ごりょうの森 (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社 (2022年4月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784408557250

作品紹介・あらすじ

平将門、菅原道真、崇徳天皇、井上内親王……古くから語り継がれ、恐れられてきた日本の「怨霊」をモチーフに、現代に生きる男女の情愛の行方を艶やかな筆致で描く官能短編集。
自殺した議員秘書の謎を追うフリー記者は、秘書の妻と大手町の将門塚で待ち合わせるが――(「首塚」)。

「京都の濃い闇の中から生まれ出た物語集」――東 雅夫(解説より)

みんなの感想まとめ

古くから伝わる日本の怨霊をモチーフにした官能短編集で、恐怖と官能が絶妙に交錯する物語が描かれています。収録された七編は、それぞれ異なる怨霊にまつわるストーリーで、登場人物たちの情愛や葛藤が深く掘り下げ...

感想・レビュー・書評

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  • 花房観音『ごりょうの森』実業之日本社文庫。

    古くから語り継がれ、恐れられてきた日本の『怨霊』をモチーフにした7編収録の官能短編集。恐怖と官能が隣り合わせの不思議な風合いの短編が並ぶが、官能色の方が強いようだ。

    『首塚』。平将門の怨霊。フリーの記者となった男が少し前に同じ新聞社を退職し、議員秘書となり、議員の罪を被って自殺した先輩のことを調べる。先輩の妻と大手町の将門塚で待ち合わせた男は……

    『雷神』。菅原道真の怨霊。一度だけ愛し合った同じ劇団の同性の後輩への妬み。運良くメジャー女優となった後輩への妬みから、彼女の秘密を公にした主人公。やがて主人公は普通に結婚し、出産を経験し……

    『ごりょうの森』。表題作。崇徳天皇の怨霊。タイトルを漢字で書くと『御霊の森』となるようだ。かつて主人公の前に父親の再婚相手の女性の娘が現れる。主人公が密かに憧れ、家から追い出した女性の娘との官能の時。

    『ぼたん寺』。早良親王の怨霊。男を寝取る人生を送って来た女。妹から男を寝取り、妹を死に至らしめた残酷な女。その男と暮らしながらも他の男を求めないと生きられない生き地獄。

    『われ死なば』。檀林皇后の怨霊。親に反対され、泣く泣く別れたいとこ同士の男女。30年後に再会した男女は立場が変わり……

    『おさかべ姫』。富姫の怨霊。病で床に伏した父親の世話に一人の娘を紹介する男。男の過去には……

    『母の罪』。再び崇徳天皇の怨霊。義父と関係し、義父の息子を産み、その後離婚した女。交通事故で亡くなったはずの息子が……

    本体価格690円
    ★★★★

  • 怨霊をモチーフに描かれている短編集。その怨霊にゆかりのある神社仏閣が出てくる。上御霊神社、乙訓寺、長岡天満宮など…花房さんの本を読むと京都へ行きたくなる。 あんなに熱く燃え上がったのに何故なんだろう。一方だけの気持ちが醒めたときの悲しさ、読んでて心苦しくやるせない。 「母が女であることは罪なのだろうか。男なら、父であることと、男であることを誰も天秤になどかけない。どうして、女だけ、女のままでいようとすると、罪を背負わねばならないのか。」

  • 歴史上の人物の怨霊譚にからむ現代の性愛7短編

    「首塚」(初出2021「特選小説」)
    新聞社の先輩が代議士の秘書になり、議員の不正の責めを負って自殺したが、残された妻を抱いて自殺の真相を聞き出すと、妻は議員の愛人で先輩の行動を議員に伝えていて、先輩に罪を着せる工作もしていた。まるで平将門を裏切っていた愛妾桔梗姫のようで、妻は時々先輩の首だけの亡霊を見るという。

    「雷神」(初出2021「webジェイノベル」)
    レズビアンの関係になった劇団の後輩が映画の主役に抜擢され、嫉妬から後輩の裸の写真を週刊誌に流出させたため、後輩は役を降ろされ、実家に帰って病死した。雷雨の日には後輩が10階のマンションの窓の外に現れる。

    「ごりょうの森」(初出2021「特選小説」)
    父親の経営するレストランに勤めると、心惹かれる同僚が父の愛人で妊娠していて、母に告げると辞めて実家に帰ったが流産して死んだ。父の跡を継いでその女とそっくりの娘と出会い、父と同じように離れられない関係になった。

    「ぼたん寺」(初出2021「特選小説」)
    小料理屋の女将に誘われて女将の家で抱くと、そこには夫がいた。夫は女将の妹の婚約者だったのを略奪したのだが、妹が自死してから夫は不能になってしまった。女将は鏡を見る度に妹の姿を見る。

    「われ死なば」(書き下ろし)
    いとこ同士の恋人の仲を裂かれ、父親が死んだために、祖父の会社をいとこの親に取られ、いとこが成人した息子に会社を継がせようとするので会いに行くと、なりふり構わず女を武器にしてきたいとこを抱くことになり、自分の死体を曝させた檀林皇后を思う。

    「おさかべ姫」(書き下ろし)
    離婚されて自分を失った母を連れ、受験を放り出して家を出た私は、母が自分を父だと思い込んで同衾してくるのを止められず、母は出産して自殺した。私は井上内親王と息子の他戸親王との間で生まれ妖怪となった富子(おさかべ姫)の名を付けて育て、老齢になった父の介護に送り込む。

    「母の罪」(初出2021「webジェイノベル」)
    老舗和菓子店に嫁いだが、無気力な夫ではなく精力的な義父に惹かれて抱かれ、妊娠したのを期に別れて夫の子として産んだが、義父の死後離婚された。息子は成人してから交通事故で死んだが毎日会いに来てくれる。

  • 2022年、2冊目は花房観音のホラー(?)官能短編集、七編収録。

    今回は、各タイトルのみ紹介

    首塚
    雷神
    ごりょうの森
    ぼたん寺
    われ死なば
    おさかべ姫
    母の罪

    印象はホラー<官能。ホラーと言うか、怨霊にまつわる伝承や寺社縁起等を下敷きにした物語達。

    「首塚」「雷神」で下敷きとしているのは、平将門、菅原道真と言ったメジャーどころだが、個人的にはあまり……。一方、三編目以降は、大筋でかなり好み。並びも順も、かなりしっくり。

    官能作としても、ヴァリエーションに富んでいるのは好感。しかし、一編30p程度の分量は、やはり、物足りなさを感じるものもあり。まぁ、最近、目の衰えがススんでしまった自分には、助かるが。

    「生」と「死」、「生」と「性」、「肉体」と「精神」、それらの事柄より、解説の東 雅夫の「怪談」と「猥談」で勝負あり。

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著者プロフィール

1971(昭和46)年、兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に「花祀り」団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめくり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』など多数、最新刊は『縄 緊縛師・奈加あきらと縛られる女たち』。

「2025年 『生きてりゃいいさ 河島英五伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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