朝の茶柱 眠り医者ぐっすり庵 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408557106

作品紹介・あらすじ

小さな幸せ、きっとある。

〈眠り〉と心に効くあったか養生所、大繁盛!

書店員さんも読んでぐっすり!?

「心温まる、それでいてドキドキハラハラもあり!の物語。
貴方も心地良い眠りの世界に導かれること間違いなし!」
――井上哲也さん(大垣書店イオンモールKYOTO店)

お茶でほっと一休みのはずが眠気も覚める大騒動が…!?

江戸郊外の西ヶ原で長崎帰りの兄・松次郎と眠り専門の養生所〈ぐっすり庵〉を開いた藍(あい)。
ひそかに評判の養生所には、眠れぬ悩みを抱えた人々が今日も相談に。
そんななか、伯父が営む茶問屋・千寿園にやり手の商売人・万屋(よろずや)一心(いっしん)が乗り込んできた。
千寿園の傾いた商売を立て直すと息巻くが、怪しさも漂う彼の本当の狙いとは? 
笑いと癒しの時代小説。

眠りに関するミニ知識も…著者のコラム〈ぐっすり庵覚え帖〉もあるよ!

感想・レビュー・書評

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  • 今回は一心という人物に振り回せれつつ物語がはじまります。伯父夫婦はさらに千寿庵を手広くするために薬種問屋から紹介を受けて彼の商い方法を行っていくのですが、藍はどうしても彼が信用できない。彼に一冊の本を与えられて、これを読めば金がやってくるとも言われて、そんなことも今回は同時進行で物語は進んでいきます。

     『金持ち喧嘩せず』

     家で飼っていた猫が生んだ仔猫が全て三毛猫の牡だったために一匹百両で引き取られて、思いがけない大金を手にしたぼてふりの老人が眠れないと訪れて。

     五匹仔猫が生まれたので、全部で五百両!

     ですが、眠れなくなってしまってから、お金で買えないものもあると嘆く姿が哀れでもあり、考えさせられることもあり……。

     そして、出た答えに納得の一作でした。

     『眠れぬ親心』

     巣鴨の庄屋の又十郎は食べるにも困った貧乏同心の御家人株を養子縁組して手にいれたのは、大事な跡取り息子の伝太郎のためだった。けれども、本人は真面目に学ぶこともせず、勉学の際中に居眠りをしたり、いたずら書きをしたりで、親の気持ちがわからないよう。

     そのことに悩んで眠れなくなった又十郎はぐっすり庵へ。

     同じころ藍は一心にふさわしい女子になれと『春秋』を渡されて困り果ててしまう。開いたものの、そわそわして落ち着かず、挙句、眠ってしまう藍。(まー、そうだよねぇ)

     そして、伝次郎も同じ思いをしていることに心を痛めるのですが。

     この結末は。

     『眠り男の十八番』

     今回は噺家である乱太の相談。噺家である彼なのだが、致命的な欠点があった。それは彼が話を始めると客が寝てしまうこと(◎_◎;)

     茶を振舞ったらどうか等、考え込むぐっすり庵のメンツ。ですが、声がとてもいい乱太の話を聞き始めると否応なく寝てしまう。

     このままでは噺家としての未来がどうなるかわからない。

     そこで一心の話をしてみる藍。それを話にしてみる乱太だったのだが、どうも乱太はこの一心に似た人物に心当たりがあるようで。

     『嘘つきには、お茶を一杯』

     乱太のおかげで一心の正体が分かった藍。だが、伯父たちは藍と一心を夫婦にしようと考えていた。

     そんな時に眠れないとぐっすり庵へとやってきたのは一心。

     さて、物語の結末はいかに。

     今回もほっこりさせていただきました。そして、お茶を上手には私もいれられないなぁと(^^ゞ

     お話も楽しいのですが、それぞれの話のおまけとなるぐっすり庵覚え帖も楽しかったりします。

     美味しいお茶に和菓子が食べないなぁ。できれば、桜餅がいいです

  • 前作よりも笑えて面白かった

  •  「眠り」には、まだわからないことがたくさんある。薬、薬と気軽に言うけれど、身体に何らかの影響を及ぼすものは、元はと言えばすべて毒。泉ゆたか「朝の茶柱」、眠り医者ぐっすり庵シリーズ№2、2022.2発行、連作4話。眠り医者の兄の千寿松次郎は、患者の眠れない原因を探り、眠り猫のねうと一緒に治療を。一方、妹の藍は、千寿園で採れるお茶をどうしたら最高に美味しいお茶になるかについて試行錯誤中。

  • 藍が嫌だ嫌だと言ってるわりにまったく何も動かないのでイライラする。
    そのせいもあってか物語りもあまり動かないのも残念。

  • 江戸のハズレにある茶園は、父母が営んでいた。
    医学を学びに長崎へ修行に行っていた兄、松次郎が、行方不明に。
    その間、相次いで両親が亡くなり、今は叔父夫婦で切り盛りしている。
    密かに茶園の一角に不眠症に悩む人を対象にした「ぐっすり庵」を開業した兄の秘密は、妹の藍と、茶園の女中で千住に嫁いだお久が知るのみ。

    眠れるようになると口伝で広まるぐっすり庵。

    そうこうしている間に茶園の経営状態が悪化。
    人手にわたるいっぽ手前。
    投資を受けて新しい事業を始めるのが一心。
    何やら胡散臭い。

    不眠症と心の安寧。
    笑いあり、ほっこりあり。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『幽霊長屋、お貸しします(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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