうとする姿。
    かっこいいわ。
    そして、未だにいけない石ノ森萬画館。
    落ち着いたら行きたい‼️

  • 博物館好きにはたまらない。メジャーな所から「そんな博物館あったのね」というところまで、三浦しをんさんが巡ります。
    どんなテーマの博物館であれ「伝えたい・残したい」という想いでつくられ、存在していて
    その熱量でさらに魅力が増してる感じがします。
    三浦さんの振り切ったリスペクトっぷりも楽しい。
    私もいろいろ行きたいんだよな〜

  • 面白かった。装丁買い
    エッセイ、苦手ですが表紙の土器土偶ハチ公ときたら買わんわけにはいかんかった。
    字も大きいし、短いのでさくっと読み終わります。はじめに尖石、科博とくるので、ポピュラーどころばかりか?!と思いきや、めちゃめちゃコアな場所も出てきて、好奇心をかなり満足させてくれる。知っている館が多く、ああ、そうそうと懐かしく思い出しながら読んだり、行ったことのない館は行ってみたいと思ったり、行ってみたくはないが、非常に興味深かったりと、いろんなパターンがあるのも良かった。作者の著書は数冊既読ですが、あまり作者のひととなりを考えたことがない(普段から読書をするのにそこらへん興味がわかない)。なんと女性でしかも好みが似ている(私と)のを感じ、なんとなく親近感が沸きました。腐れているところも非常に好感度高いです(笑)。そうか、そうだったのか、、的な。まあ、どうでもええんですが、紀行文やエッセイなどで、自分がこれから読む本だとか旅先を探している時に、似た感覚というか嗜好が似ている人の意見を取り入れると、外れが少ないので、こちらで紹介されている場所は私にとってハズレがなかろうと、そんなことも考えながら、楽しく読了。早く好きなだけ旅が楽しめるようになりますことをお祈りします。

  • 11/14(土)開催!三浦しをんさん×梯久美子さんオンライントークセッション|実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/columns/?article_id=595

    三浦しをん「博物館は執念の塊。その人間ドラマに心惹かれます」。エッセイ新刊『ぐるぐる♡博物館』記念インタビュー - TSUTAYA/ツタヤ
    https://tsutaya.tsite.jp/news/book/35918746/

    Home - 化猫マサミ illustration
    https://www.kanekomasami.com/

    ぐるぐる♡博物館|実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-55623-9

  • 私も博物館大好き!
    私の推し博物館は国立民族学博物館、みんぱくだけど、この本の中にはなかった。
    どれもこれも行ってみたい博物館ばっかり。
    一つの物や事柄を探究している人に惹かれる。
    しをんさんの小説「舟を編む」や「愛なき世界」のように。
    しをんさんもきっとそうなんだろうな。
    続編希望!
    全国もっといろんな博物館を紹介してほしいな。

  • 有名な博物館も、マイナーな博物館も
    三浦しをんさんのレポートによって
    めっちゃ行ってみたくなった。
    取り上げられている10の博物館の魅力と
    学芸員さんや館長の熱き思いが伝わってきて
    実際に見てみたくなっちゃうのです。
    文庫版なので取材された時と時差があるために
    巻末に文庫版出版時の情報も掲載されてます。

  • 三浦しをんさんの小説でのマニアックでオタクっぷり(敬意を込めて)が大好きでこのエッセイ読みたくなりました
    予想通りに熱くマニアックで面白かったです

  • とても面白かった!博物館はスタッフさん、地元の方々の熱い想いで成り立っているのだなと改めて感じた。
    知識だけでなく、案内人が実際に経験されたことやこれからの展望等が描かれていて最後まで楽しく読めた。しをん先生のエッセイはどれも面白く、読んだ後優しい気持ちになれるのが良い♡

  • 全国津々浦々、少しニッチなテーマを扱う博物館紹介本。

    秘宝館をはじめ、ボタンやメガネなど、いろんなテーマの博物館があるものなのだなあと感心するとともに、三浦しをん節を味わう。

    今回は何より解説を読んで納得。なるほどなるほど。三浦しをんって対談とかそういうの上手な人なんだね!なんだかわかるよ。人とのやりとりが生き生きしてるもの。

    ボタン博物館に行きたい&熱海の秘宝館は一度行かねばと思っております!

    個人的に、性具や性愛関係はなぜか色々博物館へ行っておりまして…チェコはプラハのセックス博物館や中国は上海近郊の性愛博物館など。怪しげかと思いきや、かなり真面目に性を取り扱っていて、お国柄がわかって面白いんだよね〜。

  • 読んだのにレビュー書いてなかったので今更ながら…
    三浦しをんと行く博物館巡り。
    率直な感想はめちゃくちゃ面白い!
    しをんさんの視点やツッコミが読んでてとにかく面白い。
    思わず吹き出してしまいそうになるのを必死に堪えながら読んでいた。
    なかなか行けない博物館も、これを読めば観光気分を味わえる。そして読むことによってその博物館により一層行きたくなる!
    続編とか出して欲しい。

  • 270P

    三浦しをんさんが日本各地の「ちょっと変わった博物館」を訪ねて書いたエッセイ集で、奇石博物館、めがねミュージアム、ボタンの博物館が気になった。真面目な博物館紹介というより、ユーモア系エッセイだった。三浦しをんさんのエッセイ初めて読んだ。

    「 土器や石器を作ったり、狩りに行ったり、木の実を採ったり。縄文時代の生活はなかなか楽しそうだ。そりゃあもちろん、食料もいつも豊富とはかぎらないだろうし、満足な医療もなく、寒かったり暑かったり、大変なこともたくさんあっただろう。でも、出土品を見ていると、生き生きと暮らしていた様子がうかがわれるのだ。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「私は最前から気になっていたことを、山科さんに尋ねた。「これだけ栄えていたひとたちは、いったいどこへ行ってしまったんでしょうか。五千年前をピークに、尖石近辺の遺跡数は減るんですよね?」「文化の中心地は、いまから四千年前、『仮面の女神』が作られたころには、岩手県をはじめとする東北地方、太平洋側に移ったようです。しかし全国的に、五千年前の遺跡数に比べ、四千年前のものは少ないです」  原因は寒冷化ではないか、と山科さんは考えている。五千年前は、いまよりも温暖な気候だったのだが、四千年前になると、いまよりも寒冷化した。そのため、ナッツ類などを入手しにくくなったらしい。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「『鳥獣戯画』が漫画のルーツだと言われるが、私はどうもピンときていなかった。擬人化されたウサギなどの「キャラ感」は漫画っぽいかもしれないが、『鳥獣戯画』は巻物で、明確なコマ割りはない。つまり、「文法」がちっとも漫画じゃない、と思っていた。しかし、絵伝にはコマ割りがある。こちらのほうが、現在のストーリー漫画の文法と形態により近い気がするなあ。漫画はもしかしたら、絵伝の影響を受けて発展した表現なのかもしれない。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「「ガンダーラはインドの辺境にあって、中央アジアへの出入り口です。異なる民族がひしめいていて、紀元前から一触即発の状態でしたし、いまも紛争が起きています。そういう土地で、今回展示しているような、穏やかな仏像が生みだされた。それは非常に不思議な現象だなと思って、私はガンダーラ文化の研究に取り組んでいます」「ガンダーラに住む人々は、仏の教えや仏像に心の安らぎを求めた、ということでしょうか」「そうですね。戦争の愚かさに気づき、仏教というものが和を構築するのに非常に有効だと考えたひとたちが、あの穏やかな仏像を作りだしたのだと思っています」」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「「かつての大谷探検隊も、入澤さんも、発掘調査をなさった。ということは、ガンダーラ(いまのアフガニスタン、パキスタンあたり)やシルクロード地域には、現在は仏教徒はいないのでしょうか」「はい。中央アジアは、仏教がものすごく隆盛した地域ですが、いまはイスラム圏になっています。仏教徒だった人々が、いつごろ、どういうふうにイスラム教を信じるようになっていったのか、まだわかっていないことも多いです。そこを明らかにするためにも、考古学的な発掘調査をしたいのですが、なにしろ政情不安で、渡航もままならず……」」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「イスラム教は、神さまの姿を具体的に絵に描いたり、彫刻で表現したりはしない宗教だ。しかし、アフガニスタンには初期のイスラム美術が残っていて、そこには人物が描かれている(具象表現をしているわけだ)。その表現が、仏教遺跡に描かれた人物の表現ととてもよく似ているのだとか。また、アフガニスタンで発掘調査を行った結果、イスラム勢力の支配下に置かれていたはずの時代に、仏塔を建立した証拠が見つかったのだそうだ。つまり、イスラム教と仏教は共存していた時期がある。  たしかに、「信仰」という、ひとの心の大切な部分を、暴力一辺倒で強制的に変えられるとは思えない。仏教がどうしてひとの心をつかみ、どのように広まっていったのか、明確に解明されていないのと同様、中央アジアにおいて、どうして仏教がイスラム教に取って代わられたのかも、まだ謎だらけだ。「予断はせず、今後さらに研究を深めていくべき課題です」と入澤さんはおっしゃった。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「「仏教がおもしろいのは、異質な文化や宗教を取りこんでしまうところです。たとえば弥勒菩薩も、かつてあったミスラ教の神さまを仏教化したものじゃないかと言われている。異質なものを排除しない、というのが、仏教の非常に大きな特徴かなと思います」」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「いまは遺跡となって砂に埋もれてしまったかもしれないが、かれらの切なる思いは、経典や壁画という形で残っている。私たちは、博物館でそれを見ることができる。博物館は基本的に「過去」を展示する場所だと思うが、それは死んで冷たくなった「過去」ではなく、いまも生きつづけ、熱い生命と思いを宿している「過去」なのだ。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「もうひとつ思ったのは、人類の名誉のためにも、将来の発掘に備えるって大事かもしれないなということだ。シルクロードで経典が発掘されたように、遠い未来に砂のなかから貴いものが発掘されれば、人類の面目も立つ。しかし、まかりまちがって私のレシートが発掘されてしまったら、どうだろう。「二千年前のひとって、鶏のムネ肉ばっかり買ってたっぽい」と、誤った認識を未来人に植えつけることになりかねない。あちゃ ー。たまには奮発してモモ肉を買うか……。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著


    「熱海秘宝館は、熱海城のすぐ下あたり、海に面した山の斜面に建っていた。晴れていたら絶景を眺められるだろうが、私が行った日はあいにくの雨。平日だし、こりゃあわざわざ秘宝館に来るひとは少ないかもしれないぞ、という予想は裏切られ、秘宝館に向かうお客さんがけっこういた。しかも、アベック(死語)ばかり。  秘宝館って、アベックでしっぽり訪れるようなところなのか?  温泉に遊びにきた団体客が、酔った勢いで「ちょっと見てみようか、うしし」と突入する館、というイメージを抱いていたのだが。まあ、最近では団体客自体が減少しているだろうし、もしかしたら秘宝館も、アベック向けのオシャレスポットに生まれ変わったのかもしれん。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「性的な事柄とは、隠そうとするから隠微なエロスを生ぜしむるのである。秘宝館は、その対極と言っていい存在だ。とにかくオープン、すべてが明るくはっちゃけている。無数とも思える男性器や女性器を模した展示物、薄衣だけまとったマネキン人形などなどが、恥じらう素振りもなく(偽物の性器だし、お人形なのだから、当然だが)、次から次へと入場者の視界に入ってくるのだ。秘宝館の展示物に刺激されてエロスを発動できるひとがいたら、相当の強者だろう。満漢全席をようやくすべてたいらげたと思いきや、第二陣、第三陣が続々とテーブルに運ばれてくるようなもの。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「 そしてもうひとつ、忘れてはならないのが、雲仙という山の存在だろう。雲仙普賢岳は一九九〇年(平成二年)に噴火し、九六年(平成八年)に終息宣言が出るまで、大きな人的物的被害をもたらした。だが、この火山があるからこそ、良質の温泉が湧き、降り積もった灰によって、果物などの栽培に向いた土壌となっているのも、また事実だ。  江戸時代にも雲仙は二回噴火した。島原半島の人々は昔から、そんな雲仙とともに生きてきたのだ。火山を相手にあくせくしたってしょうがない。人的被害を出さないように注意しつつ、「噴火するときはする」の精神で、のんびりいこうじゃないか。どうも、そういう気配を(勝手に)感じるのだった。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「日本列島には火山がたくさんある。日本に住むほとんどすべてのひとが、「火山の隣人」と言ってもいいだろう。火山について知りたいなというときに、雲仙岳災害記念館は、とてもいい道しるべになってくれる。なるべく楽しく、興味を持って見てもらえるように、工夫が凝らされたコーナーがたくさんある。同時に、多くの人命が失われた悲しい出来事を、きちんと語り伝えようという峻厳な姿勢も維持している。そのバランスがいいので、押しつけがましさがないし、情緒に偏りすぎてもいないのだろう。家族で見るのにもふさわしい博物館だと思うので、チビッコがいるかたで、島原を観光する機会がありましたら、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「 と思ったのだが、収集の質と量が、こちらの想像を軽く凌駕するぐらいすごかった。アイリスの相談役であり博物館の名誉館長でもある大隅浩氏は、なんと世界でも五指に入る有名なボタンコレクターなのだ!  ボタンの博物館には、大隅氏が集めつづけた古今東西のボタンが、約五千点も収蔵されている!  ちなみにバックルも、二千点(!)ほど集めているとか。到底、すべてを展示することはできないので、たまに入れ替えをしつつ、常時千六百点ぐらいが陳列されています。  これはもはや、「ボタンを作るのが業務の会社だから、集めてみた」というレベルではなかろう。あふれるボタン愛。ボタンが好きで好きで、ボタンの魅力に骨抜きにされていることがうかがわれる。そういうひとたちがアイリスでボタンを作っているのだと思うと、日常でなにげなく使うボタンのひとつひとつが、すごく大切なものに感じられてくる。私の部屋着は、二個ぐらいボタンが取れちゃったままなのだが(裁縫が苦手)、こんなことではいかん!  ボタンについて、この博物館で楽しく学んでみることにしよう。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「なんらかの方法で衣服を留めたほうが、動きやすいし便利だ。そして、せっかく留めるなら、きれいなもので留めたい。その気持ち、よくわかりますぞ、古代の人々よ……!  中国・春秋戦国時代の「帯鉤」を見ると、機能性と装飾性が古くから両立していたことが伝わってくる。帯鉤はバックルの原形となったもので、騎馬民族が馬で移動する際、荷物を背負うのに使った。ゆるいカーブを描いた棒の裏側に出っ張りがあり、片端はカギ状になっている。革のベルトに荷物を通し、ベルトの端を帯鉤の出っ張りにはめ、体を一周させる形で、もう一方の端を帯鉤のカギに引っかける。こうすれば、荷物を斜め掛けしたり腰に提げたりできて、馬を操るのに邪魔にならない。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

    「 ボタンって本当に、時代や流行や技術をどんどん取り入れるものなんだなあ。さまざまな材質とデザインとアイディアのボタンがあって、飽きることがない。実物を見ると、緻密な細工や、愉快な意匠や、きらめきが迫ってきて、どんなひとが身につけたのだろうと想像が広がる。  私はボタンの魅力にノックアウトされ、売店でアンティーク風のボタンを何種類も買いこんだ。帰宅してさっそく、「いまいちしっくりこない」と思っていたコートのボタンを、せっせとつけ替える。裁縫に慣れていないので手間取ったが、渋くて風合いのある赤いボタンをつけたら、コートがとってもおしゃれに生まれ変わりました!  勢いに乗って、ずっと取れたままにしていた部屋着のボタンも、ちゃんと縫いつけた。  今回、数々のボタンを眺めながら、つくづく思った。ひとは、利便性だけでは決して満足できず、美と遊びを追求せずにはいられない生き物なんだなと。どうして、そういう心を持って生まれたのか、本当に不思議だ。  だが、美と遊びを求める心があるからこそ、希望は失われることなく、私たちの目に世界は輝いて映るのだ、とも思う。  ボタンは、景気や歴史や文化を反映するのみならず、人間の心の善なる部分を象徴しているのかもしれない。だから、眺めるうちに胸がときめいてくるのだろう。」

    —『ぐるぐる♡博物館 (実業之日本社文庫)』三浦 しをん著

  • 舟を編む、繊細な小説を書かれる三浦しをんさんを知りたいという一心で始まった三浦さんエッセイの旅

    三浦さん、めちゃめちゃオタクだった^_^
    そして愛情がある

    三浦しをん✖️博物館
    どちらも私の好物ということで手に取る

    途中から、熱量に押されてしまって、というか三浦さんの主観?が多く、今の自分はついていけなくなった笑
    博物館のテーマは多岐にわたる
    ぼたんめがね色物とか…
    それぞれの歴史を知るのには絶好の機会だったけど、テーマが自分の気になるところとは離れていると、読んでいても読書に集中できなくなる時もあったかなぁ

    まだまだ、しをんさんのエッセイ旅は続けようと思いますので、よろしくお願いします

  • どの博物館が載ってるのか
    わざと目次を見ずに読んだら、
    見事に行った事ない所ばかりで
    色々知ることができて大変面白かった!

    三浦さんに選ばれただけあって、
    どの博物館もとても興味深い。
    特にめがねミュージアムは
    以前から行ってみたいと目をつけていた場所。
    ますます行きたくて堪らなくなった。
    コロナが終結したら是非訪問したい!

  • しをんさん通常運転のテンションで色々な博物館レポしてくれます。
    取材は東日本大震災後コロナ前なので、文庫化(2020年)にあたりその後の情報も追加。
    リニューアルしたり、案内してくれた博物館の方も退職されていたりが多いですが、閉館したところはなかったようです。(ちらっとググったら2025年10月現在も状況は変わらず開館中)
    私設のニッチなところに行きそうなのに、そうでもないのが意外ですが、取材を受けてくれる残りそうなところや関東から行きやすそうな所を選んだらこういうラインナップになるのかも??

    茅野市尖石縄文考古館
    国立科学博物館
    龍谷ミュージアム
    奇石博物館
    大牟田市石炭産業科学館
    雲仙岳災害記念館
    石ノ森萬画館
    風俗資料館
    めがねミュージアム
    ボタンの博物館
    <寄り道編>
    熱海秘宝館
    日本製紙石巻工場
    岩野市兵衛さん

    解説 / 梯 久美子
    カバーデザイン・本文デザイン / 篠田 直樹(bright light)
    カバーイラスト・挿絵 / 化猫 マサミ
    本文写真 / 石田 健一(第2館)、池本 昇(第10館)
    初出 / 「紡」2014年winter・spring・summer、「月刊ジェイ・ノベル」2014年7月号・10月号、2015年1月号・4月号・7月号・10月号、2016年1月号、単行本書き下ろし3本

  • 人間って、面白い…!しをんさんも面白い!

    著者・三浦しをんさんが様々な博物館を訪ねた記録。なんでそこ?と思えど、どの博物館も非常に興味がわいた。特に奇石博物館は行きたい。
    旅行に行っても興味ないからなぁと素通りしがちなニッチな博物館も一歩足を踏み入れると、その博物館を作ろうとし、維持する方の熱意が伝わるのかもしれない。フラっと旅行に行きたい!そんな行動力と色々知りたいという好奇心が刺激される面白い一冊。

  • 目次
    ・茅野(ちの)市尖石(とがりいし)縄文考古館
    ・国立科学博物館
    ・龍谷ミュージアム
    ・奇石博物館
    ・大牟田(おおむた)市石炭産業科学館
    ・雲仙岳災害記念館
    ・石ノ森萬画館
    ・風俗資料館
    ・めがねミュージアム
    ・ボタンの博物館
    寄り道
    ・熱海秘宝館
    ・日本製紙石巻工場
    ・岩野市兵衛さん(越前和紙の紙漉き名人)

    博物館や美術館は好きだ。
    でも、観光に行った先でそこに行くことはほとんどないので、実はあまり行けてはいない。
    この本に出てくる博物館で行ったのは、国立科学博物館だけだ。
    だからこんな本を読んでしまうと、知的好奇心がうずうずしてしまう。

    特に『雲仙岳災害記念館』は、噴火直後に家族が立ち入り禁止区域内で仕事をしていたりするので、お互い元気なうちに一度行ってみたいと思った。
    そして当時のことをあれこれ聞きたいと。

    あとは『縄文考古館』も興味あるけど、長野県に行く予定がないんだよなあ。
    長崎県もないけどさ。
    それから『石ノ森萬画館』も行きたいよねー。
    「サイボーグ009」が好きです。

    北海道博物館も、もう少し頑張ってほしい。
    開拓記念館の頃から何度も行っていたから、グレードアップしててほしかったけど、リピートしたいと思わなかったな。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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